三の隣は五号室

著者 :
  • 中央公論新社
3.21
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本棚登録 : 519
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048555

作品紹介・あらすじ

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。-そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。

感想・レビュー・書評

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    一気に読んだ、 楽しかったなぁ。部屋が主人公というか、定点観測小説とでも呼べばいいのか。長嶋有史上でも特にテクニカルな小説のように思う1冊。登場人物たちのネーミング、家電製品や家の中のガジェットの変化そういった所がいかにもブルボン小林ぽくもあって嬉しくなっちゃう。

    自分も賃貸物件居住者だけども、前に住んでいた人を知らないし次に住む人の事もきっと知らずにいるのって良く良く考えてみたら変な気がする。小説の中では、登場人物たちが緩やかに繋がっているように見えるのだけれど、同じ部屋に住んでいるのだから似たようなことを考えたりする事もあるだろうなと納得。僕の前の住人も、このスペースをどうしようか悩んだのだろうかとかね。
    長嶋有は「なにも起こらない」間に大きな決断をしたり、大きな人生のうねりに飲み込まれたり、何というか「ドラマチックな展開の真っ只中」でも何も思っていない時があるという事を小説で描いていて、なにも起きていない時間やなにも思っていない時間も「生きている時間」だと思えて何だか良いのですよ。
    そんな長嶋さんも15周年だそう、みんなで読もうじゃないか!オススメです!

  • ちょうど息子が東京の変な間取りのワンルームアパートに引っ越したばかりだったので興味深く読んだ。
    「結構広いな」と思って読み始めたのだが70年代にはここで子供を産んだ、それも田舎から産婆を連れてくる!という描写にはびっくりした。
    吉祥寺の長嶋荘ではどうだったのだろう?と思いながら読みました。

  • 1966年から2016年までに13人の人が暮らした部屋。
    誰もが変な間取りと言っている都内に建つ第一藤岡荘の五号室の50年間。


    不思議な話。
    ひとつの部屋の歩みを描いていますが、時系列はバラバラ、タクシーや障子の穴など、ささいな物事でつながり、それぞれのエピソードが綴られる。

    時系列を自分で書き出して並べてみようかと思いましたが、それをしてしまったら、このお話の魅力はなくなりそうでやめました。

    第一話を読んで、どんなふうに変な間取りなんだろうと紙に描いてみました。
    そしたらなんと!第二話の前に間取り図がある!
    描いたものとほぼ一緒でした。(笑)

    著者の作品は、自分と時間にに余裕のあるときの方がいいかも。
    絶対好きな作風なのに、疲れていた時だったせいか、読みながら何度も居眠りしてしまいました。
    充分楽しめていないようで勿体なかったと反省してます。

  • なぜか読んでいてイライラしてくる。

  • 仕事や家庭のことで考えることいっぱいの今の自分にとっては登場人物が多すぎました。あまり考えないように読み進めましたが、さくさくとは進めないです。
    自分の一人暮らしの生活を思い出しました。印象に残ったのは、単身赴任の人が、ここでは「俺の」生活をしたというところ。飼猫が来た不思議な話を家族にしなかったというところ。それと、赤ん坊の頭を撫でたあと、なぜか前に進めた女の人の話。
    長嶋さんの本は、全体的に淡々としてるんだけども最後にふつふつ静かに盛り上がるところが好きなのです。

  • 木造モルタル瓦屋根の2階建ての「第一藤岡荘」。1966年から2016年まで、五号室に住んだ歴代住人のなんでもない日々の営みを描いた、50年にわたる「定点観察」小説。それぞれの生活を頭に思い浮かべながら、じっくりと時間をかけて楽しみました。

    部屋が主役ともいえるこの話、時の流れに沿うのではなく、それぞれの住人の間取りの使い方、シンクにまつわるあれこれ、風邪と雨音の関係、同居人あるいは来客、停電と闇、テレビとラジオ、住人とタクシーといった切り口で時代を縦断して描かれるユニークな構成。

    二瓶さんが貼った「水不足!」のシール、六原さんが網戸代わりに貼った外廊下の窓の網、浴槽の水漏れ、リエが放置していったガス栓のゴム、アリーが開けた障子の穴・・・そんなちいさなエピソードが後の住人のところで思わずニヤリとする仕掛けとして生きてくる。
    大きなことは何も起こらない。その時その時の空気を言葉に置き換えたような文章も心地いい。

    人生ってそんなささいな時間の積み重ねだし、人の数だけそういう時間があるということ、泣いたり笑ったりした過去を「懐かしい」という簡単な言葉ひとつで思い出せることが何より幸せなのだと気付かせてくれた作品でした。楽しかった~

  • 第一藤岡荘5号室のクロニクル。様々な人々が5号室に入居し出ていく。当たり前のことなのだけど。大体の人は間取りが変だと思うが、それ以外はいろんな思いを抱きながらそこで生活をしている。それも当たり前のことだ。彼氏と別れてきた者、共に暮らしていた妻が亡くなる者、外の国からきた者。様々な人の当たり前の生活が、ちゃんと小説になっている。さすが長嶋有氏だ。
    5号室に定点カメラを置いて何十年と記録し続けたようだ。彼らの心情までも記録されるカメラだ。

  • 「誰かが次に住むということは、前の人は出て行ったということだ。このように五号室に全員がやってきて、去った」(200 ページ)

  • 図書館で借りたもの。
    傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。
    初読みの作家さん。

    変な間取りの第一藤岡荘・五号室の、1966~2016年の話。

    賃貸物件には自分の前の住人、後の住人がいる。当たり前のことだけど、改めて意識する。
    (小説のように前住人の痕跡は残ってなかったけどね)
    前住んでたアパートの前を通って、自分が住んでた部屋のベランダに洗濯物が干してあるのを見て、少し寂しくなったりしたなぁ。

  • 久々の長嶋有。

    長嶋有は、たしか自分と同い歳なんだけど、やっぱりある程度長い時間を生きてくると、こういう小説を書いたり読んだりすることが心地よくなってくるんだよな、きっと。

    主役は、郊外の古アパートの、奇妙な間取りの一室。
    この間取りは、実際に著者が暮らしたことのある部屋をモデルにしているという。
    1966年に建てられ2016年に取り壊されるまでの半世紀、計13組の住民たちがこの部屋で暮らした生活の断片を紡いでいく。

    13組の住民たちの素性は様々だ。
    単身者(学生、OL、単身赴任者から、裏稼業の逃亡者まで)が多いが、中には夫婦や家族もいる。
    この部屋で生を受けたり、息を引き取った者もいる。
    最後の方にはイラン人留学生まで出てくる。

    だが、物語の主役は彼らではない。
    彼らがこの部屋の変な間取りに戸惑いながらも、その生活環境と折り合っていく様。
    部屋の一部に手を入れ、それが後の住民の生活にも影響を与えていく様。
    物語はあくまで部屋を軸に展開される。
    だから、時系列には進まず、時代を行ったり来たりする。

    半世紀もの時間があれば、街の様子も、人々の生活習慣も、少しずつ変わっていく。
    住民も入れ替わる。
    が、アパートの一室だけはずっとそこにある。
    そしてだんだんと老いていって、最期を迎える。

    なんとフラットで、ニュートラルな眼差しなんだろう。
    人の世の忙しなさに疲れたときに、読むべき小説。

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著者プロフィール

長嶋有
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、〇七年の『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞を受賞し、〇八年には『ジャージの二人』が映画化された。一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。

「2019年 『三の隣は五号室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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