名作うしろ読み

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 235
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044632

作品紹介・あらすじ

『雪国』『竜馬がゆく』から『ハムレット』まで古今東西の名作132冊を、ラストの一文から読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 「『雪国』『竜馬がゆく』から『ハムレット』まで
    古今東西の名作132冊を、ラストの一文から読み解く(帯のコピーより)」
    さて、斎藤美奈子さんである。
    皆様、覚悟はよろしくて?

    なんて言うほど身構える必要はなし。
    いつものようにいきなりトップギアに入れたりはしない。
    ラストの一文を載せるには比較のため書き出しの一文が必要で、そこから作品の内容紹介。
    つまりちゃんとローから穏やかに走り出す。しかし油断は禁物。
    いよいよラスト一文が書かれ、斎藤さんの実に小気味よい「技あり」で締めくくる。
    ストンと気持ちよく落ちるところあり、ぷぷっと吹き出す締め方ありで、これが何と見開き2ページでなされているのだ。
    特に作品紹介の上手いこと。これは匠の技である。
    当時の世評やら文壇に与えた影響やらもさらりと入れて、現代に置き換えて批評もし更にツボをおさえた笑いも入れる。

    あとがきによれば、エンディングには「閉じた結末」と「開かれた結末」があるという。
    「閉じた結末」は古典的なハッピーエンド。
    「開かれた結末」はあえて結末を回避して読後に余韻を残す書き方。
    その一例として「風景がいい仕事をする終わり方」というのがあるということだ。
    斎藤さんは、もしもあなたが何かを書いていて終わり方で困ったら「外には風が吹いていた」「空はどこまでも青かった」だのという演出をお薦めしている。
    いやいや、斎藤さんの文章の方がよほど良いテキストですってば。

    ところでどなたにも分かるオープニングの一文を挙げてみる。
    「メロスは激怒した」
    教科書にも載っている太宰の名作の書き出しだ。
    このラスト、覚えてます?
    「勇者はひどく赤面した」という終わり方だ。(ワタクシ、覚えてませんでした)
    一人の少女がメロスにマントを投げつけ、メロスがまごついていると友がメロスに教える。
    「君はまっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を皆に見られるのが、たまらなく悔しいのだ。」
    そのあとの、この一文だ。
    これに対する著者の6行ほどの解説が、名作もかたなしの面白さだ。

    ここだけではない。傍に本好きな誰かがいたら「ちょっとこれ、読んで!」と思わず薦めてしまうような面白さでいっぱい。
    本の話は既読の人どおしでした方が絶対面白いんだから、と著者も言っている。
    「ラストなんて分かっちゃったら読む楽しみが減る」という声が聞こえそうだが、斎藤さんはそれにもこう答えている。
    ラストが分かったくらいで興味が半減する本など、最初からたいした価値はないと。そして未読の人にむけてひと言。
    「文句を言ってないで読みなさい」

    お好きな作品から読みだしてみても良し。
    案外ラストは忘れている自分に気づいて呆れるという楽しみ方もある。
    名作には縁がなかったという方も、この紹介文なら読みたくなるかもですよ。

