- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041891
作品紹介・あらすじ
誰にも見せない日記のように、誰かに語りかけている。芥川賞作家が日常から零れ落ちる言葉たちを拾いあつめた、自由律で不定型、新しいかたちのエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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この本が世に出て早十年以上経つんですね。自由気儘な文体は著者の思考がそのまま複写されているというか、まさに日常から零れ落ちる言葉たちを拾い集めた、という感じです。こんこんと眠り続けたり、食が偏ったりしてしまうのは、非凡な才能に恵まれた者の宿命なのか、或いは若さ故でしょうか。奔放だった自分自身の若き日を思い出して懐かしさを覚えました
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言葉の連なりが独特でありながら日常と非日常を行き来しているようなエッセイだった。川上未映子さんの息遣いを感じるようで、読んでいて本が私化されて、密集地帯。寂しくないね。発光地帯があるなら。
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筆者の日常生活を、筆者の視点で切り取ったエッセイ。
平たく言えば日記だけど、日記と呼ぶにはあまりにも美しい言葉たち。
うっとりしながら読み進めた。
食にまつわるエッセイだったらしいが、あまりそれっぽくない。
生活感が希薄なところが、また文学っぽくて好きだ。 -
「ああもうぜんぶのことに感想を持つのやめればいいのだつまり生きる生きられる生きてゆくための方法はたったそれだけなのだ」という一文に、一番ぐっときた。些細なことについても感想を持ってしまう、考えてしまう性分は生きにくくて面倒くさくてどうしようもなく、これが捨てられなくて苦しく思うことがしばしばあるけれど、こうした一文を読むことで救われた気持ちになる。
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「食を中心とした随筆を書く資格がじつはないのではないか」なんて著者が心配する食のエッセイ。
たしかに食べ物の話の印象はあまりないかも‥。
でも、ゆるやかに重ねられる言葉が心地よくて、するすると読める。
川上さんはのんびりした方なのかな?
ゆったりしたペースを崩さずに、日常の諸々に対処されるのではないだろうか。
そして、ズバッと切りつけるような鋭い言葉をふわりと口にするのではないか。
もうちょっとエッセイを読んでみたい。
川上さんが歌を歌っていたというのも初めて知った。
聴いてみたいな。 -
散らかっている文章なのに、
ひとが言葉にできず困っている内側のもやもやをすんなり言葉にして
ある程度整理してこちらに投げかけてくれる、そんなイメージのエッセイ。
とても女性的な文章なので、わたしは共感してしまうのだとおもいます。 -
日常をつづったエッセイ。
川上さんの世界観はやはり面白い。でも、何かが物足りない印象を受けた。なんだろう?語り口調が関西弁でないから?
同じエッセイなら「そら頭がでかいんです。・・・」のほうが面白かったかな。 -
素敵な装丁に目が止まり立ち読み、つい最近買っていた『そら頭はでかいです、せかいがすこんと入ります』で初めて読んだその文体が好きだと思ったので衝動買いしてしまった一冊。
ひとつひとつの表現に使われる単語の選び方がうまくて、なんか私は妙に納得させられてしまう。文章に感情を丸めこまれた感じがした。
こんな風に言葉を操れるって、すごく自由だなーと思った。
個人的には、「試す」が好きです。もはや詩っぽい。