マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 2373
レビュー : 250
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047886

感想・レビュー・書評

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  • 美味しそうなお料理がサブタイトルになっているのにひかれて手に取りました。

    第一話 春のキャセロール
    第二話 金のお米パン
    第三話 世界で一番女王なサラダ
    第四話 大晦日のアドベントスープ
    の連作短編集です。
    タイトルの『二十三時の夜食カフェ マカン・マラン』が舞台です。

    一話はキャリアのあるOLの城之崎塔子、二話は中学校教員で店主のシャールの元同級生の中学教員柳田敏とその生徒で13歳の三ツ橋璃久、三話はライターの安武さくら、四話は「マカン・マラン」の店員のジャダこと黒光大輔と地上げ屋の小峰幸也のお話です。

    店主のシャールと店員たちは皆トランスジェンダーで、昼間はお針子をやっています。
    最初こそ違和感を覚えましたが、読んでいるうちに大変心地いいい物語となりました。

    私は三話のライターのさくらの話に一番共感を覚えました。
    いつまでたっても、契約のライターのさくらに「サラダはメインになれないなんて言うけどあたしはそうは思わないわ」とシャールは言って”世界で一番女王なサラダ”を供されますが、身体に滋養が染みわたりそうでとっても美味しそうでした。

    メニューは、”秋ニンジンと豆乳のポタージュ、トマトのゼリー、イチジクのバルサミコソース和え、オリーブのピュレ、水菜とアーモンドの雑魚和え、ごぼうとグリーンアスパラガスのマリネ、ブロッコリーとパプリカの甘酢和え、山芋とアボガドの山葵和え、胡桃のロースト”

    そしてさくらは、空っぽな自分を本当の自分の言葉で埋めてみたいと思うようになり、今までおざなりになっていた読書を再開します。
    私も本を読むのが好きなので、さくらの姿勢を応援したくなりました。

  • 路地裏にある小さなお店「マカン・マラン」。
    インドネシア語で夜食という意味。
    そこに集う人々は‥

    古民家風の一軒家、昼間はダンスファッション専門店の「シャール」。
    夜は不定期に「マカン・マラン」となります。
    店主は派手な化粧をした大柄なドラァグクイーンのシャールさん。
    訪れた人の顔を見て、体調に合う食材を選び、身体を癒やしてくれます。
    鋭い指摘を含んだ言葉も、穏やかに添えて。

    身体に優しく、美味しそうな料理の数々にうっとりして、気分が良くなります。
    女装のシャールさんが、かっては男らしく見える優等生だったというのも不思議なような納得のいくような。
    しっかりした人柄が全体を通して感じられるのです。

    不定期なために、幻の人気店として強引に取材をしようとする記者も出たり。
    店が地上げ屋に追い出されそうになったり。
    思わぬ事件で周りは波立ちながらも、そこは暖かな灯台のような光を放っています。
    続編も読まなくちゃ☆

  • 文章や風景の切り取り方や描写がきれい。時代小説にぴったり合いそうな言葉の使いだと思った。古内さんが書いた時代小説読んでみたいです。


    マカン=食事
    マラン=夜
    インドネシア語で「夜食」の意 14ページ


    「春のキャセロール」「金のお米パン」「世界で一番女王なサラダ」「大晦日のアドベントスープ」の4連作。


    路地の奥にひそりと佇む23時開店の「マカン・マラン」。店主名はシャール。その人の体質を見極めて陰性の人には陽性の、陽性の人にはその逆の料理が提供される。体質を中庸に整える。

    ところどころ涙がじわーっと出てしまいそうになる、温かくて優しい言葉が散りばめられていて、真夜中布団の中で泣きそうになりながら読みました。

    「大晦日のアドベントスープ」…の、その後が知りたい。とても気になるー。お次は『快晴フライング』を借りよう♪

  • 高評価の☆とレビューに魅かれて、私もハナミズキのある中庭を目印にマカン・マランを訪ねた
    まず、玄関のランタンの光が訪れた人々の心を和ませてくれる

    そして、玄関を開け、部屋に入ったとたん、誰もが大きく深呼吸するように肩の力が抜ける
    ここでは、何も飾らなくていい、取り繕わなくていい
    シャールさんが両手を広げて、ありのままの自分を受け入れ
    「 大丈夫 !」
    と言ってくれるからだ

