あの家に暮らす四人の女

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 2485
レビュー : 410
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

作品紹介・あらすじ

謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声-古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。

感想・レビュー・書評

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  • 古びた洋館に暮す、4人の女性
    鶴代 佐知 雪乃 多恵美

    現代版『細雪』…。
    登場人物が同じ名前という以外は、
    いまいちピンとこなかったのですが…。

    帯にある”ざんねんな女たち”
    少しもざんねんな感じはなく、
    皆どこか浮世離れしていて、自由でゆるい感じ。

    ストーカーだとか、強盗だとか怖い目にあっているのに
    誰一人切迫感がなくてね。
    突然出現する”カラスの善福丸”と”河童の川太郎”にも驚かされます。
    文中の佐知の言葉通り「おとぎ話」といった感じです。

    鶴代母娘が守衛小屋と呼ぶ離れに住む山田。
    空気のような存在とあしらわれながらも
    「私がお守りせねば」と使命感に燃える姿が妙に微笑ましい。
    佐知の”一日失恋事件”
    いや、失恋じゃなくて不恋だ。
    その恋の行方をもう少し読みたかったです。

    空を浮遊しながら見守る父、幸夫の魂の声にホロリ。
    幸夫のためにも、洋館での暮らしがずっと続いてほしいなぁ。
    もし、建て替えになりそうになったら、
    また川太郎に突撃しなくちゃー!ですからね(笑)
    慌てふためく幸夫の姿が目に浮かびます。

    ほのぼのとした読後感で面白かったです。

  • 谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品、現代版「細雪」との帯文句により、あまりにも先入観持ちすぎて全体に漂うユルさに拍子抜けしたというのが正直なところだが、古い洋館に同居する4人の女たちのキャラがなかなかよかった。バツイチの母:鶴代に独身の刺繍作家の娘:佐知、佐知の友人:雪乃に雪乃の職場の後輩:多恵美。それぞれの小さな悩みや迷い、将来への漠然とした不安に苛まれながらも、さり気なくユーモラスな描写がいい具合に脱力させてくれる。そのバランス感覚がさすがだな。親子+居候の何とも不思議な共同体だけど、どこかのほほんとしていて、何だかんだありつつも仲のいい4人のやり取りに和む。
    ただ、語り手が唐突に非現実な存在に替わるところが…正直戸惑いました。ある意味挑戦だったとは思うけど…。若干のハチャメチャ感はあったものの、後半はなかなか面白く読めた。好みが分かれそうかなという気はするけれど、しをんさんだから成立する世界観だなと思いました。

  • 佐知、鶴代、多恵美、雪乃、細雪と同じ名前の赤の他人が、同じ家で共同生活を送る。敷地内には、この家のあれこれを眺めながら、守衛小屋に住み続ける、何と説明していいのか分からない間柄の謎の老人までいる。山田一郎。名前からして嘘くさい。暮らしは頗る快適。一人のアパートで黙々と夕食を食べて寝るだけの毎日とはまるで違う。必ず人の気配があって、おしゃべりはし放題。血縁のない者で送る共同生活は意外に居心地が良い。今後増えていきそうな新しいライフスタイル。「ただいま」と言えば「お帰り」と迎えてくれる人がいる。こういう空間も「うち」(家)というのかもしれない。でき湧くことは他愛もなく下らないことばかり。いろんなことの一切合財を呑み込み毎日は続いていく。必ずしも血縁が頼りにならない時代、譲り合いぶつかりあいながらも、それでも誰かとともに生きていける能力。こういう能力こそが、これからを生きていくための必須の要件になるのかもしれない。

