ジョディ、傷つけられた子 里親キャシー・グラスの手記

  • 中央公論新社 (2013年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (315ページ) / ISBN・EAN: 9784120045325

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プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、虐待を受けた少女とそれを支える里親の苦悩であり、心の傷と回復の過程が描かれています。著者は25年の里親経験を持ち、彼女の語り口に引き込まれながらも、内容は非常に重く、心に深い影響を与えます。...

感想・レビュー・書評

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  • 事情があって実の両親の養育を受けられない子供たちを家庭で預かる里親歴25年のベテランの著者の手記。
    重い内容ではあったが、著者の語り口に引き込まれほぼ一気読み。

    本作で取り上げられたジョディは8歳の女の子。両親の虐待が発覚して里親へ預けられることになり、4か月で4か所の里親先を転々として、著者のところへやってきた。そしてそこで、ジョディは性的虐待を受けていたことがはっきりする。

    ここで語られるすべてが、実は何もかも作り話でしたと言ってくれたら、どんなによかったか。
    それほど、ジョディの受けた虐待は想像を絶する惨たらしさだ。こんな小さくて無力な、絶対的な保護を必要とする幼い子に、ここまで酷いことができる大人がこの世に存在するなんて。しかもそれを率先して行っていたのが実の両親であるというのだから、あまりにも酷い。
    あまりに、ジョディが不憫でならない。

    著者の並々ならぬ努力によって少しの回復はみられた少女であったが、結局人格崩壊の寸前まで行き着いてしまう。精神的トラウマだけでなく、肉体的にも脳に虐待による損傷が見つかり、学習困難はそれにも原因があるとみられている。著者が言うには、彼女が曲がりなりにも普通に暮らし普通に生きていくことは、おそらく今後も望めないだろう、と。
    人生の根幹は幼少期の人間関係から形作られる。虐待者はそれを彼女から奪い取ってしまった。彼女の人生をめちゃくちゃにしたのだ。
    ジョディのこれからを思うと、本当に切なくなる。

    著者へ宛てたジョディの手紙がせめてもの救い。
    ほんの少しでもいい、彼女が人の温かさ、本物の愛情、幸せを感じられるようになってくれたら。
    彼女の幸せを心から願う。

  • 普段、戦争やら殺人やら陰惨な事件の本を多く読む私。
    慣れもあって読後感を引きずることはあまりないのだけれど、この本は読んだ後しばらく陰鬱な気分にさせられました。
    もちろん現実世界での児童ポルノは撲滅されなければなりませんが、こういう動画や写真を提供する親が存在しているというどうしようもない事実。
    人はどこまで自分の欲望のために他者(それも全くの他人ではなく我が子)に対する哀れみや憐憫を無くせるのか。
    最後、里親キャシーの元から離れ施設で暮らすことになるデョディ。里親の限界も、ソーシャルワーカーの無能も率直に描かれている所に好感が持てました。

  • 想像を絶する虐待の傷跡、献身的な里親やスタッフと投げやりな行政のケースワーカーの対比、やりきれない思いのキャシーの叫びが綴られている。

  •  キャシーは20年以上にわたり多数の里子を養育してきた里親のベテラン。粗暴さと異様な行動で養育家庭をたらい回しにされてきたジョディを困難覚悟で迎え入れるが、8歳のジョディの知能の発育は4歳程度で止まっている。過去にいったい何があったのか?キャシー一家の献身でジョディは少しずつ心を開き、彼女の言動から悲惨な体験が明らかになっていく。

     性に関する話題=下ネタは、酔っぱらった男性の独壇場と言われていたが、最近はガールズトークでも盛り上がっているようだ。つまり、日常の場では、あけすけに語られない、語られるべきではない、とされている。そのような認識のもとで育てられており、よって家族といえど、性の話はしない。

     別にしたいわけではない。しかし、性被害について、被害者が訴える際に、同様に、性に関する話題だとして避けられる傾向にある。どうすれば良いのだろう。詳細を知らなければ、被害の悲惨さは伝わらず、罪状が重くならない。しかし本編のジョディのように、あまりに幼いと、行為自体を言語化するのも難しく、行為や言われた言葉だけを覚えて実践して見せる姿はホラーである。時間と場所の特定も難しく、証拠能力がない。

     里親のキャシーの苦労も一筋縄ではなかった。他の養子も受け入れているのに、ジョディの突発的な行動でペースを乱され、本当の家族との時間もなかなか取れない。彼女への同情心と加害者への怒りはあるのに、永続的に彼女を癒し、回復まで見届けることはできない。

     本当に悪いのは、のうのうと逃げ切った加害者である。子供を文字通り大人のおもちゃにして、精神をずたずたにした行為は許しがたい。重罪に処せられるべきであるが、上述の通り証拠能力として弱く、実現していないのが現状である。

