青空と逃げる (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
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  • (20)
  • (7)
本棚登録 : 1222
レビュー : 202
  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050619

作品紹介・あらすじ

深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。

辻村深月が贈る、一家の再生の物語。読売新聞好評連載、待望の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。
    押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。
    母と息子の日常を奪い去った。
    疑心、恐怖、そして怒り。壊れてしまった家族が、たどり着く場所は―。

    内容を全く知らずに読み始めました。
    表紙のイラストから浜辺で走る少年と印象的な青空から爽やかなイメージの内容かと思っていました。

    劇団員の俳優の父・拳が深夜有名女優が運転する車で二人きりのドライブ中に事故にあう。
    二人とも命に別状はなかったもののマスコミはW不倫かと騒ぎ立てる。
    そんな中、有名女優は顔の骨折や傷で再起不能かとまで言われ…自殺。
    一度は静まりそうだった取材合戦も再熱。
    退院したという夫は自宅には帰らず行方不明に…。
    そのうえ、有名女優が所属していた芸能プロが怖い人が多い所で
    夫の行方を探していて母子の所にもしつこくやって来る。
    逃げる事を決意した母・早苗。
    逃げた先は友人のいる高知県の四万十そこから兵庫県の家島へそして別府
    砂掛けさんとしてやっと落ち着けると思ったら…。
    夫がいるのではないかとの情報で宮城県の仙台へ

    お金も乏しく、行く当てもなく五年生の男の子を連れての逃避行。
    しつこい訪問がいやでも家のある東京でいればよかったのに…。
    腑に落ちないで読み進めていくと逃避行を決意した理由がわかった。
    そして、父の拳は自分のせいで母子が窮地に立たされているのが
    わかっているはずなのに失踪し音信不通って凄く無責任でなんなの(*`Д´*)
    って凄く腹立たしく思っていましたが、大きな理由があったのですね。

    背負うものがあるものは強い
    弱く怯えてばかりの早苗が、逃げた先で出会った人たちの温かさや
    彼女・彼らの助けでグングン成長し、ドンドン強くなって行った。
    息子の力もそうだった。
    でも驚いたなぁ…力がお父さんと連絡をとっていただなんて(@_@;)
    お父さんも二人の様子を知ってるからこそ、数ヶ月会わなくても
    大丈夫って思う事が出来たんだね。

    誰かに頼ってもいいんだよね。

    仙台で身を寄せていた写真館のお話は東日本大震災のお話も
    描かれていて、涙が零れて仕方がなかったです。

    希望に満ちたラストで良かったぁ(*´ `*)

    子供を命懸けで守る…母親の心理描写がとても丁寧に描かれていた。
    お母さんになった辻村さんの心なのかなって思いました。

  • 面白かったけど、少し不自然さも感じながら読んだ。突然の父親の不始末の所為で起きた母と小5少年の逃避行は東京を出て高知から兵庫の家島 更に別府から仙台 そして北海道に至り どうやらめでたく振り出しに戻るらしい。中でも暫くの平穏な暮らしが出来た別府シーンは私も馴染みの土地だから興味深く読み進められた。
    まだ実体験していない別府の砂湯は一度体験してみたくなりましたよ♪

  • 母子が追手から逃げながら住処を移す度
    どんどんたくましく、自由になっていく様が清々しい。

    どこに行っても生きていけるって自信
    なんて目の前が明るくなることだろう。
    きっかけは深刻でも結果かけがえのない
    素晴らしい経験ができた母子たちが羨ましい。

    ラストの輝かしい青空にこの家族の
    行く末が見えたようで涙が出た。

    装丁も素敵で全部のページを捲って
    父親が見えた時、ウワってなった。(鳥肌)

  • 冒頭───
    青い、大きな布を広げた真ん中に立っているみたいだ。
    本城力は、小舟の上でそう思う。太陽を弾く四万十川の川面は穏やかでほとんど波や飛沫が見えず、のっぺりと幅が広い。
    ───

    久々に小説を最後まで読み終えた。1年半ぶりくらいになるか。
    多くの方々にフォローしていただき、レビューを楽しみにしています、と言われながら、なかなか本が読めなかった。単に仕事が忙しいだけだったのだが。
    大好きな作家、辻村深月。
    なかでも「名前探しの放課後」と「スロウハイツの神様」では、最終章の鮮やかな伏線回収と結末に号泣。
    人間とは本を読んだ感動でこんなに泣けるものか、と思うほどの涙腺決壊。

    ところが直木賞受賞後、白辻村と黒辻村と揶揄されるほど、その作風は2パターンに分かれた。
    最後に感動の涙を流させる「白」と人間の奥底の嫌な部分を炙りだし、あまり読後感の良くない「黒」。

