大人になったら、 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 671
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050558

作品紹介・あらすじ

30代半ば、カフェで副店長をしているメイ。彼氏も好きな人もいないが、それなりに充実した日々を送っている。
でも、結婚や出産、仕事の昇進試験から目を逸らしつづけてはいけないのもわかっていて……。
人生の基本問題は解けても応用問題が解けないメイを、恋が大きく変えてゆく!

感想・レビュー・書評

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  • なんか分かるなぁ。
    なんか子供の頃とか若い頃って大人ってもっと大人だと思ってたんだけど、いざ自分がその年齢になると全然そんなことなくて。
    選んだこと、選ばなかったこと、その時その時で一生懸命考えて選んできたはずなんだけど、たらればを考えてしまうことも多々あって。
    とりあえずメイちゃんと羽鳥先生の今後が気になるので続編が読みたいです。

  • 何か起きるわけじゃない、日常を書くのが上手いなぁと感じる作品。個人的にとても好きだなと思った。
    35歳、って確かに、若くも老いてもない、言ってしまえば中途半端な時期なのかも。
    普通の女性といったときのイメージはそれぞれってあったけど、確かに。大学を卒業して、就職、結婚、出産…と、それが普通の人生なんだとしたら。その普通ができない自分は欠陥品のように感じてしまうかも。
    メイと杉本くんのやりとりが好きだったので転勤は残念だったけど、寂しくても、人はだんだん忘れていくし、それは悪いことじゃない。羽鳥先生ともうまくいくといいなぁ。

  • 30代女性のリアルが読み解ける物語。飲食業の大変さもリアルで分かる。スルスル読める一冊。

  • 主人公は飲食業界でバリバリやってる副店長なのでややキツイ感じの性格を感じた。
    バイト先で社員同士が揉めてたらウワッてなるって。

    今時の35歳は恋愛と仕事以外にも趣味とか推し活とかそれなりに充実してるのではと思うけど、家族がいないので家族が欲しいという考えを持っていることに納得がいった。
    父がLINEの「新しい友だち」に出てきて「古い家族」なのに、に笑った。

    羽鳥先生に背中を押されて、試験に挑戦して昇進、伝えられないまま転勤の流れドラマティックでよかった。
    羽鳥先生のキャラクターはスーツメガネの少女漫画のような先生を妄想してしまった。
    こちらもなかなかの曲者なので続きが気になる終わり方。

  • 読みやすかったので、珍しく一気読み。


    30過ぎの大人になるとそれまでの経験や知識の積み重ねによっていろんなことを考えてしまい、家族も恋も仕事も簡単には決断できない。
    これだ!って決められる人もいるのだろうけど、怖さに勝てず、理由を付けて目を逸らしてしまう、メイのそんなところに自分を重ねて読んでいた気がするし、メイが同じようなところでぐるぐると悩んでしまう姿に共感できた。

    羽鳥先生と話すきっかけができてから、少しずつメイの中の何かが変わりはじめて、前向きに進んでいく姿が読んでいて心地良かった。少しずつ変わっていく様子が丁寧に書かれていて、明るい気持ちになれたし、勇気をもらえた気がする。
    終盤のメイは、堂々としていてカッコ良かったな。不器用な羽鳥先生は可愛かった(笑)

    最後、もう少し先まで読みたいな と思わせるあのシーンで終わったのが私は好き。

  • 文庫が発売されて、ブクログで紹介されていた。畑野さんの本を読んでみたいと思った。
    独身女子だから沁みるのだろうか。これを子育て中の女性が読んだらどう思うのか。父が去り、母が亡くなり、10年も付き合った彼と分かれて、それでも生きている命はエライ。って普通のことなのかもしれないけど。
    「普通ってなんだろう」

  • 大人になったら
    シネマコンプレックス
    家と庭

    畑野智美さんの作品は、おじさんの私からは
    可愛くて、賢くて、ちゃんと生活している女性が沢山出て来てかなりいい!

  • 初めの辺りが読んでて苛々してしまった…。特に新入社員くん…。
    後々は良くなっていったので、読めましたが…。
    あと、私も近しい年代だからこの年代は悩みが多いなとため息つきたくなりました 笑

  • 35歳独身
    仕事に精を出しすぎて婚期を逃した、
    現代女性らしいお話。
    仕事と恋愛の両立が簡単ではないことを思い知らされます。
    頑張る女性のお話が好きなので面白かったです。


    カフェ店員さんってキラキラしているし
    やりがいも感じやすいのだろうけれど
    女性としてはそれで恋愛が疎かになったら
    焦るし。でも仕事を言い訳にしてなんとか自分を肯定して、、。
    私もカフェで働いていてそういう社員さんを多く見てきたのでよく分かりました。
    仕事と恋愛のバランスって難しい…。
    こう考えると仕事はほどほどくらいのがいいのかな、と自分ごとで考えさせられます。