    • nejidonさん
      たっちさん、再訪してくださってありがとうございます!
      うわぁ、「本の本」を読んでいた頃からここをご存じだったのですか?!
      思いもよらない...
      たっちさん、再訪してくださってありがとうございます!
      うわぁ、「本の本」を読んでいた頃からここをご存じだったのですか?!
      思いもよらないことで、今動揺しています・笑
      斎藤さんは読んでいて気持ちが良いので好きです。とても博識ですし。
      褒めるときは惜しみなく褒めていますしね。
      「文庫解説ワンダーランド」は私も読みました。本棚には入ってないですが。
      先に楽しみが待っているって、いいですよね!ありがとうございました。
      2020/06/24
    • しずくさん
      >[閉じた結末」は古典的なハッピーエンド。
      なんですね?!
      ふふーん、詳しい事を知りたいなら読むしかありませんね(*^^)v
      >[閉じた結末」は古典的なハッピーエンド。
      なんですね?!
      ふふーん、詳しい事を知りたいなら読むしかありませんね(*^^)v
      2020/07/04
    • nejidonさん
      しずくさん、こんにちは(^^♪ コメントありがとうございます。
      はい、閉じた結末というのは、「作品の中に出てきたすべての問題が解決して一件...
      しずくさん、こんにちは(^^♪ コメントありがとうございます。
      はい、閉じた結末というのは、「作品の中に出てきたすべての問題が解決して一件落着」というものだそうです。
      しずくさんは、どちらのタイプの結末がお好みですか?
      斎藤美奈子さんのこの本にはたくさんの例が出てきます。
      すごーく面白いのでお勧めです!(^^)!
      2020/07/04
  • 名作を書き出しではなく、結末から紹介するという大胆なブックガイド「名作うしろ読み」。
    読む前にまず、大多数の方が一瞬頭をよぎるのではないだろうか。
    「ネタバレにならんかね?」と。
    そんな心配は全くの杞憂でございました!名作のお尻を紹介されても、内容がまるわかりということはなく、むしろ「あれ、どんな話だっけ?」と興味をそそられる。「坊ちゃん」「風立ちぬ」「放浪記」「若きウェルテルの悩み」「長くつ下のピッピ」「楡家の人々」などなど、古今東西の名作。現代との時代背景の相違や男女の愛憎などにツッコミ入れまくる、斎藤女史の切れ味鋭い毒舌も冴えまくりで、実に爽快。各作品の紹介がわずか2ページとはいえ、作品世界がぎゅーっと凝縮されていて、読みごたえありまくりだった。
    「人々がある程度内容を共有している作品、『お尻』を出しても問題のない作品が『古典』であり『名作』なのだ。」と述べ、昨今の「ネタバレ」に配慮しすぎる傾向をさりげなく批判。それでも、「ここがばれちゃまずい」という部分に対しては勿論、肝心なところは伏せて紹介している。つくづく、どんな風に作品を紹介するかって、その人のセンスが問われるものだよなと思ったのだった。
    エンディングを知ったうえで、改めて作品をまるっと読んでみれば、また色々と見えてきそう。色褪せない名作のすごさを再認識できたし、若干色褪せたところがあるとしても、それはそれで味なのだと。
    全体を通して印象的だったのは、明治・大正・昭和の男のダメっぷり、女のしたたかっぷりでありました。

    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!(^o^)
      仕事が異常に多忙だったり、体調壊したり、愛猫が亡くなったりで、
      夏からまったく本が読めなくなってました(...

      お久しぶりです!(^o^)
      仕事が異常に多忙だったり、体調壊したり、愛猫が亡くなったりで、
      夏からまったく本が読めなくなってました(汗)(。>ω<。)


      けど、覚えててもらって
      ホンマ有り難いです(笑)(^_^;)

      それにしても
      結末から紹介し紐解いていくなんて、
      いやぁ~、なんて斬新な発想なんやろ(笑)

      コレは是非とも読んでみたいなぁ~(^^)


      メイプルマフィンさんの本棚は
      タイトルだけでもそそられるものばかりやし、
      読みたい本ばかりで
      メイプルマフィンさんの詳細でいてツボを突いた魅力的なレビューを読ませていただいてるだけでもう、
      よだれタラタラになりましたよ(笑)(^_^;)

      スローペースですが、またボチボチレビューアップしていくので、
      今後とも宜しくお願いします(^^)

      2013/12/08
    • メイプルマフィンさん
      円軌道の外さん:お久しぶりです、コメントありがとうございます!
      色々お忙しかったのですね…。無理はなさらず、元気になられたときにまた色々レ...
      円軌道の外さん:お久しぶりです、コメントありがとうございます!
      色々お忙しかったのですね…。無理はなさらず、元気になられたときにまた色々レビューをアップしてもらえたらと思います。
      こちらこそ、円軌道の外さんのレビューは楽しみなのですよ♪取り上げられる本が幅広くって、いつも刺激を受けてます。

      斎藤女史のこの本も本当にお薦めです。締めくくりにもセンスが問われるものだ、としみじみ考えさせられます。
      2013/12/08
  • ずばりタイトルにひかれました。

    堅苦しくまじめに名作や長編を読まなくってもOK。現代で例えるなら、これはBL小説、この作品にはストーカーが登場する、とか、ツッコみが面白い♪例えば…「放浪記」は“二〇歳前後のただの女の子のブログだと思ってください。” 

    あと梶井基次郎「檸檬」は丸善を爆破させるための『黄金色に輝く恐ろしい爆弾』なんじゃないだろうか…とか(爆笑した!)、解釈が面白くって、こんなに砕けて名作を読んでいいのね、なら読んでみようかしら?という気分になり、読んでみたい本が多く見つかった。