    「どんなに苦しくても、最後は希望の灯が点るようなハッピーエンドを書き続けたい」と言った彼女はどこへ行ったのだ? とレビューに書いた作品もある。

    今回、アマゾンで概要を読んだとき、これは「白辻村」路線だろうと思った。
    だからすんなりと作品世界に入り込めた。最後まで読み通せた。

    父親が事件を起こし、雲隠れする。
    父親の行き先を突き止めようと頻繁に嫌がらせに来る芸能プロダクション。
    残された息子の力と母親の早苗は居場所をなくし、日本中を旅することになる。
    移動の先々で出会う人々。
    その人々の生きる姿に心が動き、前向きになり、一人の女性或いは人間として成長していく早苗。
    可愛い息子力のためにも、と。

    これは子を持った母親の成長物語だ。
    辻村深月自身、子どもを産んだことで新しい自分の世界を作り出したのではないか。

    現在、私も生まれて初めて子どもたちに関わる仕事をしている。
    その中で日々出会うのは、子供たちの逞しさや素晴らしさだ。
    そして、その感動ゆえに、この子らのためにまだまだ頑張ろうと思う。
    子どもは未来への宝である。
    その宝物をより輝かせて世の中に送り込むことが私の使命だと思っている。
    早苗も、自らの宝である息子のために、最後は現実と向き合うことを決断する。
    ───

    やはり1年もレビューを書かないとやたら文章が下手になるのを痛感している。
    しかも、それを出勤前の1時間で書き上げるのは限界がある(笑)。
    何故そんなことになっているかといえば、散々図書館から返却催促を受けており、今日この本を返さなければならないからだ。
    お待ちになっていた方々、申し訳ありません。<(_ _)>

    もっと本を読もう。忙しくても何とか時間を捻り出し、本を読もう。そしてレビューを書こう。そうすれば、昔のような面白いレビューがまた書けるようになるだろう。

    というわけで、あまり面白みのないありきたりなレビューになりましたが、今後にご期待くださいませ。<(_ _)>

    レビューがつまらないので追記:
    たまたま、昨日仕事でドローンを飛ばし、学校全体を撮影していた。
    休み時間になると生徒たちがベランダに出て来て初めて見たであろう未確認飛行物体に大喜び。
    皆が大声で「ドローン」「ドローン」と叫び、指さしながらはしゃいだ。
    おい、待て待て、ドローンは名前じゃないし、犬じゃないんだから呼んだってそっちには行かないよと私は思ったが(笑)。
    スマホで撮影した子もいるだろう。

    でも、そんな子供たちの無邪気さが大好きだ。
    というわけで、やはり子どもというのは宝物なのである。(^^)/

    • 杜のうさこさん
      koshoujiさん、こんにちは~♪
      いつものように、こちらへお返事させてください。

      実は少しばかり体調を崩してしまい、一か月ほどブ...
      koshoujiさん、こんにちは~♪
      いつものように、こちらへお返事させてください。

      実は少しばかり体調を崩してしまい、一か月ほどブクログを離れていました。
      そろそろ再開しなくては、と思っていたところでした。
      嬉しいお知らせ、ありがとうございます!
      出勤前のお忙しい時間に、私への業務連絡まで!
      本当にありがとうございます!

      一年半ぶりのレビューですね。
      嬉しいです。本当に!
      いやいや、面白くないなんて、ご謙遜を~(#^^#)
      でもそう思われて、またたくさん書いてくださるとか?(笑)
      えっ?仙台がでてくるんですか?
      それは楽しみです!絶対読みますね^^

      「ドローン」「ドローン」とはしゃぐ子どもたち、
      子どもはいいですね…本当に子どもが大好きです。
      その光景を想像したら、なんだか胸が一杯になってしまいました。
      最近また一層涙もろくなってしまって、ダメですね…。
      子どもはいい。などと大人ぶってみましたが、その場にもしも私がいたら、一体化してはしゃぎまくっていたと思われ…(笑)

      ぜひ、ぜひセンパイが今まで読まれた素晴らしい本の数々も「未来の宝」に伝えてあげて下さい。
      センパイが今のお仕事に就かれたこと、神様のお導きのような気がします。

      >もっと本を読もう。忙しくても何とか時間を捻り出し、本を読もう。そしてレビューを書こう。
      センパイの決意表明、後輩うさこ、しかと受け止めましてござる(^_-)-☆。


