- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120045226
作品紹介・あらすじ
徳川将軍の代替わりのたび来日した「朝鮮通信使」。その行列絵図を完成させるべく、版元「荒唐堂」の三兄弟は立ち上がる!感涙抱腹必至の書き下ろし長篇。
感想・レビュー・書評
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来日する“唐人さん”こと、朝鮮通信使の行列絵図を完成させるべく、版元「荒唐堂」の3兄弟が奮闘する物語。
真面目で体育会系?の長男・利輔、武家に養子に出ている眉目秀麗な次男・市乃丞、お調子者で愛されキャラの三男・研三郎・・。
個性分かれる3兄弟のそれぞれの立場や思い、身内ゆえにおこる衝突などを通して、途中ハラハラしながらも楽しく読めました。
当時の庶民の方々にとって、外国の使節団の行列を見学することがどれだけ物珍しく、楽しみなことだったのか、江戸の人々のワクワクぶりも伝わってきたように感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朝鮮通信史来日における幕府公認絵図の出版と、版元 庚唐堂の三兄弟をめぐる物語。
商売敵との版権争いや兄弟間の衝突、一刻を争う絵図制作の現場、当時の庶民の熱狂ぶりなど、テンポよく楽しめた。
三兄弟の中では、つい利輔に同調してしまい、通信史の江戸入りに絵図が間に合うのかとハラハラしながら読んだ。
兄弟それぞれの個性がよく描かれ、思いがすれ違う様子は切なかった。 -
最近は面白い歴史小説に出会っていない。またハズレを恐れて好きな作家の新作だけを買い、新しい作家を試してみようと云う意欲も失われている今日この頃。これではイカン、ということで植松三十里を初めて買ってみた。
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版元 荒唐堂の主 利輔は、父が望んだ朝鮮通信使の幕府公認絵図発行の権利獲得に懸命。数年に1度の一大イベント朝鮮通信使行列に賭ける3兄弟を人情などを織り交ぜながら描く。朝鮮通信使や出版など視点や切り口は面白い。しかし、こういう商売プロジェクト物にしては熱さや爽快感はあまりない。メインである絵図発行の描写が少なめで弱さを感じる。むしろ3兄弟のいざこざや色々と対立のある身内などがこれをきっかけに良い方向に進む人情物の面が強いが、これがあまりピリッとしない。ラストも冗長で間延びした印象が残る。
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江戸時代、
朝鮮から江戸まで旅をした最後の朝鮮通信使(外交使節団)の、
大阪から江戸までの大行列の様子を描いた一両絵図にまつわる、
老舗書店の三兄弟のドタバタ人情劇。
現代ならば、差し詰めイギリスの皇太子夫妻が船旅で来日され、
日本全国を行脚して、人々に歓迎されるよぅなもんでそぅか…。
当時の江戸庶民にとっては、今では、まずあり得なぃぐらいの、
ちょ~ビッグな一大娯楽イベントだったんでそぅな~。
お話自体も、面白かったと思いますが、
朝鮮通信使の様子や、木版画のあれやこれやなどと共に、
当時の、江戸の町並みや、江戸庶民の生活や文化などが、
いきいきとわかり易く描かれており、興味深かったです。
ただ…、題材が、ちとマイナーなだけに、
お話の面白みが、伝わり切れなかったかもしれなぃな~。