ドミトリーともきんす

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 207
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046575

感想・レビュー・書評

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  • 高野文子さんの漫画、初読み。
    なんとも心地の良い語りの距離感とイラスト。

    朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹といった日本を代表する偉大なる科学者達を”ともこ”と”きんこちゃん”の営む想像上の下宿に住まわせ、対話し、その名著達を紹介するという、漫画という形式にして極めて学術的試みの作品。

    それぞれの学者達の理論を象徴するかのようなモチーフ選びとそれを表現するコマ割りが秀逸。
    時間、空間を忘れ意識が引き込まれる。

    章末の引用や著作のエッセンスの紹介文などは正直高尚すぎてよくわからないのだが、こういう熱い想いが未来を切り拓くのだなぁというところはいたく実感。
    著作を読んでみようと思うにはまだハードルが高く感じるが、こういった紹介は見識をわずかばかりでも広げることができる意味でありがたい。

    • ☆ベルガモット☆さん
      fukayanegiさん、こんにちは!

      こちらの本、科学を身近に感じさせる凄い本ですよね!
      理系はさっぱりだったので、学生時代に出会...
      fukayanegiさん、こんにちは!

      こちらの本、科学を身近に感じさせる凄い本ですよね!
      理系はさっぱりだったので、学生時代に出会いたかったです。
      fukayanegiさんは、理系も得意そうですね!
      fukayanegiファミリーの反応はいかがだったでしょうか。
      2023/10/22
    • fukayanegiさん
      ベルガモットさん

      こんばんは。
      コメントありがとうございます!

      この本はベルガモットさんのレビューを読んで、気になって自分の中の読みたい...
      ベルガモットさん

      こんばんは。
      コメントありがとうございます!

      この本はベルガモットさんのレビューを読んで、気になって自分の中の読みたいリストに入れていたものです。一年くらい寝かせてしまいましたけど、やっと読むことができました!

      自分は数学とかパズルみたいなのは好きなのですが、この本の偉人達の活躍した自然科学みたいな分野はてんでダメです。
      なので、正直あまり具体的な話は頭に入って来なかったのですが、それでも漫画の力で目から興味を向けさせてくれるのが凄いと思いました。

      残念ながらこの本は個人的に楽しんだので、ファミリーはパパまたなんか珍しい大きさの本読んでるよくらいにしか思われてなかったと思いますw
      今思えば、嫁さんにつられて子どもらも朝ドラたまに観てたので、牧野富太郎のところとかは振ってもよかったかもしれませんね〜。
      2023/10/22
    • ☆ベルガモット☆さん
      fukayanegiさん、コメントのお返事ありがとうございます!
      数学やパズルが好きというのも、賢いオーラ出てますなっ
      漫画のチカラで興...
      fukayanegiさん、コメントのお返事ありがとうございます!
      数学やパズルが好きというのも、賢いオーラ出てますなっ
      漫画のチカラで興味を向かせる手法は確かに凄いですよね~
      あ、牧野さんのところは朝ドラ夢中だったらもっと興味深く読めたかも。
      ファミリーとパパの関係性がまた、いいですなあ♪(いつもおねだりして申し訳ありません)
      2023/10/22
  • 一風変わった読書案内である。

    本書の著者は「黄色い本」などで知られる漫画家・高野文子。
    紹介される本の著者は、朝永振一郎・牧野富太郎・中谷宇吉郎・湯川秀樹。
    日本を代表する科学者であり、また一般向けの著書もある人たちである。
    彼らは、寮母のとも子さんとその娘の幼児きん子ちゃんが営む学生寮「ともきんす」に住んでいる。そこは時空を超えた不思議な場所である。若き日の朝永が、牧野が、中谷が、湯川が、ときには悩みつつ、ときには生き生きと、自らの研究の萌芽を抱え、それを花開かせる術を探し求めている。

    自分は研究をするしかないとどこかでわかっていながらも、道を模索し煩悶する朝永。
    飄々とした自由人であり、貧窮しても意に介さず、「天然の教場」で学び続けた牧野。
    徹底した観察力の根底に、どこか「非科学的なもの」へのあこがれも捨てなかった中谷。
    天才的でありながらどこか木訥とした風もある湯川。彼が綴る「詩と科学」の一篇はなかなか味わい深い。
    シンプルな絵柄の中に、それぞれの科学者がそれぞれの個性で生きている。
    さりげないエピソードとともに、彼らの著書がそっと差し出される。

    科学は不思議だ。
    というより、世界の不思議さに眼を留め、それはなぜだろう?と立ち止まって考える、それが科学だ。
    ヒンヤリした手触りの科学への扉を開け、科学者たちの言葉に静かに耳を傾けるとも子さんの姿勢がとてもよい。
    静かに、静かに、世界の不思議へ。
    静かに、静かに、科学の手引きで。
    それはまた自分の内へと向かう旅のようでもある。

