女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 966
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049101

感想・レビュー・書評

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  • マカン・マランのゆるりとした空気に浸りたくて、再び訪れた

    文中にマカン・マランを表して、 "まるで深い海の底のようだ" という記述がある
    '"形も色も違う魚たちが、思い思いに揺蕩っている。少しでも弱いものを皆でつつきまわそうとする殺伐さがどこにもない "と
    何と的確に言い得ていることだろう

    だからこそいろんな悩みを抱え、肩をいからせ闘っている人が、この部屋に入り、シャールさんを前にすると、堰を切ったように堪えていた涙をこぼす

    自分を殺し、引きつった愛想笑いを浮かべ相槌を打つことで、職場での居場所を保っていた派遣社員の真奈
    自分は兄の代わり、できの悪い劣化コピーでしかないとうつむき肩を震わせる漫画家志望の裕紀
    発育障害の疑いがある一人息子のために一生懸命に頑張るあまり
    息子を追い詰めてしまう未央

    本当にみんな一生懸命生きている! 生きていくってこんなにしんどくて、つらいのかと思うくらい一生懸命
    読んでいる私まで胸が苦しく、泣きたくなるほど

    でも、シャールさんは、そんな人たちの肩に手を置き、静かに言ってくれる
    ☆ 充分ー。それだけで充分よ

    ☆ もうがんばらなくていいんじゃないかしら。目一杯がんばった
    なら、もうがんばらなくていいのよ

    ☆ 生きていくのって、寂しいのよ。だって、世の中は、儘ならな
    いことだらけじゃない。どんなに思い合ってても、分からない
    ことはたくさんあるし。

    ☆ 幸福の裏には、いつも寂寥が潜んでいるの。でも、人生って
    きっとそんなものなのよ。だから、私たちは一生懸命になれる
    のかもしれないし

    ☆ 思い詰める必要はないのよ。一旦力を抜かなきゃ、新しい力は
    湧かないものよ。たまにはサボりなさい

    シャールさんの存在って、暗い入江に立つ灯台のようだと思った
    迷いそうな時、さりげなく道を示してくれる
    そして、しんどいのは私だけじゃないんだ。ゆっくり進めばいいんだと勇気を与えてくれる

    心にしみじみと沁み込んでいくような読後感が心地よい

  • シャールさんにまた会えて嬉しい。
    職場やご近所の人間関係や、家族間の確執、最近メディアで取り上げられることが増えてきた発達障害など、身近な悩みを抱えた人々が登場する。
    シャールさんと、マカン・マランの空間と料理が、疲れた人々の心を優しく包み癒していく様子に、読んでいて気持ちが安らぐ。
    そのシャールさん自身も深い悩みを抱えていることに、やるせなさと、染み入るような心の痛み、そして共感を覚えた。

    マカン・マランのような店があったら、どんなに落ち込んでいても、また前を歩いていこうという気持ちになれそう。料理の内容も、悩める登場人物にぴったりで、シャールさんの愛が感じられ、癒される。

    人との関係に疲れたとき、自信を失ったとき、に何度でも読み返したくなる本だと思います。

  • 図書館で借りたもの。
    「マカン・マラン」シリーズ第2弾!

    始めに、シャールさんの快気祝いがあり、前作の登場人物がそろって、なんだか嬉しい気持ちに。

    今作は
    職場のしがらみに悩む派遣社員の女性
    漫画家になる夢を諦めようとしている男性
    発達障害グレーの息子がいる主婦
    娘の進路変更に頭を抱える父
    が出てくる4つのお話。

    発達障害グレーの息子がいる主婦の話が、自分と重なって泣いた。

    『どうして皆ができることができないの。
    気がつくと、大声をあげて叱ってしまう。そのたびに圭が見せる怯え切った表情は、未央自身もいたく傷つけた。
    本当はこんなことしたくないのに。言いたくないのに。
    怯えさせたくなんてないのに――。』
    わたしもいつもこうで、自己嫌悪。
    『結局、私しかいない』から、厳しく言ってしまう。

    『この子は決して、なにかが欠けているわけではない。
    ちゃんと話し合えば、圭はなんでも分かってくれる。
    間違っていたのは、ただひたすらに言うことを聞かせようとしていた自分自身だ。』
    この言葉にぐさっときた。
    周りと違うことで焦って、なんで言った通りにできないのかって怒って。
    息子の考え・思いを汲み取る努力をしていなかったんだ。
    早く息子を抱きしめてあげたいと思った。

    優しく包み込んでくれるシャールさんに、私も会いたい。

  • シャールさんにまた会うことができて、本当に良かった。すぐに喧嘩ごしになるジャダも読み進めるにつれて、とても愛嬌が出て来てチャーミングに思う。どのご飯もおいしそう。

