異常探偵 宇宙船 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 135
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050503

作品紹介・あらすじ

小児性愛者殺害事件を追う、異常事件専門の探偵・宇宙船。美青年だが使い物にならない助手の米平青年、鳩狩りをする姉弟コンビ、浮浪者の出で立ちで森羅万象を知る直角仙人など、一般社会からはみでた人々を束ね、捜査を進める宇宙船。その正体は、一人娘を亡くし、重いうつ病にかかった主婦だった。
調査の依頼主・お嬢さんの下着が盗まれたり、怪人・空気ゴキブリに脅かされたりしながら、事件を追う宇宙船を待ち受ける真犯人とは――。

弱き者たちへの眼ざしと不意打ちの笑いがクセになる、奇才・前田司郎による初の推理小説!

感想・レビュー・書評

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  • 文學界の「海辺のマンション」が好きなテイストで、他の作品も読んでみようかなって選んだこれはちょっと失敗だったかなって感じ。

    最初はおろしろかったんだけど、与太話が過ぎるというか、突飛すぎてだんだん作品自体に興味がなくなってしまった。

    ありえない創作なんていくらでもあるのに…なんだろ、加減かな?

    文章は好きなのでめげずに別の作品も読んでみようと思う。

  • みんな正常だと自分のことを思っているけど、それも本当かな?異常ってなんなんでしょうね、みんな不良品なのに 空気ゴキブリのことは途中からストーリーが薄くなった気がします、でも、我々が自由意志によって行動しているのでなくて、常に何かによって操られているのではないかというのは、新鮮でオッ、となりました 宇宙船がおばちゃんなのにハードボイルドでかっこうよかったです

  • 図書館で借りて読んだ。
    Gの表現がリアルに想像出来てしまってGが苦手な私は読み進めるのを躊躇いましたが面白かった。

  • いわゆるメタ小説に近い手法、狂言回しの進行が入る中で、登場人物は全員記号で名付けられる。まずこのあたりは人によって好みが分かれると思うが、本作品では非常に効果的に作用している。

    まず人物設定が際立っている。それぞれにやや突飛とも言えるキャラクター付けがなされているにもかかわらず、その心理描写は秀逸である意味で生き生きと小説の中で動き回る。記号であるにもかかわらず、その関係性は現実の人間同士を上回る濃密さである。

    ストーリーもある意味では普通、そしてその舞台も五反田の街並みが頭に浮かぶくらいリアルである。このようにリアリティ溢れる中で記号が繰り広げる現実離れした物語は奇妙であるが心地よい。この感覚が好きな人にはこの小説はうってつけである。

    これはまるで舞台のようだ、と思っていたらそれは当然の話で、筆者の前田司郎さんは劇団五反田団を取材する劇作家でもある。最後の宇宙船のこのセリフで幕が降りる、という感じだろうか。

    「この世は不良品なのよ。不良品のない世界なんて、地獄だわ」

  • 図書館にて。

    ううん?なんかよくわからんぞ?いや、わかるんだけど、頭の中も思考回路がピョンピョン跳び跳ねてるみたいな個性的な読後感よ。
    登場人物が個性的すぎる。だけど、意外と事件そのものは普通(別にファンタジー要素とか個性的なトリックがあるわけではない)な気がする。
    これだけ個性派揃いならもういっそのことファンタジー要素入れても楽しかったかも。
    個性強すぎキャラたちが目立ちすぎて、話は淡々と進んでいった感じ。
    面白くないことはないし、まとまってはいたな~。表紙がかわいいな~て思いました。

  • 小児性愛者の仲間の自殺に疑問を持った『お嬢さん』は、偶然知った異常な事件を専門に調べる『宇宙船』という探偵に会いに行く。そこに現れた美形だが言動がおかしい青年と事件現場を見に行くと、ビルの壁を飛び回る怪しい男が。そして本物の『宇宙船』こと、頭巾をかぶった女が姿を見せた。

    スパイダーマンのような怪人空気ゴキブリ、あらゆる音を聞き取る頭巾女探偵、狼少女のようなAとB・・・濃い変人のオンパレード。突拍子もない展開を語るナレーション口調。
    根底にあるのは悲しい話なのだけれど、有りえな過ぎて入ってこない。個人的には、米平少年(青年、いや中年に差し掛かるかも)の言動にイライラしっぱなしだった。

  • 自分の異常も誰かの異常も認められた時に、世界は優しい光に包まれるんだなと感じた。
    他人の異常を責めてはいけない。自分も異常なんだから。

  • うーん・・・現代のナンセンス小説って感じだ・・・
    切り口は嫌いじゃない

  • 雅春がかわいそう…
    なんだか切なくなった。
    てか、病院連れてってやり。

  • この本のカテゴリーって何なんだろう?
    小説かファンタジー?ミステリー?
    設定からして不思議だらけだ。
    不思議さ加減が過ぎて読者を置いてけぼりにしないための配慮か?筆者自身が物語の中に思考や疑問・説明などを(設定的に)混ぜ込んでいる。
    題名と表紙のイラストを見て、敢えて中を読む人間ならば恐らくそれなりに楽しめると思う。
    私も不思議さを感じながら楽しんだ。
    PTSDとサヴァン症候群?、個性と呼ぶには強過ぎる、一種の障害かと思えるほどの人物設定など、とりあえず何でも受け入れながら取りあえず読み進めていけば、意外と深く感動的な?読後感を得られるから、また不思議だ。

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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