青空と逃げる (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 385
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  • / ISBN・EAN: 9784120050619

作品紹介・あらすじ

深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。

辻村深月が贈る、一家の再生の物語。読売新聞好評連載、待望の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 深夜、大物女優の運転する車が交通事故を起こし同乗してたのが父親だったとかからのスキャンダル疑惑、何故か父親が失踪する。マスコミの取材や大物女優の所属するプロダクションの執拗な追求が母と小5の息子に迫るなか自宅から姿を消し逃避行を繰返す。
    四万十、家島、別府、仙台と地方の暮らしぶりに溶け込む中人々との出会い、暖かなふれあいが印象的で情緒がありそのままずーと日本全国津々浦々、フーテンの寅さんのように渡り歩いて欲しいなって、物語の進行に関係なく思ってしまいました。
    そんな感じで、この母と子の成長をみていれたらって思っていたのですが、小5の息子には裏切られました。とゆうか影で操っていたんじゃないかと思える程の采配に戸惑いました。
    なんだか着地がピタッと決まらなかった感じがするんですが、辻村さんの優しさを感じることができた作品でした。
    まだ彼女の作品7つぐらいしか読んでいませんので直感なんですけど彼女は、主要キャラの一人一人に愛情込めてとても大切に愛おしむように描いているのが伝わってくるので、そのキャラが直接手を下すような殺人事件とか書けない人なんじゃないかって感じました。
    ぎりぎりの殺意や憎悪の中からも足掻いて足掻いて一筋の光を見つけ出せるような、そんな素晴らしい作家さんなんだって感じて益々好きになりました。

    • かなさん
      しじみさん、こんにちは!
      辻村深月さんの作品、読み進めてますね(^^)
      この作品の親子、「傲慢と善良」にちょこっと出てくるらしいです!
      ...
      しじみさん、こんにちは!
      辻村深月さんの作品、読み進めてますね(^^)
      この作品の親子、「傲慢と善良」にちょこっと出てくるらしいです!
      もし、次何を読もうかなぁ~と思ったときは
      ちょこっと思い出してもらえたらいいかなって感じましたよ。
      私もこの作品、読もうと思っていたの、思い出しました(^-^;
      2023/11/18
    • つくねさん
      かなさん、こんにちわ♪

      「傲慢と善良」にもでてくるんですね。ちょっと楽しみです。
      たくさん作品があるので読みたい本、迷っちゃいますね...
      かなさん、こんにちわ♪

      「傲慢と善良」にもでてくるんですね。ちょっと楽しみです。
      たくさん作品があるので読みたい本、迷っちゃいますね。
      この作品読んで、別府温泉の砂湯に入りたいって思っちゃいました。

      2023/11/18
  • これまで逃避行系ミステリーをいくつか読んできたが、これは応援し難い“逃げる”であった。

    母親と子どもの逃避行。
    それぞれの目線で交互に描写。
    この書き方はうまいと思った。「その時母はどう思ったの?ふむふむ。で、子は?」みたいな感じで読者を飽きさせない。読みやすい。

    なんで逃げるの?とイライラしながら読みつつ、真相を小出しにされ読者は最後まで引っ張られるが、
    「はぁ…それはびっくりするわ。逃げるしかないよね」という共感はできなかった。

    母親は、「背負うものがある者は強い」と人に言われ、自覚する。やっと気付いたのか?
    父親はスキャンダル絡みで一番に姿を消す。子どもには「助けを求めるんだ」とアドバイスするけど、そんな自分はどうなのよ?妻や子、親、所属先など頼れるところはあったはず。
    また良かれと思ってついた一つの優しい嘘が誤解を招き、糸が絡んでいく。
    トラブル時、家族で向き合っていれば逃げなくても良かったのでは?
    でも逃避行という形の遠回りをしたことで、夫婦や家族のあり方、子どもとの向き合い方に気付いた家族の成長の物語ってことなのかな。(そもそも元々のこの家族像がよく分からないのだが) 
    しかしこの子ども、本当に小5か?と思うくらい大人びていて生意気だと感じたが、結局この子が一番冷静でしっかりとしていた。もしかしたら両親を、家族を試していた?…と考えると怖いくらいだ。