    あとがきも面白く「閉じた結末(クローズド・エンディング)」と「開かれた結末(オープン・エンディング)」について語られている。私が好きなのはアニメでも映画でも、本でも「開かれた結末」が大好き。読者に問いかけて終わる、あのぐらぐらした衝撃が好き。ハッピーエンド、大団円が好きなオットには「暗っ」と、よく言われる。


    普段、手に取らないであろう名作でこんなにも面白そうなものがあるとは。たくさんメモした。

  • 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」 「木曽路はすべて山の中である」などと、 みんな(*^_^*)知ってる名作の書き出し。

    でも、最後の一文は? と、名作百数十冊を後ろから読み解く美奈子節が楽しい!



    そっか、うしろ読みってそういうことなのね。
    でも、それってネタバレにならない?
    本の感想書く時にもそこにはすっごく気を使っちゃってるんだけど、と思う私に、
    美奈子さんは、それがなんぼのもんじゃい!と力強い気合を。(*^_^*)

    なにしろ、未読の人には、


    「文句を言ってないで読みなさい」。

    そして、

    「本の話は既読の人どうしでした方が絶対面白いんだから。」

    とくる。



    取り上げられている作品はいわゆる古典や名作ばかりだから、ということもあるけど、
    あはは・・・なんか、すっごくすっとしちゃいました。(*^_^*)

    そして・・・

    確かに出だしほどにはラストの一文、って大事にされてないよね。
    お話がもうすぐ終わる、というのは残りのページ数で読者には自明のことだし、
    めでたしめでたしの大団円なのか、
    クライマックスで終わるのか、
    中には、え??これでおしまい?となるのか、

    などの違いはあるにしろ、長い物語に決着がつくよ、となるとそれだけで気持ちが高揚したり、
    逆に、ヤケに落ち着いてしまったり。(*^_^*)
    美奈子さんによると、それは読者だけではなく、作家にも当てはまる、ほらね、なんて実例を見せられると

    うんうん、ホントだ!と可笑しくて。

    終わり方のパターン化にも笑った。

    例えば、風景描写や、風景描写に人の目を加える手。

    <小春日和の青白い光が、山麓の村に降りそそいでいる>「たそがれ清兵衛」

    とか、

    <彼女は見る間に色の様々を変えて見せる海をいつまでも眺めていた。>「紀の川」

    とか。


    うん、確かに、
    眺める人の心には過去への惜別だったり、将来の不安だったり、がある!


    もし、何かを書いて終わり方で困ったら、とりあえず
    「外には風が吹いていた」「空はどこまでも青かった」「私は遠い山を見つめた」
    はどうでしょう、と。(*^_^*)
    音楽で言えば、最終楽章のコーダにも似た終わり方が演出できる。(保障はしない)とまで
    言われたら、

    なんか書いてみようかな、終わり方はなんとかなりそうだし、なんてね。(*^_^*)

    美奈子さんは、日本の名作、外国の古典、また児童書まで含めて、
    たった見開き2ページで、終わりの文章を端的に検証していく。

    時に、あぁ、うまいなぁ~と唸らされ、
    時に、作者ももうわけが分からなくなってたんじゃないの?と思わされ、
    時に、これは時代のせいなんだろうけど、滅茶苦茶な論理だよね、と憤り、

    字数の少ない分、物足りないものもあったけれど、
    とても面白く読みました。

    そして、ここだから書いちゃうけど、
    私がこれらの名作・古典の8~9割くらいは読んでいた、ということに、実はちょっと感動したりもして。

    最近の私が読むものは、日本の好きな作家の新刊本がほとんど。
    なかなか新しい作家や外国のものには手を延ばさないし、
    途中で、あ、ダメかも、と思うと容赦なくリタイアするという・・・。

    それがこれらの名作たちを読んだのは、私が10代のころで、

    そうだよね、手当たり次第に読み始め、
    面白いのか、面白くないのか、もわからないまま、とにかく最後まで読もう、と、
    なんていうか、もう力づくで読みきったものが多々あったなぁ、と。

    パール・バック「大地」はホントに長かったなぁ。
    (でも、ちょこちょこした言い回しは今でも覚えてる。終わりの文は全然記憶に残ってないけど・汗)
    イプセン「人形の家」にはあっけない終わり方に、へっ???となったし、
    志賀直哉「城の崎にて」、樋口一葉「たけくらべ」なんて短いものだけど今初めて読むだったら案外最後まで読めないかも、なんて。

