三の隣は五号室

著者 :
  • 中央公論新社
3.22
  • (15)
  • (42)
  • (66)
  • (19)
  • (10)
本棚登録 : 495
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048555

作品紹介・あらすじ

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。-そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ちょうど息子が東京の変な間取りのワンルームアパートに引っ越したばかりだったので興味深く読んだ。
    「結構広いな」と思って読み始めたのだが70年代にはここで子供を産んだ、それも田舎から産婆を連れてくる!という描写にはびっくりした。
    吉祥寺の長嶋荘ではどうだったのだろう?と思いながら読みました。

  • 渋谷HMV&BOOKS TOKYOで見つけた「三の隣は五号室」のサイン本を、購入!
    一気に読んだ、 楽しかったなぁ。部屋が主人公というか、定点観測小説とでも呼べばいいのか。長嶋有史上でも特にテクニカルな小説のように思う1冊。登場人物たちのネーミング、家電製品や家の中のガジェットの変化そういった所がいかにもブルボン小林ぽくもあって嬉しくなっちゃう。

    自分も賃貸物件居住者だけども、前に住んでいた人を知らないし次に住む人の事もきっと知らずにいるのって良く良く考えてみたら変な気がする。小説の中では、登場人物たちが緩やかに繋がっているように見えるのだけれど、同じ部屋に住んでいるのだから似たようなことを考えたりする事もあるだろうなと納得。僕の前の住人も、このスペースをどうしようか悩んだのだろうかとかね。
    長嶋有は「なにも起こらない」間に大きな決断をしたり、大きな人生のうねりに飲み込まれたり、何というか「ドラマチックな展開の真っ只中」でも何も思っていない時があるという事を小説で描いていて、なにも起きていない時間やなにも思っていない時間も「生きている時間」だと思えて何だか良いのですよ。
    そんな長嶋さんも15周年だそう、みんなで読もうじゃないか!オススメです!

  • なぜか読んでいてイライラしてくる。

  • 「誰かが次に住むということは、前の人は出て行ったということだ。このように五号室に全員がやってきて、去った」(200 ページ)

  • 図書館で借りたもの。
    傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。
    初読みの作家さん。

    変な間取りの第一藤岡荘・五号室の、1966~2016年の話。

    賃貸物件には自分の前の住人、後の住人がいる。当たり前のことだけど、改めて意識する。
    (小説のように前住人の痕跡は残ってなかったけどね)
    前住んでたアパートの前を通って、自分が住んでた部屋のベランダに洗濯物が干してあるのを見て、少し寂しくなったりしたなぁ。

  • 久々の長嶋有。

    長嶋有は、たしか自分と同い歳なんだけど、やっぱりある程度長い時間を生きてくると、こういう小説を書いたり読んだりすることが心地よくなってくるんだよな、きっと。

    主役は、郊外の古アパートの、奇妙な間取りの一室。
    この間取りは、実際に著者が暮らしたことのある部屋をモデルにしているという。
    1966年に建てられ2016年に取り壊されるまでの半世紀、計13組の住民たちがこの部屋で暮らした生活の断片を紡いでいく。

    13組の住民たちの素性は様々だ。
    単身者(学生、OL、単身赴任者から、裏稼業の逃亡者まで)が多いが、中には夫婦や家族もいる。
    この部屋で生を受けたり、息を引き取った者もいる。
    最後の方にはイラン人留学生まで出てくる。

    だが、物語の主役は彼らではない。
    彼らがこの部屋の変な間取りに戸惑いながらも、その生活環境と折り合っていく様。
    部屋の一部に手を入れ、それが後の住民の生活にも影響を与えていく様。
    物語はあくまで部屋を軸に展開される。
    だから、時系列には進まず、時代を行ったり来たりする。

    半世紀もの時間があれば、街の様子も、人々の生活習慣も、少しずつ変わっていく。
    住民も入れ替わる。
    が、アパートの一室だけはずっとそこにある。
    そしてだんだんと老いていって、最期を迎える。