    畑野さんの本好きです。
    鍵かっこの外の、心情の部分が細かくて、的確なのが好きです。


    装丁が可愛らしすぎるほど可愛いですね。笑
    持ち歩くのが場所によっては恥ずかしかったです笑

  • 同世代のリアル 。
    会話も多くて読みやすく
    映像がふわりと浮かぶ、
    展開は読めたけど
    みんな素敵な人柄でした ◎
    キートス行きたくなる。
    のちにきっと開くであろう
    主人公のカフェにも、
    願わくば羽鳥先生にも会いたくなる、
    あれ?でもわたしキートスに行ったかな
    会ったことありそうなないような、リアル。
    そんな一冊 ◎

  • ときめく気持ちを取り戻す恋愛小説というフレーズに惹かれて手に取りましたが、過去の恋愛、これからの仕事、職場の人間模様、長く付き合ってきた友達との関係、とても濃いお話でした。
    私も大人になったら上手にこなせると思っていた諸々の事。めいちゃんも羽鳥先生も杉本君もみっちゃんもマスターもみんな不器用で愛おしい。

  • 1人で生きていくのも寂しいものなのかな~
    人とは比べられないけれど、支えあえる相手は大切かなと思いました。
    題名の意味がチョッと???

  • 同世代で同じような立場だから、共感しまくってズキズキと刺さった。
    「多数派と同じ方へ行くといういう基本問題を解くだけで、先に進めない。」が痛いほどの自分を言い表されているような心情で、印象に残った。
    結局自分のこと幸せにできるのは自分次第なのだろう。

  • 平凡な日常を切り取るのがとても上手な畑野さんの長編小説

    東京のカフェで副店長として働く35歳、独身、葛城命(かつらぎ めい)が主人公です。
    仕事、結婚、出産、家族、何の保証もない未来に悩み、葛藤して、選択する女性のリアルな姿が丁寧に描かれています。

    物語は大きな起伏もないまま淡々と穏やかに流れて行きますが、同世代で近い環境にいる方であれば「あるある」が一杯だと思います。

    ただテーマが既出的な事もあってデジャブ風味なのと、インパクトに欠けるのでちょっと物足りない感じがしました。

    タイトルに付いている「、」は未来への希望や余韻を感じる事が出来て好きです。

  • 果たして35歳は大人なのか??
    結局、自分の思い描く大人には一生なれない気がする…。というのは、さておき。
    恋というのは、何歳になってもこんな感じなのかもしれないと思ったりしました。
    なかなか、良い終わり方だったかなと、思います。

  • なかなかこじらせてるけど、メイちゃんと羽鳥先生を応援したくなる。

  • 年頃の女性で昇進となると悩みは尽きないだろうな。
    転勤があるならなおさら。
    それはそれで、そのときに一番自分がやりたいことを優先すると後悔がないかも。先に心配するより、問題が生じてから考えても遅くないような気がするこの頃。
    なんとかなるもんさ〜。

  • チェーンのカフェの副店長、35歳独身のメイ。
    父親は失踪、母とは死別、10年付き合った彼とは7年前に別れていた。
    結婚、出産、仕事の昇格試験など、向き合わなければならない問題は沢山あるものの、毎日を過ごしていた。

    色々なことに臆病になっているメイに、もっと頑張れと思いながら読んでいた。
    とは言いながら、30代の独身女性としてはリアルな心情が描かれており、興味深かった。

    後輩杉本が実は良い奴でほっこり。

    「消えない月」を思い出し、羽鳥先生を疑ったタイミングが幾度かありました。
    ごめんなさい。

  • 東京にある北欧風のカフェ「キートス」で副店長をしているメイ。
    10年付き合った恋人と8年前に別れて以来、新たな恋もせず、店長昇格も目指さず、ただ漫然と日々を過ごしているうちに35歳になっていた。

    もう十分に大人と呼ばれる年齢であるにもかかわらず、結婚も出産もせず目標を定めるでもなく決断をせずに生きている自分を子供だと感じながら日々を過ごしている。

    メイの、幼稚さが残るがもう若くはない、しかし老齢でもない女の気持ちとか立ち位置というのがすごくリアルで、しみじみする。

    もう甘えられる年齢ではないし甘えたいわけではないけれど、時折甘えさせてくれる人がいればと思ってしまう、弱さと強さは、大人と呼ばれる年齢になってもきっと誰もがひそかに抱えているんじゃないだろうか。

  • 30代半ばの独身女性の葛藤や生きづらさがとてもリアルに描かれていた。
    30代前半の私でも「あるある」と思わず共感。
    アナログ世代とデジタル世代の狭間にいる30代はなかなか大変なのです。
    働き方もちょうど狭間だなと感じる。
    そして同世代の友達の中でも、独身、既婚、母親で大きく話題も価値観も違って来るから、お互い色々気を使ったり、本音で話しづらかったり…
    そういうモヤモヤが本当にリアルでした。

    ラストは前向きでよかった!

