彼女に関する十二章

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 484
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048449

感想・レビュー・書評

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  • 女っ気のない大学院生の一人息子のことが心配な50目前の母であり妻である女性聖子(昔のあだ名はブリちゃん)のお話。夫はあまり細かいことにこだわらない感じのライターで、自身は割と長い期間、週の半分くらい同じ事務所に経理系の事務仕事の手伝いに行く生活。あるときその事務所の紹介でNPOの経理仕事を手伝うことになり、なんとも独特で不思議な、初老の男性「調整屋さん」と知り合う。請け負ったコラム的なもののの執筆テーマがワンマン経営者のジイサンの希望でひどく偏ったものになりそうで頭を抱える夫と、予告無く彼女を連れて帰省してきた息子、愛想のないその彼女、と、妻・母として家庭の潤滑油的な脇役的な立場でそれぞれに向き合うのが主人公の日常。そこに時折、聖子が主役となる職場での調整屋さんとのエピソードと、むかしむかしの初恋の人(故人)の息子とのやりとりが挟まって、とてもいいアクセントになっていました。大変面白かったです。今回の元ネタ『女性に関する十二章』について全く知らずに読みましたが、問題なく楽しく読めました。

  • 50歳を迎えた聖子さん。
    呑気な夫とののんびりした日常の中、彼女ができないと心配していた息子がちょっと変わった女の子と同棲してることが分かったり、初恋の人の忘れ形見にときめいたり、新しい職場で知り合った男性に苛立ったり、小さな出来事に翻弄される。

    同世代の聖子さんに共感しながら読みました。
    同じテーブルでランチでもしながら、そうそう、分かる~と話しているような気分になり、とても楽しい読書でした。

    聖子さんがとても魅力的。
    笑いのセンスも冴えていて、とても頭のいい人だなと思いました。
    著者ご本人がこういう方なのかもと思わされますが、どうなのでしょうか?

    聖子さんとお友達になりたいです。

  • 50歳の聖子さんの脳内独白をセキララに綴ったエッセイのような物語。
    年齢が近いせいか殆どの内容に共感した。
    更年期によるモヤモヤ感や虚しさ、思いがけず快適な老眼鏡(ってことは私もそろそろ?!)、シャンプーを変えても決まらなくなった髪型等々、分かる分かると頷くことばかり。

    淡い恋心にドキドキしたり、息子の彼女がもさっとした眼鏡女子だったことにショックを受けたり、暢気で楽天家の旦那様にヤキモキしたり、と何かと慌ただしい聖子さんは可愛くて微笑ましい。

    自分の子供時代を知る人がどんどん少なくなってきてるって寂しいね…。
    出産は赤ちゃんに生まれてくるチャンスをあげること、という考え方には目から鱗だった。

    これが等身大の50歳女性の日常。
    今日と明日は違う一日で予測不可能だから面白い。
    人生まだまだこれから楽しめるはず、と元気が貰える物語だった。
    続編希望!

  • 読み終わってからじわじわ感動する、あとから来る系の1冊。聖子さん齢50歳。自身では変化のない人生だと思っているけれど、どっこい色々な事がこれでもかとやってくる。本当に人生って分からない。それが聖子さんの言葉を借りて淡々と書かれ穏やかで優しくて好感が持てる。中原中也の『頑是ない歌』の引用が的確。上手に溶け込んでいる。「私にとって最も美しい滅亡の物語は、淡くて遠くにある時間なの。それはたとえば、十二の冬の夕べの、港の空の汽笛の湯気みたいな細やかな揺らぎなんだわね」聖子さん、読者とシンクロし物語は美しく終る。

  •  家族、小さな社会単位。生まれる家を選ぶことはできない。でも自分の家族を作ろうとすることはできる。それはパートナーとの関係から始まる。それは自分がどう生きようとするか、からはじまる。
    何をどう感じるか、それは一人一人違う。隣の人にもそれぞれの感じ方がある。
     それぞれの感じ方があり、折り合うところを見つけていくということでいい。昨日と違う今日、それを感じるだけでも生きている意味はある。
     「○○のために」という生き方は美しいように思えるが危険でもある。それは家族のために、でもそう。
     自分を大切にすることは人を大切にすること…。
     キリスト教的な愛と孔子的な愛、というのが私にはよく理解できなかったな。

  • 2016 9/16

  • 本当に中島京子さんの作品には救われる。

    これから、いつか迎えるであろう50代。
    やっぱりこれからも、年齢を重ねても、日々の些細な出来事に右往左往させられるのだろう。
    でも、ここにはユーモアと愛があって。
    すとんすとんと落ちる言葉に、小説を読む楽しさと、人生を考える思考に身をゆだねた至福の一冊でした。

    愛すべきすべての登場人物。
    作中にある中原中也の詩。

  • すごすぎます。
    なんだか、いつもの感じじゃないけれど、至るところに笑いのツボが散りばめられてるし、マジに考える必要あることも書いてあるし、「読んだ!」って気になります!

著者プロフィール

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都生まれの作家。『FUTON』でデビュー。著書に『小さいおうち』(直木賞)、『かたづの!』(河合隼雄物語賞・柴田錬三郎賞)、『長いお別れ』(中央公論文芸賞)等。2019年5月15日、新刊『夢見る帝国図書館』を刊行。

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