    青空ってどんなだっけ?と空を見上げたら、今日はどんよりとした曇り空。すっきりとしない読後感のような空模様であった。辛口ごめんなさい。

    • りりうさん
      なおなおさん、こんばんは。
      初コメからばんばん遠慮なく送ってしまい、申し訳ありません!わたしはこの本は読みたい登録をしています。なおなおさん...
      なおなおさん、こんばんは。
      初コメからばんばん遠慮なく送ってしまい、申し訳ありません!わたしはこの本は読みたい登録をしています。なおなおさんのコメントを踏まえて、読めたら読んでみたいな、と思っています!
      本当にしつこく送ってしまっているので、スルーしてくださって大丈夫です!一回始まると終わらないタイプで……。ではおやすみなさい。
      2023/04/14
    • なおなおさん
      さわわさん、こちらでもありがとです。
      本書は逃避行物語としてはあまり好きじゃなかったんですよね…でも私のレビューなんて参考にしないで楽しんで...
      さわわさん、こちらでもありがとです。
      本書は逃避行物語としてはあまり好きじゃなかったんですよね…でも私のレビューなんて参考にしないで楽しんでください!!
      さわわさんのレビューを楽しみにしております!
      2023/04/14
  • 辻村深月、久しぶりでした。【ネタバレ】舞台俳優の拳、妻の早苗、子の力。この3人に悲劇がやってくる。女優・遥山真輝と拳が自動車事故を起こし、真輝が自殺する。その後、拳に対する執拗な批判により早苗と力が逃げる。四万十、家島、別府、仙台。地元の方々がとてもいい人で助けられながら暮らしていく。逃げるだけではなく、生きる力をつけていく。また拳にまつわる事情も明らかになり、拳を信頼し会いたくなる母と子。逃避行だけではない。成長によって最後は大空に向かって進んでいく。彼らの前途は清んだ青空しか見えない。

    • アールグレイさん
      読んだんですね!
      私が青空と逃げるのレビューを書いたのは半年程前。実際に読んだのはいつだったか・・・・
      1番覚えているのはやはり、お風呂掃除...
      読んだんですね!
      私が青空と逃げるのレビューを書いたのは半年程前。実際に読んだのはいつだったか・・・・
      1番覚えているのはやはり、お風呂掃除のこと。
      逃げる時、100均でせっかちそろえた生活用品、もったいなかったなあと思う。笑
      辻村深月さんの新刊を知っていますか?
      「闇祓」すごい題名ですね!
      (>*ο*<)
      2021/11/06
    • アールグレイさん
      向日葵の写真を冬バージョンに変えるとか
      (-ω-)
      向日葵の写真を冬バージョンに変えるとか
      (-ω-)
      2021/11/07
    • アールグレイさん
      こんにちは⭐
      出張中って言っていましたね!
      どぉこに行ったの~?北海道?九州?・・・・プライバシーだからこそ秘密な方が、とも思う。
      お仕事、...
      こんにちは⭐
      出張中って言っていましたね!
      どぉこに行ったの~?北海道?九州?・・・・プライバシーだからこそ秘密な方が、とも思う。
      お仕事、忙しいでしょ、返信しないでいいよ~
      ∈^0^∋
      2021/11/08
  • 「あぁ、自殺に起因する作品を続けてしまった」と、後悔から読み始めてしまった本作。『こうなったらとことん暗くだ!』なんて、思いながらも、『もしかしたら、別のテーマがあるかも』なんていう淡い期待とともに、機転はまだか、まだかと、読み進めることになる。

    昨年は芸能人の自殺が目立った。9月末に女優・竹内結子さんが40歳の若さで、7月は俳優の三浦春馬さんが30歳の若さで自ら命を絶ったのは、記憶に新しい。

    厚生労働省は先日、警察庁の統計に基づく2020年の自殺者数(速報値)が、前年確定値より3.7%増加し自殺者は11年ぶりに増加に転じたと報道していた。また、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)も16.6人となり、11年ぶりに増加であったようだ。増加の要因は新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化などがあるとみられるとされているが、それよりも過去からの死因順位で15~39歳の死因の第1位は自殺となっていることには、唖然とする。

