志士の峠

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 39
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047169

作品紹介・あらすじ

文久3年(1863)、帝の威光を示す行幸の先鋒隊を命じられた公家・中山忠光は、勤王志士らと大和で挙兵した。五条の代官所を襲撃し新政府樹立を宣言するが、親幕派の公家や薩摩藩などにより朝敵とされ、幕府方諸藩からは猛追を受ける。満身創痍で深き山々を駆ける忠光ら「天誅組」の運命は!?若き大将の苦悩、激動の四十日間。維新には早すぎた「天誅組」の激闘を描く歴史長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎の龍馬がゆくで描かれる、吉村寅太郎や池内蔵太のイメージでは、二人は爽快で知的で行動的だったが、本書でそのイメージが打ち砕かれたかんじ。特定の著者だけでなく、いろいろな人の作品を読んで、自分なりの歴史上の人物の解釈をすべきと思うので、これは良い勉強になった。
    本書の主人公の中山忠光の話とは違ったが。
    忠光は、本書を読む限り、あまりに大きなことを起こすには決断力にかけるし、リーダーシップにも難がある。人間臭くはあるものの、大仕事ができる人物には感じなかった。天誅組が志し半ばで果てたのも、やはり、リーダーシップの取れる人物がいなかったことと、時期を見るのにたけた人物、戦略家がいなかったこと、天皇の大和行幸という一本で、徳川家という腐っても幕府という大物を倒そうとしたことなど、数え上げればきりがない。ただ、本書は、あまり取り上げられることのない、(取り上げるには物足りないからか)、中山忠光の生涯を描いたものであることが、気に入ってはいる。ただ、それだけではあるのだが

  • 早すぎた決起の話であるが、正直、全く知らなかった。この不発に終わった件により何か歴史が変わったとかでもあれば、もう少し語られてもよかったとは思うが、こういうことは実は知らないだけで多くあった時代なのだろう。それにしても寿命が短い時代とはいえ、志士たちが若く、太く濃い人生をおくったのだなと思う。

  • 天誅組の乱の話か。
    歴史の授業の中でその言葉は聞いたことがあったが、全く気にもしてなかった。
    展開、人の位置付けも面白く読めた。
    ラストに至る数ページがいいな。
    改めてネットで情報検索してみると、歴史の定説は随分違うようだった。そういう意味でも面白い。

  • 文久三年、天皇の攘夷親征の先鋒隊となるべく、公家・中山忠光は志士たちを率いて奈良へと向かった。維新には早すぎた「天誅組」の光跡を描く、書き下ろし歴史長篇。

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著者プロフィール

静岡県生まれ。東京女子大学卒業。2003年『桑港にて』で歴史文学賞、09年『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』で中山義秀賞。著書に『帝国ホテル建築物語』『万事オーライ』等。

「2023年 『羊子と玲 鴨居姉弟の光と影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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