途上なやつら

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 58
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046216

作品紹介・あらすじ

母親に置き去りにされた純矢があずけられたのは、正体不明の「絵に描いたようなデブ」である歌子のもと、落ちこぼれの大人ばかりが居候するボロ家だった…。

感想・レビュー・書評

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  • 母親に置き去りにされた小5の純矢。
    歌子さんという親戚の家で暮らすことになる。
    その歌子さん、見た目が強烈個性的で、何も聞かない反面、余分なことは話さずの謎の人。
    家にはなぜか「ダメな大人の見本」のような居候たちまでいる。

    小5にして公務員志望、食べたものをいちいちお金に換算する妄想貯金、ものの見方も俯瞰的でドライな純矢。
    そういう考え方になった背景を想うと悲しくなるのだけど、防風林の花子さん(幽霊)を怖がったり居候の太助が出ていくことに怒ったりするところに子供らしさが見えて少しだけほっとする。

    居候たちや、歌子さんにライバル心(?)を抱く実留久ちゃんの抱えてきたそれぞれの過去とこれから。
    どのお話も痛みを伴うものだけれど、歌子さんの隠された秘密・雅江さんとの関係がなんとも辛い。
    純矢とは親戚だからというよりも、お互いの母親への感情や関係がシンクロしているからなんだか似ているのかもしれない。

    純矢の母親のカレンは、ただただひどい母親だなぁと思うけれど、彼女の年齢が衝撃的でひっくり返って驚いて、そんな感情も飛んでいった(笑)

    純矢にとって、母親を赦さなくていい選択の提示は救いになっただろうけど、きっと字面の通りにはならない。と思う。
    大人になって母親を想う時、彼もまた迷子の顔になるのだろう。歌子さんのように。

  • 母親に捨てられた主人公が
    同居する事になった変な人達。
    それぞれにコンプレックスみたいなものを抱えていて、
    まさに途上なやつらだけれど、
    少しずつ成長して行く姿が良い。
    流れが面白く一気に読めたし、
    何より冒頭部分がとても良く惹き込まれた。

    以前、フォロワーさんが読んでいて
    面白そうと思い読んでみようと思ったが、
    それがなかったら手に取らなかったかもしれない。
    自分だと出会う事の出来なかったであろう
    本に出会えるのがブクログの素敵な所ですね。

  • 毒親に捨てられ、知らない親戚の家で新たな試練に襲われる小学五年生の純矢。
    どうなるんだろう、何で歌子さんは凄いなりでもモテるんだろう、花子さんて誰なんだ、など、様々な人の要素が盛り込まれ、なかなかに奥深い群像劇になっていた。
    著者の作品は初めて読んだけれど、思いのほか面白かった。

  • 一気読み
    なぜか、すらすら入っていけて、それぞれの人物に共感できるところがあり、社会では価値がないと
    見なされる人にも愛すべき所があり、素直になれば
    助け合える。

  • 母親に捨てられた子供が、ひょんなことから面白い人たちが住む家に住むことになって、楽しくたまにホロリとさせられながら成長していくようなお話。

  • どうやら僕はあの女に捨てられたらしい。
    キャンプから帰るとアパートはもぬけの殻だった。ふざけた置き手紙に導かれ、初めて会う親戚の家を訪ねたが
    その家でまず目にしたのはデブとしてのバランスが完璧な、そして派手すぎる格好で直視できない女の人だった…。

    母に捨てられた少年と、変わり者の親戚のオバサン、その家に住み着く変わり者の居候達。
    誰も彼もが“途上なやつら”で、優しく寄り添うなんてとんでもない。
    自分と同じ所を見つけそれに苛立ち、こうはなりたくないと冷ややかに見つめる。 けれども彼等なりに一歩でも半歩でも進もうとする気持ちが持てて、それだけでも良かったと思えた。
    イラっとするけど憎めない、不思議と応援したくなる。もてる理由は謎のままだったなぁ…。

  • ただ一緒にいて
    衣食住を提供する
    それだけのことで胸を張って
    子育てしてるわ私
    と勘違いしそうになりました

  • 小学生の純矢は、母カレンに置いて行かれ、預けられたのは歌子さんの家だった。

    歌子さんは奇抜なファションの無愛想な巨漢で
    家には歌子さんのお母さんの政江さん、居候の太助と江口さんが暮らしていた。

    無職だった世間知らずでお人よしの太助。
    会社の倒産、ホームレスへの転落、プライドを捨てられない江口さん。
    食欲旺盛な老人、政江さんが繰り返す戯言、歌子さんの双子の花子さんの正体。
    デブで冴えない人生を母のせいにしようとした、美容師の道を諦めかけた美留久。

    うまくいかない現実を、何かのせいにして
    現実逃避していた人たちが、歌子さんの家で共同生活をしていくうちに
    本来の自分を認めていくまで。

    歌子さんが抱えていたもの。

    本当の歌子さんは自殺していたけれど、
    母政江がショックでそれを認めたくなくて
    死んだのは花子さんだと記憶がすり替えられて
    花子さんはそれからずっと歌子さんになりすましている。みたいな。

    双子の話ってちんぷんかんぷんになる!
    久々に面白いな―と思えた本に会えたわ)^o^(

  • この小説は好きなタイプだった。
    生活感があって、ダメな人ばっかで、不幸だけど、暗いだけじゃないし、最後は小さく変わろうとしていて、光がみえる感、良かった。
    途上なやつらだなぁ。

  • 自分にとっては非日常な人たちだけど、壁一枚隔てた先にはありそうな日常。
    きっとどこかで目にしている人たちと風景。
    私もまだまだ途上中。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。著書に『夜の空の星の』『完璧な母親』『きわこのこと』など。

「2018年 『玉瀬家、休業中。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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