さようなら、うにこおる

著者 :
  • 中央公論新社
3.11
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本棚登録 : 59
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045028

作品紹介・あらすじ

人と交わるのが苦手な紺子と不器用な伯父、階下に越してきた恋人たちと暗い目の蜂飼い…。蜜蜂、向日葵、金盞花、温かな雨、月夜に響く笛の音。そして、古来人類とともにある、気高く美しく恐ろしいもの…一角獣。それぞれに「秘密」を抱える儚い生き物たちの、やさしく、つよく、すこしさみしい、さようならの予感に満ちた物語。期待の新人、デビュー第二作。

感想・レビュー・書評

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  • 日常を上滑りしていくようなファンタジー
    透明な空気が心地よい

    あした、蜂蜜を買いに行こう。

  • 書店で表紙の彼女と目が合い、これはと思って購入。この時点でもうとらわれていたのだろう。華やかではなく落ち着いた、だけれどどこか不穏な空気に、世界観に引き込まれた。大根カレーも気になる。

  • 季節の終わりには別離がある。
    微睡んで見る夢は琥珀の記憶まで溶かしていくみたいな雨模様。その中で、雨滴の幕を真っ直ぐに射抜く視線が始終絡みついていた。覚醒したとき、心の底には空を映しとった水溜まりができていた。青色、紺色、灰色。でも本当はただの水溜まりではないかもしれない。足を滑らせたら溺れて、そのまま沈んでいくのではないかという不安にかられる。
    蜜蜂は花蜜に誘われ、向日葵は太陽に焦がれる。
    人は海に惹かれてやまない。それと同時に恐れてもいる。私たちの運命を司る存在。あいつは不穏な足音を波音に紛れさせてやってくる。私たちが海の刻印を持っている限り、逃げることはできない。それならば、孤独の淋しさに飲み込まれてしまわないように生きる強さがほしい。

    作中の天気が伝染したのか、来る日も来る日も雨だった。止んだのは今日の昼過ぎ。黄昏の霧が立ち籠めて、秋。月夜には漫ろ歩き。
    《2015.09.06》

  • 富士見荘に住む紺子はある日、蜜蜂に刺されたことをきっかけに蜂飼いの男と出会う。
    その日から少しずつ変化していく紺子の心と生活。
    人々の生活に深く浸透しているユニコーンとは一体何者なのか。

    装丁と不思議なタイトルに惹かれて手に取った一冊。
    日常小説かと思いきや幻想小説の部類だったので、世界観を理解するまでに少し時間がかかった。内容・文章ともに自分には合わなかったかな…。

  • 胸の奥深く、うんとうんと奥深くに沈めた何かが、この物語に揺さぶられてぷくりと浮き上がってくる。
    作者はきっと、やはりずっと、この痛痒さを抱えてきた人なのだろう。
    美しく静謐で透明な幻想譚。
    極端なはにかみやの主人公が、とても鮮やか。

  • デビュー作が良かったので、楽しみにしていた作品です。
    やはりこの方の文章は透明感があって良いですね。
    綺麗なだけでなく、時折面妖でぞわりとするところもあって、そのバランスが心地好い。
    読み進めていくうちに、一角獣に魅せられてしまっている自分がいた。
    ぞわぞわする。だけど厭じゃない。
    作品の中から漂い来る独特の息遣いがとても好みです。
    不思議な余韻を残してくれる作品でした。
    次作も楽しみに待ちたいと思います。

  • これ、装丁だけ見たら、普段は手に取らないタイプの本。

    だけど、帯の
    『空想と虫をこよなく愛する実力派新人が、夢と現のあわいを情緒豊かに描く。』
    の一文に惹かれ手に取る。

    夢と現のあわい。

    そんなものがたりでした。

    結構好き。

  • とても不思議な魅力に満ちていた。児童書のようなパワーを感じるけれど、とても透明な本。
    青春小説に通じるような、繊細なガラス細工みたいな透明度と脆さ。そこに「うにこおる」の暴力的な人格が、物語の雰囲気を壊すのではなく、なんともいえない魅力を与えてくれる。
    壊れやすい何かを書かれる四人の男女だけれど、知ったことかと傍若無人に振る舞う「うにこおる」からはパワーが感じられた。

    あらすじ:
    伯父が所有・経営する古びたアパートで一人暮らしをする漫画家の紺子。耳には深い青色の痣がある。母子家庭で育ったが大根入りカレーをよく作ってくれた母は数年前に出て行った。ユニコーン症について語るラジオを聴きながら、アパート唯一の住人として人付き合いが苦手ながら頻繁に母の大根カレーを作り単調な日々をすごしていた。紺子の前に蜂飼いの男が現れ、そしてアパートの空き部屋に男女の住人が引っ越してきた…!
    少しずつ、何かが動き始める。何かが壊れる前兆なのか、それとも――。

    紺子の素直さとおく描写と危なっかしさ、アパートの住人の男女の不思議と美しい感じがする関係、それに「蜂飼いの男」が童話的な響きを持つのに全くメルヘンじゃないところがまた面白い。
    題名の「うにこおる」がまさかユニコーンだと知ってたら、きっと手に取らなかっただろうから、知らなくて正解だった! ファンタジー苦手なんだけれど、楽しめた楽しめたっ!
    「うにこおる」が西洋の物語に出てくるような優美で繊細な生き物じゃないのが、とにかくイイ! 謎めいていはいるが傲慢で、俺様で、獣っぽい感じなのが魅力的。

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著者プロフィール

作家。1970年、埼玉県生まれ。作品に、『をちこちさんとわたし』(中央公論新社)、「恐怖通信 鳥肌ゾーン」シリーズ(東雅夫編・監修、ポプラ社)など。

「2017年 『脇役ロマンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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