子どもの難問

制作 : 野矢 茂樹  熊野純彦  清水哲郎  山内志朗  野家啓一  永井均  神崎繁  入不二基義  戸田山和久  古荘真敬  柏端達也  柴田正良  鷲田清一  雨宮民雄  鈴木泉  渡辺邦夫  土屋賢二  斎藤慶典  大庭健  中島義道  一ノ瀬正樹  伊勢田哲治  田島正樹 
  • 中央公論新社
3.69
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本棚登録 : 604
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045585

作品紹介・あらすじ

いまこそ立ち止まって考えよう!この本は子どもたちにも読んでもらいたい。だが、本書を本当に味わうなら、折に触れて繰り返し読んでもらいたい。大人になっても。そしてもう子どもではなくなってしまったあなたにも。四谷大塚発行「Dream Navi」好評連載が本になりました!

感想・レビュー・書評

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  • 朝から「少年期」の歌がヘビロテだった日の午後、図書館で目にとまった本。
    野矢茂樹さんなら外しはないだろうと、目次を開いて驚いた。
    最初に現れる質問が「ぼくはいつ大人になるの?」だった。
    これはまるで、脳内で響く歌のサビ部分ではないか。
    そのまま借りて帰り、数日かけて読みふけった。
    一日で読み終えるのは、あまりにもったいなかった。
    これは、心震える良書である。

    四谷大塚が、小学生とその保護者向けに出している月刊誌の企画連載だったらしい。
    タイトルこそ「子どもの難問」となっているが、問いは全て野矢さんからで、ひとつの問いに対して二人の解答者という設定。
    それぞれの問いに対して野矢さんの短いコメント付きだ。全部で22問。

    「ぼくはいつ大人になるの?」
    「死んだらどうなるの?」
    「勉強しなくちゃいけないの?」
    「頭がいいとか悪いとかってどういうこと?」
    「人間は動物の中で特別なの?」
    「好きになるってどんなこと?」
    「過去はどこへ行っちゃったの?」
    「なぜ生きてるんだろう?」
    「どうすれば他の人とわかりあえるんだろう?」
    「考えるってどうすればいの?」
    「科学で何でもわかっちゃうの?」
    「悪いことって何?」・・・・・・」等々。

    思い出した。私もまさに、ここに列挙された質問の全てを、周りの大人に投げかけてきた。
    それぞれどんな答えが返ってきたかは記憶の彼方だが、はっきりしているのはどの大人も真剣に答えてくれたということだ。
    子ども相手だからと決してハードルを下げず、思考を一生懸命言語化して、伝えようとしてくれた。ちょうどこの本で答えている哲学者のように。
    こうありたいと思える大人との、数々の出会いがそこにあった。

    あれからかなりの時が経った。
    私はここにある問いのひとつにさえ、まともに答えられない自分を発見して悄然とする。
    「哲学は私たちを立ち止まらせようとする」と、「はじめに」の中で著者が語っている。
    立ち止まって考えることは、生産性のない行為かもしれない。
    ただ、少なくとも問いかけてきた子どもを失望させることはない。
    考えながら答えていくことで新たな気付きに出会えるのは、答える側の喜びでもあるのだ。

    「人類は、医療によって寿命を延ばし、子孫を残すことによって生命のバトンタッチを行いますが、それらにくわえて、さらに人類は、死を絶えず思い起こすことによって、リセットの利かないたった一度の人生の質を高めようとしているのではないでしょうか。」
    (死んだらどうなるの?という問いへの、雨宮民雄さんの答え)

    「わかりあえない相手とわかりあえないままでどうやって共存していこうか、こっちの問題の方こそ、考える価値があると思うよ。」
    (どうすれば他の人と分かりあえるんだろう?という問いへの、戸田山和久さんの答え)

    「好きな人を求める気持ち、問題の答えを求める気持ち、そうした気持ちが新たな関係のもとに新たな見方でものごとを見させてくれる。
    これが、「考える」ということだ。だから、君自身が腕を組んで「うーん」とかうなっていなくとも、世界全体が考えている。」
    (考えるってどうすればいいの?という問いへの野矢茂樹さんの答え)

  • ・ぼくはいつ大人になるの?
    子どもってどういうことだろう。
    自分以外のものをほとんど知らないがゆえに自分勝手な存在が子ども。
    相手のことを考え、したいことを我慢できたら大人?

    ・頭がいいってどういうこと?
    頭がいいって、何ができること?
    一定の枠のない状況において、問題を解決するための的確な判断を下す能力のこと。

    ・好きになるってどんなこと?
    わくわくするように明日からの生活が楽しくなること。
    自分自身を喜んで受け入れられるような生きる形を、この世の中に見つけていくこと。
    自分で価値を定めること。

    ・過去はどこへ行っちゃったの?
    過去は何処にも行かず、今ここにある。
    これが哲学的な回答のひとつってことかな。

    ・えらいひとと、えらくないひとがいるの?
    「よくがんばったね。えらいぞ!」とほめて、
    「えらいってどういうこと?」と聞き返されたら答えに困る。
    えらい赤ん坊や、えらくない赤ん坊などいない。そう思う。
    社会的地位が高い人を「えらい人」だと考えたことはない。
    誰かを「えらい人」と言う時は、軽蔑・嫌悪の感情を込めて使ってる。
    私が答えたら世間の大多数と「えらい」の意味が逆になりそうだ。

    いろんな質問があったが、これが正解という答えはない。
    だから自信を持って答えられない。
    このような本も参考にして、一緒に考えれてみればいいんじゃないの?と思う。

