ハンニバル戦争

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048135

作品紹介・あらすじ

古代地中海の覇権をかけた壮大な物語が、今、幕を開ける-。時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史の中で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。わかる、わかる、全てがわかる。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが、復讐の名の下に立ち上がり、今、アルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家生まれの主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守りぬくことができるのか?『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』に続く「ローマ三部作」、堂々完結。

感想・レビュー・書評

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  • カルタゴとローマによる第二次ポエニ戦争“ハンニバル戦争”の歴史小説です。
    大スキピオの視点で物語が進みます。
    王政廃止後のローマは第一次ポエニ戦争勝利によって地中海での覇権を握り、強大な民主国家として君臨していました。
    しかし対岸に位置するアフリカの大国カルタゴは、戦後闘志を燃やし続けていたのです。
    その中で、大将軍となるハンニバル・バルカが現れます。
    ハンニバルは兄弟と共に欧州へ侵攻し、ローマへ迫ります。
    天才的な戦術によって、土地勘があるはずのローマ側に惨敗を重ねさせるのです。
    大スキピオは実父や義父等を失いハンニバルを呪い憎みますが、同時に彼の天才的手腕を崇拝します。
    伝統的なローマの戦術ではなく、ハンニバルの戦術を勉強し模倣することに決めるのです。
    その後も史実の通りに、著者による筆で生き生きと戦場が描かれます。
    第三次ポエニ戦争については触れられませんが、ローマの機運の盛り上がりが少しだけ感じられます。
    登場こそしませんが、小スキピオの存在をそこに感じるのです。

  • 読みやすい本だった。地図がないため、どこが戦場て誰がどうが動いているのかがわからず、そこは少し残念。でもハンニバルのことを知っている人なら想像できるはず。
    得体の知れない人物として描かれたが最後は人間的な姿を見せたハンニバル、王道なサクセスストーリーを歩むが最後は虚無感に苛まれるスキピオ、その対比が良かった。

  • この本は読みやすさに力が入れられているので
    スキピオが時折のぞかせる
    人間味が嫌な人は回れ右なんだよな…

    私のように歴史ものが苦手な人は
    すごく読みやすいと思います。
    区切りがちょうどよくなっていますし。

    やっぱり最後の和平が決裂した後の
    本気のお互いの戦略のぶつかり合いが
    ものすごかったのよね。

    でもあんな結末を迎えるとは思わんかったよ…

  • この作者の作品の中では平凡な出来。

  • 読みやすく、面白かった。ハンニバルは言わずもがな天才だが、スキピオにも天才だというイメージを持っていたので、若い頃は生意気で、しかしハンニバルの脅威を幾度なく目の当たりにし、努力を重ねて勝利するスキピオというのは新鮮だった。もっとこういう口当たりのいいローマを舞台とした小説が増えてほしい。
    大カトーも出てきて欲しかった気がする。彼も強烈なキャラー持っているので。

  • 時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが今、復讐の名の下にアルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家出身の主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守り抜けるのか?

    主にスキピオ・アフリカヌスの話であり、スキピオの目から見たハンニバル戦争。
    ラストはザマで、最後の決戦を迎える前日にハンニバルとスピキオが2人で対面するシーン。こちらは一読の価値がある。
    ハンニバル戦争の事を俯瞰的に知りたければ、
    塩野七生氏「ローマ人の物語ーハンニバル戦記ー」がおすすめである。

  • 塩野さんのローマ人の物語で手に汗握って読んだハンニバル戦を佐藤さんの筆で読めてとても嬉しい。戦図を添えてくれたのも懐かしい。もっとたくさん添えてほしい!
    ハンニバルの戦術を若スキピオが追いかけて追いかけて、ついに返して破る。二人は同じ年に死ぬ。奇なり~と思って本を閉じた。

  • 前半の頭の悪そうなスキピオ像がとても気持ち悪い。
    当時のローマ人の考え方、歴史的資料による研究でのスキピオ像というならば納得せざるを得ないが、このような考え方の人物では到底、現在に伝えられる歴史的偉業を成し遂げることなどできなかったのでは。

    後半に、このままでは勝てない。勉強しる。と奮起するのは構わないが、書物による技術習得など当時では限られていたに違いない。

    つまり、座学では得られなかったはずなのだ(何故なら、以前の斜線陣に対抗する機動力による包囲殲滅作戦が骨子だからだ)。

    そんな人物像が表に出てこなくなる後半になるとやや面白味が出てくる。ただ、どうしても分量が足りない。一つ一つの戦闘が微妙に省略されているようで、折角の筆力が読者に伝わってこない。そんな気がしてならない。

  • ハンニバル戦争におけるスキピオ・アフリカヌスの成長物語。
    佐藤健一は英訳したら欧米でも結構売れそうな気がするんだけどどうなんだろうか?

  • 大好きなスキピオとハンニバルの戦いをいつか小説で読みたい、と思っていた願いが叶った本作。しかも大好きな作家さんで!

    小説でしか描かれ得ないであろうスキピオの苦悩と、自身を凡夫であると割り切る天才さに惚れ直しました。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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