R帝国

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050008

感想・レビュー・書評

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  • 宗教と哲学、世界史について考えたい。日本の未来は良くならないと思った上でどう生きるか。どこに希望を見つけるか。

  • 宗教、政治、戦争。
    人間の欲、おぞましさ。
    日本、アメリカ、利権に関わる全ての事。
    一日で読み切ってしまった。

  • 現代の日本を風刺していたり、未来の生活を思わせるような文章が面白いと感じた。
    ただ、最後まで報われない為、スッキリ読み終わる感じではなかった。

  • 最近の中村作品は己の世界観と言うか現代に対する警告なのか問題発起なのか、言いたいことを少し詰め込み過ぎかなと思う。
    ストーリーにスムーズさと言うか展開が不自然に感じてしまう。
    物語を基本に個人の主張を入れた方が作品としては面白いかなと思う。
    なんだかんだ言って引き込まれる場面も多々あるのだが。

  • 何を風刺しているのかがはっきり分かる。
    人種、AI、内戦、貧困問題などの構造…
    あっという間に読んでしまった。

  • 救いのない物語。でも読む手は止まらなかった。
    ひどく現代を風刺した近未来の物語で、作者のあとがきにもあるように、良心のある人物は数名しか描かれていない。

     本著のキーワードは全体主義。本来民主主義とは対立的であるはずの政治思想を、上手くR帝国の影の部分(物語のメインであるが)として描いていた。
     ハンナ・アーレントが書いた「全体主義の起源」の感想を見ていると、次のような文があった。
     “全体主義が起こるまでの流れに触れると、ナポレオンの登場によって国民と国家を一体のものとして捉える「国民国家」の概念が広まった。それによって国民の同質性を求める流れから、異分子排除のメカニズムである反ユダヤ主義が生まれる。そして絶えず領土の拡大に野心を燃やす帝国主義が人種主義という流れを作り、何ら政治的な意志を持たない大衆たちに擬似的な世界観を見せる「全体主義」が生まれた。つまり、全体主義は外から生まれたものではなく、元々近代ヨーロッパが抱えていた矛盾によって、内側から生み出されたものであると著者は記している。”
     国民に同質性を求め、擬似的な世界観を与える。帝国主義、人種主義、全体主義。それらが民主主義の国家から生まれ得ると言う恐怖を感じた。

     何が善か悪かは誰もわからない。それは立場や環境、歴史や信仰によっても大きく異なる。この物語を読んでただ“党”が悪かったという感想で終わりたくないと思った。彼らにも彼らなりの善があり、熱狂する国民たちにも一人一人の善がある。ただ、それは自分で見て聞いて感じたことなのか、周りに流されているだけじゃないのか、それは自分のなりたい姿か、行動を起こす前に最後に一度自分に問いかけようと思う。
     「幸福に生きることと、正しく生きることは違う」心に刺さった言葉。全てを捨てて同質化した生が幸福かどうかも、これもまたわからないなと思うが。

  • 中村文則作品を読むのは17冊目。

    おもしろかったー!!
    読みながら、9.11のこととか、第二次世界大戦のことを改めて調べた。自分は目を背けてきたことがたくさんあるよなぁ、と痛感。怖いから、悲しいから、日本はもう二度と戦争をしないからと、ずっと知らんぷりしてきた。その現実を目の前に突き付けられた感じ。

    中村文則って初期の頃はそれこそ“半径5メートル”の話を書いていた、と思っていて。
    私と銃。私とあなた。私のトラウマ。的な。一つの町で完成するような。基本は感情の揺れ動きというか。さすが芥川賞作家って感じの。
    でももう世界を書いてるんだよなって。教団Xでもそうだったけど。今回もそうだし。
    教団Xは表、A面、光って感じだけど、R帝国は裏、B面、闇って感じ。R帝国にほぼ救いはない。そういえば中村文則ってそうだったよね。教団Xもあなたが消えた夜にも光あるラストだったから忘れてたけど、中村文則ってそうだったよねって思い出した。
    そもそも題材が重いし現実と割とリンクしてるので、これでハッピーエンドだったら「あーよかった!ほら!なんとかなった!」ってまた現実から目を逸らしていたかもしれない。
    これは“警告”だ。
    私のように、日本はもう制度とか財政とか政治家とか終わってるし色々破綻してるけど、それでも戦争はもう終わったものだし、テロは日本では起こらない、私は確かに貧困だけど、それでも日本は安全だ、そのうちなんとかなるだろう、と思ってる人にほど読んでもらいたい。危機感持たされるし色々調べるしもっと知りたくなる。
    大人の課題図書にならんかなぁ。

    私は中村文則さんの作品が好きで、書き方とか表現とか、紡がれている言葉が好きで、だからずっと作品を読み続けている。
    だからこの小説とも出会えた。中村文則さんの作品じゃなきゃ、こういったタイプの小説は読まなかったろうなと自覚している。中村文則に連れていってもらってる。新しい世界へ、そして現実へ。

  • 希望がことごとく砕かれていく。
    何を信じれば良いか、恐怖すら感じる。
    考えた事も無かった。
    未来はAIはどうなるのだろう。
    でもきっと我々の想像を超えるのだろう。

  • 発想はいい。近未来の社会を想像し、1つの世界を構築しようとする努力も評価できる。ただ、文章が稚拙だ。そして「教団X」も、「私の消滅」にも言えることだが、女の描き方にリアリティーがない。

  • いまだからこそ、色々考えさせられる風刺に満ちた小説。風刺という表現とはちょっと違うかもしれないが。文章は硬めで、小説としてはあまり読みどころを感じないが、最後の部分の独白は、力強く迫って来るものがある。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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