彼女に関する十二章

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048449

感想・レビュー・書評

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  • 50歳の主婦聖子の独特な脳内独白が面白くグイグイ物語に引き込まれていく。50歳になってもキュンとしたり、悩んだり、驚いたり、色々あって人生は楽しい♪

    そうそうわかるよ〜と肩を叩いて聖子と笑い合いたいところもあれば、えっそれはちょっとと聖子にダメ出ししたくなるところもあった。初恋の人の息子にドキッとしたり、元ホームレスのおじさんに気を持たせたり…。私が社会から離れて20年以上経ち主人以外の男性と関わるといえば、宅配便のお兄さんくらいだからちょっと大袈裟に考えてしまうのかも(笑)

    1番共感できたのが「シャンプーをいくつ変えても髪型が決まらなくなった」という点。これにはものすごく頷いた。45を過ぎた頃から年々ひどくなっていくような気がしてこの先恐ろしい。とにかく潤いがなくなるのだ。

    お気に入りの章は「結婚と幸福」「五十歩と百歩」「愛とは何か」「この世は生きるに値するか」。哲学的なこともあり色々考えさせられました。
    だけど、マモさんの言う通り「明日のことなんて、誰にもわかりゃしない」のだから毎日毎日自分らしく面白おかしく歳をとっていくのもいいなって思える作品でした。

    • azu-azumyさん
      けいたんさん、こんにちは~♪

      わっ!
      なんかとても面白そうなお話のようですね~
      けいたんさんのレビューに「そうそう!私も~」と♪
      けいたんさん、こんにちは~♪

      わっ!
      なんかとても面白そうなお話のようですね~
      けいたんさんのレビューに「そうそう!私も~」と♪
      2017/01/19
    • あいさん
      azu-azumyさん♪ こんにちは(^-^)/

      アラフィフの心をついた小説でした♪
      シャンプー、服の選び方など(笑)
      ひとつひ...
      azu-azumyさん♪ こんにちは(^-^)/

      アラフィフの心をついた小説でした♪
      シャンプー、服の選び方など(笑)
      ひとつひとつの章で考えさせられます。
      中島作品では「小さいおうち」の方が好きですがこれもオススメです(*´∀`)
      2017/01/20
  • 伊藤整の60年前のベストセラー、「女性に関する十二章」というエッセイをもとに書かれた、十二章からなる物語。
    「女性論」といっても堅苦しい話にはならず、主人公聖子さんの語り口が絶妙で、読んでいてとても楽しかったです。
    一人息子の勉と、その彼女のチカちゃんや、夫の弟の小次郎くんや、「サポートステーション・ゆらゆら」で出会った片瀬さんなど、個性豊かな人たちに囲まれて、聖子さん幸せそう。
    五十になっても、人生はいちいち驚くことばっかり。まだまだ楽しまなくちゃね。

  • 50歳になった聖子が語る日々の出来事。
    伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を元に繰り広げられる様々な出来事がとても軽やかに語られていました。
    面白い!

  • 「他人のエゴを認めて、自分のエゴも肯定する」文化と「他人のために自分のエゴを否定する」文化。西洋と東洋は根本が違っている、と説く。昨今のCOVID-19の対応にもよく表れているような気がした。

    自分がマスクをしたくないから、他人もその”エゴ”を認めようとする西洋社会と、他人が感染することを防ぐために、自分のエゴを抑えて皆でマスクをする日本。必ずしもどちらが良いかという話ではないけど、日本の方が窮屈、圧力がかかりやすいような気がする。
    そして、その延長上に戦争への道(軍事化)があると考えると、恐ろしい。

    伊藤整の「女性に関する12章」は1954年上梓。当時は、東京オリンピックの10年前。ちょうど『ALWAYS 三丁目の夕日』の頃でしょうか。日本中が貧しかったけど、希望にあふれていたのでしょう。それに比べて、本書上梓の2016年は、…。勉の同棲相手の妊娠に際して、「この世って、生まれてくるに値する」と確信を持って言えない主人公に同意する。60年間で、今日なら68年か、私たち日本は、便利さのために希望と自信を失ってしまったのでしょうか。
    そして、女性にとって生きやすい時代は、まだまだまだ、遠い先かも。

