草原の風 - 中巻

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 129
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043024

作品紹介・あらすじ

三国志よりさかのぼること二百年。曹操・劉備・孫権の活躍にもひけを取らない、こんなにも面白い時代があった。中国史上燦然と輝く名君が二千年の時を経て甦る。群雄割拠の時代、乱立する英傑らと戦いを重ね、その頂点にのぼりつめた劉秀。光武帝の若き日々を雄渾の筆で描く。

感想・レビュー・書評

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  • 後漢を興した劉秀・あざなは文叔~舂陵で挙兵した劉繹に不安を感じて逃げた人々を引き戻す魅力を弟・劉秀は備えていた。蔡陽では叔父・劉良に決起を促し,1万数千の新市の兵,千数百の平林の兵が集まったが,平林の兵の中には死んだはずの劉玄がいた。将である王匡や朱鮪らは不遜な兄・劉繹を嫌っており,李軼が最右翼である。先陣を新市軍に任せ,唐子郷・湖陽・棘陽と進路を決定するが,馬を持たずに牛に乗った劉秀に戦闘の中で幾人もが一頭の馬を牽いてきた。湖陽には死んだ母の実家があるため先陣を劉氏が務めて略奪抜きに陥としたが,戦利品を独り占めするつもりかと責められ,劉秀の機転でこれまでの戦利品を諸将に差し出して和解した。宛へ向かう途中の霧の中で官軍と闘って破れたが,棘陽で建て直し下江の兵を率いる王常と結び,劉秀自体は輜重を奪いに出掛け,本軍は官軍の将を倒した勢いで5万の厳尤の隙を突いて敗走させた。宛を囲んだ軍は劉玄を皇帝に立てると勿論,劉繹は面白くないが,犠牲であると劉秀は兄を説得する。交通の要衝を抑えるため劉秀は王常・王鳳らと昆陽を無血開城させ,陽関で王莽の追討軍を迎え撃とうとするが,100万の兵と聞いて王常らは昆陽へ退いてしまう。更に宛に退こうとする諸将を説得し,13騎で城を出た劉秀は周辺の豪族を説得し,万の兵を揃えて昆陽を囲む王邑き奇襲を掛け,官軍を総崩れさせ,南陽郡を越えて北に進軍する。宛は陥れたが,将の軋轢は増し,天子の使いにより劉繹は矛で貫かれる。兄の死を知った劉秀は宛に戻って下手に出るとあっさりと更始帝も信用した。謹慎している劉秀は生き延びた妹を妻を失った李進の許に送り,陰麗華を呼び寄せてささやかな祝宴を催している中,各地で反王莽の軍が立ち上がり,遂に都の常安が陥落して,王莽の首と胴が切り離された。洛陽が首都と定められ朱祐と共に先乗りの劉秀は新が滅んでも降伏しなかった父城を開城させ,城を守った苗萌と馮異を伴った。更始帝が洛陽に入ると劉秀は北方平定に追いやられた。鄧禹が郎党を引き連れて合流し順調に冀州を按撫し幽州に向かうが,占い師の王郎が劉子輿を名乗り元趙王族の劉林と共に皇帝を詐称し冀州を席巻しつつあり,劉秀には懸賞が掛けられた。一行は困窮しつつ凍てつく原野を南へ逃走し,劉子輿に靡かない信都で軍勢を得ることができた~劉文叔・・・「皇帝の位に昇った者がみる光景は,みわたすかぎり草しかない原,というようなものではあるまいか。草が人民であれば,木は臣下である。木が喬くなり,生い茂れば,皇帝の視界はせばまり,天からの光もとどかなくなる。それゆえ皇帝はかならず草原をみる高さにいなければならない。いま,草原に風が吹いている。」これが解題というわけだ。身内を殺されてもそれを内面に留め外には出さない。千年に一人の人物だったのか。讀賣の新聞小説だが一気に読めるのは大したものだ。書き出してみると,意外に漢字が少ないのにも驚く。人名や地名が普段日本では使わない字だから,普段使う字をひらがなにしておかないと紙面が真っ黒になっちゃうもんな

  • やっぱり読んでしまった。

  •  牛に乗って出陣しちゃう系隊長。
     「隊長に馬を捧げるぞー」といって敵将の馬に襲い掛かる兵たちの姿がやけに微笑ましい。

     挙兵前はどことなく凡庸にすら見えた劉秀が、ひとたび戦場に立つと意外な兵略の才を発揮し、さらには持ち前の人心掌握術で多くの将兵の人望を得ていく様はまさに英雄の風格。わずか数千の兵で十万の官軍を大破するに至っては神がかっている。
     兄を謀殺され自身も危機に晒されたとき、敢えてすぐさま仇敵の懐に飛び込んで温情を乞うあたりの機転も恐ろしいほど。人当たりがいいというだけでは到底できない立ち回り方だ。

  • 君子は固より窮す小人は窮すれば斯に濫る。
    あれがないからできない。これがないからできない。できない理由を見つける自分に、この言葉は身にしみました。

  • p182 生きるということは、人に与えるということなのだ。

  • 粗であるところは粗に、密であるところは密に。用兵と事後処理すべてに適切な速度があり、急がないが滞らない。深計大慮をもって事を進め、動きに暗さはなく常に前向きだ。自らの徳器をもって人を靡かせる。とりわけ重耳ばりの逃避行が胸を打つ。もっとページを割いて掘り下げて描いてもらいたかった。っていうか全体として巻きすぎなのでは。駆け足が過ぎる。

  •  劉秀とその兄の挙兵が歴史を大いに振るわせた中巻は、非常に面白い。時代が回天する様はやっぱり面白いものである。
     ただ、やはり描写が淡白であるところは否めない。陰麗華など、もはや登場したかどうかすら定かでない(登場はしている)程度で、非常に寂しい。

     テンポ良く、戦乱を描く内容には面白みを感じたが、人臭さが足りない。それが寂しいところである。

  • 宮城谷先生の作品すべてで言えると思うが、とても面白く読後感が爽やか。

  • 反乱が起きてから、王莽が亡くなり、劉秀が窮地を脱するところまでです。劉秀の武勇もさることながら、上巻ではさほどの好人物とは描かれていかなかった兄の劉えん(糸へんに寅)の変身ぶりもびっくりです。おきまりの内紛をへて、劉秀が窮地に陥りそこから脱出しつつあるところまでが描かれています。

  • 面白い! まあ後漢の建国物語。

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