あの家に暮らす四人の女

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 2463
レビュー : 405
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

作品紹介・あらすじ

謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声-古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。

感想・レビュー・書評

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  • 古びた洋館に暮す、4人の女性
    鶴代 佐知 雪乃 多恵美

    現代版『細雪』…。
    登場人物が同じ名前という以外は、
    いまいちピンとこなかったのですが…。

    帯にある”ざんねんな女たち”
    少しもざんねんな感じはなく、
    皆どこか浮世離れしていて、自由でゆるい感じ。

    ストーカーだとか、強盗だとか怖い目にあっているのに
    誰一人切迫感がなくてね。
    突然出現する”カラスの善福丸”と”河童の川太郎”にも驚かされます。
    文中の佐知の言葉通り「おとぎ話」といった感じです。

    鶴代母娘が守衛小屋と呼ぶ離れに住む山田。
    空気のような存在とあしらわれながらも
    「私がお守りせねば」と使命感に燃える姿が妙に微笑ましい。
    佐知の”一日失恋事件”
    いや、失恋じゃなくて不恋だ。
    その恋の行方をもう少し読みたかったです。

    空を浮遊しながら見守る父、幸夫の魂の声にホロリ。
    幸夫のためにも、洋館での暮らしがずっと続いてほしいなぁ。
    もし、建て替えになりそうになったら、
    また川太郎に突撃しなくちゃー!ですからね(笑)
    慌てふためく幸夫の姿が目に浮かびます。

    ほのぼのとした読後感で面白かったです。

  • 谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品、現代版「細雪」との帯文句により、あまりにも先入観持ちすぎて全体に漂うユルさに拍子抜けしたというのが正直なところだが、古い洋館に同居する4人の女たちのキャラがなかなかよかった。バツイチの母:鶴代に独身の刺繍作家の娘:佐知、佐知の友人:雪乃に雪乃の職場の後輩:多恵美。それぞれの小さな悩みや迷い、将来への漠然とした不安に苛まれながらも、さり気なくユーモラスな描写がいい具合に脱力させてくれる。そのバランス感覚がさすがだな。親子+居候の何とも不思議な共同体だけど、どこかのほほんとしていて、何だかんだありつつも仲のいい4人のやり取りに和む。
    ただ、語り手が唐突に非現実な存在に替わるところが…正直戸惑いました。ある意味挑戦だったとは思うけど…。若干のハチャメチャ感はあったものの、後半はなかなか面白く読めた。好みが分かれそうかなという気はするけれど、しをんさんだから成立する世界観だなと思いました。

  • 佐知、鶴代、多恵美、雪乃、細雪と同じ名前の赤の他人が、同じ家で共同生活を送る。敷地内には、この家のあれこれを眺めながら、守衛小屋に住み続ける、何と説明していいのか分からない間柄の謎の老人までいる。山田一郎。名前からして嘘くさい。暮らしは頗る快適。一人のアパートで黙々と夕食を食べて寝るだけの毎日とはまるで違う。必ず人の気配があって、おしゃべりはし放題。血縁のない者で送る共同生活は意外に居心地が良い。今後増えていきそうな新しいライフスタイル。「ただいま」と言えば「お帰り」と迎えてくれる人がいる。こういう空間も「うち」(家)というのかもしれない。でき湧くことは他愛もなく下らないことばかり。いろんなことの一切合財を呑み込み毎日は続いていく。必ずしも血縁が頼りにならない時代、譲り合いぶつかりあいながらも、それでも誰かとともに生きていける能力。こういう能力こそが、これからを生きていくための必須の要件になるのかもしれない。

  •  谷崎純一郎先生の「細雪」を読んでおけばよかった。
     母と娘、そして赤の他人の女2人、合計4人が営む日常。ちょこちょこと事件ぽいものは起きるものの、まあどこにでもある日常が淡々と書かれている。
     しかし、しをんさんの文章は綺麗。好き。
     鶴代。佐知。雪乃。多恵美。の4人。いつまでも一緒にいいることはできないのだろうけれど、この平凡で穏やかな日常が長く続けばいいなと思う。
     魂となって4人を見守る、佐知の父、幸夫同様、私も願っておりますよ。
     世の中には、こういう関係があってもいいと思う。日本は血とか家とかにこだわりすぎ。もっと自由であってもいいと思う。

  • 図らずも三浦しをんさんが続きました。
    本当はこちらを先に借りていたのですが、リクエストしていた「愛なき世界」が届き、順番を待っている人が多数いると聞き、先に読んだのでした。
    「愛なき・・・」とはまた違う作風です。
    実は私は三浦作品を今までにたぶん読んだことがない、と思うのです。
    ですのでこれが三浦作品だ!というのがわからないのですが、どれも三浦さんなのでしょうね。
    母と静かに暮らしていた主人公の佐知がひょんなことから他人の女性二人と同居することになり、女ばかり四人の生活が始まります。
    平穏に見えても元カレのストーカーに悩む者がいたり、同じ敷地内に昔から住む老人のことやら、男手のいない不便さを感じたり、いろいろあるわけですが、まあ面白く読んでおりました。

    が、開かずの部屋からカッパのミイラが出てきたり、周辺に住み着く烏がしゃべりだしたりしたあたりから、「えっ?うん?・・・」ちょっとこれは・・路線が違う・・・
    もはやここまでとパタンとしようと思いましたが、
    ここまできてねぇ、ちょっと気にもなるしぃ、と読み進めました。
    あぁそういうことですか、すべては佐知の顔も知らない父親に関わることだったんですね。
    奇想天外な展開に度肝を抜かれましたが、ユーモアあふれる言い回しや、お茶目な憎めない四人の女たちに笑わせてもらいました。
    こういう暮らしもいいかな、なんて。

