- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120044540
作品紹介・あらすじ
閉ざされた鉄扉の向こうにある「受刑者の生活」と「刑務官の仕事」。刑務所を24年にわたって取材し続けている著者が、120点以上の写真と文章で伝える渾身のルポ。人が犯罪に至る事情や、刑務所の中で更生していく姿、働く女性刑務官の苦悩、日本の刑務所の問題点から死刑制度まで、「罪と罰」のあり方を考える1冊。
感想・レビュー・書評
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タイトルに惹かれ、知られざるルポに驚いた。最近は危険ドラックを使う奴らか増えたが、彼ら、彼女らはその後社会復帰できてるのだろうか?
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先日、著者がお亡くなりになったとの報道に接して本書を購入。
筆者の個人的見解の全てに賛成できるわけではないが、丁寧な取材に基づく資料としての価値は高いと思う。
このような良心的な取材と執筆をされた方を亡くしたことはとても残念。
ご冥福をお祈りします。 -
もし犯罪を犯したらこんな生活が待っているんだぞ、と、自分への戒めとして読もうと思った。塀の中の生活を想像できれば、悪いことなんてする気にならなくなると思ってのことだ。
しかし、良くも悪くも期待は裏切られた。すなわち、想像していたよりもかなり理想的な生活がこの本には書かれていたのだ。
朝6時半に起き、栄養バランスの整った朝食を食べて与えられた仕事を黙々とこなす。昼食を食べ、仕事に戻るか更生教育を受ける。仕事を終え、読書や勉強をし、夕飯を食し、21時に眠る。
衣食住が保証され、月に二、三千円の手当まで貰える。不要な会話は禁止だが、仕事上のコミュニケーションなどは取ることができる。意欲があれば班長などの役割を担うことも出来、やりがいにもつながる。
人間一人を刑務所で生活させるのに必要な額は300万弱だという。人件費なども含まれているだろうが、それでも年収250万以上程度の生活が確約されていると解釈することができるだろう。苦難の多い現代の社会において、多少の不自由と引き換えに年収250万円以上の生活を求める女性は決して少なくないのではないかと考えてしまう。それが、前科や孤立を伴うものだとしても。塀の中の文化的で最低限度の生活と教育には、それくらいの魅力が存在する。
女性の服役理由の上位3つは窃盗、覚醒剤、殺人である。それぞれ背景はあれど、そうした生活をせざるを得ない人々にとって刑務所は福祉に等しいのではないか。窃盗をするほどの貧困、社会に居場所を失った累犯者、自活できない後期高齢者、自分の意志でやめられない覚醒剤依存者、子殺しなどで自責の念に押しつぶされ希死念慮から抜け出せない殺人者、そうした人達にとっては、刑務所は更生施設ではなくセーフティネットとしての役割を果たしている。
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薄っぺらい知識しかなかったが、刑務所の実態と犯罪を犯した人たちのその後の構成について触れることができた。
ひとみの瞳と言うコラムの所では、新たな政策提言など、熟知している方だからこそ言える指摘を数多く確認できた。 -
日本の女性刑務所についてのルポ。良くも悪くも教科書的な本。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4033595.html
著者の外山氏が受刑者の生活と刑務官の仕事に注目して、24年にわたって取材した。受刑者へのインタビューや取材を通して、刑務所や少年院の様子を伝えている。刑務所は社会の縮図といわれているが、刑務所の中でも手押し車がないと移動できないという点は社会の縮図の象徴であるかもしれない。一方で、女性刑務官の一日では、子育てと両立する刑務官が紹介されていた。女子刑務所の過剰収容問題で人手不足になっているので、人手不足を補う意味で、女性の活用のヒントになるかもしれない。 -
知られざる世界。
もっと殺伐とした内容かと思っていた。 -
受刑者の高齢化が衝撃だった。
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副題にあるようにまさに「知られざる世界」でした。
女性は覚醒剤(と窃盗)が多いというのに驚き。
刑務所内での老老介護、摂食障害者への対応など想像もしない話も出てきました。
東北少年院のルポも興味深かったです。