あの家に暮らす四人の女

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 2615
レビュー : 428
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

作品紹介・あらすじ

謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声-古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。

感想・レビュー・書評

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  • この作品は谷崎潤一郎氏の没後50年にあたって新全集が刊行され、その版元から谷崎作品にちなんだ描き下ろし作品が何人かの第一線の現代作家に委託されたうちの一つだそうです。
    谷崎氏の名作「細雪」の登場人物の名前やキャラクターを拝借し、戦争前後の芦屋が舞台だった細雪から、現代の東京にうつした物語になっています。
    4人の女性たちのキャラクターがはっきりしていて、とても面白い作品でした。
    霊的なものが活躍するので、好みが分かれるところではありますが、三浦しをん氏らしい作品に仕上がっていました。

  • 古びた洋館に暮す、4人の女性
    鶴代 佐知 雪乃 多恵美

    現代版『細雪』…。
    登場人物が同じ名前という以外は、
    いまいちピンとこなかったのですが…。

    帯にある”ざんねんな女たち”
    少しもざんねんな感じはなく、
    皆どこか浮世離れしていて、自由でゆるい感じ。

    ストーカーだとか、強盗だとか怖い目にあっているのに
    誰一人切迫感がなくてね。
    突然出現する”カラスの善福丸”と”河童の川太郎”にも驚かされます。
    文中の佐知の言葉通り「おとぎ話」といった感じです。

    鶴代母娘が守衛小屋と呼ぶ離れに住む山田。
    空気のような存在とあしらわれながらも
    「私がお守りせねば」と使命感に燃える姿が妙に微笑ましい。
    佐知の”一日失恋事件”
    いや、失恋じゃなくて不恋だ。
    その恋の行方をもう少し読みたかったです。

    空を浮遊しながら見守る父、幸夫の魂の声にホロリ。
    幸夫のためにも、洋館での暮らしがずっと続いてほしいなぁ。
    もし、建て替えになりそうになったら、
    また川太郎に突撃しなくちゃー!ですからね(笑)
    慌てふためく幸夫の姿が目に浮かびます。

    ほのぼのとした読後感で面白かったです。

  • タイトル通り1軒の家に住む4人の女性の日常の話。父親はすでに死んでいてカラスと話をしたり、河童の中に入って娘を助けたり(?)とファンタジーな部分はあるが、人の日常ってのぞき見ることはあまりないので、面白く読んだ.
    しをんさんは、日常のささいな出来事ややりとりを面白く解釈することに長けていて、何度かぷっと吹き出した.あぁ、そう解釈しますか、と、ちょっと笑ったりなるほどと思ったり1冊があっという間だった.
    世間的には40近い女が未だ独身で女性ばかりで1軒の家に住んでいたら”ざんねんな”と称されてしまうのだろうけど、人の数だけいろんな生き方があるのに、なぜ女性の独身がざんねんと言われなければならないのか、理解に苦しむ.

    いつもアマゾンとかBOOKデータベースの内容紹介を添付するのだが、”ざんねんな女たちの”とあり、賛成できかねるので、添付しない.

  • しをんちゃんの描く、人々の暮らしぶりがとても好きです。
    それぞれ個々で独立した人たちが、なんだかんだで寄り集まり、一つ屋根の下で暮らす。
    お互いに寄りかかりすぎず、ベタベタしていない感じが、読んでいて心地よかったです。

    それぞれがそれぞれにマイペースな女4人は、あんまり危機感や切迫感がなくてふわふわした感じ。
    急にしゃべるカラスの善福丸や河童のミイラなども登場し、地に足が着いているようないないような感じを味わいながら読んでいました。
    …が、この物語の語り手の正体が明らかになったら、なんだかこのふわふわ感にも納得がいきました。

    ふわふわしつつも、時折彼女たちの心情がかなりリアルに描かれていたりするので油断できません。
    特に30代後半の佐知と雪乃の言葉や心の内に、不意打ちのようにどきりとさせられました。

  • 谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品、現代版「細雪」との帯文句により、あまりにも先入観持ちすぎて全体に漂うユルさに拍子抜けしたというのが正直なところだが、古い洋館に同居する4人の女たちのキャラがなかなかよかった。バツイチの母:鶴代に独身の刺繍作家の娘:佐知、佐知の友人:雪乃に雪乃の職場の後輩:多恵美。それぞれの小さな悩みや迷い、将来への漠然とした不安に苛まれながらも、さり気なくユーモラスな描写がいい具合に脱力させてくれる。そのバランス感覚がさすがだな。親子+居候の何とも不思議な共同体だけど、どこかのほほんとしていて、何だかんだありつつも仲のいい4人のやり取りに和む。
    ただ、語り手が唐突に非現実な存在に替わるところが…正直戸惑いました。ある意味挑戦だったとは思うけど…。若干のハチャメチャ感はあったものの、後半はなかなか面白く読めた。好みが分かれそうかなという気はするけれど、しをんさんだから成立する世界観だなと思いました。

