あの家に暮らす四人の女

  • 中央公論新社 (2015年7月10日発売)
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  • 本 ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

感想・レビュー・書評

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  • この作品は谷崎潤一郎氏の没後50年にあたって新全集が刊行され、その版元から谷崎作品にちなんだ描き下ろし作品が何人かの第一線の現代作家に委託されたうちの一つだそうです。
    谷崎氏の名作「細雪」の登場人物の名前やキャラクターを拝借し、戦争前後の芦屋が舞台だった細雪から、現代の東京にうつした物語になっています。
    4人の女性たちのキャラクターがはっきりしていて、とても面白い作品でした。
    霊的なものが活躍するので、好みが分かれるところではありますが、三浦しをん氏らしい作品に仕上がっていました。

  • 実際にいそうな、しかしなかなかに個性的な女性4人の共同生活が楽しそうすぎて羨ましくなりました。
    棘がちらほら隠れているのも良きです。

    4人ともしっかり大人ですが時々思春期みたいなこともして妙に共感ができます。
    語りが意外なあの人なのも後半に分かって『えーっ!?』ってなりつつ三浦さんらしくてとても良かったです。

  • 古びた洋館に暮す、4人の女性
    鶴代 佐知 雪乃 多恵美

    現代版『細雪』…。
    登場人物が同じ名前という以外は、
    いまいちピンとこなかったのですが…。

    帯にある”ざんねんな女たち”
    少しもざんねんな感じはなく、
    皆どこか浮世離れしていて、自由でゆるい感じ。

    ストーカーだとか、強盗だとか怖い目にあっているのに
    誰一人切迫感がなくてね。
    突然出現する”カラスの善福丸”と”河童の川太郎”にも驚かされます。
    文中の佐知の言葉通り「おとぎ話」といった感じです。

    鶴代母娘が守衛小屋と呼ぶ離れに住む山田。
    空気のような存在とあしらわれながらも
    「私がお守りせねば」と使命感に燃える姿が妙に微笑ましい。
    佐知の”一日失恋事件”
    いや、失恋じゃなくて不恋だ。
    その恋の行方をもう少し読みたかったです。

    空を浮遊しながら見守る父、幸夫の魂の声にホロリ。
    幸夫のためにも、洋館での暮らしがずっと続いてほしいなぁ。
    もし、建て替えになりそうになったら、
    また川太郎に突撃しなくちゃー!ですからね(笑)
    慌てふためく幸夫の姿が目に浮かびます。

    ほのぼのとした読後感で面白かったです。

  • 読んだことないと思って読み始めたが、以前読んでいた。
    面白い!女4人集まると、まぁ面白いよね。
    漫画を読んでいる気分だ。佐知に幸あれなんて寒いギャグをしんみり考えながら読了。

  •  阿佐ヶ谷駅から徒歩約20分。杉並区の善福寺川が蛇行するあたり。
     そこに,女ばかり四人が暮らす家がある。
     牧田家は庭付きの古い洋館。
     台所はリフォームしたものの,それ以外は建てたときのまま,長い年月が経っている。

     刺繍作家で,家でこじんまりと刺繍教室を開いている娘の佐知。
     外で働いた経験はなく,自分で稼いだこともない「箱入り娘」のまま七十代を迎えた母の鶴代。
     そこに,仕事はできるけれど男の影も形もない雪乃がひょんな事で転がり込んできて,その数カ月後にストーカーとなった元カレから逃げる形で雪乃の会社の後輩の多恵美が転がり込んできて。

     奇妙な形での四人での暮らしと,庭の離れで先代のころから用心棒のように暮らしている山田老人。

     日常の小さな出来事,喜び,憤り,悲しみ,落胆,ていねいに読ませてくれる本です。
     全くちがうタイプの四人それぞれの人生というか,女の一生の縮図を見ているみたいです。
     私個人的に一番共感できるのは佐知でしょうか。

     ただ,後半,ものすごく物語が動きます。ネタバレになるので書きませんが。すごいです。(語彙力)


     『細雪』谷崎潤一郎へのリスペクトありきで書かれたそうですが,その『細雪』はまだ読んだことがないので,これをきっかけに読んでみたくなりました。

  • タイトル通り1軒の家に住む4人の女性の日常の話。父親はすでに死んでいてカラスと話をしたり、河童の中に入って娘を助けたり(?)とファンタジーな部分はあるが、人の日常ってのぞき見ることはあまりないので、面白く読んだ.
    しをんさんは、日常のささいな出来事ややりとりを面白く解釈することに長けていて、何度かぷっと吹き出した.あぁ、そう解釈しますか、と、ちょっと笑ったりなるほどと思ったり1冊があっという間だった.
    世間的には40近い女が未だ独身で女性ばかりで1軒の家に住んでいたら”ざんねんな”と称されてしまうのだろうけど、人の数だけいろんな生き方があるのに、なぜ女性の独身がざんねんと言われなければならないのか、理解に苦しむ.

    いつもアマゾンとかBOOKデータベースの内容紹介を添付するのだが、”ざんねんな女たちの”とあり、賛成できかねるので、添付しない.

  • 刺繍
    河童
    ストーカー
    水難の相

    平和なストーリー
    そこそこの事件は起きるけど、同居人達の会話が面白く、ちょっと吹き出す場面も
    図書館本

  • 4人の女性と守衛がわりの老人、そしてそれを取り巻く人々が少しずつ変化する日常を送る様子を描いたストーリーだった。ところどころでクスッと微笑み、女性たちの暮らしぶりに、自身のあてもない生活を寄り添わせるなどした。

    いつどんな時に変化が起こるかわからないな...と感じた。このまま私は生きていくのだと思っていたら、案外それを崩すような悲喜交々のことが起こったり...
    ゆっくりとした時間を眺めました。
    ドラマにしたら面白そう。

  • きっと
    三浦しをんさん自身も
    楽しみながら書いたんじゃないかな?

    個性派女優4人でドラマにしたら
    面白そう!

    軽いタッチのコメディ。

    重い本を読むのが続いたら、
    お口直しに
    最適かも。

  • しをんちゃんの描く、人々の暮らしぶりがとても好きです。
    それぞれ個々で独立した人たちが、なんだかんだで寄り集まり、一つ屋根の下で暮らす。
    お互いに寄りかかりすぎず、ベタベタしていない感じが、読んでいて心地よかったです。

    それぞれがそれぞれにマイペースな女4人は、あんまり危機感や切迫感がなくてふわふわした感じ。
    急にしゃべるカラスの善福丸や河童のミイラなども登場し、地に足が着いているようないないような感じを味わいながら読んでいました。
    …が、この物語の語り手の正体が明らかになったら、なんだかこのふわふわ感にも納得がいきました。

    ふわふわしつつも、時折彼女たちの心情がかなりリアルに描かれていたりするので油断できません。
    特に30代後半の佐知と雪乃の言葉や心の内に、不意打ちのようにどきりとさせられました。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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