    お話の至る所に珠玉の言葉と温かい湯気と香りのたつ料理が溢れていた

    ☆ どんなに色々なものが足りなくったって、誰もが自分の人生の
    女王様よ
    ☆ 足りなければ満たせばいい。空っぽならば埋めればいいのよ

    ☆苦しかったりつらかったりするのは、あなたがちゃんと自分の
    心と頭で考えて前へ進もうとしている証拠よ。だから、今は何
    も見えなくても絶望する必要はない

    ☆この世の中に何もかもから自由な人なんて、どこにもいないわ
    自分の荷物は自分で背負わなきゃいけないのよ

    春野菜のキャセロール・シャンピニオンサラダ・黄金の焼きカレー・もちあわと南瓜のスフレ・・・
    私も食べたーい

    訪れた人がみんな、ちょっと元気になって、顔を上げて帰っていく、期待通りの隠れ家カフェ マカン・マランだった

  • ドラァグクイーンと呼ばれるトランスジェンダーの店主が経営するドレスショップの常連さんやお針子の為に始めた夜食カフェ、それがマカン・マラン。商店街の外れの狭い路地裏にひっそりと開店する店に辿り着けた人は、縁のあった人であり、このカフェを必要としている人。

    店主のシャールが作る料理は、滋養に満ちていて、読んでいるだけでも疲れた体が癒されるようだ。料理だけでなく、シャールの語りかけるあたたかい労わりの言葉もまた、滋養に満ちている。
    肉体的にも精神的にも、様々な艱難辛苦を味わってきたからこそなのだろう。

    シャールといえば、むかーし夢中になって読んだ白泉社ララの「エイリアン通り(ストリート)」(成田美名子/作)の主人公の名前で、懐かしく思い出した。2019.8.25

    • gaoさん
      エイリアン通り、私もドンピシャで世代です。懐かしい。
      図書館でこの本の装丁が気に入り、借りてきました!楽しみです‼️
      エイリアン通り、私もドンピシャで世代です。懐かしい。
      図書館でこの本の装丁が気に入り、借りてきました!楽しみです‼️
      2020/03/17
  • 商店街の路地裏の、中庭にハナミズキがある古民家は、昼間は派手な服飾店、夜は不定期に開く夜食カフェ「マカン・マラン」。
    ドラァグクィーンのオーナー、シャールさんの料理は滋味に溢れていて、この店にたどり着いた人の心と身体を癒していく。

    登場人物の中で身体にも心にも一番傷を負っているはずのシャールさんが、誰よりも穏やかで優しく毅然としていて、カフェにやってくる人たちに癒しを与えていることが、じわじわと心に沁みてくる。シャールさん料理は、食べる人のことを大事に考え、心をこめて作ったものだから、より一層おいしさが沁みわたるのだろうな。

    4つある話はどれも好きだけれど、特に第二話の「金のお米パン」が好きだった。
    シャールさんのキャラクターが魅力的で、他の登場人物の心情にも共感できるところが多々あって、どんどん本の中の世界に惹き込まれた。
    物語の続きをぜひ読みたい。シャールさんが元気に戻ってこられますように。

  • 第一話 春のキャセロール
    第二話 金のお米パン
    第三話 世界で一番女王なサラダ
    第四話 大晦日のアドベントスープ

    店頭にシリーズで並べられていて、
    フリーペーパーで内容を見てみたら
    ひと目で気に入って手に取りました。

    本の帯にも読者メーターで読みたい本ランキング第1位と
    書いてある通りで読んで心がとても温まる物語ばかりです。

    この作品を読んでいたら何処かでにたような本を思い出しました。森沢昭夫さんの「大事なことほど小声でささやく」というのも
    この作品に登場するシャールと同じようにトランジェスターで
    外見は男性だけれど内面は女性のスナックのゴンママという設定です。
    けれど同じような設定であってもこんなに繊細で人に優しいという
    ところまでは同じではないので少し比較して
    思い出しながら読んでいました。

    それぞれの章で仕事や人生に行き詰まってしまっている時に、
    この夜食カフェを訪れるとその人に合った身体や心を癒す
    夜食メニューを作ってくれて、それと共に優しい言葉も添えられて
    これだけで心身共に洗われる思いがしました。