    本作は、女優・遥山真輝と男優・本条拳は深夜、事故を起こした。その事故の直後、自殺をした遥山真輝。そしてそれをきっかけに退院から失踪する力の父親である拳。
    残された母親・早苗と息子・力は、マスコミと真輝の事務所であるエルシープロの人たちから逃げる。逃げた土地で、エルシープロに見つかり、追われと、いつ終わるとも知れない逃避に疲弊していく。

    残された家族が追い詰められ、逃げた先で生きていくために働く。その土地で築いていく人間関係。築いては逃げて、築いては逃げてと満足に感謝も述べることができずに繰り返される別れ。
    逃げた土地での人たちに支えられるふたりと感じる人の温かさを読んでいてともに感じることができる。

    力と早苗を取り巻く人間関係を背景にこの逃亡の間に成長していく力。これは(読みはじめに感じた)自殺に起因する作品ではなく、人の成長の話であったことを理解する。

    そして、最後の力が父親・拳と連絡をとっていたという意外な展開が、この著者ならではだなぁと感じるものの、少し強引なまとめ感は否めない。

  • 「傲慢と善良」の流れて読んだ1冊。
    夫のスキャンダル疑惑で生活を壊された母子。
    その事務所の人間から逃げる物語。
    様々な地方への逃避行の中、そこで触れた多くの人達の優しさ。
    様々な出来事があった別府での生活が特に印象深かったかな。
    別府で急展開し仙台で真相へ。
    結末は一番いい形で終わったかと。

    • アールグレイさん
      初めまして
      ゆうママと申します!
      いいねを頂きありがとうございます!
      勝手ですが、本を2冊お薦めさせて頂きたいと思い、コメント致しました。私...
      初めまして
      ゆうママと申します!
      いいねを頂きありがとうございます!
      勝手ですが、本を2冊お薦めさせて頂きたいと思い、コメント致しました。私が読んだばかりの「鎌倉うずまき案内所」青山美智子さん、
      「雷神」道尾秀介さん、「風が強く吹いている」三浦しをんさん。
      3冊になってしまいました。もう読んだ本があったでしょうか?
      本当にお節介かと思います。
      お許し下さい。
      /(。。)/
      2021/10/06
    • o.c.beats aka K.YOKOYAMAさん
      >ゆうママさん

      はじめまして。
      コメントありがとうございます!
      お薦めのご紹介もありがとうございます。
      3冊ともまだ未読なので、...
      >ゆうママさん

      はじめまして。
      コメントありがとうございます!
      お薦めのご紹介もありがとうございます。
      3冊ともまだ未読なので、機をみて読んでみたいと思います!
      2021/10/08
  • 話の始まりは、父親が事件を起こしマスコミが家にまで押し掛けて来る。
    父親は事故後、退院しても家に帰らず
    行方不明になる。母親と息子は窮地に
    たたされ、「青空と逃げる」。

    母親と息子(力)の逃避行となる。
    ふたりは母親の知り合いの元へ、と身を寄せるがマスコミに見つかってしまう。
    そんなことを繰り返しながら、見ず知らずの人の助けを借りて、数カ所を逃げ回る。


    印象強いことは、息子の力にお風呂掃除をさせ、小遣いを与えていたおばさん。
    私は“子供にそんなことをさせるなんて”
    と、腹立たしく思っていたが、力に
    とっては嬉しいお手伝いだったようだ。
    父親とは電話連絡をする約束をし、
    カードをもらったが、それも底をついていた。そんな力には、電話代が欲しかった。母親には内緒での連絡だった。
    ・・・・母親も一緒に電話連絡ができていたら、気が楽だっただろうに、と思う。

    指宿の砂湯は、とても情景のいい場所を選んだと思う。その様子が目に浮かぶ。砂かけの仕事は、体力が必要だろうからさぞかし大変だったと思う。

    逃避行ではあるけれど、読後感は
    清々しい印象がある。
    表紙がそのことを物語っているのでは
    と思う。

    • ポプラ並木さん
      おっ、ゆうママさんと共読でした。旦那の不祥事による逃避行、それだけでは終わらない内容の濃いお話でしたね。家族の頭上には大きな青空が見えました...
      おっ、ゆうママさんと共読でした。旦那の不祥事による逃避行、それだけでは終わらない内容の濃いお話でしたね。家族の頭上には大きな青空が見えましたね。
      2021/11/06
  • 深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。
    押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。
    母と息子の日常を奪い去った。
    疑心、恐怖、そして怒り。壊れてしまった家族が、たどり着く場所は―。