    なんとフラットで、ニュートラルな眼差しなんだろう。
    人の世の忙しなさに疲れたときに、読むべき小説。

  • 第52回谷崎潤一郎賞(中央公論新社主催)1章まで

  • 1966年から2016年までに13人の人が暮らした部屋。
    誰もが変な間取りと言っている都内に建つ第一藤岡荘の五号室の50年間。


    不思議な話。
    ひとつの部屋の歩みを描いていますが、時系列はバラバラ、タクシーや障子の穴など、ささいな物事でつながり、それぞれのエピソードが綴られる。

    時系列を自分で書き出して並べてみようかと思いましたが、それをしてしまったら、このお話の魅力はなくなりそうでやめました。

    第一話を読んで、どんなふうに変な間取りなんだろうと紙に描いてみました。
    そしたらなんと!第二話の前に間取り図がある!
    描いたものとほぼ一緒でした。(笑)

    著者の作品は、自分と時間にに余裕のあるときの方がいいかも。
    絶対好きな作風なのに、疲れていた時だったせいか、読みながら何度も居眠りしてしまいました。
    充分楽しめていないようで勿体なかったと反省してます。

  • 団地とアパートは似ているけれど何かが違う なんでしょう
    団地・アパートとマンションは違うのに
    通過地点なのだろうか 多くの人にとっては

    私も小学校低学年まで団地に住んでいた アパートは知らんな…
    イメージできないけれど、私たち家族が住む前にも誰かが住んでいて 私たちがいなくなった後も誰かが住んでいた 今も誰かがいる
    ある時 団地全体が綺麗にリフォームされたらしくて、見に行った 昔住んでた部屋は、外から見ると白くてお洒落なレースカーテンが揺れてた

    触るとパラパラ溢れた砂壁や、立て付けの悪い窓に、そのサッシに挟まっていた蛍の死骸
    公園が見える景色、そこに向かって投げた乳歯
    庭には当時飼ってた亀を二匹 埋めた もういい加減骨もない
    怖かった仏間があって、その部屋は一人で行けなかった 西陽がさしてあついくらいの
    私たちの住んでいた亡霊が今なおあの部屋にあるだろうか、私たち以前の人々の以後の人々の亡霊が
    それは生霊だったりもするけど、死霊でもあるんだろうな さびしいね

  •  この物語の主人公は、アパートの一室です。第一藤岡荘五号室。
     この部屋に住んだ住人の生活の断片が時系列バラバラで描写されています。
     ほとんどの住人が一般的な庶民で、特に大きな事件が描かれるわけでもありません。皆さんそれなりに一生懸命に終わりなき日常生活を送っておられます。退去後のその後の人生はどうなったのでしょうか。一回り成長して幸せな人生を送っていてほしいものです。
     思えば私も今まで幾つかの賃貸マンションで住んでいたことあります。
     その時に住んでいた部屋から見ると私もこの小説の登場人物のようなもんですが。その後の私は……Orz

     
     登場人物の中にただ一人、裏社会の住人のような方がいて、この方が登場早々、不穏な未来が予告されます。
     それはいつ描かれるのか?
     この方の存在が物語に緊張感を与えています。

     
     本作品のタイトルは「三の隣は五号室」。
     四号室の存在がキーとなっているのか!?

     
    「隣室と自室の号数表記に疑問を抱いた初めての住人だった」
    「後、藤岡荘にはちょっとしたリフォームが入った」

     
    という記述があり、何らかの事件のために四号室の存在が無かったものとされたんだよ!な……何だってぇ~~~~!
    というミステリーな展開を期待したのですが、特にそんなことはありませんでした。
     日本では四号室や九号室がないのはよくあることなんです。勿体つけるなっちゅーの!
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180624/p1

全72件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長嶋有(ながしま・ゆう)
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。二〇〇二年「猛スピードで母は」で芥川賞、二〇〇七年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞、二〇一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 春夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長嶋有の作品

三の隣は五号室を本棚に登録しているひと

ツイートする