  • 読み始めてすぐに悲しくて泣いた。主人公のメイとわたしが同世代で、同じような悩みを抱えて毎日を生きているからだろう。苦しくて叫びそうになるくらい痛いところを突いて来る中で、だんだんと光が見えるのがいい。所詮フィクションだ、と言い切りたくないくらいの希望が見えるのがいい。出て来る人みんな不器用ながらも優しいのがいい。子憎たらしかった25歳の杉元くんなんて最後とても愛らしくて泣き虫でよかったよ。
    メイが札幌という新しい地で、羽鳥先生と新しい春を、命より大切と思える存在をつくりあげるのが羨ましい。
    メイの友達のみっちゃんに一番感情移入した。辛いだろうなー妥協できなくて。みっちゃんにもいい人見つかりますように!

  • 面白かった。自分とドンピシャな年代の、仕事に対するリアルな考えや年下の仕事仲間に対する接し方、考え方…まさに今これで悩んでるからものすごく共感できてしまった。恋のほうも進み方が良くて、等身大の物語という感じ。夢中で読み終えた。幸せな読書時間だった。

  • 主人公のメイと歳が近いのもあって、共感する部分もちらほら。

    「普通」って何だろうというのは身につまされるなあ。
    漸く多様性に気付き始めた社会での「普通」というのも、発表時の2016年から変わってるだろうし。

    私は昔から子供を産まないと決めているけど、いつか後悔する日がくるのかなと怖くなったのもある。

    登場人物の会話のテンポも良くて、読みやすかった。

  • 羽鳥先生やるじゃん
    だけどこの著者の主人公の女性は弱々しいなー
    と感じてしまう…

  • アラサー女子には沁みる沁みる。
    私も昔小さい頃に思っていたような素敵な大人に、
    その年齢になっても自分がなれたと思えてないから
    すごくメイの気持ちが分かるし、みんなの言う、世間の言う、普通が本当に普通なの?
    結局自分を幸せにできるのは自分なんだよね、きっと。

  • ホームパーティーでの旧友たちの姿に閉口しながらも、そう捉えてしまう自分が卑屈なんだろうなと落ち込む主人公に共感が持てる。
    行きつけのバー、"ストロボ"の焼き飯は美味しそう過ぎるし(マスターもとっても素敵!)、杉本もなんだかんだ憎めない奴。
    ラストは突拍子もなさすぎるけど、読みやすくて、私も仕事を頑張ろうと思わせてくれた。

  • ライフステージが違う女性が直面する、仕事と恋愛と生活に対するモヤモヤと不安をギュッとつめたような感じで辛かった。。

    大人になったら、
    うまく生きられるようになると思ってたのに。

  • 【あらすじ】
    30代半ば、カフェで副店長をしているメイ。彼氏も好きな人もいないが、それなりに充実した日々を送っている。
    でも、結婚や出産、仕事の昇進試験から目を逸らしつづけてはいけないのもわかっていて……。
    人生の基本問題は解けても応用問題が解けないメイを、恋が大きく変えていく!


    『大学生の頃に素敵な大人と思ってしまっていた人たちの年齢を、わたしたちはとっくに通りすぎた。そして、彼らが素敵な大人なんかではなかったということを今は知っている。』

    『結婚の決断ができないってことは、その人じゃないってことなんだよね。』

    『フウちゃんは私にとっても結婚を現実的に考えられる相手ではなかった。結婚しようと言い合っても、子供のままで、ままごと遊びをしているようだった。』

    『必死に勉強して、まあまあいい大学に入って、望んだ会社に就職できたけれど、自分の人生がこれで良かったとは思えない。安泰であり、それだけで充分だとは思う。だが、どこかで違う選択肢を選んでいたら、もっと幸せになれる人生もあったのではないかと考えてしまう。』

    『恋愛も、結婚もしなくても、生活していける。それでも、わたしの人生には、彼が必要だと感じる。』


    【個人的な感想】
    この本の初めの方は、考え方も不安に思っていることも、もしかしてこれが10年後の自分なんじゃないか?と思うくらい共感できた。
    でも最後の方の『恋愛も、結婚もしなくても、生活していける。それでも、わたしの人生には、彼が必要だと感じる。』の1文がすごくしっくりきて、なんだか救われた気がした。

  • 畑野さん2冊目。主人公の葛城命(メイ)は35歳独身。10年交際していた彼とは別れ、彼氏いない歴8年。

    副店長として勤務しているカフェで店長資格の試験を受けようか迷い中。過去3回落ちているだけに気が進まない。でも好きな人もいない、このまま副店長のままで良いのか?揺れる35歳。そんな時気になる男性登場。

    メイもだけど相手の羽鳥先生も恋愛経験乏しくてなかなか前に進まないのがじれったい。メイの転勤をきっかけに羽鳥先生勇気出して良かった。

    それにしても愛人作って家を出て音信不通だったメイの父親がいきなりラインでお友達?それは無理でしょ〜。

  • 2022/11/10

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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