    1つだけ変わらない点がある。「全家庭の奥様方の内、その92%は離婚を希望しております」

  • *「50歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり」
    息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、
    ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。一見古めかしい昭和の文士の随筆と、聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説*

    とにかく聖子さんがとってもチャーミング!
    そこに、中島京子氏独特の言い回しがぴったりマッチして、なんとも言えない可笑しさと哀しさが同居する素敵な作品になっています。「事と次第によっては私!」なんて、噴き出しちゃったわ。
    色々な感情や思いがあっても、心ではちええと口を尖らせていても、豆御飯を炊いてにっこり微笑むことのできる50代になりたいな。

  • 更年期世代。
    これからやってくるのね、自分にも。
    息子はいないから、息子のことでヤキモキすることはないけれど、夫や社会との関わりはこんなものなのかもと考えたり……。
    その日がきたら、あたしも豆ごはんを炊こう!

  • 聖子さんがあまりにも「可愛いおばさん」過ぎて、ちょっと乗りづらかったなあ。

    今流行りの言い回しなどもうまく取り入れており、全体に明るくユーモラスで、読んで楽しいとは思うけれど。
    まあ、暗くなっていく中高年が多いから、フィクションならこれくらい明るいほうがいいか。

  • 1人の女性の何気ない日常ではあるけれども、しみじみと共感を誘う優しい一冊だと思いました。
    「ちええ」には笑っちゃいました。

  • 中年の女性の心理がリアルに表現されている。とても素敵な性格の主人公で、読んでいて楽しかった。ユーモアセンスも抜群に良い。

  • 結婚と幸福
    男性の姿形
    哀れなる男性
    妻は世間の代表者
    五十歩と百歩
    愛とは何か
    正義と愛情
    苦悩について
    情緒について
    生命の意識
    家庭とは何か
    この世は生きるに値するか

    六十年前のベストセラー伊藤整著『女性のための十二章』より
    ◦独身を不幸と考え、結婚を幸福と同一だと考える。
    ◦近代の男性と女性は、絶えざる自己犠牲を必要とする結婚生活を円満に営む事は出来ない。
    ◦男の目に留まるために必死で流行の服で身を繕う女、髪をひっつめにして女の権利を訴えて闘う色気のない闘士と絶望的に女性を二分。
    ◦初恋の相手の印象を女性の絶対美として記憶していて、それが再現された時のみに美を感じる。
    ◦「まっ、いっか」は円満。「もう耐えられない」は円満ではない。
    ◦イエス・キリストの「愛」と孔子の「愛」
    ◦情緒に流されたら危険。日本的情緒、我儘は抑える。大義のためには自分を犠牲に。権利より義務を尊ぶ。
    ◦マーガレット・ミッチェル「明日は明日の風が吹く」
    ◦聖書「明日のことを思い煩うな。今日の苦労は、今日一日にて足れり」
    ◦内田百聞「明日できることは、明日やったほうがいい」
    などなど。

    初恋の人の息子にその人の面影を見たり、仕事先で出会った訳ありの年上男性、片瀬との時間や語らいがあったり。思いがけない出会いもそれ以上に発展する事のないほのかな感じがいい。聖子さんには少し惚けているようで、伊藤整の『女性のための十二章』を的確にわかりやすく解説する夫の守さんがよく合っている。

    五十代に差し掛かり、子供は自立し配偶者と二人暮らしになったとしても、まだまだ学びたい、学ばなければはある。男だ女だと振り回されず、時代を受け入れ、要らない事は上手に避けながら自分を磨き、夫婦は互いを尊重し合いながら仲良く。
    仕事もプライベートも充実した聖子さんに「女性」「彼女」の十二章ともに学んだ。

