ドビュッシーとの散歩

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 76
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044205

作品紹介・あらすじ

ドビュッシーの作品を私たち日本人が弾くと、どこかなつかしい感じがする-生誕150年。ドビュッシーのピアノ作品40曲に寄せて、モノ書きピアニストが綴る演奏の喜び。

感想・レビュー・書評

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  • ドビュッシーは大好きでよく弾いたので、曲や楽譜を思い浮かべながら読んだ。いづみこさんの文章は、目の前に情景が広がるような文章で、ドビュッシーの雰囲気に合ってると思う。

  • ピアノをやっていた事がある人なら知っているフランス印象派の巨匠ドビュッシーの40作品について触れられた本です。私は彼の音楽がとても好きなので楽しめました。ドビュッシーのピアノ曲を弾く時、または聞く時に、その曲について書かれた部分を参照するような使い方が良いのではないかと感じます。

  • 年をとると生きるのに必要になる音楽の量はどんどん減り,家に居場所のない私は全く音楽を聞かない日がある.
    ここ1ヶ月ほど聞くのはドビュッシーのヴァイオリンソナタとチェロソナタばかりだった.
    耳と頭がすっかりドビュッシーに染まったところでこの一冊.主にピアノ曲を取り上げその周辺の音楽,文学などを紹介したエッセイ.いつもながらピアニストらしい具体的な曲の描写が新鮮で面白かった.
    いくつかの曲を聴き直し,良さを再確認した.

  •  ピアニストの青柳いづみこさんが,ドビュッシーの曲について書かれたエッセイ。

     個人的に,ドビュッシーと言えば管弦楽曲の「『牧神の午後』への前奏曲」が好きです。
     個人的にピアノ曲は(も?)不勉強ですが,「月の光」「喜びの島」あたりは好きです。

     オイラが知らない曲もたくさん(むしろ知っている曲の方が少数)ありましたが,ピアニストとして,技術的なこととか,その時代のドビュッシーの状況とか,様々な方面から曲について書かれていました。
     東洋的なペンタトニック(五音音階)や,全音音階など,ドビュッシーの音楽は調性を曖昧にさせている物が多いというのははじめて知りました。
     また,曲の解釈もとても面白かったです。

     文章だけでは分からなくなったので,たまたまあった,ワルター・ギーゼキングのアルバムを聴きながら読みすすめると,おおっ,そういうことかーというところがたくさんありました。
     自分の手元にない曲も,著書中にはたくさん紹介されていたので,ぜひとも紹介されている曲を聴きながら,もう一度読みたいです。

  • 筆者の表現力によって、未聴の曲も頭の中にありありと浮かび上がってくるようです。
    曲にまつわるエピソードも豊富で、さまざまな知識がついてしまいます。

    二回目に読むときはこの本を片手に、実際に曲を流しながら読むことにします。

  • p.47
    8 パゴダ
    ……
     19世紀末のパリではオリエンタリズムが流行していた。とくに絵画の世界は、中国や日本の美術を知って強い刺激を受け、新しい発展をとげた。遠近法にゆきづまりを感じていた画家たちは、広重や歌麿の版画の独創的な構図や単純化された線、平面分割法をとりいれた。……
     音楽の世界でも、同じようなことが起きた。作曲で遠近法に当たるのは、長調、短長の違いをくっきり分けたり、コードを立体的に組み立てたりする技法だが、19世紀後半には飽和状態になってしまい、作曲家たちは新しい方法を捜していた。そのよりどころのひとつとなったのが東洋の音楽で、ドビュッシーはジャポニズムをとりいれた最初の作曲家だった。
     ドビュッシーは、短長のかわりに全音音階を使ったり、東洋風の五音音階を使ったり、四度を重ねたりして調性感がなるべくあいまいになるように工夫し、並列的でスタティックな音楽をつくろうとした。
    ドビュッシーの死後、メシアンやジョン・ケージ、クセナキスがこぞって東洋の旋法やリズムを作品にとりいれるようになるが、ドビュッシーはその先駆者だった。
     ドビュッシーの作品を私たち日本人が弾くと、どこかなつかしい感じがするのは、こんなところからきているのかもしれない。

  •  著者ご専門のドビュッシーを軸にした、軽いエッセイ風の書だった。中公文庫の書に比べ、かなりあっさりで、物足りなさが若干・・・

  • 書きためたとりとめの無いエッセーを一冊の本にしたという印象。

  • 最近ドビュッシーを色々弾いていたので、読んでみると、ドビュッシーの音楽が思い浮かぶ一冊。
    雨の庭、弾きたくなったー!

  • ピアニスト・青柳いづみこ氏によるドビュッシーの曲についてのエッセイ集。ドビュッシーが作曲した曲名がそのままエッセイのタイトルになっていて、その曲にまつわるおはなしをする、という趣です。

    "ドビュッシーの作品を私たち日本人が弾くと、どこかなつかしい感じがする"という帯にある言葉は、ドビュッシーの曲集『版画』の「パゴダ」に関して述べられたもの。「パゴダ」は雨上がり午後のアンコールワットを思わせる、さわやかでどこか懐かしく、それでいてドキッとするようなエキゾチシズムもはらんだ名曲です。

    "(「水の反映」について)私がとりわけ好きなのは、変ホ長調の奔流がおさまったあとのコーダ部分だ。鏡のようになめらかになった水面にときおり水滴がしたたり、たゆたうような律動を繰り返しながら、少しずつ眠りに落ちていく"(P.135)

    『映像Ⅰ』に収められた「水の反映」は、以前通っていたピアノ教室の発表会で演奏させて頂いた、思い入れの強い曲です。まさに著者のおっしゃる通り、コーダの美しさは思わず息を呑むほどです。

    雨降る休日の午後、ドビュッシーのレコードを聴きながら、コーヒー片手にのんびり読むと気持ちが良い本です。文章もおだやかで清々しく、格調があります。

    (2013/4/5)

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著者プロフィール

ピアニスト、文筆家。ドビュッシーの権威。大阪音楽大学教授。著書に『翼のはえた指 評伝安川加壽子』など。吉田秀和賞、日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞など受賞。

「2018年 『高橋悠治という怪物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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