マレ・サカチのたったひとつの贈物

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 76
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047015

作品紹介・あらすじ

「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける坂知稀。神のサイコロ遊びなのか、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間もバラバラ。人生を"積み重ね"られない彼女が、世界に爪痕を残すためにとった行動とは-さすらう稀が出会う人々、遭遇する事象、目撃する世界の異変…注目の新星が放つSFフォークロア!

感想・レビュー・書評

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  • (15-33) この本はストーリーを説明しても魅力は伝わらないと思う。これはSF?それともファンタジー?そういうジャンル分けなどどうでもいい、王城夕紀の物語なのだ。
    跳び落ち続ける彼女と一緒に不思議な疾走感の内に読み終わった。内容は全く違うのに、前作「天盆」と通じるものがあったと思う。作者の個性なのだと感じた。

  • 人が求めているのは物語だ。出会いと別れ。偶然。人は何のためにいきるのか。

  • 「量子病」という、自分の意思に関係なく世界中のどこかに身体ごと移動してしまう病気?を持った女の子の物語。

    非常に面白い題材だなと思って読み始めましたが、物語はそれほどSFちっくではなく人間模様が中心。

    最後の一文はグッときます。

    想像していたのとは違う内容でしたが、面白く読めました。

  • 18:めっちゃ好きでした。面白かった……! 題材が好きすぎたというのもあるけど、永遠と偶然、出会いと別れ、人と人とのつながりがじわじわくる。「天盆」でもそうだったけど、さりげないながらもガッシリ掴んでくるエピソードが盛りだくさんで、付箋貼りまくりたい感じ。私のバイブル、神林長平「プリズム」にある「あなたがいて、わたしがいる」を思い出したのでした。嫌いなわけない!(笑) 早速ぽちる勢い!
    本も文章も、読まれることで確定する=読者の存在が本を定義する、のよなあ。一見ばらばらの構成も、そういうことなのかな。

  • 設定はすごく面白かった。主人公のキャラクタが物語の最初のほうと後半ではちょっと違うように感じました。物語が進むにつれて変化したっていう感じでもなく。そこだけ残念。

  • 「天盆」が面白かったので。中盤以降、物語が集束していくさまは心地よい。ともすれば大仰になりそうな言葉をさらりと書けるのは著者の力量だと思う。場所・時間が速いテンポで切り替わるため「彼女」が誰を指すのか、セリフを誰が言ったのかわかりにくい所が少しあったのが残念。意図的かもしれないが。

  • 量子力学と存在哲学文学に融和し、この独特な物語に素敵な水色を与えてた。断片的なストーリはやや散漫さと遊離さが漂ってるが 雰囲気酔いが心地よい。本来重いテーマなわりに、こんなしなやかな文章力に感動した。繰り返すの出会いと別れ、永遠と偶然の結び、最後は一つの尊いプレゼントに収斂する。

  • マレの「解」を聞いたあとの爽やかな読後感は好みです。本来揺らいでいる自我が、なぜ霧散しないのか、それは他者により留めおかれているからという解釈も好き。
    ただ、狐面の男や富豪の老人などあまりにステレオタイプで一人一人が掘り下げられていないのが残念。

    この手のモチーフは手垢にまみれているが、肉体を捨てても新たな肉体となったコンピューターをメンテナンスする外部の手が入らないと、結局永遠に存続はできないのではと、いつも疑問に思う。。
    私が量子コンピューターを理解してないだけなのかな?

  • 雰囲気好き

  • 量子病という量子の世界を軸に組み立てられた存在論.坂知稀という女性が,跳び落ちるという表現で表した現象の不思議.生きるということを別れと出会いで読み解いた物語.静寂の中をさわやかな風が吹き抜けました.とても良かったです.

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著者プロフィール

一九七八年八月、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。二〇一四年、第十回C★NOVELS大賞特別賞を受賞した『天盆』(「天の眷族」を改題)で鮮烈なデビューを飾る。著書に、奇病に冒され、世界中を跳躍し続ける少女の青春を描いた『マレ・サカチのたったひとつの贈物』(中央公論新社)、本の雑誌社『おすすめ文庫王国2017』でオリジナル文庫大賞に輝いた『青の数学』(新潮文庫nex)がある。

「2018年 『マレ・サカチのたったひとつの贈物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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