    読後には、読んでみたい本のおみやげも付く。
    派手ではないが極上の旅である。

  • 科学とか、物理とか、普段の生活にはとんと縁のない世界。それを少し身近に近づけてくれる。

    ふしぎだと思うこと これが科学の芽です。
    よく観察してたしかめ そしてかんがえること これが科学の茎です。
    草子て最後になぞがとける これが科学の花です。
                        朝永振一郎

    詩と科学遠いようで近い。出発点が同じだからだ。
    どちらも自然を見ること聞くことからはじまる。
    バラの花の香をかぎ、その美しさをたたえる気持ちと、
    花の形状をしらべようとする気持ちのあいだには、
    大きなへだたりはない。        
                        湯川秀樹

    そんな、科学者や物理学者たちに、
    ごきげんいかが?って、お声かけした、本でおます。

  • 4人の日本の科学者をマンガと文章で紹介した本。
    ある人のブログで紹介されていて、牧野さんと湯川博士の名前があったので購入。

    牧野富太郎氏は小学生の頃、伝記を読む授業でランダムに渡されたのが氏の。読了できなかったが、全く知らないその人の努力と動植物への愛が伝わった。

    湯川氏は彼の子どもの頃の友達のいない悲しい体験を教科書で読んで、ノーベル賞受賞者にもこんな経験があるんだと親近感を。

    中谷氏は北大のキャンパス(母校ではないのが残念)で見かけた「低温」の文字と雪の結晶の碑。白銀荘も身近な場所だし。

    朝永氏は知らないけど、みんな懐かしい友達みたい。文豪や大作家の作品を読んでもこんな気持ちにはならないのに、とっても親しい気持ち。

    もうちょっと分量があってもいいかなぁ、

  • どんな内容なのか、知らずに高野文子さんだからという理由だけで読んだ。
    やはり、高野文子さんのことは信じていいのだと確信。
    漫画による科学の本の読書案内。読んではいないが、この1年でよく目にした朝永振一郎、湯川秀樹の2人。そして、牧野富太郎。初めて知った中谷宇吉郎。読んでみたいとは思っていた人たちの本。高野文子さんのおかげで読まなくてはいけない本に昇格。
    それにしても、高野文子さんってすごい人だな。高野文子さんの作品も全部読みたくなる、読書案内でした。

  • とても静かでよかった。とも子さんの言葉を借りるなら、心が平らになる一冊。
    きん子ちゃんがかわいらしい。読みたい本がまた増えた。

  • 科学の入り口を開いてくれる。
    「詩と科学は遠いようで近い」を目の当たりにさせてくれる柔らかな本だ。
    自然科学の本の読後感を、「乾いた涼しい風が吹いてくる」と表現するのは、妙にとてもよく腑に落ちる。
    全く興味が持てなかった領域だけど、読みたくなった本が2冊あった。
    こういう出会い、感謝したい。

  • 高野文子さんは、漫画を描くことは「世界を発見する」ということだと思っているのかもしれない。世界とは、自分の人生であり、生きてきた社会そのものであり、素晴らしい本の世界であり、そこから導かれた何かである。

    あんなにも絵が上手いのに、それを封印してまで(でも、時々こぼれ落ちるようなドキッとするコマがある)科学の本の紹介漫画に徹する絵柄を作った。この拘りこそが高野文子さんである。

    まるで真打ちのように、最後に湯川秀樹が登場する。ハッキリ言って、彼の物理講義はちんぷんかんぷんだけど、最後に紹介される「詩と科学ー子どもたちのためにー」という詩は、それと共に出てくる高野文子さんの幾何学不思議絵と共に、忘れられない「世界」だと思う。

    ほんの一瞬、奇跡的に詩と科学はこの漫画の中で「出会う」。でも、それは高野文子さんがいたから実現出来たことでもある。思えば、加藤周一はしばしばこの奇跡を実現していた。

    それは見ようとする者だけが見ることの出来る世界である。

    幾つも読みたい本が出来た。困ったことになった

    2015年2月17日読了

  • 4人の科学者による著作を紹介したマンガ。なんだか不思議な読後感でしたが、理系に疎い文系人間が自然科学系の本を読んだときのおもしろさってこういうことだよね、って気がした。

  • 科学を漫画にした、というとよくある解説本みたいだが、この本は概念それ自体を絵に置き換える、という冒険的な試みをしている。

著者プロフィール

高野文子(たかの・ふみこ)
1957年新潟県生まれ。漫画家。1982年に日本漫画家協会賞優秀賞、2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。作品集に『るきさん』『おともだち』『絶対安全剃刀』『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』『棒がいっぽん』『黄色い本』がある。漫画作品の他に、絵本なども手掛ける。

「2022年 『増補 本屋になりたい この島の本を売る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野文子の作品

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