    内容を全く知らずに読み始めました。
    表紙のイラストから浜辺で走る少年と印象的な青空から爽やかなイメージの内容かと思っていました。

    劇団員の俳優の父・拳が深夜有名女優が運転する車で二人きりのドライブ中に事故にあう。
    二人とも命に別状はなかったもののマスコミはW不倫かと騒ぎ立てる。
    そんな中、有名女優は顔の骨折や傷で再起不能かとまで言われ…自殺。
    一度は静まりそうだった取材合戦も再熱。
    退院したという夫は自宅には帰らず行方不明に…。
    そのうえ、有名女優が所属していた芸能プロが怖い人が多い所で
    夫の行方を探していて母子の所にもしつこくやって来る。
    逃げる事を決意した母・早苗。
    逃げた先は友人のいる高知県の四万十そこから兵庫県の家島へそして別府
    砂掛けさんとしてやっと落ち着けると思ったら…。
    夫がいるのではないかとの情報で宮城県の仙台へ

    お金も乏しく、行く当てもなく五年生の男の子を連れての逃避行。
    しつこい訪問がいやでも家のある東京でいればよかったのに…。
    腑に落ちないで読み進めていくと逃避行を決意した理由がわかった。
    そして、父の拳は自分のせいで母子が窮地に立たされているのが
    わかっているはずなのに失踪し音信不通って凄く無責任でなんなの(*`Д´*)
    って凄く腹立たしく思っていましたが、大きな理由があったのですね。

    背負うものがあるものは強い
    弱く怯えてばかりの早苗が、逃げた先で出会った人たちの温かさや
    彼女・彼らの助けでグングン成長し、ドンドン強くなって行った。
    息子の力もそうだった。
    でも驚いたなぁ…力がお父さんと連絡をとっていただなんて(@_@;)
    お父さんも二人の様子を知ってるからこそ、数ヶ月会わなくても
    大丈夫って思う事が出来たんだね。

    誰かに頼ってもいいんだよね。

    仙台で身を寄せていた写真館のお話は東日本大震災のお話も
    描かれていて、涙が零れて仕方がなかったです。

    希望に満ちたラストで良かったぁ(*´ `*)

    子供を命懸けで守る…母親の心理描写がとても丁寧に描かれていた。
    お母さんになった辻村さんの心なのかなって思いました。

  • 少し前に読んだ「傲慢と偏見」の中で、主人公の真実が滞在した仙台の写真館の場面にチラッと出てきた訳ありの母子。
    辻村作品にチラホラ出てくる谷川ヨシノ絡みだったのでひょっとしたら?と思ったのだが、やはり別作品(つまりこの作品)の主人公であることが、フォローしている方のレビューで分かった。

    そんなわけで、気になっていた母と息子に何があったのか?早速読んでみた。


    主人公は30代後半の本条早苗と小五の息子力。
    小さな劇団で舞台俳優をする夫(父)が、大きな劇場の公演に客演することとなり、家族皆で華やいだ気分でいた…あの時までは…。
    ここから先を書くと、読む楽しみが無くなるのでこの辺で。

    確かになぁ…と思う部分と、いやそれはどうなのかな?と思う部分とがあった。
    特に、早苗の両親、夫の両親ともに不仲な訳ではないのに、何故全く連絡を取らないのかなぁ…と。両親に迷惑が掛かる心配があるとはいえ、結構な期間だよなぁ…とそのあたりがどこかに引っかかったまま読み終わってしまった。
    そんな中でも、仙台の写真館の話は、もう少し彼らの話を読みたいなぁ。
    2020.6.14

  • 俳優の旦那さんが有名女優さん運転の車で事故にあい、スキャンダルが取り沙汰されるわ、その女優さんが...で、女優さん所属事務所の方やらマスコミから追われるよーに逃げる母子のお話。

    読む前に他の方のレビューをチラ見。
    「傲慢と善良」のあの親子が...と書かれていて、前にアタシも読んだやつ!
    でも、内容あまり覚えてなく自分のレビューを見てみたら星付けただけで何も書いてない(ㆀ˘・з・˘)
    読んでたら思い出すだろうと読んでましたが、全く思い出さず...後半でよーやく、あの時の⁉︎と思い出しました(*⁰▿⁰*)

    他人の優しさに触れたり、ムスコも母も成長したり、なんかいいお話でした。
    面白かったです!

