フォグ・ハイダ The Fog Hider

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  • 中央公論新社 (2014年4月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (355ページ) / ISBN・EAN: 9784120046070

感想・レビュー・書評

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  • 『ヴォイド・シェイパ』シリーズ4作目。今回は冒頭で斬り合いとなった凄腕の剣士キクラと仲間になり、キクラとその妻を守る為、ゼンがキクラ、チハヤとともにキクラの敵と戦う。

    今回の話は二つの切なさを感じた。

    ゼンと意気投合した(ちょっと言葉のイメージが違うかもしれない。笑)キクラは病床の妻を守る為、自らの出世を諦め故郷に戻ろうとしていたところであった。しかし、故郷を戻ろうとしているキクラに対し、キクラが以前に所属していた剣術道場のお家騒動によりキクラに濡れ衣を着せ、キクラを亡き者にしようとする一派が近づいてきている。ゼンはキクラに加勢することに決め、その敵と戦う。

    この戦いを終え、ゼンは強い者と戦いたい、倒したいという気持ちは強くあるものの、相手を倒す、つまり殺してしまうことについて疑問を感じるようになる。
    特に凄腕のキクラを倒したさらに強敵の相手に相対したゼンは「たた、戦いたい。倒したい」という気持ち、自分の欲望だけで相手と戦う。そしてかろうじて相手を倒すものの、そこで得たものについて自問自答する、そこに意味はあるのか?
    その相手は自分に殺されなければもっと別の道があったのでは無いか?自分がその者の別の道を無くしてしまう権利があるのだろうか?
    剣士あるゼンが相手を倒し、殺すことに疑問を持つようになってしまう。相手を倒したことにより、自分に存在価値があるのかと問うこととなるゼン、非常に切ない結末だ。

    そしてもう一つの切なさは、ゼンの身を案じるノギの存在だ。
    ゼンが侍であり、いつ死ぬかもしれない身であることを理解し、それでもゼンの身を案じることしかできない。ゼンのことを好きにならなければこんな気持ちになることも無かったのに・・・。
    敵との対決でキクラやその妻を失ったもの、一応、無事に自分の元に帰ってきたゼンを見て、ノギは涙する。
    ノギの心情を理解できるようになってきたゼンもノギの気持ちに答えたいという気持ちが芽生えてくる。
    これも切ない。
    ゼンの行く先には何が待ち受けているのか。次巻、最終巻をじっくりと楽しみたい。

  • 再読なんだが…。
    一日ゼンで楽しんだ。
    あさのあつこのやつと混ざったりもしたけど。

    年齢を考えるのはやめよう。うん。

    再読。2021.11

  • 限りなく静寂に近い空間に身を置きたい。枯葉が木から離れる音、雪が降り積もる音、霧が立ち籠める音が聞き取れるくらい聴覚を研ぎ澄ませたい。心が水でできているのなら、交わされる問答をひとつ残らず溶かし込めるように超純水ほど不純物を少なくしたい。 
    生きるとは、強さとは、真理とは何か。真摯に向き合わせてくれる。
    とりわけ私が深く考えたのは「正義」について。これから私がしようとすることは、誰かにとっては悪であったり膿であったりするかもしれない。でも私は私を守るためにそれを正義と信じて貫くのだ。
    《2014.05.22》

  • 4月に出た新刊、どうしても読みたくて今回はハードカバー。今作も読み終わった後、とても晴れやかな気持ちにさせてくれる物語でした。悪、というのは、客観的に観察された視点であり、本人にとっては悪でない、といった、以前出会った森さんの考えなど反芻しながら読みました。ゼンとデンチ和尚の話がとても印象的でした。『少しくらいの濁りはあった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでもそれを、奇麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします。』素直なゼンが、これからもたくさんの人に出会い、色んな矛盾にぶつかって、悩んで、生きていくのでしょうな。それを見ていきたいです。

  • 今回は特に大きな進展もなく、ゼンがまた少し成長したという感じ(^^)生死をかけた闘いの前にナナシが顔を晒したので、もしやゼンの身に何かがっ( ̄□ ̄;)!!と緊張したけれど、無事でホッとした(*´-`)毎回難しい事ばかりを考えてるゼンだけれども、ノギとの会話が一番ゼンを成長させているような気がする(^^;)

  • 何のために生きているのか、誰かの生を奪いながら生き続けるのは自分の欲を正当化しているだけなのか。しかし他者の存在を自分の拡張のように感じるような人との繋がりに価値があることもまた真。自分を大切に思ってくれる人の存在こそが生きる意味かもしれない。

  • 著者の膨大な作品の中でスカイ・クロラシリーズと並んで読み終えていないシリーズの第4作目をようやく読んだ。スカイ・クロラは今ひとつのらなくて途中で挫折中だが、こちらのシリーズはどれも面白い。相変わらず切れ味のよい文体で一気に読み終えた。次作最終巻も楽しみ。

