嫁をやめる日

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049613

感想・レビュー・書評

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  • 1日で一気読み。
    夫が亡くなっても全く泣けない...嫁をやめるなんてどんな展開になるんだろうと思っていたけど最終的には、ホロっときてなんだか心温まるお話しでした。
    いざという時に頼りになるお父さんがかっこよかった。
    私には、長崎弁が難しくてはじめは読みにくかったけど読んでいくうちに方言っていいなぁと思いました。

  • 柿谷美雨を舐めてた(ごめん!)
    だって題名「妻をやめる日」なんとなく想像つくじゃない。こんな話だよねって
    表紙に赤レンガの可愛い家が鳥籠の中に入ってる
    裏表紙は赤煉瓦の家だけになっている。
    その通り
    私は現在姑の立場だけど
    離れている名古屋のお嫁ちゃんとは
    うまくいってると思っている
    相手は?ふーん、わからない。
    まあそんなに関わってないから
    娘二人、それぞれに孫もいるからそこまで手が回らない
    年に二回ほど家族旅行してるから
    満足!


    主人公高瀬夏葉子の夫が46歳で脳溢血で亡くなる
    そこから始まる。
    いくつかの事件やらなんやら起こり
    面白かった。伏線もあったし〜

    本文よりー
    夏葉子の実の父親が言うー
    できる人間に仕事が集中する。
    「いい人」と言われながら
    実は便利に使われている、夏葉子のことを軽く見られてんだ」

    姻族関係終了届、復氏届。などを
    苦しんでる嫁に対して
    教えてくれてる。

    最後がなかなかよかった。
    法律に縛られるより、自由になった分
    人は他人に優しくできるかもしれないー

    全然関係ないけど、単純な私目は
    久々に長崎に行きたくなった。
    カステラも「長崎で買う」食べたくなったし
    トルコライスもいいか!
    そんなに食べられないわ、


  • 柿谷美雨さんは、平凡な日常の、あるあるなトラブルやストレスを描くのが本当にうまい。
    カフェで隣になった人の愚痴や体験談をずーっと盗み聞きしてるような気分。わざわざ聞きはしないけど、聞こえてしまう分には気になって仕方がないというような。
    この作品は、夫を亡くした主人公が、嫁の立場を捨て、新たな生き方をしようと何歩も踏み出す話。
    「つぶしてもいい人間」という言葉が印象的だった。また、長崎が好きな人には懐かしさや親しみが持てるはず。

  • まずタイトルがおもしろい
    嫁をやめたくなる、嫁という立場を投げ出したくなる時は誰にだってある

    東京へ出張に行っているはずの夫が市内のホテルで突然死する

    心が離れ名ばかりの夫婦かんけいだった主人公夏葉子は
    夫への疑念が深まるが、家のローンもチャラになり、お気に入りのこの家、この街で、これからは自由の身になれると喜ぶが、そう思い通りには行かなかった

    やれ墓だ、仏壇だ、49日の法要は?と夫の両親の介入、干渉が始まる
    一挙手一投足を監視されているかのように夏葉子の行動を知られている

    「嫁をやめる」ための闘い?が始まる
    独り身となった夏葉子を襲うかのように次から次へと起こる事件は、ドラマを見ているようで読んでいておもしろく、一気に読んでしまった

    最後の方になって、事態は急展開し、収束に向かうが、
    私がどうしても納得いかなかったのは、夫の夏葉子への思い
    謎の貯金通帳やそっけない行動などは、夏葉子を愛しているからこその夏葉子を守るための行動だったなんて
    それが、夫の死後に分かるなんて、悲しすぎる
    20年近い結婚生活は二人にとってなんだったんだと言いたくなる

    最後にやたら存在感を示したのが夏葉子の実父
    東京から長崎まで赴き、娘を守るため婚家の両親と渡り合う姿は、本当に格好良かった

    最後は全てがうまく解決し、元婚家の両親とも良好な関係で、新たな仕事への展望も見え・・・とハッピーエンド
    実際はこうはいかない、絶対に
    私なら街でばったり元義父母と会うなんで、絶対嫌だ

  • まだまだ働き盛りの旦那が突然、病気で亡くなった。
    残された夏葉子は、2人きりの生活から、
    突然解放された気分になり、自由を得た気分になる。
    だが、義両親との良好な関係を築いていたと思ってたのに
    連絡なしに自分の家に上がり込んでくる、
    義両親や義姉の介護を押し付けようとするなど、
    縛り付けられている感じがする。
    この生活がずっと続く不安を抱えながら、自分の両親に
    相談すると、姻族関係終了届のことを知る。

