たったこれだけの家族―河野裕子エッセイ・コレクション (河野裕子エッセイ・コレクション 1)

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  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042546

作品紹介・あらすじ

ある家族の青春時代、エッセイ61篇と代表歌100首。第一エッセイ集『みどりの家の窓から』完全収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1900年代、慣れない外国で生きる河野さんとその家族の生活が描かれている。特にドラマも誇張もなく、自然体の筆調で読みやすい。何気ない日々の中で、家族の心の機微が感じられる。
    特に印象的だったのは、外国の慣れない環境で生きる子どもたちの姿だった。学校が外国人ばかりで、しかも言葉の壁があり、環境に適応できない無力感と、それでも抗おうとする逞しさが、子ども達の日々の何気ない言葉や態度から切々と感じられた。そんな切なさに胸を締め付けられ、時に心が温かくなる。素晴らしいエッセイだった。

  • 先に読んだ本の後書きに、この本の紹介があり、続けて読んだ。
    エッセイは短歌とは違う魅力があり、根底に関西出身の人が持つユーモアがあると思う。
    家族が一番がっつりと組み合っている頃の家族。
    繊細で激しい短歌とはまた違う味わいがあり、息子と娘を持つ私も、ああ同じと思える事があり、そしてやっぱり素敵な家族だと羨ましくなる。
    家族を見つめる河野さんの距離感が、いいなと思う。
    巻末のお子さん達が選んだ百首を詠むと、ざーっと家族の映画を観ている気分になり、母への尊敬と愛情を感じた。

  • うたを詠み続けてきた人だから当然なのかもしれないが、この人もまた、すぐれた見者(Voyan)なのだなぁと思った。散文では、力の抜けた素直な筆はこびが好ましい。
    同じ木の同じ枝にとまりつづけるふくろうを何度も見に行く話や、昭和三十年代頃の子どものころの生活の思い出などが面白い。いちばん好きなのは、はさみを使うようになった下の子が、部屋いっぱいの切りくずにうもれて、時間も周りも忘れ、長いこと一心に紙を切っている様子を観察するところから始まる「ひとり遊び」。子どもならみんな知っている、対象に身体ごと没頭するよろこびを、大人になっても、時に思い出したい。

  • たったこれだけの家族に愛されたしあわせを河野さんの人生にみました。

  • 河野裕子さん、アメリカ暮らしされたとは知らなかった。短歌の人は随筆も美しい。 外国暮らしでの力みのない日々も素敵「ひらがなでものを思ふは吾一人英語さんざめくパスに揺れゆく」。亡くなった後編まれたらしく、お子さん二人選の「河野裕子の歌百首」がいい。

  • 家族がイキイキと輝いていた頃=子育て期の母のエッセイの楽しさと、母であり妻である著者の亡くなるまで数年間の短歌の子どもによる選集。前者の生気あふれる裕子さんあっての、臨終の句の深みである。

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