- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120050343
作品紹介・あらすじ
「嘘吐き」の家系の羽猫家――3人目の子供を亡くしたことを受け容れられず空想の世界で生きる母、愛人の元にすぐ逃げる父、それの全てに反発する姉、そして、思い付きで動く適当な祖父と、比較的まともな祖母……。
そんな滅茶苦茶な家の長男として生まれた山吹は、幼い頃からみんなが唱える「嘘」に合わせ成長してきた。そして、その末に、このてんでバラバラな家族のゆく末と山吹の日常には、意外な結果が訪れる。これは、それぞれが破綻した嘘を突き続けた家族の、ある素敵な物語――。
若手実力派作家・寺地はるなが描く、ちょっと変わった家族小説が登場!
感想・レビュー・書評
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同じ家に暮らしていながら、みんなの向いている方向がバラバラ。これって特に子どもにとってはしんどい事。
架空の犬は自分を癒すためのツールだなんて、なんだか切ない。
でも時が流れるにつれ、家族みんなの気持ちも緩やかに変化していき、ラストはいい感じに落ちついたのでホッとした。
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心が痛い。
家族ってなんだろな。
山吹が頼のことを大切に想ってることに泣けた。
なんだかグッときた。
ポロポロと静かに泣いた。 -
前日に「そしてバトンは渡された」を読み終え、私の頭の中は♯温かい家族♯しあわせでいっぱい。
今日は寺地さんのかわいい表紙の本を。と手に取った…わぁ。ツライ…。
3人目の子を亡くした羽猫家。母親は現実を受け入れられず、おかしくなっちゃった。父親は浮気へ走り、姉はそんな両親が大嫌いで家出。祖父母も変わってる。山吹くんはお母さんの為に弟が生きているふりをして嘘の手紙を書いている。辛い時は空想の嘘の犬を撫でて過ごす。家族のため、自分のため嘘をついている。
【嘘】の概念が一つでないとわかった。
「嘘つきは泥棒の始まり」…嘘をつくのが悪いことは知ってる。でも「思いやりの嘘」「生きる為の嘘」も悪いのか?
ぱっとしない山吹くんだか、いつも人を思いやる優しさが本当に良い。お嫁にもらった頼ちゃん、優しくて懐が深くて好きな性格。感情移入して読めた。
山吹くんが成長するにつれ、大人たちの目線に近づく。「いつも誰かが欠けている家族」だったが心の中では繋がっていたんだなとジンワリと思えた。
清々しいラストではないが、山吹くんの【嘘】が転じて未来を照らす。
そうそう、寺地さんの作品はいつも顔を上げて前に進む気持ちをくれる。やっぱり読んで良かったな! -
おとなしい少年、羽猫山吹が8歳から大人になる38歳までのバラバラな家族を幸せにしたい優しくも心温まる嘘の話し。
現実には『ない』譲れないものを守ると同時に現実に『ある』人を幸せにする嘘で守っていた主人公。
真実を話す本音の方が残酷であるかの様に。
どちらが幸せかは『ない』と『ある』ものを大切に生きて行く姿勢ではないか。
そして、架空ではない幸せを掴んだ家族と一緒に過ごす山吹の姿に涙を誘う。 -
題名と同じように内容もとりとめない感じ。でも現実ってそんなもの。