    これは、夫婦であるなら誰しもが他人事ではないなーと
    思える話だったよー。
    早めに先立たれたら、その親のことはどうするのか問題。
    いやー、私だったらどうするかなー…。
    考えちゃったよー。

    それにしても、話は変わるけど、早く夫婦別姓が
    当たり前の世の中になってほしいよー。
    私は自分の旧姓に愛着ある派だからなー。

  • タイトルに惹かれて読みましたが
    かなり面白かったです

    最後の最後で人との縁とは何か、深く探っている作風にもグッと来るものがありました。

    お父さんのセリフで
    『いつもいつもばか正直に自分の気持ちを言う奴がこの世にいるかよ、そもそも自分の考えていることや感じたことを正確に伝えるのなんてすごく難しいことだぜ』
    分かっているが日頃忘れていることで
    こういう事を前提に人と接すれば腹の立つことも少なくなるだろうなと思いました。

    お気に入りの作家さんに
    なりました。

  • 主人公とは義両親や親戚との関係性という点では違うけど 嫁という立場では同じであるためか気持ちがよくわかります。私は同居も介護もしていないのでその時点でもう嫁をやめてるんじゃないかと思っています。そう出来ているのは理解のある旦那のおかげだとも思っています。(旦那は仕方なくかもしれませんが...)
    私が主人公と同じ立場ならきっと同じ様にしていたと思います。
    以前、『嫌われる勇気』を読んでから自分の人生は自分の思うように生きていいんじゃないかと考えるようになりました。まわりを気にして悩んだところでそれは自分ではどうする事も出来ない事の方が多く 他者が決める事と割り切ることが少し出来るようになったと思います。そう思える事で気持ちも多少楽になったような気がします。
    主人公はラストで旦那さんが残した手帳を開いてみることによって救われたと思います。残りの人生、前向きに楽しんで欲しいです。

  • つい先日テレビで「姻族関係終了届」の事を取り上げていました。

    この本のタイトルを見た時、真っ先にその事が過りましたが、まさにその事がテーマとして描かれていただけに、最初からぐいぐい引き込まれて読みました。

    「姻族関係終了届」とは簡単に言えば、、その名の通り夫が亡くなった後、姻族関係(配偶者の父母や親戚など)を終了させる為の物で、届けに必要なのが「本人確認」と「配偶者の死亡証明」だけと言う非常に簡単な物です。

    この物語の主人公は高瀬夏葉子(たかせ かよこ)
    夫が46歳の若さで急死してしまい、夫亡き後に姑、舅、小姑の存在に悩まされます。

    悩んだ夏葉子は実家の母に相談、そして「姻族関係終了届」と共に旧姓に戻す為の書類「複氏届」(ふくうじとどけ)を出す決意をします。

    この物語には夫との関係、「嫁」と言う立場の葛藤、自分の家族、夫の家族との付き合い方、それぞれがリアリティを持って描かれ、結婚した女性には共感出来る事、あるあるがたくさん散りばめられています。

    まだ世間ではあまり知られていない「姻族関係終了届」ですが、嫁として日々苦しんでいる女性の方にはぜひ知っておいて損はない1つの選択肢ではないでしょうか。

    家族関係を円滑に、そして皆が円満に生きて行けるヒントもあり読後感も良く、読み応え十分の作品です。

  • 地方の名士の家に嫁いでしまったヒロイン。夫は冷たく、子どももできず、
    結婚生活はあまり幸せとはいえないながらも、上品でハイソな義母とは
    憧れの気持ちもあり、うまくいっていた。何より、結婚によって得た
    海のみえる一軒家での暮らしを愛する主人公。
    だが、ある日夫が急死してしまう。え?これからどうなるの???

    地方都市での暮らしって、こんな相互監視みたいなのかな?
    いくら田舎だからって(長崎)、ここまではなかろうと思うニコは
    甘いのか。

    夫が冷たかった理由は切なかった。けど、優秀っていう設定だし
    きちんと処理しようと思えばできたと思うけどなーー。

    「老後の資金」よりよかったです。オススメ。

  • よもや1日で読み終えてしまうとは。
    介護、墓守、身につまされる話題だからのせいもあるが、垣谷さん、相変わらずページめくるのストップさせませんなぁ。
    四面楚歌になりかかった夏葉子に対して、実家のお父さんが下した状況判断と行動、すばらしく頼もしく。姻族関係終了届、復氏届、その時が来ても自分は選ぶことは無いだろうけど、知れた事で少し気持ちが軽くなったかも。お墓の事やお仏壇の返却の事を考えると、お姑さんとのラストの爽やかなやりとりは現実そんなキレイにはいかないとは思うけど、後味よく読み終えることが出来て結果良かった ^_^

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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