読書について

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 367
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045400

作品紹介・あらすじ

「批評の神様」に学ぶ実践的読書法。

感想・レビュー・書評

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  • アツイ魂。すごいパワーに圧倒されてグラグラした。私にとってはかなり耳が痛くなるような事ばかりで…ただただすごいなぁ…と感じた。それは文学だけにとどまらず詩、絵画、歌、美術芸術、文化、教育にまで話がおよび広く深かった。

    大好きな山部赤人の「田子の浦ゆ~」が取り上げられていて、心に響くものや自分の感性に訴えかけてくるものがいかに大事か…ということを再確認できた。

    らんどくも乱読ではなく「濫読」。言葉の一つ一つただただカッコイイ。(だけど私には難しすぎるのだけど…汗)わからなくって何度も何度も読んだ。ぼんやりと伝わってくる。

    外山滋比古氏も書いてたけどベータ読み、小林氏が言うには“ものごとを姿のほうから教える、解説などなしで感覚的に読む”←しかも幼い頃から、ということが大事なんだなぁ…と。わけわからないけど「暗誦」させられたものって、20年以上たってもずっと暗誦できるから、こういう叩き込みのようなことって大事なんだと実感しました。

    また時間を作って読み返したい。

  • 読むことについて、書くことについて、小林秀雄が語った事のエッセンスがまとめられています。

    僕も今までも読書を続けてきたけれど、本を通じて、その本を書いている人間の深みにまで出会う、という経験は稀でした。その為には、作者の全集を読むこと。読むことで、作者の様々な底知れぬ側面を知り、その人となりを感じていくこと。自分の存在を賭する覚悟を持って読書に臨むこと。作者という一人の人間を知り、それを読む自分自身さえも知る為のヒントが平素な言葉で、散りばめられています。

    普段、何気なくやり過ごしてしまっていた、読書という体験の本来の豊かさをもう一度、確認させてくれた本です。

  • 本も絵画も音楽も解説書に頼らずに作品そのものを味わうこと、一人の作家の全ての作品を網羅することで作品ではなく作家その人自身に迫っていくこと、一流の作品だけに触れることの大切さを説く。使われている言葉自体は平易だが、内容は万人向けではなく、普段から思索を重ねている人の方が読みやすそう。この領域に軽々とついていけるようになりたい。後半に収録されている田中美知太郎との教養談義は興味深い。

  • ブックカフェでたまたま目に留まり、すぐに読んでしまった。
    1番印象に残っているのは

    「読書というものは、こちらが頭を空にしていれば、向うでそれを充たしてくれるというものではない。(中略)絶えず書物というものに読者の心が目覚めて対していなければ、実人生の経験から得る処がない様に、書物からも得る処はない。」

    という節である。
    最近、読書に対して感じていた疑問を高名な先生に晴らしてもらう、そんな本だった。





    私は中学・高校の頃こそ、勉強からの逃避のため濫読の日々を送っていたが、大学生になり、社会人になり、いつしか小説で夢想することも興味深いエッセイや学術書を読むことをやめてしまった。
    代わりに、仕事のためにビジネス書を読み、面白いと思うネットの記事やニュースだけを拾い読みし、なんとなく充たされない気持ちだなぁと思っている。

    想像だけれど、こういう人はたくさんいるのではないだろうか。
    昭和の初期に小林秀雄はすでに若者ばかり小説を読んで、大人になると読まなくなってしまうことを指摘している。
    はい、私のことです。

    あの頃楽しんでいた、知的好奇心を刺激するような、頭がフル回転するような読書は、どういったものだったのか。
    そして、これからはどうすればそんな読書ができるのか。
    そのための示唆に富んだ本だった。
    小林秀雄さんのことは名前以外よく知らなかったけど、「文は人なり」の言葉通り、小林秀雄その「人」に興味が湧いた。

  • 「批評の神様」「読書の神様」と言われる小林秀雄氏の読書を中心とした事について書かれた著書。


    氏も同時並列的に数種の本を読んでいたようだ。
    というより、好奇心が自ずとそうさせたというよう表現の方が正しいだろう。
    そしてその濫読が役に立ったと。

    ショーペンハウエルが多読の害を「読書について」で説いているが、
    小林氏の方では、
    濫読したいという情熱に燃えて努めて濫読さえすれば何の害もない。
    むしろ、そういった経験なく後年に読書が本当のたのしみになる事は容易ではない、と説く。


