発光地帯

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 518
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041891

作品紹介・あらすじ

誰にも見せない日記のように、誰かに語りかけている。芥川賞作家が日常から零れ落ちる言葉たちを拾いあつめた、自由律で不定型、新しいかたちのエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 油断ならないエッセイでした。見た目はどうってことなさそう…、なんだけど、読むとこってりしていてエネルギーを吸い取られる。さらには自分の琴線のどこかに触れるらしく随所で泣ける。「試す」がいちばん沁みた。懐かしくて切なくて読んでいると薄い寂しさが集まって濃くなる。エッセイって公開された他人の日記を見る行為なんだけど、このエッセイは「文通」に近い感じで、読み終えるのに二か月近くかかってしまった。町田康的なこってり関西系。

  • 筆者の日常生活を、筆者の視点で切り取ったエッセイ。
    平たく言えば日記だけど、日記と呼ぶにはあまりにも美しい言葉たち。
    うっとりしながら読み進めた。

    食にまつわるエッセイだったらしいが、あまりそれっぽくない。
    生活感が希薄なところが、また文学っぽくて好きだ。

  •  「ああもうぜんぶのことに感想を持つのやめればいいのだつまり生きる生きられる生きてゆくための方法はたったそれだけなのだ」という一文に、一番ぐっときた。些細なことについても感想を持ってしまう、考えてしまう性分は生きにくくて面倒くさくてどうしようもなく、これが捨てられなくて苦しく思うことがしばしばあるけれど、こうした一文を読むことで救われた気持ちになる。

  • 「食を中心とした随筆を書く資格がじつはないのではないか」なんて著者が心配する食のエッセイ。
    たしかに食べ物の話の印象はあまりないかも‥。
    でも、ゆるやかに重ねられる言葉が心地よくて、するすると読める。

    川上さんはのんびりした方なのかな?
    ゆったりしたペースを崩さずに、日常の諸々に対処されるのではないだろうか。
    そして、ズバッと切りつけるような鋭い言葉をふわりと口にするのではないか。

    もうちょっとエッセイを読んでみたい。

    川上さんが歌を歌っていたというのも初めて知った。
    聴いてみたいな。

  • 川上未映子さんのエッセイ集。
    これを読む前に「すべて真夜中の恋人たち」を読んでいて、なんとなく仄暗さの漂う雰囲気が彼女の作風なのかなと勝手に思い込んでました。
    食のエッセイ、という割にあまり食には触れていないです。ただ、わたしも食に興味のない人間なので妙な親近感が沸いたりとか、あとはただただ美しい言葉の羅列にぐっときたり、美味しい文学が詰まった一冊だと思います。

    あとは装丁が、個人的にとても気に入ってます。読み終えたあと、本棚に並べて眺めていたい。

  • 散らかっている文章なのに、
    ひとが言葉にできず困っている内側のもやもやをすんなり言葉にして
    ある程度整理してこちらに投げかけてくれる、そんなイメージのエッセイ。

    とても女性的な文章なので、わたしは共感してしまうのだとおもいます。

  • 日常をつづったエッセイ。
    川上さんの世界観はやはり面白い。でも、何かが物足りない印象を受けた。なんだろう?語り口調が関西弁でないから?
    同じエッセイなら「そら頭がでかいんです。・・・」のほうが面白かったかな。

  • 素敵な装丁に目が止まり立ち読み、つい最近買っていた『そら頭はでかいです、せかいがすこんと入ります』で初めて読んだその文体が好きだと思ったので衝動買いしてしまった一冊。

    ひとつひとつの表現に使われる単語の選び方がうまくて、なんか私は妙に納得させられてしまう。文章に感情を丸めこまれた感じがした。

    こんな風に言葉を操れるって、すごく自由だなーと思った。

    個人的には、「試す」が好きです。もはや詩っぽい。

  • 2019.03.25読了。
    今年3冊目。

    川上 未映子さんのエッセイ。
    自分も日々こんなふうにあれやこれやととりとめのないことを常に考えているので、読んでて親近感がわいた。
    改めてそれを文にしてみるとすごく読みづらいなとは思ったけど、こういう書き方というか、自然な感じが面白いなと思った。

    独身時代の感じに川上さんの生活が似ていてふと昔を思い出し懐かしくなったりもした。
    あとは食に関しては本当にこだわりがない方なんだなとも笑



  • 川上未映子さんのエッセイはいくつか読んでいるけれど、本書は「ヘヴン」を書き終えたばかりの状態だからなのか、軽快なノリや痛快な感じは一切なく、全体的に気鬱な(それこそ理由もなくちょっと間違ったらうっかり死んでしまうような)状態で書かれている。

    私もよくこんな状態に陥りやすいので、親近感が湧く。感受性が強いと日常を生きるのもとっても困難であったりする。

    弟さん夫婦とラグビーの試合を観戦に行った回が印象的だった。〜勝ち負けとは関係ない部分での「人生の豊かさ」を得ている〜というくだりでは、本当にそうだなって思った。試合をしている選手にとっても、応援して一喜一憂するサポーターにとっても、「何かに夢中になれる」それだけで豊かなことだと思う。

    遠い未来、母親が亡くなった時に、その悲しみを共通して分かち合え、語り合えるであろう姉弟か・・・。そういうのって憧れる。

    エッセイで時折出てくる親友「ミガン」のキャラがとても好き。

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著者プロフィール

川上未映子(かわかみ みえこ)
1976年大阪府生まれ。大阪市立工芸高等学校卒業。2002年から数年は歌手活動を行っていた。自身のブログをまとめたエッセイ『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で単行本デビュー。2007年『わたくし率 イン 歯ー、または世界』『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞、2008年『乳と卵』で芥川賞、2009年詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、2010年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞、2013年詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、2016年『マリーの愛の証明』でGRANTA Best of Young Japanese Novelists、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞を受賞。2017年、『早稲田文学増刊 女性号』で責任編集を務める。2019年7月11日に『夏物語』を刊行し、注目を集めている。

川上未映子の作品

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