- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120048241
感想・レビュー・書評
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この本を書く、出版するという事の覚悟。
読後、文庫化時の著者ロングインタビューも読みました。
内容も良いのですが、読了直後のいまはその覚悟の強さのほうが心に沁みています。今後、なにかと思い出す作品のひとつになりそうです。
それから。
(たいして知りもしないのにすみませんが)この作品は特別な(特殊な?)作品のように感じられて、だから穂高明作品として最初に読んで欲しくはないなと思ってしまいました。そんな風に思わず読めるようになることが大切なのかもしれないのですが。
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穂高明さん「青と白と」読了。宮城県出身の穂高さんによる東日本大震災(3/11)を題材にした物語。作家とアルバイトを掛け持ちしながら細々と生活をおくる主人公の悠が、震災後、実家へ帰省するところから物語は始まる。震災当日の様子、震災後の親戚との再会、その時感じた周りの人々の言動について悠の視点で細かく描写されてます。また、悠の家族である母、妹の視点でも物語が同時進行していく。あの場面、互いにどんなことを考えていたのかがわかる構成。表題の意味も物語を読み進めていくとわかります。
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東京でバイトをしながら小説を書く悠子、宮城県名取市に住んでいた悠子の母都、仙台市内に住む悠子の妹夏子。
それぞれの目で見た、震災のあの日とその後。
著者の中から絞り出されたような思いを感じる作品でした。
日常生活に支障を来たしただけだった関東地方に住む私が、報道で見たり想像していた以上の当事者の思いが溢れていました。
真実を知ることは大切。
それを知るために、当事者である著者が作品として残して下さったことに頭が下がります。
浅葱幕の青と白。
海と空と波と雪と白鳥の青と白。
深く印象に残る作品となりました。 -
3.11で被災した仙台に実家を持つ売れない女性作家を主人公に据えた物語だ。
視点は作家の妹や母へと時にうつろいながら、震災について、その時その場に居合わせた人、居合わせなかった人について丁寧に語る。
実家に帰省した際に購入した土産について「放射能がついているんじゃないか」と笑う職場の人。
「みなし仮設」のために賃貸物件の需要が増したことをきっかけに賃料を値上げする家主。
その「みなし仮設」が自治体によっては手続きが煩雑なこと、そのために「賃料が振り込まれていない」と文句を言い続ける大家。
自身も被災者でありながら福島の農産物を忌避してしまう人。
「瓦礫」を見物に来て、無遠慮に倒壊した家屋を写真撮影していく人。
ひとつひとつのエピソードに、きっとこういうこと、あったんだろうな、というリアルさがあった。
巻末の著者略歴を読むと、どうしても主人公と著者を重ねざるを得ない。
震災のこと、被災することについて改めて考えさせられる。 -
著者さんのノンフィクションのようなお話。
実家が仙台にあり、東京で働く悠子は震災後、家族や親族、友人などの安否を確認し、実家と東京の行き来をするようになる。
震災後の現場を見たことで、バイトをしながら家族と離れて小説を書いていることに、悠子はいろんな想いにかられる
穂高明さんの描くお話はどこか悲しみを背負いながらも優しさが溢れていてその文章がとても心地よい -
仙台から上京し売れない小説家をしている主人公 悠子。
2011.03.11 東日本大震災。
彼女の心の支えだった大好きな叔母 由美子が亡くなってしまう。
悠子と由美子の関係に心打たれる。 久々に泣きました。
青と白は、弔いの浅葱幕か希望の空と雲か・・・。 -
その前が良すぎた??
どーもこれはイマイチ -
良かった。地震の時の不安な主人公の気持ちが身に染みた。
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東日本大震災当日。東京。多きな揺れ。交通機関が麻痺し出先から会社へ戻る途中に、ビジョンに映し出された地元宮城の光景。家族の安否確認ができない。
東京にいた自分は実際に被災した人達の気持ちと同じ立ち位置にはなれない。事後の光景しか知らないことへのもどかしさと苛立ち。
当時の自分の状況が物語の主人公と重なって息が苦しくなった。 -
「むすびや」が面白くて、穂高明さんの次の作品を読みました。「青と白と」、2016.2発行です。著者は1975年宮城県生まれ、「青と白と」、2011.3.11の大惨事をテーマにした作品です。大変な出来事、今なお心が痛みます。