- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120050084
作品紹介・あらすじ
バザールでござーる、だんご3兄弟、ピタゴラスイッチ、0655……。30年間、表現と教育の分野で、「伝える」方法を追究し続けてきた著者。そのマイルストーンとなる1冊。50数点の作品と解説エッセイで、「分かる」ことの喜び、楽しみを体感する本。「分かる」とは、人生が広がることだと実感できます。
感想・レビュー・書評
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「解きたくなる数学」にハマってから、佐藤雅彦ブームが来てしまいまして、いろいろ読みあさっています。
「指を置く」という本も読みましたが、この本にも指を置くことで湧いてくる感情を体感できる絵が幾つかありました。
本書は、さまざまな思考パターンを、多くの絵や写真を使って読者に「体験」させてくれます。
7章から成るこの本は、6章までが「体験」で、7章で総括し「確認」するという構成になっています。
佐藤雅彦さんの頭の中を覗くのにはこの本が最適かもしれません。
人間はこんな風にして物事を「分かろうと」しているんだということを気づかせてくれます。
真実を理解しないまま「分かる分かる」が優先されてしまいがちだったり、
「分からない」ことは「分からなさかげん」がよく分からない。
などなど。
人はどのように「分かろう」としているのかを知り、効果的な「伝える」方法を身につけるのに役立ちそうな本だと思います。
プレゼンテーションがうまい人は、この辺のツボを押さえているのでしょうね。
私がときどき気になり、頭に引っかかることも2つ取り上げられていました。
⇒ この文章を読んでいるのは、誰の声?
この文章を読んでいるのは、いつも聞こえる自分の内側の声。
⇒ ニュースでよく聞く「~のようなもの」
「バールのようなもの」ということで、「バール」ではない何かほかの物の集合の代表が「バール」であることを認識する。
それを、正確性に気を遣うアナウンサーが真面目に読むからおかしさが生まれる。
声には出しませんが、「バールじゃないんかい!」と突っ込んでしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぼくがアカデミックな場で一緒に仕事をしたり、遊んだりする方々は大抵読んでいる一冊。新学習指導要領を編集している方やアクティブ・ラーニングなど新しい学び方を提案する方も参考にしている。多面的で多角的な見方・わかり方・
佐藤雅彦さんと言えば、CMプランナーとして革命を起こした方。カローラIIで当時無名だった小沢健二を起用したり、NECの「バザールでござーる」のフレーズをつくったり、「だんご三兄弟」のように誰にでもわかる普通のトーン、同じフレーズのリフレインを扱ったり。単純かつ素朴さが人気を集める。「ポリンキー」「スコーン」「ドンタコス」のCMは神がかってるとしか思えない。住友銀行の100周年ロゴ製作の話は、何度聞いても面白い。
【コミュニケーション】の定義は、情報を移動させることによって、意味の共有を図ること。
発信と受信のディスコミュニケーション
私は表現を作る時には、いきなり表現に入るのではなく、どう作ったらかっこいいもの、面白いもの、かわいいものができるかいうことを、まず考える。
【象嵌】
ピタゴラスイッチ、0655/2355など教育上テレビへの活躍は、佐藤雅彦さん自身が小さな頃から夢中になったという「教えること」へ嵌め込むことで、新しいコミュニケーションデザインを模索しているのかもしれない。自分自身の中にある「新しいわからなさ方」を知ることで、「新しい分かり方」を知る。読書というより、「体験」する本。 -
写真やイラストなどによる作品+短い解説という体験パート、そして最後に関連する随筆6本。頭から一気に読まなくても、気の向くところ気になるところから楽しめそうな、読むピタゴラスイッチ。わかるカタルシスが大きいもの小さいもの、わからないままのもの、人によって違うだろうけれど、時間をおいて読み返すとまた違う分かり方が待っていたりもするのだと思う。随筆には「新しい分かり方」体験の解説として読む以上の叙情と不思議な余韻が感じられた。「モダリティの話」と「象嵌」が印象深かった。
「読むピタゴラ」という見立ても大げさじゃないようで、今日買ってきてわたしが読み終わらないうちから子らが先を争って読んでおもしろがっている。さすがピタゴラ育ち。 -
新しい分かり方ができた。この人は何も難しくないことを難しそうな言葉で簡単に伝えてくれる人だと思う。
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仕事も含めた日常生活で、同じ思考回路ばかり使っているとそれ以外の思考の存在すら忘れてしまう。「当たり前」だと思っていることに風穴をあけ、違う景色を静かに、お茶目に示してくれる本。
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「ピタゴラスイッチ」や「ポリンキー」のCMなどの佐藤雅彦。…だったんですね!いや、表紙やタイトルからは全然予想してなかった。なんか硬そうな本だなと思っていた。
めくってびっくり、中身はほとんど写真やイラスト、図になっていて、ぱっと開いたページを見れば「分かる」ようなシンプルでいてユニークなつくりになっている。
この「分かる」というのがこの本のテーマなのだけど、確かに、確かに「分かる」。
自明であったような、初めて体験するような、少しひねった作品たち。うん、好きだ。 -
佐藤雅彦の著書は脳内が心地よく刺激される感じがすごく好きです。
これも、本屋で見かけた瞬間に「読みたい!」と思って衝動買いしましたが、なんとまあ面白いこと。
細かいところはまだ読み途中ですが、この本に「参加してみる」だけでも本当に面白い。手や指を置いて、ページをめくって、透かして見て、本を逆さにして、その後の種明かしに「うわ!ほんとだ!」と思える驚き。
何年か前に、銀座で行われていた「指を置く」展に行ってめちゃくちゃ面白かったのを思い出しました。 -
人は物をみるときに、目に見えるあらゆるものを勝手に処理して理解しているということに、あらためて気付かされました。
こうだと思っていたことが、実は自分の思い込みから解釈していたこともあったかもしれないと思うと、思わず自分を疑いたくなります。
一方で、見方を変えるとシンプルな事実に気付くこともあります。その事実に気付くことができるかどうかが問われる本です。