  • 主人公と同じ歳のためか、そうそう!と思うことがたくさんありました。体調だけではなく、気持ちの変化も感じるお年頃。更年期にあまりいいイメージはなかったけれど、人生の秋、実りと変化の時期だと気がつきました。今の年齢を楽しもうと思えた一冊でした。

  • 2022.4.15-512

  • 途中までなかなか進まなかったけど
    登場人物が増えてきたらはまって一気読み。

    こういう日常のちょっとしたできごとの話すき。
    久世さんのくだりは若干なぞだったけど
    調整さんと小次郎くんがよかった。

  • 改めて再読するといいなあ。この本の視点人物の女性は、この作者さんの作品では珍しく頓珍漢じゃない方なので、割と鋭い考察が読めて面白い。主役の彼女の人生に結局何か大きな変化があったか、というと息子が結婚したくらいなのかもしれないけど、それでも豊かな人生だと思うし、あらゆる人の人生がこういう瞬間にあふれているのかもしれない。平凡の中の幸せ。

  • 主婦の聖子が、パート先で知り合った元ホームレスの「調整人」や、息子の彼女、そして夫との関わりの中で様々に感じた事を描いている。伊藤整の「女性に関する十二章」をモチーフにしている。聖子が考える女性像や
    男性像がとても興味深くて面白かった。

  • 冒頭のフェミニンすぎるモノローグにちょっと戸惑うが臆せず読み進めて大正解の中島ブランド。
    ふとしたことから伊藤整の「女性に関する十二章」を手にすることになったアラフィフ主婦の日常がそれをきっかけに変化して行くストーリー、と言っても波風が立つわけでもなくウィットある文章で淡々と読み進めれるわけだがこれが殊更に奥行が深く人生訓なるものが満載。
    毎日は平凡そうに見えて実は瞬間瞬間は激動の出来事の連続、そう思えば明日は何が起こるか楽しみでないはずはない…そんなことがさらりと語られる小説が面白くないはずはないではないか。
    タイトルは女性向けだが草臥れたオジサンにもぜひ

  • 戦前から戦後にかけて活躍した小説家・伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」をモチーフに書かれた物語。この本はもちろん、伊藤整さんは(名前は知っていても)一冊も読んだことがないのですが。。。
    主人公は50歳の主婦・聖子。こちらも十二章から出来ていて、聖子さんの抱えるなんとも楽しいモヤモヤ(息子に彼女が出来ないと悩み、できたと思ったらちょっと妙な彼女で悩み。初恋の男性の息子にときめいたと思ったら、お金を使わない生活を目指す男性に好かれたり・・)と伊藤整の「十二章」が絡み合いながら話が進みます。
    しかし毎度のことながら、中島京子さんはなんか可笑しい。
    ホワリと温かく、クスクス笑える本でした。

  • いくつになっても人は惑うのかー
    そうだろうなー
    そして胸に内にある「なんてことない」が「大事」になったり、「ときめき」が「どうでもいい」になったり。
    外側からは何も変わっていないけれど、中身は刻々と変わっているんだろうな。

  • 常識とユーモアのセンスもしっかり持ち合わせている50歳の聖子さん。大いに共感しつつもちょっぴりうらやましかったりして…
    過去を悔いたり、未来を憂えたりするより、今を楽しもう!
    「今日と明日は違う一日で、それぞれ新しいことを体験する、それを知るだけでも意味はあるんだ」に納得。この世は生まれてくるに値する。

  • いくつかの非日常的な出来事を通じて、主人公の宇藤聖子が思い、感じ、考えていく様(=脳内独白)がなにやらリアルに描かれていて思わず引きこまれます。60年以上前の婦人公論に連載された「女性論」エッセイをベースとした章構成もマル。

    • nori-kokkosanさん
      内容も、読んだタイミングもツボでした(笑)
      池井戸潤の小説が働く人への応援歌なら、本書は50代女性への応援歌のようだね。
      内容も、読んだタイミングもツボでした(笑)
      池井戸潤の小説が働く人への応援歌なら、本書は50代女性への応援歌のようだね。
      2017/04/23
  • 淡々と鋭くゆるくで、さすがと思った。
    60年前にベストセラーだった、伊藤整の「女性に関する12章」も読んでみたい。
    中原中也の詩もよかった。