    「嵐が丘」には、ただただ寂しい、というか殺伐とした気分にさせられ、あ、でも「楡家の人びと」も結構長かったけどすっごく好きで何回も読んだっけ。今でもまた読み返したいくらい。


    若いころは体力あったなぁ、と、これがこの本の一番の感想かも、というのもなんか変だけど。
    (*^_^*) (*^_^*)

    • じゅんさん
      たまもひ様
      (*^_^*) (*^_^*)
      ホントにあのころは何でもかんでも読めてしまった、ということに驚いてしまいます。何を読んでも知らな...
      たまもひ様
      (*^_^*) (*^_^*)
      ホントにあのころは何でもかんでも読めてしまった、ということに驚いてしまいます。何を読んでも知らない世界が眼前に広がり、新鮮だったんでしょうね。面白いかどうか、を考えない読書、ってそのガムシャラさが我ながら愛おしかったりして。今読むと面白いのかも、という本も多々ありました。うん、私もあれこれ読み返してみたいです。
      2013/02/28
    • シンさん
      じゅんさん、こんばんは。
      この本読みたいです。
      でもあげられてる本を読んでからじゃないと楽しみが半減するかな?という戸惑いもあり。
      『本の本...
      じゅんさん、こんばんは。
      この本読みたいです。
      でもあげられてる本を読んでからじゃないと楽しみが半減するかな?という戸惑いもあり。
      『本の本』の書評を書いてからは斉藤さんのことをミーナと呼んでいるのですが、ミーナ久々のヒットの予感。

      ところで、私には今のじゅんさんの読書の方がエネルギッシュですごいなあ~と感じてしまいます。出たばっかりの新刊 を読んだり、若手作家をデビュー作 から見守ったりと、身が軽いというか、動きがはやい印象があるんですよ。
      私は面白そうな本が出ても読むタイミングを逃してしまい、あれもまだ、これもまだ、となっちゃうことが多いので・・・。たぶん隣の芝生は青いってやつなんでしょうね(笑)。
      2013/03/03
    • じゅんさん
      シン様
      嬉しいコメント、ありがとうございます!
      未読の本でも楽しく読める、というミーナ(私もこれからそう呼ばせてもらうことにします。(*^_...
      シン様
      嬉しいコメント、ありがとうございます!
      未読の本でも楽しく読める、というミーナ(私もこれからそう呼ばせてもらうことにします。(*^_^*))の手腕!でしたから、大丈夫だと思います。
      ただ、上にも書いたけど見開き2ページが時に物足りないこともありましたけど。

      あはは・・エネルギッシュ・・??
      そうですね、図書館本が多いので早めに予約しないといつ読めるかわからない、という状況の中、せっせと予約してはたぶん市内で一番に私の手元に来ている、という裏事情(*^_^*)があるような。
      でも、途中で放り出すうことも多々あって、それは、とにかく手に取ったものは読んでしまおう、という気力がなくなった&あれこれの“許せないもの”“好きなもの”の区別がはっきりしてきた、ということかな、と。
      許容範囲はなるべく広くして行こうとは思っているんですけどね。
      2013/03/04
  • いつもながら小気味いい斎藤さんの評。笑いながら読んだ。いくつか挙げれば…

    「野菊の墓」について、「近年、同じ手法で成功したのは片山恭一『世界の中心で~』である。生き延びた男が語る死んだ女との恋。『一日も民子の上を去らぬ』なんて……本気のわけないじゃん」。

    ツルゲーネフの「はつ恋」では、父の愛人に恋をした少年ヴラジーミルが大人になり、みんな死んでしまったことを知り「しみじみ祈りたくなった」のに対し、「みんな生きていたら、さぞや修羅場になっただろうからな」。

    「富士には月見草がよく似合ふ 太宰治」という文学碑が越坂峠に立っているのには、「どうせなら『まるで、風呂屋のペンキ画だ』のほうが面白かったのに」。

    嘉村磯多の「業苦」を評して、「意外にフツウだ。…私小説は読者をあきれさせてナンボの『たわけ自慢』の世界である。その点では完全に師匠(葛西善蔵のこと)に負けている」。

    いやもう東西の「名作」をバッサバッサと斬りまくり痛快この上なし。高尚ぶったブンガク面からはかけ離れたスタンスだが、むしろそれだからこそ、作品そのものの持つ魅力が浮かび上がってくるものも多い。「名作だから」とかいう妙な意識抜きに読み返したくなった作品が色々あった。