  • 一度戦った人たちと共闘する熱い展開で興奮した。しかし多くの敵を斬り命を奪い、守り切れず結果手に得られたのは何だったのかという部分もある作品。

  • あと1冊なんだけど、表紙が桜ってネタバレなんじゃ…て思うと読めない

  • ヴォイドシェイパシリーズ-4
    妻を持つ侍。仲間を持つ侍。

    蔵書
    電子書籍

  • 『ヴォイド・シェイパ』シリーズの4作目。3作目『スカル・ブレーカ』に続けて積読本を消化…。
    霧が立ち込める山の中。短文で詩のような戦闘シーンの描写がいい。『スカイ・クロラ』シリーズの、空の戦闘シーンが思い出される。
    今更ながら純粋で素直な主人公が可愛いと思う。真っ直ぐに世界を見つめて、新しい世界を広げながら、何故か?と問う。考えて人と話して考えて。少々理屈っぽいが穏やかに正直に人と対する姿勢は見習うべきところがある。
    最終巻でようやく都行き(2作目辺りから言ってる)。4巻分の気になる伏線の回収のために明日本屋へ行こう。
    160602

  • 2016.03.03

  • ヴォイド・シェイパ・シリーズ四作目。
    守るものの有無と強さについて。
    ちょっと切ない感じ。

  • ヴォイド・シェイパシリーズのなかでもいちばん読みにくい作品だった。事情が込み入っている。人を斬りたくないが刀を極めたいという矛盾。女性と暮らすということ。という二つが軸かもしれない。
    刀をふるか、刀をすてて人と暮らすか。

    キクラさんが言っていた、愛しい者がいるということは、傷があるのと同じ、という言葉が心に残った。

  • 結末悲しかったなー。良い方向に動いたこともありつつ、でもなぁー。うーんとか悩みつつ終わった巻でした。

  • 『悔いているのか、憎んでいるのか、悲しいのか、それとも嬉しいのか、涙ではわからない。まして、口から出る言葉は、もっと信用がおけない。人は、いつでも、どんな言葉でも、簡単に口から出せるのだ。』

    「ゼンさん。来てくれたんだ。嬉しい」
    「琴の音を聴くためです」
    「そういうときはね、ノギさんの琴が聴きたくて、と言うの」
    「そうか。ああ、気がつきませんでした。覚えておきます」
    「大丈夫なの? 鈴屋が襲われたりしない?」
    「それは、その、たぶんですが、解決しました」
    「え、どんなふうに?」
    「また、あとで、えっと、チハヤ殿が説明してくれるかと」
    「ゼンさんが、今説明したら良いじゃない」
    「いえ、今は、ノギさんの琴が聴きたいので」
    「あらら、なんか、ちょっと変な気もしますけれど、まあ、ええ、だいたいそれで、よろしいと思いますよ。そんな感じです」

    「刀のほかに、二つある ー 一つは場数。もう一つは知恵だ」

    「人は、じっと待つことができない。それはまるで、息を止めることにも似て、苦しく感じられるものだ。痺れを切らし、つい動こうとしてしまう。戦いというのは、そうして始まるのではないか。」

    「拙者が果てたときには、フミは自害しようとするでしょう。そのときには、どうか止めないでいただきたい。私が願うのは、それだけです」

    「俺はな、フミさんのために刀を抜く。それだけのことだ。なにか不足があるか?」

    『とにかく、自分の刀を、自由に振ろう。
    それだけだ。』

    「まさに今、大勢の人を殺そうとしている者がいて、それを止めねばならない、という場合には、その者を殺し、多くの命を救おうとするかもしれない」
    「救う命のために、命を奪って良いことになります」
    「そうなりますな」
    「それは、正義ですか?」
    「いえ、正義ではない。ただ、しかたがないことです。さきほど貴方が言ったように、正義とは、そのような悪人がこの世に生じないように導くことではないでしょうか」

    「少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします」

    『いくら考えても、答えのない問題ばかりだ。答がないことが自分でもよくわかる。それなのに考えてしまうのだから、困ったものだ。こういうのは、人の質なのだろうか。』

    『チハヤは、また声を上げて笑い、リュウがつられて笑った。何が面白いのか、よくわからなかったが、自分の心も温まった。酒のせいではなかったはずだ。』

    『みんなが同じではない。それぞれが、自分の命を持っている。なにかを楽しみにして、生きているのだ。苦しみだけで生きている者は、たぶん少ないだろう。それでは生きていけないように思われるからだ。』

  • 山中でゼンを襲った山賊。その用心棒たる凄腕の剣士には、やむにやまれぬ事情があった。「守るべきもの」は足枷か、それとも……。若き侍は旅を続けながら少しずつ変化していく。
    BOOKデータベースより

    刀筋を通して、自分の内にある考え方を分析していく、ゼン.何のために強くなりたいのか、社会の有り様はなぜそうなのか.
    頭は未だ靄の中にある.刀を交えるたびに、人と接するたびに、一つひとつ答えに近づくときもあれば、さらなる疑問が生まれることもある.
    人は人と関わることで成長することができるのだなぁと改めて思った.でも成長するには考えることが必要であるね.

    追記
    このシリーズをアニメ化すればいいと思う.その時の主題歌は米津玄師の「海と山椒魚」がいいと思う.

  • 20

  • 前作(スカル・ブレーカ)に比べると狭間の一冊、間延び感が否めないけれど、つい引き込まれて読んでしまうのが森博嗣の偉大さである。

  • 『ヴォイド・シェイパ』シリーズ4作目。
    ゼンの旅はまだまだ続くらしい。
    1話目に比べるとゼンがずいぶん世慣れてきていて、一方で世慣れた自分を「そういうことも近頃はわかるようになった」と自己評価しているあたりが何だか可愛い。
    3作目でゼンの正体が明らかになってきたのに、今回はほとんどそちらの方へは話が進まなかったので、ちょっと欲求不満。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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