    今回も、扱うテーマは重いものばかり。
    シャールさんのあたたかさと優しさで、ラカンマランを訪れた人たちの背中をそっと押す。
    今回はシャールさんの弱音もあり、こんなに強い人でも弱音ははくのだと、むしろ安心してしまった。
    大丈夫。シャールさんには、柳田もジャダさんもいるし、常連さんもお針子さんもいるんだから!と読んでいて励ましたくなった。

  • シャールさん、良かったー!
    ゆっくりゆったり丁寧に。夜、間接照明とアジアの雰囲気の中、クラシックが漂っている。ハーブのお茶を飲んで、空気に溶け込んでいると、とてもとても美味しいご飯がやってくる。
    キリキリと考えなくても、答えなんて出さなくても、白か黒か決めなくてもいいのかもしれない。
    シャールさんのご飯、本当に食べたい。

  • 既に読了からかなり時間がたっているし、他の方が
    良質のレビューをお書きなので簡単に。
    (書き忘れていました。ごめんなさい。)

    既に続編も出ていますよね。

    辛い時に、いいかげんな食べ物はいけません。
    気持ちが荒れます。お野菜たっぷりの、優しい味で
    おなかいっぱいになるのがいいです。

    それも腹八分目で。

    シャールさんのお料理が良いのは、何もかも
    ほどよいからかもしれません。
    この小説に出てくる人は、みな完全無欠の幸福
    ではありませんよね。

    お店を出ても、根っこの問題…自分が向き合うべき
    ことは、消えていません。
    それは店に残るドラァグ・クイーンも同じに。

    囚われ続けてもしかたないことは決別する。
    新しいものの見方で、出来ることを出来る方法で
    やってみる。
    つらいことはゆっくり癒やす。

    これはどれも、悲しみを癒す方法ですが
    ひとはそれをひとりでこなすのは大変。

    寄り添ってくれる人と、お料理。
    そして急がないこと。

    自分が孤独に耐えうると、じわりと温められながら
    言い聞かせることが、すごく大事だと思います。

    みんなそれがわかっていても、自分ではなかなか
    出来ないから、マカン・マランに私達は集まります。

    一冊という一皿と、温かいスープでもいかがですか。
    少し、疲れたでしょう。

  • OLグループの中で孤立を怖れる派遣社員、優秀な兄に劣等感を持つ漫画家志望、小1の息子の発達に悩む専業主婦、高2の娘の進路を認められない中学校教員。
    生きるのが窮屈に感じている人たちにシャールさんが心と身体に沁みる料理を振る舞う。
    春夏秋冬に合わせた四章、全て号泣。
    全く違う境遇の4人全てが自分のことのように感じるのは、心情の機微を丁寧に重ねて響合わせたから。主人公が救われるのと同時に自分も救われるような物語でした。

  • 「生きてくのって、寂しいのよ」
    「だって、世の中は儘ならないことだらけじゃない。どんなに思い合ってても、分からないことはたくさんあるし。親子だって、夫婦だって、恋人だってそうでしょう?」
    「皆、寂しくて、一生懸命。それでいいじゃない」
    シャールさんの言葉を聞きたくて、このシリーズを読んでしまう。

  • シャールが帰ってきた! 
    こんな人が近くにいたらいいなあ。
    物語全体の暖かさは続編でも。
    みんなままならないけれど、一生懸命なのよね。今回は、いろんな親と子の関係について、シャール自身のも含めてね。
    また続きが読みたい。

  • マカン・マランシリーズ第二作。
    派遣社員の孤独感、漫画家を目指す青年の劣等感、発達障害児の母親の焦燥感、ベテラン教師の娘に対する理解不能。
    シャールさんが帰ってきてくれて良かった。
    今の寛容な時代でもやはりトランスジェンダーや同性愛に抵抗ある人は多いのだろうけど、やはり切ない。
    シャールさんが作るのはコジャレたセレブや意識高い系の人たちのためじゃなくて、疲れた人たちを癒すマクロビオテックだから温かく感じる。
    母親の話は発達障害に関わらず育児全般に繋がる話で身につまされた。最後の柳田の話ではシャールとの良い友人関係が感じられて素敵だった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、二〇一一年にデビュー。二〇一七年『フラダン』で第六回JBBY賞(文学作品部門)を受賞。他の著書に『赤道 星降る夜』(小学館)、『キネマトグラフィカ』(東京創元社)、『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』『きまぐれな夜食カフェ マカン・マラン みたび』『十六夜荘ノート』(中央公論新社)等がある。

「2018年 『さよならの夜食カフェ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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