老後の資金がありません

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047657

作品紹介・あらすじ

後藤篤子は悩んでいた。娘が派手婚を予定しており、なんと600万円もかかるというのだ。折も折、夫の父が亡くなり、葬式代と姑の生活費の負担が発生、さらには夫婦ともに職を失い、1200万円の老後資金はみるみる減ってゆく。家族の諸事情に振り回されつつもやりくりする篤子の奮闘は報われるのか?

感想・レビュー・書評

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  • あー面白かった!
    最後の一行を読んだ瞬間出てきた言葉。
    題名からして恐ろしくてずーっと手を出せなかった作品だっけど、本当に読んで良かった!面白かった!
    物語の序盤から娘の結婚式や舅の葬式でお金が飛ぶ、さらに夫婦揃ってリストラに合う‥‥と、その辺のホラーよりもよっぽど怖い展開に、やっぱり読まない方が良かったかなぁと思いつつページを捲る。
    そこに節約上手な友だちの登場。あーやっぱり読まなきゃ良かったかなぁ、結局お金の使い方、貯め方が下手な私が反省して心を改めなきゃいけない本なんですよね‥‥と。
    確かにお金の賢い使い方に、ふむふむ‥‥と勉強になりました。
    でもこの作品は主人公の篤子の魅力で何ともカラッとした小気味よい物語になっていました。今までの自分のお金の使い方が間違っていたのだろうか?と反省しつつも、いや、そんなに私のやり方が間違っていたのだろうか?そんなことはない!と冷静に自己分析するところがいつもとてもカッコいい!
    そして、なんといっても篤子と姑のやり取りが何よりも面白い!
    実は映画の予告を見て面白そうだなと思って読み始めたこの本。
    篤子はもう文句なしに天海祐希だったけれど、読み始めは姑が草笛光子?あれ?本では何だか存在感が薄いぞ?という感じでした。
    でも、後半になるともう、姑が強烈すぎて、これはもう草笛光子以外考えられない!と思えました(笑)
    お金の使い方に関しては本当にシビアにとても勉強になりました。しかし、このシビアな題材をここまで面白く読ませてくれた垣谷美雨さん、脱帽です。
    映画もぜひ観てみたいです。

  • 主人公の篤子に共感できるところがたくさんあって、とても楽しく読めた。何より、勉強になりました!
    この本を読んで、「今も、これから先も、自分がどんな生活をしていきたいのか」や「老後の資金」について、考えたいと思った。
    垣谷さんの書く文章が読みやすかったので、また他の作品も読んでみたい。

  • 前半は、どんどん資金がなくなり「どうなるの?大丈夫…?」と心配でたまらなかったけれど、
    お義母さんが生活に登場するところから急展開で面白くなる…!

    何歳になっても、冒険しながら、色んなことを諦めないで過ごせると幸せだな。

  • 垣内美雨さんの作品は『女たちの避難所』に続いて2作目。今回は『老後の資金がありません』という深刻なタイトルながら、とてもコミカルな要素を随所に散りばめ、登場人物の切実で逼迫した状況を、しっかりと現実味のある内容に仕上げてあり、ついつい一気読みしてしまった。

    物語は後藤篤子という日々家計のやりくりに奮闘している主婦目線で進む。パート社員で働く篤子の家族構成は、夫と娘一人息子一人で、娘の結婚費用や、舅の葬儀費用に、姑への仕送りや同居問題、その先に待つ諸問題等、主にライフイベントに関わる金銭問題が次から次へと勃発する。篤子が同世代で、堅実で小心者で、どこまでも子ども思いな性格から、強烈に同情心が沸いてしまった。

    いつ誰の身に起きてもおかしくない無い問題だけに、読み進めながらも何処かで警告音が響いている感じがあり、他人事とは思えない。特に、冠婚葬祭については経験値が低いわりに莫大なお金が掛かるのだ。中でも、お墓や葬儀といった負の要因から生じる費用は、経験者が雄弁に語ることもない為、身に降りかかるまでなかなか積極的に関わろうとしないのが一般的だろう。

    そういう意味でも本作はとても貴重だ。
    お金がテーマで、ましてや老後の資金が無いという切実な状況にも関わらず、夫婦そろって馘になっても悲壮感はあまり感じられず、それどころか面白おかしくお金の大切さを訴えかけてくる作品に仕上がっている。やっぱり垣内美雨さんは凄い。