  •  谷崎純一郎先生の「細雪」を読んでおけばよかった。
     母と娘、そして赤の他人の女2人、合計4人が営む日常。ちょこちょこと事件ぽいものは起きるものの、まあどこにでもある日常が淡々と書かれている。
     しかし、しをんさんの文章は綺麗。好き。
     鶴代。佐知。雪乃。多恵美。の4人。いつまでも一緒にいいることはできないのだろうけれど、この平凡で穏やかな日常が長く続けばいいなと思う。
     魂となって4人を見守る、佐知の父、幸夫同様、私も願っておりますよ。
     世の中には、こういう関係があってもいいと思う。日本は血とか家とかにこだわりすぎ。もっと自由であってもいいと思う。

  • 図らずも三浦しをんさんが続きました。
    本当はこちらを先に借りていたのですが、リクエストしていた「愛なき世界」が届き、順番を待っている人が多数いると聞き、先に読んだのでした。
    「愛なき・・・」とはまた違う作風です。
    実は私は三浦作品を今までにたぶん読んだことがない、と思うのです。
    ですのでこれが三浦作品だ!というのがわからないのですが、どれも三浦さんなのでしょうね。
    母と静かに暮らしていた主人公の佐知がひょんなことから他人の女性二人と同居することになり、女ばかり四人の生活が始まります。
    平穏に見えても元カレのストーカーに悩む者がいたり、同じ敷地内に昔から住む老人のことやら、男手のいない不便さを感じたり、いろいろあるわけですが、まあ面白く読んでおりました。

    が、開かずの部屋からカッパのミイラが出てきたり、周辺に住み着く烏がしゃべりだしたりしたあたりから、「えっ?うん?・・・」ちょっとこれは・・路線が違う・・・
    もはやここまでとパタンとしようと思いましたが、
    ここまできてねぇ、ちょっと気にもなるしぃ、と読み進めました。
    あぁそういうことですか、すべては佐知の顔も知らない父親に関わることだったんですね。
    奇想天外な展開に度肝を抜かれましたが、ユーモアあふれる言い回しや、お茶目な憎めない四人の女たちに笑わせてもらいました。
    こういう暮らしもいいかな、なんて。

  • こんな女4人の生活、ちょっと憧れる。
    途中で開かずの間から河童の干物が出てきたり、カラスの視点で語られ出したりと、突拍子も無いことがおこり、笑える。あと結構心に残る文章が多かった。例えば、
    「恋というのは理解ではなく勝手な思い込み。愛というのは思い込みが打ち砕かれたあと、理解しあえぬ相手とそれでも関係を持続する根性と諦めのこと」
    深いね。さすが三浦しをんさん。好きです。

  • 小説を読み終えて感じる、このポカポカな気持ち・・・
    でもこのポカポカはガスファンヒーターのような
    急激な温度上昇ではなく
    オイルヒーターの様にジワジワと足元から効いてくる様な温かさなのだ。

    目の前にいる家族から、目には見えないけれどきっといる
    八百万の神や御先祖様の霊まで
    私たちは自分が考えている以上のたくさんのものたちに守られながら
    生きているのだと思う。
    この小説に出て来る平凡でつつましやかな生活の
    なんと愛に溢れていることか!
    四人の女の間で淡々と交わされる会話に
    時々『プッ』と噴き出しつつ
    心地良い距離感を保ちながら仲良く暮らす彼女たちに
    励まし励まされている自分がいたのでした。

  • タイトル通り1軒の家に住む4人の女性の日常の話。父親はすでに死んでいてカラスと話をしたり、河童の中に入って娘を助けたり(?)とファンタジーな部分はあるが、人の日常ってのぞき見ることはあまりないので、面白く読んだ.
    しをんさんは、日常のささいな出来事ややりとりを面白く解釈することに長けていて、何度かぷっと吹き出した.あぁ、そう解釈しますか、と、ちょっと笑ったりなるほどと思ったり1冊があっという間だった.
    世間的には40近い女が未だ独身で女性ばかりで1軒の家に住んでいたら”ざんねんな”と称されてしまうのだろうけど、人の数だけいろんな生き方があるのに、なぜ女性の独身がざんねんと言われなければならないのか、理解に苦しむ.

