日本政治の崩壊 - 第三の敗戦をどう乗り越えるか

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043666

作品紹介・あらすじ

五年間に五つの内閣が成立しては倒れた政治の崩壊過程を検証し、非常時のいま、巨大な課題を解決するための大戦略と政策を提言する。日本の「再生」を見据えて書かれた政治・外交論集。

感想・レビュー・書評

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  • 国際政治学が専門で、時の政権にもいろいろと関わってきた北岡氏の寄稿した小論文等をまとめた本。自民党の安倍、福田、麻生政権 民主党の鳩山、菅、野田政権(2011年末まで)の政権ごとに提言などをまとめている。

    提言が今から思うと外れていることもあるが、基本的には外れていないと思う。歴史に学び、その場を考えれば、また適切な解答を持つことができるのではないかと思う。

    いろいろな雑誌に寄稿しているので同じような話があるが、それは仕方がないと思う。
     

  •  北岡さんの小論文を一冊にまとめたもの。

     安倍内閣時から野田内閣までまとめているので、時々今から見るとはずれた予測もしているが、著者の主張は安定している。

    (1)中国について、現在、政府の中枢にも党の中枢にも軍を完全にコントロールできる人はいない。(p275)

    (2)日本の防衛政策について、少数閣僚からなる国家安全保障会議を設置すること、武器輸出3原則の修正、日本近海で活動する米海軍艦船との連携強化、自衛隊の配備や装備について大幅に見直すべき。(p237)

     今でも北海道の陸上自衛隊が最大規模というのはいくらなんでも時代遅れ。航空自衛隊、海上自衛隊の強化、日本南西部への集中が当然必要だろう。

    (3)小沢一郎が、社民党や国民新党と組んだのはマキャベリズム、谷亮子を比例区の候補にしたのは、有権者への蔑視。(p226)

     僕は、野田総理は、鳩山、菅総理よりもがんばっていると思う。むしろこういう国難のときは、自民党も協力して重要な法案を通すようにすべき。そうでないと、今度政権をとったときに意趣返しされて、何も政治が動かなくなる。

  • きわめてまっとうな意見の良書である。全国民が呼んで共感してくれたらよいのだが。いや、大多数の国民は正しい方向がわかっている。しかし、少数の人々が、消費税反対、TPP反対、原発反対、平和的解決を声高に叫ぶために政治が良い方向に向かわないところに問題があるのだ。

  •  2012年現在の政治の混迷は深刻である。経済の低迷は既に「失われた20年」以上になり、国のトップリーダーである総理の命が1年しか持たない状態がすでに5人となり、現在の野田総理も6人目となりそうな情勢である。本書は、その政治状況を冷静に見据えつつ、この間の安倍・福田・麻生・鳩山・菅・野田内閣が何を行い、何を行わなかったのかをわかりやすく考察している。
     本書の冷静で系統的な政治の考察を読んで、「政治」はつくづくワイドショーには、向かない課題だと思った。現在の視点で短時間に現状を切り取るマスコミの手法では、過去の経過と問題処理に長時間かかる政治課題を正確に認識することは困難である。
     本書は、日本の政治の現状をわかりやすく認識できる良書であるが、経過と課題の提起にとどまり、「ではどうするべきか」の解答はないようにも思え、その点がちょっと物足りない。
     それにしても本書の「日本政治の行き詰まりは深刻である」との重い認識に共感する。絶対に解けない困難な課題を「ゴルデァスの結び目」といい、この課題を解く「解」は確か紐をザックリ断つことであったと思うが、そのような容易な解決策はないものかと、本書を読んで嘆息する思いを持った。

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著者プロフィール

国際協力機構(JICA)特別顧問、東京大学名誉教授、立教大学名誉教授

「2023年 『日本陸軍と大陸政策 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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