  • 4.06/44
    『心をゆさぶる英国ベストセラー待望の邦訳。8歳女児の常軌を逸した問題行動、垣間見える凄惨な過去…ベテラン里親の迫真の実録。
    キャシーは20年以上にわたり多数の里子を養育してきた里親のベテラン。粗暴さと異様な行動で養育家庭をたらい回しにされてきたジョディを困難覚悟で迎え入れるが……。8歳のジョディの知能の発育は4歳程度で止まっている。過去にいったい何があったのか? キャシー一家の献身でジョディは少しずつ心を開き、彼女の言動から悲惨な体験が明らかになっていく――
    〈サンデータイムズ紙ベストセラー第1位〉
    ページを繰る手を止めさせない英国ベストセラー、待望の日本上陸。
    「怒りと不信と恐怖を抱えた子、愛情と忍耐を総動員してその回復に寄り添う里親―― 破壊された子ども時代を取り戻す闘いに困難はつきものだが、この痛ましい実話は温かい希望を感じさせ、人は信頼するに値することを教えてくれる。」
    村田和木(『「家族」をつくる――養育里親という生き方』著者・全国里親会機関紙『里親だより』編集委員)』

    原書名:『Damaged: The Heartbreaking True Story of a Forgotten Child』
    著者:キャシー・グラス (Cathy Glass)
    訳者:塩川 亜咲子
    出版社 ‏: ‎中央公論新社
    単行本 ‏: ‎315ページ

  • イギリスで、この本を執筆時点で25年間も、自分の子供が生まれる前から、そして離婚後も、里親をしている著者が書いたもの。
    保護から4ヶ月で4軒の里親家庭を移動になった難しい子供、8歳になる女の子ジョディを預かった、その手記。
    最初はジョディの攻撃的な言動や激しい怒り、問題行動の描写がメイン。里子に来る子供たちは様々な困難をそれまでの人生で抱えているわけで、その程度のことはベテランのキャシー・グラスさんは百も承知。疲れ果てはするけれども、親の鑑のような辛抱強さと愛情で対処している。
    でもそのうち、ジョディが受けてきたあまりにも酷い虐待が明らかになってゆき、著者も私もこれでこの子は救われるのでは、と一旦は期待するのだけど、更に悲しく厳しい現実が待っている。
    原題の「Damaged」が表しているとおり、あまりにも人生がもたらすものがきつければ、人間は、子供は、「壊されて」しまう。文字通り。そうして、後からどんなに愛情や支援が差し伸べられても元に戻ることはない。そのことが本当に辛い。ジョディの現在と予後について淡々とした文章で書かれたエピローグは、その透徹した悲しみが胸に痛い。
    著者はプライベートなことはおそらく故意に省いたり変えたりしているのでわかりにくいけど、非常に能力の高い人で、洞察力にも優れ、愛情深く、決してぶれない。こういう人が声を上げてくれているのは素晴らしいことだと思う。イギリスは日本よりも里親制度が発達していて、様々な事情で親と暮らせない子供たちは、養護施設よりも里親に預けられて家庭的な環境の中で過ごすことができる。でもやはり問題も多く抱えているわけで、そういう事情も垣間見られる意義も大きいと思う。

  • 図書館で「虐待」をキーワードで検索して出てきたもの。文学の棚にあったけどノンフィクションなので借りてきた。
    教師と里親の違いはあれど、中学生の時に夢中になって読んだトリイ・ヘイデンの「シーラという子」(なんて懐かしい)を彷彿とさせる本で、数時間で読みきってしまった。
    ただ、本の中で時間が進むのが遅いので気付いてはいたが、シーラ程まとまった物語にはなっていなかった。トリイがシーラに最初に関わった年月は覚えていないが、数年はあったような気がする。キャシーとジョディの里親子は1年足らずの時間しか過ごせなかったので、しょうがない。「まとまっていない」「しょうがない」どちらもジョディの生育環境に所以する、ジョディをジョディたらしめているものを表現する言葉とオーバーラップして得も言われぬ、苦々しい味が口の奥からしてくる。
    イギリスの里親制度、ソーシャルサービス制度のことが少しわかるのは日本やアメリカとの比較の意味でもいいけれど、ずさんな業務態度・実績でやる気のないソーシャルワーカーへの言及が、目にしていて少し痛い。ソーシャルワーカーの態度はたしかにひどいし、福祉制度で行き届いていない部分が多すぎて、そのしわ寄せを全部被虐待児が受けている。その不公平さはよくわかるだけに。すごく個人的な意見だと思うし、私も実際どの地域の専門家にも虐待が起こらないよう、止めるよう、子供を救い出すように仕事をしてほしいことは変わらないので、自分でこう思う気持ちがよくわからなくもある。

  • ただ里親になるということですら大変なのに、大きな問題を抱えたジョディを根気強く愛し続けるキャシー。子供達の協力的な姿勢も感動的だった。

  • 「問題児と里親 格闘の記録」評:岡崎武志=書評家(北海道新聞)
    http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/20140112/3.html

    中央公論社のPR
    「異様な行動の数々で、里親歴20余年のキャシーを圧倒する8歳のジョディ。徐々に明らかになるその凄惨な過去――読む者の心をつかんで放さない英国超人気作、待望の邦訳。献身と苦悩と希望の物語。」

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