  • 面白かった!
    ふと頭をよぎるような素朴だけど根源的な疑問を、現役哲学者達が答えてくれる本。
    子どもに回答する設定なので、専門用語もなし。
    わかりやすい。
    回答者によって合う合わないはあるのだけど、ピタッと合うのは涙がこみ上げるほどだった。
    哲学は少数の賢い人が練り上げる非実際的なものではなくて、誰にでも日常の心の拠り所にできるようなものなのだなぁ。

  • 読み始めたときは、哲学者は問いに「これが答え!」ってバシっと答えてくれないんだなーと思って読んでたけど、
    読み進めるにつれて「哲学ってそういうことなんだ」と実感が湧いてきた。
    それを認めたら、なるほど!っていう回答があったり、これはちょっと論点をごまかしてるなーって感じる答えがあったりして面白く読めた。

    答えがない問題に対して延々とゆっくり考え続けるのがテツガクシャ。

    この本の使い方として、
    子どもと一緒に1日1問、考えてみるのがおもしろいかな?と思った。
    子どもの考えと、私の考え。
    参考に哲学者たちの答えも読んでみる。
    って考えると大事にしたい本だなーと思った。

  • ぼくは哲学とは何なのか知りたい。どういう学問?

    「死んだらどうなるの?」「神様っているの?」子どもの素朴な疑問に、プロ?哲学者が寄ってたかって答える、という体裁の一冊。哲学者の答えと、素人?の答えはどのように違うのかが知りたかった。もし違いがあるとすれば、それが「哲学」の正体なんじゃないかと思ったのだ。

    で、やっぱり哲学者と素人の違いがわからない。この本に載ってても違和感のない原稿を書きそうな素人はいくらもいそうな気がするし、ぼくだってそれなりに書けると思う。だとしたら書けそうな素人やぼくは「哲学者」なんだろうか? 
    それともぼくの原稿は編者にボツにされるんだろうか? だとしたらどんな理由で? つまりはそれが哲学?

    問答はそれなりに面白くはあったけれど、子どもが納得するとは思えない。ぼくも納得いかない。

  • なぜ生きてるんだろう
    その問いをする時点で答えは自分で出している、つまり、理由はない。

    答えるのではなく、問いを出さざるを得なかった状況に向き合おう。

    分かりあう、よりも、尊重しあうを大事にしよう

    問題の答えを共有するより、問題をきちんと共有すること

    やさしさが人生の目的ではなくても、やさしくできること は、自分の生き方の証明

    親は子供を作ったはずなのに、子供を授けられたと感じる。子供への贈り物全てが自分からのものだと思えないのでサンタを使うのかも。

  • 哲学者=どうしても「穴」に関わってしまう人たち。複数の哲学者が子供の質問に答えているという体裁を取った本。一見読みやすいようでいてやはり難解深遠である。

    [more]<blockquote>好きという気持ちは、単に自分と好きな相手との間だけに成り立つものではない。その人を求める気持ちで世界全体がいっぱいになる。

    時には好きだった人が嫌いになることもある。でもそれは必ずしも悪いことじゃない。嫌な面に気がつくくらいその人のことがわかるようになったのだから、何も感じなかった退屈な元の自分に戻ることはない。

    自分を愛せなくては人を愛することもできないが、人を愛さなければ自分を愛することもできないのが難しいところ。

    好きになることは、他者から与えられた規範性や価値に受動的に従うのではなく自分で定めることだし、自分の世界を作り世界に自分だけのくさびを打ち込むことだ。</blockquote>

  •  小説以外も読もうと考えるなかで、直球での自己投資的意味合いの強いビジネス書・自己啓発書を読むだけでなく、人文科学系の本も読みたいと考え、どうせなら人文科学の極北的なものにしようとこの本を選んだ。

     「ぼくはいつ大人になるの?」「頭がいいとか悪いとかってどういうこと?」「好きになるってどんなこと?」「科学でなんでもわかっちゃうの?」「悪いことってなに?」などなど、シンプルかつ考え出すと長くなりそうな、居酒屋でだらだらと論議したくなるような問いがたくさんある。

     なかでも、「じぶんとおなじくらい大切なもの、かけがえのないこと、置きかえのできないひと、そうしたなにかを知ることが、おそらくは「大人」になる入口になるのでしょう」など、はっとするような答えもたくさんあり面白かった。

     社会人になり2年半ほどになるが、これといった目標がないなかでがむしゃらに生き延びてきた。自分なりに一所懸命働いて、自分なりに勉強をして、自分なりに趣味を楽しんで、自分なりに人と交流してきた。
     ただ、何故自分は頑張ろうとするんだろうかという問いに答えられず、そこで減速してしまったり、投げやりにしたくなってしまうこともたくさんあった。徒労感というか、無力感というか。
     これから色々な勉強をして実用的な知識を身に着けていこうとは考えているが、そのプロセスの中では徒労感・無力感から逃れることはできないのだろうなと思っている。
     そんな中で、本にあるようなプリミティブな問いについて考え自分なりに答えのようなものを見付けることが、「いい人生だった」と思えるような生き方に近付く方法なのかもしれないなと思った。

  • 好きになるってどんなこと?

  • 「子どもにしか哲学はできない。しかし、子どもには
    哲学はできない。この逆説の中に、哲学者たちはいる。」

    子どもがしそうな質問ひとつに二人の哲学者が答える…
    その答えは同じではないので哲学に正解はないのかなと思います

    質問と答えの間に野矢さんの短い文があって
    それも「うんうん」とうなずけます
    「自分がきれいと思わないものをきれいと言う人に
    出会ったとき、「どうして?」と聞きたくなる。
    それは、理由を尋ねているのではなくて、相手の見方を
    少しでも分かろうとしているのだ。」

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