    どの章でも悩める登場人物に同情してしまいますが、
    中でも心打たれた章は第三章の世界で一番な女王なサラダでした。
    シャールが語る言葉はどれも素敵な言葉ばかりで、
    「足りなければ、満たせばいい。空ならば、埋めればいいのよ」
    「苦かったり、つらかったりするのは、
    あなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、
    前へ進もうとしている証拠よ」
    「どんな色々なものが足りなくたって、だれもが自分の人生の女王様よ。
    あたしもそう。もちろんあなただってそうよ」
    「たとえ勝ち組に慣れなくたって、サラダにはサラダの意地がある。
    自分の舞台から降りないために、少しずつ、
    ひとつずつ、足りないものを埋めていこう、
    そしていつか、きっと供そう。私だけの、世界で一番上なサラダ。」
    どんなにちっぽけな自分であっても
    こんな言葉をちりばめられたら、
    少しでも前に進もうという力が湧いてきます。
    いつまでもこの言葉を心に置いておきたいです。

    ラストの章では今までに登場した人達がまた繋がって、
    次の展開に進むというスタイルになっていて、
    ここに一大事件が起きてしまい今後のシャールの事が気になってしまい、
    次のシリーズを早く読みたくて仕方なくなりました。

    こんな夜食カフェでこんな素敵な人達に巡り会えたら
    行ってみたいです。
    きっと出会えたら素敵な人生が送れそうな気がします。

    夜食カフェが舞台となっているので
    美味しい物のメニューが出てきますが、
    マクロビや薬膳などと食について細かな情報も得ることができ、
    自分の食生活も少し見直すきっかけにもなると思いました。

    食を通して人生観も考えられて、
    そして読了後には心がほっこりと温まり、癒されて、
    心が疲れた方、人生の歩き方に躓いてしまった方に
    お勧めだと思います。

  • 久しぶりに読後に涙が。キャラが際立っているせいか、軽いタッチで書かれているように感じるけど、実はそうじゃなくてとても大切な事をシャールは言っている。お料理の描写も美味しそうだけどその上をいくシャールの言葉にいちいち頷かずにはいられませんでした。ジャダも困った所があるけど素敵な人。義理人情に厚くて応援したくなります。ジャダがメインの最後はずっと涙腺緩いままでした。マカン・マランのようなお店があれば救われる人も増えるはず。こんな作品があったなんて…出会えて感謝です。シャールは戻ってくるはず。続きが楽しみです。

  • 昼間はダンス・ファッション専門店、夜は不定休のカフェ。オーナーはドラァグクィーンのシャール。

    ・広告代理店で中間管理職として働く女性。早期退職に社内は揺れている。
    ・シャールの同級生。中学校の学年主任。1年生男子がファストフードしか食べないことに悩む。
    ・下請けライターの女性。
    ・シャールさんは実は癌の闘病中。再発し、生存率は50パーセントだった。妹分のジャダ(元ヤン)は地上げ屋ともやり合いながらサポートする。

    さっと読めてほっこりする。それぞれ悩みを抱えた人が店を訪れる。「わかる、その嫌な職場環境」と共感できるけど、あんまりしつこくない。そして、滋味たっぷりのカフェの料理や、前向きなシャールに励まされる。実は一番シャールが大変だったけど。シャールが入院しているところで終わっているが、4作続いているから、また読む。

  • とても癒された。シャールの言葉は静かだけど重い。

    「あたしたちはどの道、自分の眼を通してしか、物事を見ることができないじゃない。」
    「足りなければ、満たせばいい。空っぽならば、埋めればいいのよ」

    こんな素敵なカフェでゆっくり食事したい。マクロビとか特に興味なかったけれど、食は大事だと再認識させられる。身体にいいもの、というか身体が欲しているものを口にしたい。


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著者プロフィール

東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、二〇一一年にデビュー。二〇一七年『フラダン』で第六回JBBY賞(文学作品部門)を受賞。他の著書に『赤道 星降る夜』(小学館)、『キネマトグラフィカ』(東京創元社)、『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』『きまぐれな夜食カフェ マカン・マラン みたび』『十六夜荘ノート』(中央公論新社)等がある。

「2018年 『さよならの夜食カフェ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古内一絵の作品

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