    現代では将来のお金のことで不安を抱えている人が殆どだと思う。かと言って無視していられるものでもないだろう。本作は、そこに向き合う一助になると共に、悲観的にならず前を向いて生きていく勇気を与えてくれる作品だった。

  • タハハ!のんびりした日曜日に読むにピッタリな内容でした。
    知恵を絞り工夫やりくりして貯えて少しでも老後の暮らしの足しになるようにと苦労している53歳になる後藤 篤子、4歳上の夫は何かにつけてカッコ付けたがるが肝心な時には横を向く。なにかと心配のタネだった娘も嫁ぐ事になり出来の良い息子も安心な就職先が決まった。
    これでどうやらやっとユトリある暮らしに移行出来そうな気配だったのに、貯えが急激に減る出来事が続き、その上に肝心の夫婦二人ともにリストラの憂き目に遭う!
    悶々とする篤子を襲う不幸不運暗雲は果たして晴れる日が来るのでしょうか? もちろん大丈夫なエンディングが待っていたけれど、年金詐欺の片棒を担ぐ件だけは首肯出来なかったね。垣谷さんお得意の面白い人情噺です。

  • 近い将来自分も...と思うと読んでいるうちに不安になってくるのになぜか笑えました。天海祐希さんが主演で映画化されるらしく主人公の篤子さんが天海祐希さんとかぶって余計に楽しく読めました。仲良しのサツキさん役は、柴田理恵さん。おもしろそう。映画は、9月公開予定がコロナで延期になってしまったそうですが、是非観てみたいです。

  • 老後の資金が無い無いと篤子はずっと焦って奔走しているけどまぁそれなりに余裕有るよね。

    それに姑さんのキャラクターか破天荒でとても良かった。

    そして、篤子より章さんが自分より一回りほど年上だが色々状況が被る。

    サラリーマンで小遣い5万、家の経済状況を全て嫁に任せていて何も知らない。家が商売をしていて長男である。

    もはや自分かと思ったね、還暦間際にリストラされたらどうしようかしら……

    期待通り面白いお話でした。

  • 大好きな垣谷美雨さん、タイトルに驚かされることが多いんですが、
    今回は『老後の資金が足りません』
    あぁ、他人事じゃありません…。

    主人公・篤子。
    五十歳を過ぎ老後の生活が気になりはじめ、何かと気苦労が絶えない。
    長女の莫大な結婚費用、義父の葬式費用、義妹夫婦との相続・介護問題、そのうえリストラ。
    次から次へと起こる問題にも、どこか切実さのない夫。

    仕送り9万円のバトルでは、
    思うように反論できない篤子がもどかしくてイラッ。
    義妹に見栄をはり、逃げる夫にムカッ。
    「出せないものは出せないんです。無理だって言っちゃえー!」
    いざ篤子と同じ立場に立ったとしたら、自分も似たり寄ったりな気がしますが、
    あくまで今は読者。強気です。

    義母が同居してからの「それは無茶です、お義母さま!」と言いたくなるような展開、
    嫌いじゃないです。(年金詐欺は別として)
    義母に振り回されるうちに、だんだん逞しくなっていく篤子が愉快。

    定年後から平均寿命まで生きられたとして、
    老後に必要だとされる費用は、なんと六千万円!
    だそうです。は・は・は…

    厄介ごとの嵐でどうなることかと思いましたが、
    不思議なくらい読後感は良かったです。

  • 全く身につまされる。主人公の篤子は、数年後の自分の姿ではないかと思う。
    無駄遣いをしてきたつもりはないけれど、人生後半になって大きな出費が嵩み、今まであれやこれや実は無駄遣いしたのでは?見栄を張ってきたのでは?と後悔が押し寄せ、にわかに老後が不安になる。
    でも、篤子は前向きでウジウジしないところが痛快だ。あてにならない夫にも一瞬怒りを覚えても、優しい。私だったら、こんな夫はゴメンだが。2018.12.19

  • 後藤篤子、夫である章。
    老後の資金は1200万円。
    そんな中、夫婦そろってリストラにあう。
    長女さやかの超ド派手婚への援助に500万円。
    その上、義父の葬儀費用に300万円。
    老後資金は400万円に…

    ついつい、自分の老後のことに重ねあわせてしまい…
    とにかく、恐ろしい!

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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