R帝国

  • 中央公論新社 (2017年8月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784120050008

みんなの感想まとめ

未来の社会を描くこの作品は、AIの発展や少子化、移民の増加といった現代の問題を反映し、フィクションと現実が交錯する独特の世界観を提供します。アルファベットの国名や組織名が実在のものを想起させることで、...

感想・レビュー・書評

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  • SF小説ぽく読むこともできるんだけど、あえて使われたアルファベットの国名や組織名が実在する名前を感じさせる ハマりはしないけど、フィクションとか陰謀論だとか言って揶揄するのも違う 考えながら読む本

    未来ぽい AI発達や少子化 移民増 国名はアルファベットだけど想像できる実際の国
    急に現実の国出てきた 「日本」は小説の出来事らしい
    RとLって笑 政治的主張が強すぎるのか?
    HPの話はありそうでなかなか面白い 最後の加賀の語りが全てか

    作者あとがきでちょっとスッキリ 陰謀論を煽りたいわけじゃないと私は思う

    国民に最も必要なのは、富、優越感、良心の満足、そして承認欲求だ。

  • 文明の進んだ民主主義の国、R帝国。
    私たちの現在の日本より少し先を行く感覚。
    国民はHPと言われる人工知能の相棒を1人一台持ち、そのHPにも人格があり、持ち主に似た性格になる。
    快楽や苦痛もプログラムで与えることができる。
    意思がある。
    国民は皆自分の国に誇りを持ち、与党であるR帝国政府は国家党であり、支持が高い。
    ある日、コーマ市にY宗国が攻めてくる。
    戦争は政府の陰謀で、資源と金儲けのため起こされ、世論も政府に操られ、国民たちは操られていることに気づかない。
    戦争、政治、宗教の現実。
    読んでいて、あの国やあの国の事かな?と思える描写もあります。
    この結末は、民主主義国の未来なのかな。

  • 中村文則の持ち味が全開で最高でした。
    そのまま鵜呑みにするつもりはさらさらないのですが(それこそ作中のチンパンジーかと、、)、戦争が起きるかもしれない今、まぁとにかく不安でいっぱいになれます。
    次回作も楽しみな作家のひとりです。

  • 夕刊連載ということもあるのか、著者の作品にしては珍しくド直球の作品。構図が単純な分、本当に考えさせられる内容だった。特に342頁からの加賀の語りは示唆に富んでいる。また作品中に「小説」として出てくる現実世界の歴史解釈にも目を見張るものがあった。深いが読みやすくあっという間に読了。「掏摸」とは全く違う意味で著者の作品が好きになった。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、水爆実験をも実行している今こそ、是非読みたい一冊だと思います。

  • 希望がことごとく砕かれていく。
    何を信じれば良いか、恐怖すら感じる。
    考えた事も無かった。
    未来はAIはどうなるのだろう。
    でもきっと我々の想像を超えるのだろう。

  • AIの発達した近未来の世界で、国家の策略による戦争に翻弄される人々を描いた長編小説。

    わかりやすくテンポの早いストーリー展開で読ませるが、この作品の本質は小説の名を借りて作者が訴えているメッセージにあるだろう。
    登場する国々は、名称こそ架空ではあるものの、背景からは日本やアメリカをはじめ、現実の世界をなぞっていることは明白だ。
    過去の戦争を「小説」という形で分析し、痛烈に批判する。さらには、情報操作を利用した政府の陰謀、政府の犬となったマスコミ、何より愚かなチンパンジーとして支配されていることに気づかずにネットで騒ぐ一般人など、現在の私たちの延長上にあるかもしれない未来に警鐘を鳴らす。

    日本だけでなく、世界的な規模での異様な国粋主義、右傾化の加速する現代において、いったい私たちには何ができるのだろう。個々の無力さを痛感する。
    同時に、皮肉、風刺を通り越して種々の愚かさを真っ向から見せつけられ、一人ひとりが未来のために危険に気づくことから始まる第一歩の重要性を考えさせられる、力作だった。

  • 近未来の架空の島国が舞台。

    AI搭載のスマホに依存する人々。
    権力による仕組まれた戦争。
    メディアによる情報操作。

    そんなデジタル社会と独裁が過度に進んだディストピアで、人はそれぞれの幸福を見つけながら生活していくのだが、その幸福は「国民の8割を占める貧困層に優越感を与えることで国を支配する」という印象操作によるものだったということに恐怖を抱きました。

    『人々が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルの幸福なのだ』

  • 近未来の日本を彷彿とさせるディストピア小説。
    奇しくも、現在の世界情勢に通ずるものがあり、読んでいて不安になることもあった。が、希望はある。そんな物語。

  • 2017年の時点で、これを書いた作者はすごい。現実が、今見ているスマホの画面が、テレビのワイドショーが、そら恐ろしくなる。
    最後の作者からのメッセージに、不覚にも涙が滲んでしまった。自我を持って、自分の目で見て、自分の頭で考えて生きていきたいなあ。

  • 今年一番重かった本。政治、国家、国民、戦争、宗教、神。そういう重いテーマをがっつり正面から書いている。今の日本そして世界で既にこの物語は始まっている。中村氏、体力と頭を酷使する本得意だね。でもまあこういう本は読んだ方がバカにならなくて良い。最終章の加賀の語り、読み終わるとぐったりする。