      そういえば先日、本当に久しぶりにあの若き日の思い出の場所を通りました。
      懐かしくて懐かしくて…
      涙ぐむと同時に、時間を大切に生きよう!と改めて思いました。
      2018/05/22
  • 傲慢と善良を読んで、その流れで読んだ作品。逃避行を続ける母子がその土地土地の人々の優しさに助けられながら、それぞれの生き方で母として子として成長していく姿に読んでいて心を動かされる。ラストシーンを超えてこの母子には幸せになって貰いたいと心から思わされる一冊。

  • ミステリー性はほとんどないが、素晴らしかった。

    早苗と力の母子が逃げながら、四万十、家島、別府、仙台、と点々としていく。

    それぞれの土地で親切な人達と出会い、溶け込んでいく。その描写がとても丁寧で、方言も生き生きとしている。私も一緒に旅して、そこに住んだような気がした。

    そして、仙台に来たところで「島はぼくらと」のヨシノちゃんが現れたのには驚いて、嬉しかった。震災のことも、親身になって思いやり豊かに描かれていて、そこは泣き通しだった。

    また、この半年での二人の成長もよくわかった。

  • ある事情で母と息子が四万十川、家島、別府、仙台と逃げていくのだけれど、その過程で親への愛情、母の強さが深まり、そして、真実と結末は…。いつものように後半になると、真実が見え、バッタバッタと切り込まれ、心にくる。行く先々で出会う人々、みんな暖かいし、それがまたまた、ジーンとさせる(特に別府の人たちは印象に残るし、旅して見たい気分にさせられた)。また、親の視点と子供の視点とで交互に書かれているのが良かった。それぞれの心が映し出されて、世界の完成度が高まったし、なんといっても少年についてうまくかけていたな。親が子を思う気持ちも、成長を感じるところもね。青空ね、最後までしっかり感動です。

  • 心の底から困った時。
    勇気を出した『助けて』の一言は、必ず誰かが応えてくれる。

    黒辻村から白辻村へと変化していく過程が堪らない。前半の訳もわからず追われる恐怖心…そこから辻村さんならではの加害者側の心理もしっかりと書き出す後半からの展開が流石。
    同じ家族だけど、家族だからこそ踏み込めない領域があるその距離感。
    母親と言うものは子供心から『母親』というカテゴリーで、『大人の女の人』と言うカテゴリーとは別次元で捉えていたのに、ある時ふとした瞬間に子供の自分じゃ知らない顔を見てドキリとする。絶対の強さを持っていると信じていたけどそうではない一面を知っていく力の気持ちが凄く分かる。
    大人になったからこそ分かるけど、母親と言う物は強い大人だと信じていたけれども、そうではないと言うことを今だから分かるが、『母』と言うものに頼らねば何も出来なかった子供の頃を思い出してそうだったな…としみじみ思った。
    逆に母と言うものは護るものがあるからこそあれだけ強かったのか…と納得。
    大人も子供もどちらの心理も細やかに書き出せる辻村さんがやっぱり好きだなと思った。

  • 母 早苗 と小学生の子 力 の逃避行の物語。テーマは家族愛だと思います。
    父親と女優の深夜の事故に端を発した母子の逃走劇。
    設定はちょっと無理はあるかなと思いましたが、それが気にならないくらい、母の気持ち、子の気持ちに寄り添って読めてしまいます。
    母の視点と子の視点が交互に出てきて、それがお互い補い合って物語に深みを与えているなと感じました。
    西日本編はどこも行ったことのない場所でしたが、あたたかな人情いっぱいの街だなと思います。行ってみたくなります。
    自分ならこういう逃走はしないとは思いますが、一人だとできない逃走というのはわかる気がします。
    青空「と」逃げる...タイトルの意味はたぶん最後にわかると思います。

  • 私は「辻村深月」という人を信頼している。
    知り合いなどでは全くないし、まだ数作しか読めてもいない。
    でもその数作のどれからも、ページを突き破るように押し寄せて来るのだ。
    助けの必要な人々、とりわけ子供への思いが。
    正直なところ、作風は私には少し甘い。
    けれど、その芯にある作者の強い思いに心を動かされる。
    今作も、やはり裏切られなかった。

    「子どもだから何もできない、かもしれない。
    だけど、子どもだからこそ、助けを求めていい。世の中の大人の全員が助けてくれるわけじゃないかもしれない。しかし、誰か一人が助けてくれなくても、次に声をかける別の一人は助けてくれるかもしれない。」

    このことを伝えたいのが、子供には助けを求めていいと、大人には助けを求めている子供を見過ごしていないかと訴えたいのが、ひしひしと伝わって来る。
    上辺だけの気持ちでは、これだけのものを伝えられないだろう。
    私の心に直に触れ、意識を広げてくれるこの人の物語を読み続けたい。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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