    いつもアマゾンとかBOOKデータベースの内容紹介を添付するのだが、”ざんねんな女たちの”とあり、賛成できかねるので、添付しない.

  • 古い洋館に一緒に住んでいる4人の女性。
    四姉妹ではありませんが、谷崎潤一郎の「細雪」へのオマージュらしい?

    家付き娘の鶴代は、バツイチののんきなお母さん。
    娘の佐知は、刺繍作家で独身、やや奥手。
    女二人で暮らしているところへ、佐知の友人・雪乃と、その会社の後輩・多恵美が同居することに。
    雪乃は美人でスタイルもよく、しっかりした女性なのだが、あまり特徴がない和風美人で、よく人に間違えられるという設定がとぼけていて、しをんさんらしい。
    多恵美のほうは、ストーカーから身を隠すのが目的で引っ越してきたのだった。

    この屋敷には門の近くに離れがあり、門番というわけでもないのだが、父親がいぜん使用人だった山田がそのまま、そこに暮らしていた。
    鶴代をお嬢さんと呼ぶ山田は、用心棒のつもりらしい。
    鶴代とは別に男女の関係になったことなどないのだが、長い付き合いで傍目にはしっくりいっているように見えることもあったり。

    「細雪」は大好きな作品。
    谷崎の奥さんの姉妹をモデルに、お嬢さん育ちの四姉妹の生活ぶりが、ゆるゆると描かれています。
    家の跡継ぎのまじめな長女、妹達を預かっている明るい次女の幸子、とても美人だが結婚が決まらず見合いを重ねる雪子、一人だけ現代的で問題を巻き起こす妙子という四姉妹。
    オマージュというほど似てはいませんが。
    こちらは四人とも独身、という所が現代的?
    結婚しなくても女同士の暮らしでも良い、他人の男と女でも曖昧な関係だって悪くないじゃないか?というような。

    何気ない日常がゆったりと描かれ、このまま行くのかな‥?
    と思っていると、世界が激変~ファンタジー風味に。
    河童のミイラが家にあるというエピソードも笑えるけど、さらにこれが~~~
    近所のカラスも、一筋縄ではいかない設定と展開で、仰天。
    こうなると、ぜんぜん「細雪」ではないけれど、まあそのままでもつまらない?
    謎のタイトルは誰の視点なのか?と思っていたら、こういうことでしたか!
    結果的にはほのぼのする読後感で、面白かったです☆

    [追記:谷崎潤一郎は美しい女性を崇めるように観察してインスピレーションを得ていた作家。
    「細雪」の雪子を見つめていた義兄のように。
    この作品には四人の女性に夫は不在だけど、門番やストーカーや河童やカラス?などという見守っている存在はいたりして。そのへんにオマージュがあるのかも?]

  • #読了。東京郊外の古い洋館で暮らす、鶴代・佐知親子と佐知の友人雪乃とその後輩多恵美。4人の女性の生活をユーモラスに描く物語。
    離れで暮らす老人山田のキャラクターもよかったが、カラスや河童には驚いた。この手の話になるとバカバカしくなってしまうものもあるが、三浦しをんさんの描き方や語り口がよく、面白かった。

  • はじめて読む作家さんの本。

    すごくおもしろかった!です。
    今年読んだ中で一番。

    何の変哲もない、旧家で暮らす4人の女性の日常の物語(タイトルそのまま・・・)ですが、もう惹き込まれ一気読みです。
    何がツボだったのか。ストーリーはよくある女性同士の共同生活をつらつらと、なのですが、ところどころ笑いがこみあげてくるところがあります。

    あと、キャラが光ってました。
    母親の鶴代さんがぴか一ですが、娘の佐知もなかなか。
    同居の二人が違う個性なのも。

    人生、いろいろあっても楽しいし。こんな風にゆるーく生きていくのもいいな、と。

  • アラフォーで独身の佐知、その母鶴代、佐知の友人の雪乃、雪乃の会社の後輩の多恵美。
    4人が暮らす古い洋館で、静かに日常が繰り返される。たまに不思議なことが起こりながら。

