人生に聴診器をあてる 見失った自分を取り戻す道案内

  • 中央公論新社 (2015年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784120047053

感想・レビュー・書評

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  • イギリスでベストセラーになったベテラン精神分析家によるエッセイです。
    ほぼ、受け持った患者の話で、読むごとに読者の自己点検になる、
    あるいは近しい人を当てはめての分析になるでしょう。
    「ああ、そういうことだったか」などと、
    自分で内省するだけでは気付けないような、
    精神分析家にかからないとわからないようなことが閃いたりします。
    つまりは、これは読書というよりも、深い内省をすることになる本です。
    読むことでたくさんの気付きが得られるでしょう、しかし、
    そのぶん、かなりの精神力を消耗すると思います、僕はそうでした。

    ここ十数年で750冊以上の本を読んでいますけれども、
    読んでいる最中に、その読書がきっかけとなって4日間寝こんだのは初めてです。
    もううつ病になるのだろうかと思うほどでした。
    30~50ページずつくらい毎日読んでいたのですが、
    そのうち寝床から起き上がれなくなり、
    それでも一日に8時間くらいはなんとか起きていられたので、
    執念でまだ読書を続けたり休んだりして、
    残り50ページくらいのところで復活。
    そういうわけですから、これは人によってはかなり苦しみますし、
    読むことで精神面のバランスを崩す方もいらっしゃるのはまず間違いない。
    僕個人としては、自分の家の環境や両親との関係などなどが込み入っていますので、
    本書の各章でそれぞれでてくる精神危機がこれもそうだあれもそうかも、
    とどんどん周囲や自分に当てはまり、
    精神危機の救いようのない、
    まるでコングロマリットみたいになったように感じられるほどでした。

    怖いですねえ。
    そういう本に出くわすこともあるんですねえ。
    まあ、たいていの人はそうかもしれませんが、
    内容に浸染するような性格の極めて強いタイプの読書だと、痛手をこうむります。
    たとえば僕は、学生時代に頭痛持ちで、そのためにあまり読書をしませんでしたが、
    それでも頭痛薬に頼ることなく生活していました。
    でも、今回はヤバイような気がして、頭痛薬を買ってきて何度か飲んだほどです。
    いろいろな本を飲み下してきて(読み下してきて)、
    それなりに解毒作用のある身体(頭)だと思っていましたが、
    きっついものってのはあるもんです。
    でもしかし、そんな本にダイブして得た大きなものもありました。
    転んでもただでは起きない。
    その一番大きな収穫とは、

    「何よりも妄想とは、私には誰も関心を持ってくれないという意識の副産物なのだ。
    (中略)そんな妄想が、世界中に見放されているという絶望から、
    彼女を守ってくれたのである。」

    という見識です。

    妄想過剰になっちゃう人たち、
    薬を処方されるくらいまでになる人たち、
    みんな辛かったんだなあと、
    妄想の出どころが他者からの無関心の意識だと知ってうるうるきました。

    現生人類の累計人口は1000億人前後(プラスマイナス約200億人)
    と試算されるとなにかで読みましたが、
    そのなかに少なからず他者からの無関心の意識のために妄想過剰となり
    精神(脳)に疾患をかかえてしまい、
    そのまま亡くなったり殺されたりした方がほんとうに大勢いただろうと推察できる。
    そういう皆がいたことは僕は忘れたくないタイプなんです。

    僕はそういう思いを基盤として創作していきたいです。
    もしも魔法が使えたなら、
    過去に遡ってまでのすべてのそういう人たちの孤独な思いを消したいくらい。

    このあたりはもっと深掘りして、
    次回、<考えの切れ端>カテゴリーの記事としてアップしますので、
    読んでいただけたら嬉しいです。
    2019年のまだ2月にして、僕の今年最大の発見だと思います。
    とはいえ、どこかに、僕が書く内容と同じような論文があるだとか、
    そもそも、精神分析の世界ではとっくの昔に常識とされているだとか、
    いやいや、論理上あっているように見えるけれど間違いだよだとか、
    あるかもしれないですが、とりあえず書いてみます。

  • 一つひとつの話が面白く、一気に読んだ。「幸せな家庭は一様であるけれど、不幸な家庭は様々である。」ここからは私の意見で、不幸と思われることに意味を見出すとそれは人生の贈り物になる。この著者さんがしていることはその手伝いで、素晴らしい仕事だと思う。

  • 【一言感想】
    自分の異常性は自分自身では気づかない

    ロンドンのベテラン精神分析家が診療の中で出会った患者や出来事を物語の様にした一冊で、とても読みやすくかつ気軽に自己を振り返れる一冊であった

    一部地域では問題になってないことが、他からすると異常であることがあるように、自分自身の無意識行動や考えも実は歪でいることがあるかもしれないため、自らの行動を振り返りつつ、しっかりと自分と向き合う時間の大切さが学べる、そんな気がする本であった

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