  • こんな女4人の生活、ちょっと憧れる。
    途中で開かずの間から河童の干物が出てきたり、カラスの視点で語られ出したりと、突拍子も無いことがおこり、笑える。あと結構心に残る文章が多かった。例えば、
    「恋というのは理解ではなく勝手な思い込み。愛というのは思い込みが打ち砕かれたあと、理解しあえぬ相手とそれでも関係を持続する根性と諦めのこと」
    深いね。さすが三浦しをんさん。好きです。

  • 小説を読み終えて感じる、このポカポカな気持ち・・・
    でもこのポカポカはガスファンヒーターのような
    急激な温度上昇ではなく
    オイルヒーターの様にジワジワと足元から効いてくる様な温かさなのだ。

    目の前にいる家族から、目には見えないけれどきっといる
    八百万の神や御先祖様の霊まで
    私たちは自分が考えている以上のたくさんのものたちに守られながら
    生きているのだと思う。
    この小説に出て来る平凡でつつましやかな生活の
    なんと愛に溢れていることか!
    四人の女の間で淡々と交わされる会話に
    時々『プッ』と噴き出しつつ
    心地良い距離感を保ちながら仲良く暮らす彼女たちに
    励まし励まされている自分がいたのでした。

  • タイトル通り1軒の家に住む4人の女性の日常の話。父親はすでに死んでいてカラスと話をしたり、河童の中に入って娘を助けたり(?)とファンタジーな部分はあるが、人の日常ってのぞき見ることはあまりないので、面白く読んだ.
    しをんさんは、日常のささいな出来事ややりとりを面白く解釈することに長けていて、何度かぷっと吹き出した.あぁ、そう解釈しますか、と、ちょっと笑ったりなるほどと思ったり1冊があっという間だった.
    世間的には40近い女が未だ独身で女性ばかりで1軒の家に住んでいたら”ざんねんな”と称されてしまうのだろうけど、人の数だけいろんな生き方があるのに、なぜ女性の独身がざんねんと言われなければならないのか、理解に苦しむ.

    いつもアマゾンとかBOOKデータベースの内容紹介を添付するのだが、”ざんねんな女たちの”とあり、賛成できかねるので、添付しない.

  • 古い洋館に一緒に住んでいる4人の女性。
    四姉妹ではありませんが、谷崎潤一郎の「細雪」へのオマージュらしい?

    家付き娘の鶴代は、バツイチののんきなお母さん。
    娘の佐知は、刺繍作家で独身、やや奥手。
    女二人で暮らしているところへ、佐知の友人・雪乃と、その会社の後輩・多恵美が同居することに。
    雪乃は美人でスタイルもよく、しっかりした女性なのだが、あまり特徴がない和風美人で、よく人に間違えられるという設定がとぼけていて、しをんさんらしい。
    多恵美のほうは、ストーカーから身を隠すのが目的で引っ越してきたのだった。

    この屋敷には門の近くに離れがあり、門番というわけでもないのだが、父親がいぜん使用人だった山田がそのまま、そこに暮らしていた。
    鶴代をお嬢さんと呼ぶ山田は、用心棒のつもりらしい。
    鶴代とは別に男女の関係になったことなどないのだが、長い付き合いで傍目にはしっくりいっているように見えることもあったり。

    「細雪」は大好きな作品。
    谷崎の奥さんの姉妹をモデルに、お嬢さん育ちの四姉妹の生活ぶりが、ゆるゆると描かれています。
    家の跡継ぎのまじめな長女、妹達を預かっている明るい次女の幸子、とても美人だが結婚が決まらず見合いを重ねる雪子、一人だけ現代的で問題を巻き起こす妙子という四姉妹。
    オマージュというほど似てはいませんが。
    こちらは四人とも独身、という所が現代的?
    結婚しなくても女同士の暮らしでも良い、他人の男と女でも曖昧な関係だって悪くないじゃないか?というような。

    何気ない日常がゆったりと描かれ、このまま行くのかな‥?
    と思っていると、世界が激変~ファンタジー風味に。
    河童のミイラが家にあるというエピソードも笑えるけど、さらにこれが~~~
    近所のカラスも、一筋縄ではいかない設定と展開で、仰天。
    こうなると、ぜんぜん「細雪」ではないけれど、まあそのままでもつまらない?
    謎のタイトルは誰の視点なのか?と思っていたら、こういうことでしたか!
    結果的にはほのぼのする読後感で、面白かったです☆

    [追記:谷崎潤一郎は美しい女性を崇めるように観察してインスピレーションを得ていた作家。
    「細雪」の雪子を見つめていた義兄のように。
    この作品には四人の女性に夫は不在だけど、門番やストーカーや河童やカラス?などという見守っている存在はいたりして。そのへんにオマージュがあるのかも?]

  • #読了。東京郊外の古い洋館で暮らす、鶴代・佐知親子と佐知の友人雪乃とその後輩多恵美。4人の女性の生活をユーモラスに描く物語。
    離れで暮らす老人山田のキャラクターもよかったが、カラスや河童には驚いた。この手の話になるとバカバカしくなってしまうものもあるが、三浦しをんさんの描き方や語り口がよく、面白かった。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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