大村智 - 2億人を病魔から守った化学者

著者 : 馬場錬成
  • 中央公論新社 (2012年2月9日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043260

大村智 - 2億人を病魔から守った化学者の感想・レビュー・書評

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  • ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏の評伝。行間から 立ち上ってくるのは、大村氏の誠実さ、努力する姿勢、そして常に前向きな性格である。こんな人が同じ日本人にいるんだ、と思えるだけで誇らしくなる。特に「研究を経営する」という考え方は、時代の先端を走っている。文章もよく練られており、著者の大村氏に対するリスペクトが伝わってくる。

  • 250億円の特許料を世の中のために使うという偉大な人の物語。微生物が産生する有用な化学物質の発見者であり、ノーベル賞に最も近い研究者の一人とも言われている。地方の大学を終えてから、オンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ系フィラリア症を撲滅寸前で2億人を救った人だ。惜しむらくは夫を支え60歳で亡くなった文子夫人だ。有名大学の出身ではない大村智氏にノーベル賞をぜひ取ってもらいたい。

  • 化学者であり経営者。たいへん珍しい人。自分たちが発見した微生物が、多くの人を救うとは。なんとも素晴らしく羨ましい人生である。また、細君の才能を見抜き、鼓舞する慧眼にも感嘆する。

  • 2億人以上がかかっている熱帯病を撲滅寸前までにおいやった抗生物質を開発した研究者の話。研究にかける情熱や、そこに至るまでのきっかけ、リーダーとしての姿勢など、一般人にも参考になるための言葉がちりばめられている。久々に胸が熱くなった。

  • 大村先生のことは、ノーベル賞受賞以来、様々なメディアで取り上げられましたので、大体のことは知っていました。瀧本哲史さんの「ミライの授業」にも出ていらっしゃいますね。でもこの本を読んで、改めて、大村先生の凄さに度肝を抜かれました。特に最初の方の農家に生まれ、農業を手伝って(過酷な肉体労働)、学生時代もスキーなどに励まれ、学者となられてからも、企業からお金をもらえるように、特許ロイヤリティで稼ぐ方法を編み出すなど、とても常人には真似できない超人的な方だと思いました。(まぁ人の真似はするな、とこの本に何度も出てくるのですが)大村さんのお母様の「進歩することが教師の資格である」との言葉には打たれました。大村先生が人生を歩んでいくうえで、学生時代、研究者となられてからも、その道の一流の人たちとの交流を持って進まれていく世界が実に爽快です。2日で読み終わりました。ノーベル賞受賞前の本ですが、大村先生の凄さが十分に伝わってくる力作だと思います。個人的には北里柴三郎を大村先生が尊敬していて、北里グループ(?)の発展に大きく尽力された点を紙幅を費やして描かれていた点がよかったです。科学の難しい話はあまり出てこないので、高校生くらいで読めるのでは?と思いました。奮起するきっかけになればいい、と思います。

  • ノーベル賞受賞前、先取り的に出版されていた本。成毛眞本とかでもオススメされていて、存在は以前から知ってて気にもなってたから、ノーベル賞受賞前に読んどけば良かった。感想としては、偉人伝は大なり小なり似てますね、ってこと。たいてい含まれるのは、努力なくして道はなしってことと、人付き合いが成功の秘訣ってこと。読むたびに”分かっちゃいるんだけど”って、なんか情けない気持ちになる。じゃなくて、ちゃんと自分の人生にフィードバック出来る人が勝ちあがっていくんですね、きっと。とかひがみばかりじゃなく、イベルメクチンの開発に止まらず、発見や開発したものの多彩さには純粋に驚嘆。北里柴三郎とか、多少関係のある偉人たちの逸話もまぶされていて、飽きが来ないような構成になっていて、総じて楽しく読みました。

  • 読了。ノーベル賞受賞後に本屋で平積みしたのを購入した。帯文の「夜間高校教師は研究者に転じ、そしてアフリカを救った」に惹かれた。読む前は、ヤンキー先生が頑張る話かなと思ったが、全然違った。エリート街道まっしぐらのひとでなく、地道に努力を重ねて得た伝記であった。

  • 推薦者 バイオ環境化学科の教員

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます。*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50108323&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 大村智は2015年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった化学者であり、その主な業績は「オンコセルカ症」の撲滅に大きな貢献をしたことだ。オンコセルカ症は主にアフリカで蔓延していた寄生虫による感染症で、年間数千万人の人々が感染しており、失明者を含めて重篤な症状の人は数百万人にのぼると推定されていた。この病気は蚊より小さなブユが媒体となってミクロフィラリアを感染させるもので、それまで有効な予防や治療の手段が無く、働き手の多くが罹患した集落では貧しい暮らしを余儀なくされていた。このオンコセルカ症に劇的な効果がある治療薬メクザチンの成分イベルメクチンを発見したのが北里研究所の大村智だ。
    大村の研究の根幹は微生物が作り出す化学物質の中から有用な物質を探し出すことで、今までに多数の微生物由来の抗生物質を発見してきた。その中のひとつであるイベルメクチンは、抗寄生虫症薬として大変効果があるためWHO(世界保健機構)を通じて2億人に投与され、オンコセルカ症の撲滅に成果を上げつつある。この功績により、大村智は共同研究者のウィリアム・キャンベルと共に2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞することが決まった。
    大村が研究者として秀でているのはもちろんのことだが、特筆すべきなのは経営者としても優秀だということだ。大村は米国ウェスレーヤン大学での研究生活の経験から「研究者はできるだけ研究費を自分で集めてきて仕事をする」という思想を学び、当時日本ではタブー視されていた「産学連携」という方式で企業から多額の研究資金を取り付けた。先ず大村が創薬につながる化学物質を発見して特許を取り特許の専用実施権を企業に与える。企業はそれをもとに薬を開発してビジネスにする、ビジネスになった場合は特許ロイヤリティを大村に払うという契約だ。その後イベルメクチンの売り上げによって米国の製薬会社から北里研究所に支払われた特許ロイヤリティは250億円にもなり、研究資金の他にも北里研究所の経営の立て直しや新しい病院の設立資金などに充てられた。大村は産学連携活動では草分け的存在であり抜きんでた実績を持っているのだ。
    大村が大学を卒業して初めに就いた職業は夜間高校の教員だった。そこで、昼間は働きながら夜間高校で一生懸命に勉強する生徒たちを見て一念発起し、大学院で勉強し直すことにしたのが大村の研究者としての始まりだった。そんな大村は「幸運は強い意志を好む。やり通すという強い意志をもって、失敗を恐れずに一歩前へ進むことが大切だ」と言う。また様々な人脈をもつ大村は「成功するために大事なことは人との出会い」と述べている。更に、人材育成にも積極的に取り組んだ大村は「教育はとても大切なことであり、政府や企業はもっと人的資源を育てることにお金をかけるべきだ」と訴えている。
     本書は3年前に「大村智の業績を広く世の中に知ってもらいたい」として書かれた評伝で、大村の生い立ちや研究者としての活躍、美術愛好家としての一面などがつづられている。今年80歳になる大村智の精力的な生き方には尊敬の念を抱かざるを得ない。プロローグにある1枚の印象的な写真、「オンコセルカ症から救われたガーナの子ども達に取り囲まれてピースサインをする大村」の笑顔が彼の人生を物語っているようだ。

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