  • その昔、50代にもなった女性というのは
    もうさしてときめきや変化のない日々を
    淡々と生きているのだろうと
    何の根拠もなく思っていた。
    ところがどっこい、
    50代の人生は、驚きもドキドキも満載で
    それどころかまだまだ男性に告白されちゃったりもするのである。
    主人公の聖子さんは、そんな日々を
    表向きは動じることなく、(でも内心はいくぶんドギマギしながら)ユーモアいっぱいに過ごしていきます。
    まだまだフットワーク軽く、気持ちも柔軟だけれど若いころの様に浮ついたり暴走したりしないところが50代女性の魅力かな。
    60年前に書かれたという伊藤整の
    『女性に関する十二章』を下地に夫婦で交わされる女性論も楽しく読めました。

  • 読みやすく、淡々とした中にいろんな要素が入っていて味わい深かった

  • 16/11/05読了

  • 淡々と進んでいくんだけれど、ユーモアがあって、あたたかさがあって、読んでいて心地よい。最後の方の、中原中也の詩を読んでいくところで、なんだか泣きそうになった。

  •  まさかのアラフィフお母さんに巻き起こる日常の物語。
     世間的なニュースになるようなすごい事件は起きないが、それでも、人が生きて社会的な生活をする上で、たくさんの事件や出来事があるのだなぁと。
     また、奥さまは素敵です。

  • 昔の作品をモチーフにした小説がお得意な作者だけあって、これも伊藤整の作品がうまく使われていた。

    「婦人公論」の連載にピッタリな、50歳の女性の日常がとてもいい感じで描かれていて、好感の持てる小説だった。
    主人公がちょっと羨ましい、その羨ましさがちょうどいい加減だった。

  • 更年期を迎えた女性のお話。
    最後にじわじわと温かいものが心を満たしました。
    子どもが少しずつ手を離れ、私の人生ってなんなんだろうなぁ、と後ろ向きになる日もあるけど、それは人間として生まれてきたからこそ味わえること。淡々とした毎日であっても日々出来事がある。ちょっとでも楽しかったことには感謝して、つらかったらさっさと寝て忘れちゃえ!だって明日はいい日かもしれないじゃない?
    そんなゆるい感じでこれからを進んでいきたいなぁ、と思いました。

  • 伊藤整の「女性に関する十二章」に絡めながら,聖子の子育ても終わり閉経も迎え人生の節目で考えることや思いがけずに起こる事事への対処の仕方など,ユーモラスで微笑ましい.登場人物すべてが愛おしい感じでしみじみ良かった.

  • (2016/8/11読了)
    中島さんの本は、アンソロジーでも読んでいるけど、私にとって当たり外れのある作家さんですが、この本は当たりの本となりました。
    主人公、聖子の現在の年齢も、時代背景も、かなり近く、共感する部分があったことも当たりの理由のひとつで、その聖子が淡い恋のような気持ちを持つことにも、心が躍りました。
    夫や仕事関係の人たちは、私の年代よりやや後の、頭が柔らかい年代。こんな風に、言葉で伝え合える関係って素敵だなって思いました。
    聖子の夫の仕事に関わる「女性に関する十二章」という本は本当にあるんですね。時代錯誤なようなので、読む予定はないですけど。

    (内容)
    どうしたって違うこれまでとこれから…更年期世代の感慨を上質のユーモアに包んで描く。

    (目次)
    第一章 結婚と幸福
    第二章 男性の姿形
    第三章 哀れなる男性
    第四章 妻は世間の代表者
    第五章 五十歩と百歩
    第六章 愛とは何か
    第七章 正義と愛情
    第八章 苦悩について
    第九章 情緒について
    第十章 生命の意識
    第十一章 家庭とは何か
    第十二章 この世は生きるに値するか

著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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