走狗

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 131
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049248

感想・レビュー・書評

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  • 綺麗事で明治政府の基盤を作ることはできない。
    西南戦争に至るくだり、えがきかたが秀逸。

  • 幕末からの維新やったー!って物語かと思って読み始めたら、意外と実際の史実をベースにしながら、中盤後半とどんどこ維新の裏側の新解釈が盛り込まれつつも、そこに至る状況の描写が鮮明で、今までボヤッとしてた維新のエピソードが、腑に落ちていくのが面白い。主人公の日本の近代警察の父、川路利良がこの物語のように実際に暗躍したかはわからないし、そこはフィクションとして楽しめばいいかと思うが、維新ものとして新たな楽しみ方を提供してれた作品となった。

  • 川路利良の生涯を通して明治維新前後の薩長、旧幕府を物語る。とても良い切り口で頭にスッと入ってきた

  • 人間の善悪は表裏一体であり、誰もが両面を持ち合わせている。一度誰かの(何かの)走狗になった人間は、そこから抜け出すことはできない。目的が正しければ、いかなる手段を取ることも肯定されるのか、否、それは結局全ての人を不幸にする。著者の人間理解が次から次へと表現されている。
    利良がダークサイド?に堕ちる過程の描写が少々淡白なのが気になるが。

  • 幕末から明治を駆け抜けた激動の時代を初代大警視川路正之進利良が走狗として農民から成り上がる物語。日本国に秘密警察を組んで富国強兵を詰め、時には悪どいことにも手を染めた利良だが、彼の野心の行き着く先は、という話。
    明治初期の時代背景を知りたかったので小説から読めば雰囲気を掴みやすいと思って図書館で借りた。

    途中までは時代小説など読まないので硬い文章やらに戸惑ったけれど、後半の利良が追い詰められてくるところまで来るとささっと読むことができた。
    野心、国家のためと主張しながら進み続けた利良の行いに善悪はつけられないかもしれないが、警察というシステムを築き上げるには、軍と両立した時代においてはなお、困難を極めたのがわかる。
    誰が悪で罰する対象になり得るかは、その時の権力者に寄るからだ。それが良かったのか悪かったのか、後の人間には想像するしかできない。

  • 戌年の1冊目は、『 走狗』。犬ですな。警察組織を作り上げた川路利良の一代記。
    西郷の、大久保の、明治という時代の、自らの野心の、走狗であった。まさに、狡兎死して走狗烹らる、であった。

  • 利良、イヤなヤツ…

著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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