- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120045394
作品紹介・あらすじ
消息を絶った兄を連れ戻すために「免穢地」を出立した「エンノイア」。新興宗教教祖の娘として純粋培養された少女は、小さな町工場に勤める「泥人」の青年らとかかわることで少しずつ変わっていく…。多彩な作風で幅広い読者を持つ気鋭の作家・平山瑞穂が描き出す、異色のラブ・ストーリー。
感想・レビュー・書評
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言葉が生まれて育っていく様をみた。
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とある宗教団体の内部で指導者の一角を担う者として育った女の子、エンノイアが、教祖の死をきっかけに、使命を帯びて街へ出る。ストーリーの進行に関係のない部分でも、登場人物の人となりを示す描写があり、それらが最近の恋愛小説にないリアルさを出している。実際、一日の中で色々気づきがあっても、ほとんどは意味を持たないものだし。いつのまにかエンノイアが観覧車の乗る部分のことを「房」ではなく「家」と表現している所は、心にじんときた。純粋なエンノイアの非凡さも感じつつ、ただの恋愛ゴールよりも美しく終わったラストに満足です。
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平山瑞穂さんは女の人だと思っていたら、男の人であった。この人はとてつもないロマンチストかしら。
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最後が良かった。
初めての恋愛に、すごく冷静な思考で向き合っていて切なかった。 -
純粋培養少女と下町工員の心切なきラブストーリー。読み始めはなんの説明もなく使われる専門用語に戸惑うかもしれませんがしばしのガマン。ラノベ的な表紙はストーリーぶちこわしで何とかして欲しかった。
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世俗から隔離された禁欲を貫く新興宗教団体で生まれ育った人が本当の世界に触れた時、どのように感じるのか。
帯にあるようなラブストーリーを期待すると少し違うかもしれない。
しかし、異国からやってくる程度では比べ物にならない文化や価値観の違い、そしてそれに起因する主人公の葛藤と心境の変化が巧みに描かれている。
少し視点を変えるだけで、斯くもこの世界が美しいものと思えることか!
今の日常が色を欠いたつまらないものに感じる人に是非読んでみて欲しい。 -
結構ありきたりなストーリーなんだけど、主人公の変化していく心情描写が丁寧に描かれていてなかなか読み応えがありました。