    淡々と4人の女性の日々を描いているかと思いきや、河童のミイラ(偽物)が出てきたり、カラスがいきなり語り手となったりと、ファンタジー感が一気に高まる場面もあり、まるでアトラクションのような飽きさせない長編。

    どこか浮世離れした呑気さの鶴代や警戒心のなさすぎな多恵美など、個性豊かな彼女たちの会話が面白い。

  • 木暮荘物語が好きな私にとって

    何人もの人間の共生

    というような背景の、小説は
    好物と捉え、タイトルで選んだ作品。

    途中、まさかの展開に
    驚いたけれど、
    万城目作品を読み続けていた今の私には
    案外すんなり受け入れられる程度のファンタジーでした。

    振り返ると
    ちょっと笑っちゃう。

    けれど
    泣ける。

    やっぱり、三浦しをんさんの作品は
    気持ちがあったかくなります。

  • 母娘と友人、その後輩。女四人がひょうんなことから同居を始めた都内の洋館。母娘を昔から見守る老人や異界の目も入りながら、大小様々な事件をまったり乗り越え、ゆっくり変化する日常。居心地の良さの中にも、遅かれ早かれ変化するであろう環境に揺らぎつつ、これからも「でも幸せ」なのだろうと思う。「昔あんなことあったよね」と幸せな日々を回想するのが現在進行形であるかのような。今それをわかっていて良かったと思えるような。こんなシェアハウスっぽい老後、あこがれるかも。でも現実には資金面との闘いだろうな。

  • 古い洋館に住む4人の女性たち。親娘、娘の友人、友人の後輩。まるで「細雪」の姉妹のように暮す女性たちの日常が描かれています。ストーカー騒ぎだったり、雨漏りだったり日常がのんびり過ぎていく。物語の中心の佐知は不器用でついつい応援したくなるし、その友人の雪乃との友情も近過ぎもなく遠くもなくちょうどいい。4人の女たちがそれぞれ魅力的で、こんな共同生活はおとぎ話のようで、ありえないと思いながらあったらいいなと夢見てしまう。三浦しをんさんのお話はいつもどこかくすっと笑いを誘います。最後までほっこりした気分になれるステキな小説です。

  • あらすじ
    東京の阿佐ヶ谷。新宿までは10分だけど、駅からは徒歩20分のお化け屋敷なみの古い家。38歳刺繍作家の佐知、母の鶴代、佐知の友人雪乃、雪乃の後輩多恵美が暮らす。離れには使用人の息子だった老人山田。ある日は、開かずの間からカッパのミイラを見つけてしまったり、あるときは多恵美の元彼問題を解決したりしながら暮らす。

    軽ーく読める。何か発展があるとか、前に進むとかはあまりない。ただただ女4人の暮らしをふつーに書いている。東京なのに、よく育つ畑とか、デパート行くのに一大事とか、お風呂上がりに部屋に上がり込んでうだうだしゃべるとか、ドラマにしたら面白そう。深夜枠のゆるい時間に。

  • *謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声―古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』*

    タイトル通り、4人の女の共同生活をゆるゆると綴った物語。途中まではよくある内容でさらっと読みましたが、語り手が変わった途端、見える情景が変わりました。この世にはない多くのものに見守られているー普段は気付きもしないこのことに胸を突かれます。やさしい読後感、さすがです。

  • じぶんのことかとおもった

  • ちょっと風変わりだけど、
    すっごく当たり前の日常を
    現実的に描いてる。
    かと思いきや急激に
    ファンタスティックになったり。

    佐知のじっと考えてること、
    雪乃の思うこと、鶴代の生き方、
    それぞれ風情があって好きだった。
    山田さんへの当たりの話も、
    自分の中での実感のない父への思いだったり。
    けっこうじわじわ好きな感じだったなぁ。
    梶さんもよい。

