考えるマナー

著者 :
  • 中央公論新社
3.22
  • (7)
  • (34)
  • (51)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 326
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046353

作品紹介・あらすじ

戸惑いの数だけ大人になれる。大人のモヤモヤをまるっと解決?!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 新聞のエッセイをまとめた本とのことだったので、内容自体も簡潔に纏っており、量的にも読みやすかった。短い内容の中にもそれぞれの筆者の思いが載っており心に響いたり、関心させられたりする内容があった。文の量に対してコスパがいいと感じる。

    個人的に劇団ひとりと鷲田清一が同じ表紙に載っているのが面白かった。

  • ありとあらゆるマナーの本。
    例えば「五本指ソックスのマナー」、「物忘れのマナー」、「オヤジギャグのマナー」、「無趣味のマナー」、「殺しのマナー」なんてものまで。
    ちょっとへんてこなマナーが盛り沢山だ。

    私は「マナー」が恐ろしい。
    世の中には細かい「マナー」が多すぎる。
    おそらく1割も把握出来ていないだろう。
    なんかこの辺には「マナー」がありそうだなと検討をつけた時は調べてみたりもするが、そうすると出てくる「マナー」の数に驚かされる。
    え?皆本当にこれ全部実践してるの?と思う。
    こんなの全部気にしてたら心労で倒れてしまうかもしれないと本気で思ったりもする。

    このマナー本はそんな私を新しい恐怖に叩き落とすような本ではなかった。
    どちらかというと救われた。
    ここまでありとあらゆることに「マナー」(独自のものもかなり含む)があるならば、逆に諦めるしかない。
    私には無理。
    そして、最も大切なのはその時その時に時間を共有している人達が不快でないこと(そのための「マナー」と認識)なのだとしたら、やはり必要なのは誠意だろうと思う。
    相手が知っているかも分からない「マナー」を記憶するよりも、目の前にいる相手に常に誠意を持って接すること。
    それがあればたぶん多少のマナー違反は許させる…はず。
    少なくとも私はその辺にはおおらかにいきたい。
    そんな本当の余裕と優しさに溢れる世の中を目指すことが「マナー」のマナーではないでしょうか?町田さん。

  • 「人は変わるし、その間のマナーも変化する。時間が経つとわかる。その時がすべてではなく、人生にはその後もある。そういうことに思いを馳せる時に、大人になったことの贅沢を最も感じる。」(281 ページ)

    誰しも、生活のどこかの場面で、
    正しいマナーが何かと悩む時があると思う。

    社会的に求められるマナー
    人として喜ばれるマナー
    客観的に考えると、くすりとおかしなマナー

    さまざまなシチュエーションで、
    誰かに一度は尋ねてみたかった『正しい』マナー集。

  • 悪口の言い方から粋な5本指ソックスの履き方まで、大人を悩ますマナーの難題に作家、芸人ら12名がくりだす秀逸な名(迷)回答集。

    さらっと読むのにちょうどよい。

  • 好みの作家が多かったので読んでみたが、形式が同じなのでだんだん飽きてきた。
    もとは新聞掲載だそうで、やはりまとめて読むものではないのかもしれない。

  • もともと気に入って著書を読んだ人や、名前だけ知っている人も書いていた。マナーという言葉が、昔は嫌いだった。自由にしたいのに、どうしてマナーなんて曖昧模糊としたものに縛られなきゃならないんだと思っていた。食わず嫌いみたいに、マナーがどういうものか、向き合って考える気すら起きなかった。
    マナーは、処世術と置き換えられる。はじめての場面に出くわした時、戸惑う。何度でも繰り返し同じ場面で、戸惑うこともある。2ページずつ、それぞれの局面においての、体験談を話しているようで、1つ1つは読みやすいのに、気に入ったものは読み聞かせたり、再読したりして、随分かかった。
    あえて口にされることがないものがマナーなので、人の考えを聞ける機会を与えられてうれしい。とても深い部分で対話している気分だ。刺激的で、価値観を揺さぶられた。
    以前、百年の恋も冷めたことがあった。多分、彼と私の正反対のマナーを見つけてしまったからだと、今は思う。人はわりと繊細な生き物だ。惹かれるページと出会えば、自分が見えてくる。
    20170129

