展覧会いまだ準備中

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044366

感想・レビュー・書評

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  • どんなにがんばっても体育の成績は3止まりだった、運動音痴の私。
    張り切って観戦するのはフィギュアスケートくらいなのだけれど
    スポーツの試合を、声を振り絞って応援する人を見ているのは、なぜか大好きで。

    というわけで、2メートル近い長身に力をこめ、時にはわざわざ学ランまで着て
    卒業して何年もたつ母校の運動部の、会ったこともない後輩達から
    ボクシングの試合でこてんぱんにされている、意中の彼女、
    愚痴ばかり言う父にがっかりして将来に希望を持てない中学生、
    果ては、時のはざまからふと現れる江戸時代のうらぶれたお侍まで
    必死になって応援してしまう弾吉は、かなり好みのタイプ。

    しかもこの弾吉、4年間応援団員として過ごした大学を卒業した後
    別の大学の大学院に進んで資格を取り、今や美術館の学芸員となって
    大好きな絵画のために走り回っている。 うんうん、いいではありませんか♪

    やりたい仕事に就けず鬱々と過ごす先輩も多い中、
    せっかく夢みた仕事に就けたのに、展示会の企画はことごとくボツにされ
    いつしか雑事に追われる日々にも慣れて。。。
    みんなを応援してばかりだった彼が、同僚の個性的な学芸員たちの仕事ぶりに触れ、
    「俺はまだ声しかだしていない」と気合いを入れる姿に元気づけられます。

    弾吉のやる気の源となる、江戸時代に描かれた羊の絵がとても魅力的で
    凹組によって試作された羊フィギュアが欲しくてたまらなくなります。
    (そうそう、山本さんの『凸凹デイズ』に出てきた、凹組の懐かしい面々が
    ちょこっとどころか、かなり大手を振って出てくるのです♪)

    タイトルで、展覧会の「覧」の字の下の部分が、どう見ても口ひげになってるのに
    どこにもひげっぽい記述がなくて、あれれ?と思っていたら
    最後の最後にまさかの形で出現するのも
    タイトル通り、弾吉が「いまだ準備中」であることも、いかにも山本さんらしい。
    春という季節も相まって、ちょっとムリかな?と諦めていたことに
    挑戦する勇気をくれる物語です。

  • 美術館に務める学芸員たちの話。

    著者のお仕事小説は、元気になれて大好きです。
    今回は、まるきり知らない美術館と言う舞台。
    なるほどな、と新しい世界を垣間見ることが出来ました。

    凹組との絡みは、相変わらずファンには嬉しい設定ですね。

  • 続きが読みたくなる話だった。

  • やるんだ。
    やらなくちゃ、駄目なんだ。

    美術館で学芸員として、働く主人公。
    個性豊かな職場に、強烈な先輩。

    やりたいことをやれているか。

    最後の最後に、スタート場面に立ったかな。

  • 2014.6.24読了なかなか話が本題にはいらず、集中できなかった。後半、乾福助という無名な画家の展覧会を開くという目標が明らかになり、面白くなってきたが。中学生のマサヒコが好き^_^

  • 主人公、すごいモテるな。

  • 初作者。テンポ良く楽しめた♪(^o^)
    他の著書も読んでみよう~!

  • 「仕事=働くこと」についてよく書かれていると思う。

    大きな何かがなくても、続けていけるのか?
    自分にももう一度確認してみた。

  • 一気に読み終わりました。軽快なテンポと個性的な登場人物が魅力的。電車でニヤニヤしてしまうので、注意が必要です。
    読むと元気になります。

  • 大学時代に応援団に席を置いていた今田弾吉は、その後大学院で学芸員の資格を取り、現在は東京郊外の市立野猿美術館で仕事をしている。個性的な学芸員と、限りなくお役所的な館長や事務員とともに、下っ端の学芸員として、応援団で培われた上下関係の厳しさで日々を乗り切っている。
    美術品の運送会社の社員のサクラちゃん、応援団の先輩・白柳、御師のポテロ(?)、それはそれは個性的な面々にかこまれ、学芸員ってこんなことやってるんだと思わせながらも、自分のやりたい事を貫き通す事の大変さをさりげなく、ユーモアを交えてつづる。

    うまくいきすぎな人生でうらやましい、なあんて事もチョット感じた。でも、面白かったので、★4つにしてみた。

    余談ですが、弾吉の大学の応援歌が中央大学の応援歌とそっくりで「えっ??」と思ったら、著者は中央大学出身だった!

著者プロフィール

山本幸久
一九六六年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て、二〇〇三年『笑う招き猫』で第十六回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。ユーモア溢れる筆致と、魅力的な登場人物が読者の共感を呼び、幅広い世代から支持されている。主な著作に『ある日、アヒルバス』『店長がいっぱい』『大江戸あにまる』『花屋さんが言うことには』『人形姫』などがある。

「2023年 『あたしとママのファイトな日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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