    突拍子のなさがすごいので、☆4で。
    でも神田くんターンはけっこう好きだった。

  • タイトル通りのとある豪邸に同居する母娘とあかの他人の同居人女性2人の計4人の女だらけの同居生活を描いた作品で、坦々と物語が進んでいき、気が付けば物語が終わっていたという何とも表現の難しい作品でした。

  • 血がつながっていてもいなくても
    家族ですよね。
    ゆるくつながっている、でもなんか心強くなれる
    いいなって思った。

  • あまり乗りきれず。
    お父さんが佐知を助けるところはちょっと
    ほろっとしたけども状況考えると
    そこまででもないかなとか。
    見守るのとストーカーとの境界線はどこだろうと考えてしまった。

  • 〇洋館に住まう4人の女性の人生譚。三人称の楽しさと、次々起こる事件に河童の登場でイッキ読み!
    杉並区の善福寺川沿いにある洋館。牧田家の長女佐知と、その母鶴代が暮らしている洋館に、佐知が雪乃を、雪乃が多恵美を誘い、4人で暮らすことになった。洋館では諍いなく日々楽しく暮らしているが、雨漏りやストーカー事件、開かずの間が開いちゃった事件など様々な事件が起こる。一生独身ではいたくない佐知たちは、この洋館や起こりくる事件の中でいったいどんなことを考え、行動するのか。

    普通の小説と比べると、昭和マダムの丁寧な言葉遣いに加え、彼女らの和語のきれいさや名だたる文学作品の一節を取り出して心情を語ろうとするところが全体を通しおかしみを与えていて、漠然と好きだなぁと思う。加えて、作者も様々なインタビューで話しているが、三人称の語りが面白くて。情景や演技している姿が、まるでテレビドラマを見ているように、字幕放送を見ているかのように、伝わってくる様はどの小説でも体験できないのではないか。
    そして男性の書かれ方も面白い。朴訥な山田さんやひょんなところから登場する神田さんらの、男らしくなく、女性に囲まれる男キャラっぽいと言えばそうなるだろう。ダメキャラの中に、一人だけ、佐知がお近づきになりたいと思う男性が登場することも、この物語ではアクセントになっている。
    途中、起こる様々な事件は次にどうなるのか、と読者の興味もそそり、イッキ読みだ。

    現代版「細雪」と帯文に書いてあるが、谷崎の細雪はまるで読んだことがない。しかし、ネットなどであらすじを調べてみるとなるほど近しい部分があるところを見ると、細雪のオマージュ、とも呼べそうである。

  • 三浦しをんさんの本は初めて読んだ。

    物語はタイトル通り、一軒家に住む女四人のお話。
    女性の内、2人は親子で、あとの2人は娘がひょんな縁から知り合った女性とその後輩が訳ありでこの家に住むようになった、という形。
    都内に建つ十分な広さの一軒家。
    そこに住む女性たちは、年代も性格も様々。
    親子の内の母親、鶴代は世間知らずだが飄々、堂々とした性格。
    娘の佐知は仕事が家でする仕事ー刺繍作家でおっとりしたお嬢さん気質ながら心配性。
    佐知と人違いから知り合った雪乃はその出会いの通り、人から顔を覚えられにくい印象の薄い女性。
    その後輩、多恵美は男運が悪く人がいい女性。
    そんな女性たちがちょっとした自分たちの作ったルールをまったりと守りながら暮らしている日常を描いた物語。
    古くて大きな家には開かずの間があったり、多恵美につきまとう暴力男、ちょっとしたトキメキ・・・そんなのがゆったりとした調子で描かれている。

    まず、読んでいて「いいな~」と思った。
    血のつながっていない女性が複数一緒に住むと細かい部分でイライラする所がありそうだけど、うまい具合にこの物語では暮らしている感じがして・・・。
    あと、何といっても都内の一軒家。
    静かな環境で、将来の不安などはありつつも刺繍という仕事をしながら暮らしている様子。
    ちょっとした時に自分の気持ちをポッと話せる相手がいる状況。
    羨ましい~!