  • 先に読んだ「マナーの正体」がおもしろかったので、さかのぼってこれを。穂村弘・高橋秀実・三浦しをん・町田康、この顔ぶれにはワクワクし、実際に期待通りの面白さだった。みなさんユニークなスタイルの持ち主で、プロだなあと思う。

    今回の「発見」は井上荒野さん。いやあ、どれもおもしろかった。笑えるし、そうそう!と思うことも多かった。いくつか挙げてみる。

    「SNSのマナー」
    SNSに「それで?」というボタンがあればいいという意見を紹介している。確かに。ただ著者は、SNSを「自己顕示欲が強いナルシストの集まり」と嫌う人にも一理あるとしながらも、そこには「限られた日々を生きる宿命を持つ」ものとして「今日という一日を生きた」ことを宣言したい気持ちがあるのではないかと書く。そうかもしれない。
    「それにしても、文章とは正直なものである。投稿には嘘も書けるが、『なんだか真実味がない』感じは伝わってしまう。謙遜して書いても自慢していることはわかってしまう。簡単に言えば、書き手の性質や性格は絶対にあらわれる。 … その危険を冒してまで、(私を含めて)多くの者がSNSに投稿し続けている、人間というのはかように切ない生き物なのだ」

    「名前のマナー」
    「荒野」が本名というのは何かで読んで知っていた。この名前と「長年かけて折り合って」きて、今は「がんばりすぎの、ぎりぎり許容のレベルではないか」と思い、「自分の名前を気に入っている」そうだ。あくまで「今は」である。今や子どもの名付けは無法地帯だけど、著者が言うように「荒野」以上は「やりすぎ」だと思う。

    「子どものマナー」
    「子役の演技が苦手」という人は結構いると思う。じゃあ「子どもの投書」は?
    「はっきり言えばつまらない。当たり前のことしか書いてないからだ。それなのにどうしてそういう投書が掲載されるのか?子どもが書いているからだ。いかにも『子どもらしい』社会批評であるからだ。そこに甘えと甘やかしがある。それがきらいだ」

    ほかに、確かに!と思ったのが、楊逸さんの「駅名のマナー」。電車の音声案内で英語や中国語が流れると、「せせらぎのように」流れる言葉のなかで駅名だけが耳に引っかかると書かれている。本当にそうだ。
    「人名や地名のような、他言語になっても、特徴が強く残る固有名詞は … いざ声に出せば、その異質さが俄然、際立ってしまう」
    あの引っかかりは文化の違和感で、それはかなり強いものなのだなあと思う。

    また、津村記久子さんが「同窓会のマナー」について書いているのだが、これがちょっと新鮮。同窓会については、楽しいという意見、行かないよという意見、様々あると思うが、こういうのは初めて目にして、おもしろい考え方だなあと思った。
    「その場にいる人が皆同じ年齢だと、自分の成長の度合いがよく見える。でも同時に、何もかも持っている必要はないと感じた。わたしが持たない特質を、ほかの誰かが持っていて、その逆もある。それでいい。しがらみのない社会の縮図を改めて眺めるとそう思う」

    平松洋子さんの「お断りのマナー」。いつからか世に氾濫する「大丈夫」。先日テレビを見ていたら、レストランのシェフが「お味の方は大丈夫でしょうか?」と尋ねていた。こ、ここまで来たか…。そもそもは婉曲なお断りの言葉として使われ出したと思うのだが、乱用されているのは、著者の言うとおり「その場その場に見合う言葉をあてがうのを面倒くさがっている」からだろう。
    「『だいじょうぶ』と断るのは『察してくれ』と甘える変形なのだと思う」

  • 色んな人の色んな視点が垣間見られて
    とても興味深い。

  • 劇団ひとりさんの文章が気に入りました。
    他も借りたいです

  • R1/12/7

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

赤瀬川原平の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
西 加奈子
米澤 穂信
桜木 紫乃
西 加奈子
長岡 弘樹
津村 記久子
村田 沙耶香
角田 光代
角田 光代
西 加奈子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×