  • 図書館で借りた本。冒頭の朝目が覚めると戦争が始まっていた。で始まる近未来の話。情報操作をしAIが最前線で活躍する中、人々はチンパンジー並みの知性しか持たなくなり、ささやかな承認欲求を満たす為にネット上で幸せ自慢大会。そんな世の中にも疑問を持ち行動する人間も出てくるのだが国は…という内容。後味悪い読感。

  • 読み始めて途中で何とも言えない不安な気持ちがつのってしばらく中断してしまった。
    なんだろう、この嫌な感じは。
    近未来の島国R帝国。そこで起こる戦争や、続いている社会的問題、そのどれもがすぐ目の前にあるようで怖い。薄キモチワルイ。こんな未来が来るのか。
    もうすぐ選挙。

  • 建前として民主主義で運営されているR帝国。国は実質「党」が支配し、マスコミも支配下にある。野党すら「党」に選定されている。しかし国民は結構豊かな生活を享受している。そんななか突如Y宗国という宗教原理主義国の侵略を受け、戦争状態に陥る。侵略されたコーマ市は島で、沖縄のように軍事基地建設を拒否していた行政区であった。この唐突に始まった戦争は、何の目的で起こったのか、その理由が徐々に明らかになっていく。
    そして、主人公達の極小さなグループは、世論を操り、戦争を主導している権力に対し、真実を明らかにすることで戦争終結を試み、成功を収めたかに思えた。
    しかし、「人々が欲しいのは、真実ではなく、半径5メートルの幸福なのだ」となる。
    パラレルワールドであり、Rは日本、YはISIS、Cは中国みたいな世界観なので、イメージはし易い。
    ただそれ故に、R帝国の悪どさも、現日本の陰湿さと似通っていて、新味が感じられないのは残念。
    戦争・格差・人種差別・・・これらに対して、現代日本の(世界的なのかも知れないが)少し延長上にある考え、人間の本質をいやらしく書いた、なかなか面白い本では有る。

  • 「人々が欲しいのは真実ではなく半径五メートルの幸福なのだ」
    戦争、宗教、国家、人種差別、情報操作、原子力、移民問題、テロ、ウィルス兵器、、、、
    盛りだくさんの問題提起
    自分たちの見たいものしかみない
    流された方が楽
    そんな人々が増え続けた世界
    自分たちの都合の良い事だけ信じていたいし
    嫌な事からは目を背けたい
    常に自分を正当化していたい
    そんな心理をついた情報操作
    目の前のことをただ鵜呑みにするのではなく、しっかりと自分の頭で考え、耳の痛い話も都合の悪い話も、自分自身の狡さや弱さも、せめて自覚していられるようにしたい。

    作者のメッセージ性はすごく伝わるんだけど、なんでか誰にも気持ちが入っていかない。

  • 宗教と哲学、世界史について考えたい。日本の未来は良くならないと思った上でどう生きるか。どこに希望を見つけるか。

  • 宗教、政治、戦争。
    人間の欲、おぞましさ。
    日本、アメリカ、利権に関わる全ての事。
    一日で読み切ってしまった。

  • 現代の日本を風刺していたり、未来の生活を思わせるような文章が面白いと感じた。
    ただ、最後まで報われない為、スッキリ読み終わる感じではなかった。

  • 最近の中村作品は己の世界観と言うか現代に対する警告なのか問題発起なのか、言いたいことを少し詰め込み過ぎかなと思う。
    ストーリーにスムーズさと言うか展開が不自然に感じてしまう。
    物語を基本に個人の主張を入れた方が作品としては面白いかなと思う。
    なんだかんだ言って引き込まれる場面も多々あるのだが。

  • 何を風刺しているのかがはっきり分かる。
    人種、AI、内戦、貧困問題などの構造…
    あっという間に読んでしまった。

  • 救いのない物語。でも読む手は止まらなかった。
    ひどく現代を風刺した近未来の物語で、作者のあとがきにもあるように、良心のある人物は数名しか描かれていない。

     本著のキーワードは全体主義。本来民主主義とは対立的であるはずの政治思想を、上手くR帝国の影の部分(物語のメインであるが)として描いていた。
     ハンナ・アーレントが書いた「全体主義の起源」の感想を見ていると、次のような文があった。
     “全体主義が起こるまでの流れに触れると、ナポレオンの登場によって国民と国家を一体のものとして捉える「国民国家」の概念が広まった。それによって国民の同質性を求める流れから、異分子排除のメカニズムである反ユダヤ主義が生まれる。そして絶えず領土の拡大に野心を燃やす帝国主義が人種主義という流れを作り、何ら政治的な意志を持たない大衆たちに擬似的な世界観を見せる「全体主義」が生まれた。つまり、全体主義は外から生まれたものではなく、元々近代ヨーロッパが抱えていた矛盾によって、内側から生み出されたものであると著者は記している。”
     国民に同質性を求め、擬似的な世界観を与える。帝国主義、人種主義、全体主義。それらが民主主義の国家から生まれ得ると言う恐怖を感じた。

     何が善か悪かは誰もわからない。それは立場や環境、歴史や信仰によっても大きく異なる。この物語を読んでただ“党”が悪かったという感想で終わりたくないと思った。彼らにも彼らなりの善があり、熱狂する国民たちにも一人一人の善がある。ただ、それは自分で見て聞いて感じたことなのか、周りに流されているだけじゃないのか、それは自分のなりたい姿か、行動を起こす前に最後に一度自分に問いかけようと思う。
     「幸福に生きることと、正しく生きることは違う」心に刺さった言葉。全てを捨てて同質化した生が幸福かどうかも、これもまたわからないなと思うが。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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