    この本で最も学びになったこと、
    改めて強く思うことは、
    「常に一流作品のみを読め」という箇所。

    やはりそれは難儀であり、
    読みにくいものも多々あるが、そこは天才達の境地であるのだから当然である。

    今後も一流作品のみを読むことを念頭に置き、濫読していこうと思った次第だ。

  • 「立派な作家は、世間の醜さも残酷さもよく知っている。そして世間の醜さも残酷さもよく知っている様な読者の心さえ感動させようとしている。」
    自身の読書歴を元に語られる明晰で力強い言葉は、背に温かな掌を当ててくれるようだった。
    内容はもちろん、文章の美しさにも胸が震える。
    また読み返したい。

  • 小林秀雄の読書について語ったものを集めたもの。いちいち凄すぎてレビューに要約することは出来ない。本を読むことについて興味がある人は是非、これを手にとって読んでみれば小林秀雄的読書世界の入り口を垣間見ることが出来ると思う。よりよい読書の指針としても秀逸な内容だと思う。流石過ぎる。

  • 批評家、小林秀雄氏による読書というものを軸にまとめたエッセイ集です。感受性が鈍くなると何でもわかったつもりになってしまい、自分の生の体験を直視しなくなってしまう、などなどハッとさせられる言及が多くありました。わかりやすく説得的な文章です。

  •  普通に文章を味うという事はm何も恥ずかしい事でも、初歩のものでもない。専門的な鑑賞に対抗して充分自分の理由を持っているものだ、君等は文章鑑賞の専門家かもしれないが、僕等の様に素直に愉快に文章を味う事は出来るかと自信をもって言える様な自覚を持たねばならないのです。これが文章鑑賞に於いて先ず一番大切な事だと僕は考えます。(p.34)

     どんなものでも味う事が出来るという事は、自然とものを深く味わず、表面だけを楽しむという傾向に陥り易い事は見易い道理です。では何故そういう事になるか。それは鑑賞というものに常に自分の心を賭ける事を忘れるからです。鑑賞するのに虚心という事が必要だ、自分を捨てて他人のなかに這入り込めなくてはならぬ、という事を言いますが、これはつまり自分の心を賭けろという意味なのです。(p.42)

     読書というものは、こちらが頭を空にしていれば、向うでそれを充たしてくれるというものではない。読書も亦実人生の経験と同じく真実な経験である。絶えず書物というものに読者の子事が目覚めて大していなければ、実人生の経験から得る処がない様に、書物からも得る処はない。その意味で小説を創るのは作者ばかりではない。読者も又小説を読む事で、自分の力で作家の創る処に協力するのである。この協力感の自覚こそ読書のほんとうの楽しみであり、こういう楽しみを得ようと努めて読書の工夫は為すべきだと思う。いろいろな思想を本で学ぶという事も、同じ事で、自分の身に照らして書いてある思想を理解しようと努めるべきで、書いてある思想によって自分を失う事が、思想を学ぶ事ではない。恋愛小説により、自分を失い他人の恋愛を装う術を覚える様に、他人の思想を装う術を覚えては駄目だと思う。(p.53)

     詩人は、自分の悲しみを、言葉で誇張して見せるのでもなければ、飾り立てて見せるのでもない。一輪の花に美しい姿がある様に、放って置けば消えて了う、取るに足らぬ小さな自分の悲しみにも、これを粗末に扱わず、はっきり見定めれば、美しい姿のあることを知っている人です。悲しみの歌は、詩人が心の眼で見た悲しみの姿なのです。(p.95)

     先ず考え次にこれを言葉にするという呑気な考え方から文学者は出なくてはならない。そういう呑気な考え方が、例えば画家についても、画で表現しようとする思想だ。先ず画家の精神のうちにあり、これを色で翻訳したものが画だという風な考え方をさせるのであるが、画家は実際には決してそういう事をしてはいない。色を塗って行くうちに自分の考えが次第にはっきりした形を取って行くのである。言葉を代えれば、彼は考えを色にするのではなく、色によって考えるのみである。(pp.124-125)

  • 図書館で流し読み。読書や美に対する姿勢について頭に留めておきたいと思った。引用した箇所の「はっきりと目覚めて物事を考えるのが人間の最上の娯楽だからである。」という考え方に感激した。

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