四月、不浄の塔の下で二人は

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045394

作品紹介・あらすじ

消息を絶った兄を連れ戻すために「免穢地」を出立した「エンノイア」。新興宗教教祖の娘として純粋培養された少女は、小さな町工場に勤める「泥人」の青年らとかかわることで少しずつ変わっていく…。多彩な作風で幅広い読者を持つ気鋭の作家・平山瑞穂が描き出す、異色のラブ・ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉が生まれて育っていく様をみた。

  • 装画/出水ぽすか
    表紙写真/株式会社 東京鉸製作所
    装幀/山影麻奈

  • 閉鎖的な新興宗教の中で生きて来た少女エンノイア若しくは静と、町工場の青年諒が、スカイツリーのある東京(おそらく墨田区あたり)を舞台に出会い、別れるまでのお話。
    静が生きてきた今までの生活は、東京に出た途端にほとんど否定されていく。その中で、ヌースこと兄の叡一を探す事よりも、自分にとっての価値を探す事の方に重きを置いていっていた様に思えた。
    ラストに向けて、特に綾と仲良くなってからの展開が急展開すぎて、ちょっと残念だったけど、最後の静の決断は、行うには難しいことであり、でもそれが光の民全てを救うことになるのだろう。でも、助遣に潰されるのかも知れないというちょっと暗い予測もあるのである。

    戯言
    静が手塚と電車に乗った時に、「動物公園」という駅名があって、スカイツリーの近くの駅で降りたっていうシーンで、もしや東武伊勢崎線?と思った。その後「日光辺りで閉鎖的に暮らしてる」ってところで確信に変わった。
    東武伊勢崎線には「東武【動物公園】」という駅もあるし、東武日光線につながっている。

  • とある宗教団体の内部で指導者の一角を担う者として育った女の子、エンノイアが、教祖の死をきっかけに、使命を帯びて街へ出る。ストーリーの進行に関係のない部分でも、登場人物の人となりを示す描写があり、それらが最近の恋愛小説にないリアルさを出している。実際、一日の中で色々気づきがあっても、ほとんどは意味を持たないものだし。いつのまにかエンノイアが観覧車の乗る部分のことを「房」ではなく「家」と表現している所は、心にじんときた。純粋なエンノイアの非凡さも感じつつ、ただの恋愛ゴールよりも美しく終わったラストに満足です。

  • 平山瑞穂さんは女の人だと思っていたら、男の人であった。この人はとてつもないロマンチストかしら。

  • 最後が良かった。
    初めての恋愛に、すごく冷静な思考で向き合っていて切なかった。

  • 純粋培養少女と下町工員の心切なきラブストーリー。読み始めはなんの説明もなく使われる専門用語に戸惑うかもしれませんがしばしのガマン。ラノベ的な表紙はストーリーぶちこわしで何とかして欲しかった。

  • 世俗から隔離された禁欲を貫く新興宗教団体で生まれ育った人が本当の世界に触れた時、どのように感じるのか。

    帯にあるようなラブストーリーを期待すると少し違うかもしれない。
    しかし、異国からやってくる程度では比べ物にならない文化や価値観の違い、そしてそれに起因する主人公の葛藤と心境の変化が巧みに描かれている。

    少し視点を変えるだけで、斯くもこの世界が美しいものと思えることか!

    今の日常が色を欠いたつまらないものに感じる人に是非読んでみて欲しい。

  • 結構ありきたりなストーリーなんだけど、主人公の変化していく心情描写が丁寧に描かれていてなかなか読み応えがありました。

  • 読み終わった後に改めて帯を読んでみたら、「せつない、いとしい、ラブストーリー」とか書いてあった。なんか違う…
    最後の方でようやく静が「はじめてのなんだかわからない感情」に気付いた程度。せつない、いとしいラブストーリーはこれからとうところで、物語は終わったのだ。
    本編はラブストーリーじゃなくて、ほぼ「静上京物語」だと思う。

    静が生まれ育った宗教団体の用語や生活習慣などの描写は
    ファンタジーのような雰囲気があってよかった。
    "閉ざされた地"という設定大好きだからww

    で、この本で、何が一番印象的かというと、ずばり綾。
    綾がこわい。こわすぎ。
    ラストの暴走、どう考えても彼女犯罪者じゃん。
    誰か通報してww
    静の心境が少しずつ変化していく描写がよかっただけに
    綾の一件で全部ぶち壊された感。残念。

    諒くん、綾ときっぱり縁を切って、静を幸せにしてやってねー

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著者プロフィール

平山瑞穂(ひらやま・みずほ)
小説家。1968年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年に『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)が第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。著作には、『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮文庫)、『あの日の僕らにさよなら』(新潮文庫)、『シュガーな俺』(世界文化社)、『プロトコル』(実業之日本社文庫)、『マザー』(小学館文庫)、『四月、不浄の塔の下で二人は』(中央公論新社)、『午前四時の殺意』(幻冬舎文庫)、『ドクダミと桜』(新潮文庫)、『さもなくば黙れ』(論創社)など多数。評論に『愛ゆえの反ハルキスト宣言』(皓星社)、エッセイに『エンタメ小説家の失敗学』(光文社新書)など。

「2023年 『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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