    「トニオ・クレエゲル」が取り上げられていて、そういえばすっかり忘れていたが、高校生の頃ドイツ文学にかぶれてよく読んでたことを思い出した。いやあ恥ずかしくも懐かしい。なんで恥ずかしいかというと、斎藤さんがズバリと指摘しているとおりの読み方をしていたからなんだけど。
    「散文的に言い直せば『いいよなあ、凡人は。あんなに呑気に暮らしてられて。ほんと、うらやましいよ』ってことですよね。…このラストに共感できたか否かで人は二分できる」。ああ、恥ずかしい…。

    あとがき的に書かれた文章がこれまた刺激的。「ネタバレ」(どうも好きでなくて使いたくない言葉だ)について「それがなんぼのもんじゃい」と啖呵を切ってみせるひねくれぶりが、私は好きだ。

    • niwatokoさん
      本の内容についてではなくて申しわけないのですが、わたしも「ネタバレ」って言葉がなんとなく品がないみたいで好きじゃありません。ほかに短く言う言...
      本の内容についてではなくて申しわけないのですが、わたしも「ネタバレ」って言葉がなんとなく品がないみたいで好きじゃありません。ほかに短く言う言葉がないのでつい使ってしまいますが。(内容を明かしまいます、とか?長い。)「ネタバレ」なんぼのもんじゃい、って、わたしも好きです!
      2013/03/21
    • たまもひさん
      同感してもらえて嬉しいです!そうそう、おっしゃるように「品がない」感じがするんですよねえ。他に適当な言い回しがないものかといつも思います。言...
      同感してもらえて嬉しいです!そうそう、おっしゃるように「品がない」感じがするんですよねえ。他に適当な言い回しがないものかといつも思います。言葉尻をとらえてアレコレ言いたがるのは悪い癖だと自分でも思うのですが、どうにも気持ちよくなくて…。

      斎藤美奈子さんの言葉の使い方がとても好きです。もしかしたら一番共感を覚える書き手かもしれません。年齢が近いせいもあるかな。
      2013/03/22
  • 誰もがとりあえず名前ぐらいは知っている名作をラストの一文にこだわって全体を読み解いてみようという主旨。
    斎藤美奈子さんのデフォルメしたときの解釈がすごく自分と似ていて、うんうん、と頷きながら読んだ。
    読んでない作品も結構あるから最後の一文だし一瞬読むのをためらったけど、でも最後が分かったところで読む気がなくなる作品なんてその程度だし、私はそもそも結末にこだわらないというか(大好きなカフカとかほとんど未完だし、「明暗」だってみ未完だけど何度も読むし)。

    エンディングを知っても読書欲にあまり影響を及ぼさない人はどうぞ。

    文句のつけどころまで似ていて笑った。

  • 読んだことはなくてもタイトルくらいは誰でも知っているような、まさに古今東西132編の名作がずらりと並ぶ。
    もとは新聞のコラムだったそうで1作品2ページと非常にコンパクトで、また表題を意識して作品名・作家名などが各ページの「うしろ」に配されているというニクさ。そこへ斎藤氏の小気味よい批評が来て、とにかくポンポン読める。
    いわゆる名作ばかりなので大体のストーリーは知っていたりして、半分くらいは既読ちゃう?ふふん、などと錯覚していたが、後で冷静に数えたら、ちゃんと読んだのは3分の1くらいだった…汗。
    読んだはずのものも、えっと、こんな話だった?などと自分の記憶が怪しいし、読みたい読みたいとリストアップしたまま、なかなか手を付けられずにいた作品も多数。しまった、また自分で自分を苦しめてしまった…!

    それにしても、このコンパクトさで作品の本質をズバッと指摘、名作もなんのその、ばっさりと切って捨ててみたり思いがけない深読みをしてみたりと多彩。未読の作品は読みたくなり既読の作品も再読したくなり、「名作を読み直すキッカケになれば、なんて説教くさいことは余計なお世話だろうから言わないよ」などと言いつつ、結局は読者をその気にさせる斎藤氏。さすがですな。