    せわしなく生きている現代からスッポリ抜け落ちた別世界がここに広がっている。
    この物語はそれぞれの女性を主人公にサッと語り手が変るけど、主な主人公はやはり佐知という事になると思う。
    彼女の仕事のように、チクチクとひと針ひと針、丁寧に生きているって感じが伝わってきてよかった。
    こんな風に暮らしてみたいと思う。

    ちょっとした事件や恋もまじえて、しみじみというよりはドタバタ劇みたいな感じもあったけど、全体的なまったり感が良かった。
    ポッと書いてる作者の繊細な文章表現も素敵だと思った。

  •  タイトルの通り「あの家に暮らす四人の女」にまつわる物語だった。
     ものすごい事件が起きる訳でもなければ(起きていると言えば起きているのだけれども、日常的にさらりと流される)。
     この文体。
     一人称とも、三人称ともいえない、語り手が物語と一体となった言葉で物語を語れる人は少ない。なぜならそれは神の視点だから。
     不用意に使うと、なんとも居心地の悪いことになる。

     けれども、作家としての人格が確立し、この文体を使い始めると、なんというか、もうこれでしか語れないダイナミックな展開がある。もう世界創造である。
     やっぱり三浦しをんは面白いなぁ。

  • 三浦さんの本はとても読みやすい。
    少し厚めでもサクサクッと。テンポがいい。
    現実的なんだけど、とてもファンタジー感もある。素敵な本だった。
    カラスだのかっぱだの、そしていないはずのお父さんも登場するけど。
    あの後、左知が幸せになってくれたらいいな。

  • タイトルそのまま、とある洋館に住む4人の女の話。

    母娘と娘の友達とその後輩、でも、ひとつ屋根の下で暮らす彼女達は、家族ではないとても不思議な間柄で結ばれていて。
    あれ?この感じ、「すいか」に似てる?と思っていたら、最後はすいかを食べながらの夏の夕暮れ。
    思っていたのは私だけでしょうか。

    カラスとか河童とか、お父さんの霊とか、あれれ?な感じも途中にありましたが、ラストのまとめで、全てひっくるめて、必要な登場人物だったなと納得です。

    4人の女達が、みんな可愛い。
    私も密かに、彼女達を見守っていたいような気がしています。

  • 三浦さんの文章がとても素敵です。文章で笑っちゃう。会話も笑っちゃう。出てくる登場人物が、ちょっとギャグめいていて笑っちゃう。真面目なんだけど、なんだかちょっと滑稽です。
    その代表は、娘の誕生に際して河童のミイラ買ってきちゃったお父さんかな…
    カラスにぶら下がりながら、死してなおリフォームを阻む彼が愛おしい可愛い。
    でもそろそろ成仏した方がいいかも…
    でも、そうやって見守られているってことに、なんだかすごく安心してしまう気持ちもあるんです。

  • 古い洋館に住む4人の女性と周囲の男性たち。
    同じ敷地に住み続けるおじいさん。刺繍に興味を持っている内装屋のイケメン。ストーカー。
    かっぱのミイラに憑依する家を追い出され死んだ父親。カラスの集合体。
    不思議な世界でした。刺繍を生業にしている娘と内装やさんの恋の行方が気になる❗

  • 現代東京の都会、一つ屋根の下に暮らす4人の女性たちの生活を描いている。大都会でありながら、また現代でありながらその話の内容は浮世離れしており、まるで大正か昭和初期のような雰囲気を漂わせる。帯に「谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品」とあるがその浮世離れした4人の女性は確かに「細雪」を彷彿とさせる。ただ「あの家に・・・」の作品はそこまで谷崎を意識してないのではないか。終焉にはファンタジーのようなストーリー展開もあり、軽妙なタッチも感じさせる不思議な作品だ。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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