Sの継承

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 176
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045301

作品紹介・あらすじ

1963年、五輪前夜に人知れず計画されたクーデター。2013年、警察を翻弄する連続毒ガス事件。時空を超えたふたつの事件を繋ぐミッシングリンクは白骨死体と「S」。その正体とは!?

感想・レビュー・書評

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  • 50年前のテロ未遂事件と、その未遂事件を50年後、実現しようとするテロリスト「S」と警察の攻防を描く。
    旧軍が開発した毒薬「S」を使って、テロを起こす目的は一緒だが、50年の歳月で、テロを起こす背景が激変している時代を、1部と2部で分けて描かれている。
    50年前の事件は、あまりにも時代が遠すぎて、読んでいても、なかなか理解出来ないけど、後半に入り、ネットを使った犯罪に変わっていき、一気に読むスピードも上がった。政治的思想に同感するところは一切ないし、解決に至るプロセスも若干雑だと思うところもあるけど、事件の時代背景を読むと思えば、それなりに面白い話だった。

  • 一部が過去に断念した革命計画の話、二部が現在起こっている事件の話になっているのですが
    その部分なしには語れないとはいえ、過去の物語が長すぎてちょっと辛かった。
    犯人についても語りたい(不満を言いたい)けど、ネタバレ満載になるのでやめておきます。

  • 読み応えあった。
    政治的な主義主張の硬さと、現在起きている事件のスピード感が混ざって、読みやすかった。
    ただ、官僚専制主義?の実現可能性をもっと深めて欲しかった。
    国重さんの晩年の行動や思想がどうなったのかが気になった。

  • 1963年、東京オリンピック開催前の準備に沸き立つ時代。国家を揺るがすクーデターが計画されていた。戦争終了後、会社を経営し潤沢な資金を持っていた国重は国をただすという正義の名の下、クーデターを計画する。
    武器は「S」という毒ガス。核兵器と同じで使用せずに国家を揺さぶろうとする。メンバーはわずか7人。
    国重はメンバーの中の過激な思想を持つ2人に迫られていた。強行すべき。しかし、国重は工藤という公安警察官に作戦の妨害を依頼する。
    2013年、一人の若者が同じく国家を正すという名の下、クーデターを計画する。武器は「S」。
    同志はネットで募った。東京の10か所に毒ガスを仕掛けた。首相を人質にとり、議員総辞職と憲法改正を要求し、国会議事堂前にワンボックスカーで立てこもる。タイムリミットは12時間。警視庁捜査一課の峰脇は犯人に迫る。

  •  著者は、福島原発事故後の原発反対デモと、50年前の安保反対運動を重ね、大衆がどれだけ大勢集まって大声で社会変革を叫んでも何も変わらないことの苛立ち、政治のふがいなさからこの作品を書いたのだろう。
     だから、前国会議員を辞職させ、憲法も改正し、直接民主主義の社会を妄想する。
     50年前、日米安全保障体制によりアメリカの属国となることを止めるため、旧陸軍が開発した毒ガスを使って革命を起こそうとしたグループがあった。が、実行直前、その計画は止められた。
     だが、時が流れ、そのメンバーの一人が若者にすべてを教える。老人となった元革命家は同志が必要と説くが、友達もいない教え子はネットを使えば一人でできるととし、2013年、50年前の計画をトレースした革命を一人で起こす。

     正直、ちょっとクドイ。そして、結末がいただけない。あまりにあっさりと解決しすぎる。著者は政治的な怒りを書くことに力が入り過ぎ、終わらせ方が分からなくなったのではと思ってしまう。
     ガスの設置場所が50年前と同じなので見つかってしまうとか、ネットで犯人の素性が公開されると大衆が引いてしまうとか、スマホで起動する仕掛けを基地局を停電させることで止めるとか、なんかご都合主義で残念。
     そんな底の浅い、虚栄心の強い青少年が大勢いそうな気はするが、大仕掛けの物語の結末としてはさみしい。

  • テロから革命を起こし、日本ではろくに機能していない議会制民主主義に変わる、新たな仕組みを作る。明治以降この国は大筋では議会制民主主義を続けている。しかしそれが国のためになっているかというと大いに疑問であることは確かだ。Sという旧軍が開発した強力だが取扱が容易な毒ガスを復活させた理系学生が時代をまたいでこの国の仕組みに挑戦し、国家を恫喝していく様は緊迫感があり面白い。しかしクライマックスにかけては疑問符がついてしまう。なぜ共犯者が次々と自首や暴露をしていってしまうのか、主犯が19歳というだけで、共感者が一斉に引いてしまう(仮に35歳なら火は消えないのか)ものか、Sを最初に創り出した主犯の師が最後になって実行を躊躇した理由はなにか、そして1千万円かけて気密防弾車に改造した車がリアウインドウのみ施工していなかった事が事件解決の端緒となるが、余りにご都合主義的だ。最後に希望は残るにしても、結局は権力の維持装置である警察と、それに守られた政府が勝者となる結末にも落胆させられた。途中まではミステリにおいて今年最高に面白かっただけに残念である。

  • 新しい日本を目指して、革命をもくろんだ男たちがいた。
    「武器」によって、対応に苦慮する警察の苦悩。
    ボリュームはあるが、現代に戻ってからは、スピードに乗れる。
    ただ、過去も現在も、思想的に頭でっかちで、国民の支持を得られる気がしなかった。

  • 9月-9。3.0点。
    650頁の大作。50年前の未遂事件と、現代の事件。「S」を
    名乗る現代の犯人。繋がりは何なのか。
    現代編に入って、一気読み。前半は少しまどろっこしい。

  • 題名は地味だが、テーマは過激だ。革命思想が50年の時を越えて引き継がれ、ネットという強力な遂行手段によって現実化する。ネットがリアルな世界に革命をもたらす力を持っていることは、アラブの春で実証されているけれど、本書はその脆弱性も見事に描いていると思う。ネタバレになるので詳しくは書かないが、これからの(或いはすでに現実化されている)社会の姿を示唆しているようで、とても興味深いと感じた。

  •  いくら正義を述べても、一つの武器で社会は変わらない。
     そのことを表している。
     どこかの首相は、口先だけで、のっぴきならない状態を作ってしまった。
     武器よりもごまかしの方が、何倍も始末におえない。

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