  • 母と息子の逃避行。ただ、印象としてはその逃避行ということよりも、日本各地で彼らが触れ合う人々の生き様。それに触れることで変わっていく早苗と力を描いた作品だと思いました。

    TVでも散々日本各地の観光地の様子が映されます。ただ、そこで見ることのできるものはあくまで表の顔。有名な観光地であっても裏の部分というか、そこに暮らし、生きている人たちが生活している時に見せる顔を見ることはなかなかできません。この作品では、早苗と力の逃避行を通じてそんな日本各地の人たちの暮らしぶり、そこは観光地であってもそれ以前に人が息づいている場所なんだということを見せてくれました。

    主に4つの場所を転々としたわけですが、一番印象に強く残ったのは仙台でのことでした。写真館での話は、震災後のボランティアのことで聞いたことがある話に繋がります。『写真という仕事には、きのうとあしたの両方の仕事がある』という耕太郎の言葉。写真とビデオというものを比べると後者の方が音声まであって情報量は圧倒的です。スマホで簡単に高画質のビデオが撮影できるようになった現代の世界。でも写真は決してなくならない。それは、人の記憶というか思考と関係しているのではないかと思います。情報量が少なくても、人には想像力がある。コンピュータには記録した一枚の写真はどこまでいっても一枚の写真、それ以上の分析はできません。でも人はその写真から写真に写っているものだけでなく、その写真を撮った時の自身の心の内を思い出し、想像力を元に圧倒的な情報を頭の中に描いて見せることができます。津波で薄汚れてしまった写真であっても、そこに写っている、そしてそれを撮った人にとってはそんな汚れなど関係ないほどの情報が詰まった宝物。そんな宝物から大切な情報が剥がれ落ちてしまわないように想い出を守る仕事。震災後のボランティアによる『きのう』のための仕事が如何に大切なことか理解が深まった気がします。

    この作品で描かれている日本各地の人々の姿は、辻村さんの丁寧な取材を元にしていたとしてもどこまでいっても小説であって、実際がどうであるかの本当のところはわかりません。でもこの国には、まだまだ人の優しさがそこかしこに残っている。人のぬくもりが残っている。そんな希望を感じさせてくれる作品だと思いました。

    • さてさてさん
      ロニコさん、ありがとうございます。

      スロウハイツは傑作ですので、まだでしたら是非!
      スロウハイツ→VTR→名前探しの放課後→光待つ場所へ
      ...
      ロニコさん、ありがとうございます。

      スロウハイツは傑作ですので、まだでしたら是非!
      スロウハイツ→VTR→名前探しの放課後→光待つ場所へ
      そして、島はぼくらと、に繋がります。

      何だか大変ですけど、あの登場人物がこんな形で!ととても興奮します!

      また、よろしくお願いします。
      2020/05/06
    • ロニコさん
      さてさてさん、こんばんは^_^

      またまたの返信を失礼します。

      読み順の御指南をありがとうございます!

      「島はぼくらと」にも繋がっている...
      さてさてさん、こんばんは^_^

      またまたの返信を失礼します。

      読み順の御指南をありがとうございます!

      「島はぼくらと」にも繋がっているのですね〜。

      スロウハイツ、積読を読み終えたら早速読もうと思います^_^
      2020/05/08
    • さてさてさん
      ロニコさん、ありがとうございます。
      はい、「光待つ場所へ」は絶品だと思いますので、是非行き着いていただければと思います。
      ロニコさん、ありがとうございます。
      はい、「光待つ場所へ」は絶品だと思いますので、是非行き着いていただければと思います。
      2020/05/08
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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