  •  谷崎純一郎先生の「細雪」を読んでおけばよかった。
     母と娘、そして赤の他人の女2人、合計4人が営む日常。ちょこちょこと事件ぽいものは起きるものの、まあどこにでもある日常が淡々と書かれている。
     しかし、しをんさんの文章は綺麗。好き。
     鶴代。佐知。雪乃。多恵美。の4人。いつまでも一緒にいいることはできないのだろうけれど、この平凡で穏やかな日常が長く続けばいいなと思う。
     魂となって4人を見守る、佐知の父、幸夫同様、私も願っておりますよ。
     世の中には、こういう関係があってもいいと思う。日本は血とか家とかにこだわりすぎ。もっと自由であってもいいと思う。

  • わたしもだれかになにかに、この世の中にはいない多くのものに、知らないで見守られて生きているのかな。生きているのだから。幸せを願ってくれていればなおよし。

  •  阿佐ヶ谷駅から徒歩約20分。杉並区の善福寺川が蛇行するあたり。
     そこに,女ばかり四人が暮らす家がある。
     牧田家は庭付きの古い洋館。
     台所はリフォームしたものの,それ以外は建てたときのまま,長い年月が経っている。

     刺繍作家で,家でこじんまりと刺繍教室を開いている娘の佐知。
     外で働いた経験はなく,自分で稼いだこともない「箱入り娘」のまま七十代を迎えた母の鶴代。
     そこに,仕事はできるけれど男の影も形もない雪乃がひょんな事で転がり込んできて,その数カ月後にストーカーとなった元カレから逃げる形で雪乃の会社の後輩の多恵美が転がり込んできて。

     奇妙な形での四人での暮らしと,庭の離れで先代のころから用心棒のように暮らしている山田老人。

     日常の小さな出来事,喜び,憤り,悲しみ,落胆,ていねいに読ませてくれる本です。
     全くちがうタイプの四人それぞれの人生というか,女の一生の縮図を見ているみたいです。
     私個人的に一番共感できるのは佐知でしょうか。

     ただ,後半,ものすごく物語が動きます。ネタバレになるので書きませんが。すごいです。(語彙力)


     『細雪』谷崎潤一郎へのリスペクトありきで書かれたそうですが,その『細雪』はまだ読んだことがないので,これをきっかけに読んでみたくなりました。

  • こんな女4人の生活、ちょっと憧れる。
    途中で開かずの間から河童の干物が出てきたり、カラスの視点で語られ出したりと、突拍子も無いことがおこり、笑える。あと結構心に残る文章が多かった。例えば、
    「恋というのは理解ではなく勝手な思い込み。愛というのは思い込みが打ち砕かれたあと、理解しあえぬ相手とそれでも関係を持続する根性と諦めのこと」
    深いね。さすが三浦しをんさん。好きです。

  • 小説を読み終えて感じる、このポカポカな気持ち・・・
    でもこのポカポカはガスファンヒーターのような
    急激な温度上昇ではなく
    オイルヒーターの様にジワジワと足元から効いてくる様な温かさなのだ。

    目の前にいる家族から、目には見えないけれどきっといる
    八百万の神や御先祖様の霊まで
    私たちは自分が考えている以上のたくさんのものたちに守られながら
    生きているのだと思う。
    この小説に出て来る平凡でつつましやかな生活の
    なんと愛に溢れていることか!
    四人の女の間で淡々と交わされる会話に
    時々『プッ』と噴き出しつつ
    心地良い距離感を保ちながら仲良く暮らす彼女たちに
    励まし励まされている自分がいたのでした。

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著者プロフィール

1976年、東京生まれ。2000年、書き下ろし長編小説『格闘する者に○』でデビュー。2006年、『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。2012年、『舟を編む』で本屋大賞を受賞。2015年、『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞を受賞。ほかの小説に『風が強く吹いている』『きみはポラリス』『仏果を得ず』『神去なあなあ日常』『天国旅行』『木暮荘物語』『政と源』など、エッセイに『あやつられ文楽鑑賞』『悶絶スパイラル』『ふむふむ おしえて、お仕事! 』『本屋さんで待ちあわせ』など、多数の著書がある。

「2020年 『文庫 ぐるぐる♡博物館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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