    ・『坊ちゃん』  本書でダントツの書評では。漱石のうまさに驚嘆するとともに、2ページのなかにそれを描き出す筆者に脱帽。
    ・『赤毛のアン』  引き合いに出されている『小公女』も『ハイジ』も『あしながおじさん』も既読だが、これだけ読んでない自分にはじめて気づいた。
    ・『風と共に去りぬ』  映画は5,6回は観ているが実は原作を読んだことがないことに改めて気づき、あら、ラストはこんなんだったかしらと愕然。そっか~、あれは第一部のラストだったか…。
    ・『婦系図』  「切れるの別れるのは芸者のときに言う言葉、今の私にはいっそ死ねといって」というせりふ、泉鏡花だったんだぁ。本作ではなく『湯島の境内』の中らしいけど。
    ・『ドリトル先生航海記』  子供のころ夢中になって読んだシリーズだけれど、そういえば現代の感覚で読むと差別的だという話はどこかできいたことがあるなあ。私にはとても面白かったけれど、今の子供たちが読んだら違和感を感じるのだろうか。

    それでなくとも読みたい本が次々出てきて途方にくれているのに、またここで再読したい本が増え、新たに手にしたい本が増え、ますます困ってしまうのであった。

  • 「深読みし過ぎて二度見した。」

    キレのある舌鋒で知られる斎藤さんの本を初めて読んだ。もともと新聞連載だったテキストらしく誰もが知る名作が1作品見開き2ページでテンポよく語られて行く。

     どの書評も冒頭に作品中の印象的な一文が引用して置かれ、噂通りの小気味好い文章。そのテンポのよさに、未読既読にかかわらず何かそれらの作品を佇ちに読んで自分も書評を書きたくなる思いに駆られる。

     これまで書評集を読んで、評されている作品そのものを読みたくなることはあっても自らの書評魂を刺激されるような体験は初めて。著者の口調にどこか挑んでいるような気配が感じられたせいか。

     たっぷり語って133作品。いやーさすが斎藤さん、文字通り作品の背後までしっかり深読みされていてすごい!面白い!と堪能し、さて、あとがきにかえて書かれた文章のタイトルを見て絶句する。

    「名作のエンディングについて」

     …「名作うしろ読み」の「うしろ」とはもしかして。各作品の「冒頭の引用」ってもしや。著者はここで名作の「お尻」を明快にパターン化し、ネタバレが危惧されるゆえに露出が少なく書き出しに比べ印象が薄いものの、書き終えるまでに著者に何があるかわからないことを考えれば、ある意味奇跡とも言えるエンディングを読むことの価値を伝える。

     かくして私は133作品に亘る名作のエンディングについての考察を、二度見したのであった。orz

  • 名作の書き出しはよく知られているけれど、ラスト一文はあまり知られていない。そのラスト一文を導入に、いろんな名作を見開き2ページで紹介した本。斎藤さんにかかれば、名作もまた流行本のように読めてしまうから不思議。固定観念でものを見るのではなく、複眼的にものを見ることを教えてくれる。見方を変えれば、武者小路実篤『友情』の主人公は「ストーカー体質」。

  • 「トンネルを抜ければそこは雪国だった」,「木曽路はすべて山の中である」等々の名作の冒頭とあらすじ,作者,タイトルを,高校受験のころに覚えさせられたような気がします.「暗記するより読んだほうがおもしろいに決まってる!」と何冊かは読みましたが,面白い作品,まったく共感できない作品等,さまざまでした.じゃ,名作の最後の一文からたどってみるとどんな感じ? というクイズ感覚で本書を読み始めたのですが,それぞれの書評が実におもしろいのです.
    たとえば,あらすじから中身は気になっていたけれど読んでみるまでには至らなかった,田山花袋の『布団』とか尾崎紅葉の『金色夜叉』とか.タイトルからはこんな内容だとは想像していなかった『君たちはどう生きるか』とか.既読で「そうそう,そうだよね~」と思う作品あり,前は理解不能だったけれど今ならわかる気がする作品あり,未読で「これ読んでみたい」と思う作品あり.もっともっと本が読みたくなります.何より,著者がトッピングしている“今の時代”感がすばらしいです.

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著者プロフィール

【著者】斎藤美奈子 (さいとう・みなこ) │ 文芸評論家。1994年に文芸評論『妊娠小説』でデビュー。2002年『文章読本さん江』で、第1回小林秀雄賞受賞。軽妙な筆致で綴られるパンチの効いた書評や文芸評論は、幅広いファンをもつ。他の著書に、『文壇アイドル論』『紅一点論』『本の本』『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『名作うしろ読み』などがある。

「2020年 『中古典のすすめ(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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