発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年

  • 中央公論新社 (2018年9月10日発売)
4.02
  • (20)
  • (22)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 301
感想 : 26
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784120051159

作品紹介・あらすじ

人の気持ちがわからない。人間に関心がない。コミュニケーションがとれない。勇太くんは、会話によって他人と信頼関係を築くことができない。それは母親に対しても同じだ。でも母にとっては、明るく跳びはねている勇太くんこそが生きる希望だ。
幼児教育のプロとして活躍する母が世間一般の「理想の子育て」から自由になっていく軌跡を描いた渾身のルポルタージュ。子育てにおける「普通」という呪縛を問う。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 優れた話し手と聞き手が生み出した、奇跡のインタビュー本。
    発達障害のわが子を受け容れるまでの葛藤を率直に語る母と、
    一定の距離を保ちながら、小児科医としての経験を織り交ぜながら
    解釈して、多くの人に届く物語として語り直す著者の力。

    発達障害について知る好著であり、
    “普通”圧力に常に曝されている多くの親へのyell。
    たくさんの人に読んで欲しい本。

  • 幼児教育のプロとして活躍する母が知的障害を伴う自閉症児を授かり、当初は戸惑いつつも、その我が子の障害を受容し、「普通」という呪縛から解放されていく過程を描いたルポタージュ。
    母親である立石美津子さんが自閉症児の勇太くん(仮称)を育てる中での葛藤や受容、勇太くんの様子や成長が臨場感をもって伝わってきた。自閉症に対する理解を深めることができた。自閉症の子どもを育てたり、また、自閉症の方と接したりするに当たって、とても参考になる内容だと思う。

  • 良かった。
    一気読み。
    はじめに〜の導入部分から、ぐっと興味を
    持たされる。
    短い動画を見た見ただけで、トイレのメーカーと型番がわかる???
    そんなこと出来るの??すごい。
    と素直に思う。

    1章から始まる、母の子育ては過酷だった。
    読んでいてわかる、わかると思った。
    母である立石さんの語りから、
    医師が書いた本だけど、読みやすい。
    必要なことはちゃんと、医学的に説明があり、
    ぼんやりと認識していた自分の知識が浅く、
    そして間違いであることにも気付かされる。
    感情表現を極力抑えて、書かれているために、
    読んでるこちらも辛くなり過ぎない。

    ちゃんと「辛いと思っていた時期は過ぎようとしていた」とか、章の終わりに書いてくれるから、
    安心して読める。

    初めての子育ての孤独や不安、
    いろんな感情を思い出す。
    健常児だって同じだが、自分の世界は狭かった。
    ここまでの苦労はあったか…
    自問自答する。

    自閉症という診断を受け入れること、
    実父との関係、健常児との比較、
    このあたりは身につまされる。
    ひたすら辛い…
    そして、初めて知った二次障害という言葉、
    こんなに辛いことがあるなんて…と、
    本当に心が痛んだ。
    今、現実にいるんだよね、
    もとの障害に適切に対応しないため、ストレスが高まって、身体症状や心の障害、問題行動に繋がること。
    勇ちゃんの場合は、トイレのジェットタオルの音、
    だった。慣れる訓練なんか必要なくて、
    どうしたら、そのストレスに合わずに済むか、
    合理的な方法で付き合うこと。
    母がちゃんと勇ちゃんに向き合う姿に感動した。
    ひたすらあちこちのトイレの確認にも
    付き合う姿にも。
    健常者だけが心地よい、当たり前と感じる世間の
    常識が、どんなに苦痛であるか、
    外見からわかる障害、わからない障害もある。

    跳ぶ理由…というのも考えたことがなかった。
    自閉症児は聴覚以外のさまざまな感覚情報がばらばらに入ってくるとされ、これを統合するために、跳んで、複数の刺激を一つにするとの説もあるとか…

    知ること、
    今、私に出来るのはこれだけだが、
    社会の認識が広がって、自閉症児や
    障害に悩む人を包む世の中の目がもう少し
    理解のあるものとなり、残酷な二次障害を
    患う人が1人でもいなくなることを切に願う。

  • この本の主人公は、知的障害を伴う自閉症の男の子を育てるお母さん。
    自閉症という障害に向き合う中で感じる母としての葛藤、障害を受け入れていく過程と、決してぶれることのない我が子への溢れる愛情が描かれています。

    自閉症についても、わかりやすく説明されていました。
    自閉症は先天的な脳の疾患であり今のところ原因不明、治療法なし、自然治癒もない。
    自閉症には、知的障害を伴うものと伴わないものがあり、自閉傾向の強さや知能の高さには大きな幅がある。共通するのは、社会性の欠如や共感能力の欠如。つまり「相手の気持ちが分からない」(相手の気持ちを知りたいとも思っていない)。

    主人公であるお母さんは、我が子の自閉症と向き合いながら、まずは、障害がある事実を受け入れ、我が子の自閉傾向との付き合い方を少しずつ体得していきます。その過程は、奮闘としか表現しようのない、大変な道のり。障害を受容するにも、一度に全てを受け入れるということではなく、壁にぶつかりながら、何段階もかけて、受け入れていきます。

    少しでも我が子に良いものをと、医療機関に療育施設、スイミングスクールと、距離や時間、手間を厭わず試行錯誤を繰り返して最適な施設を探し回るお母さんの粘り強さと実行力は、誰でも真似できるということではなさそう。でも気持ちはよくわかります。精力的な活動を通して、お母さんは、それぞれの分野での専門家や、障害ある子どもを育てる親たちと出会い、助言も得ていきます。お母さんも男の子も、まだ若い。でもそろそろ「親離れ」を考える年齢に差し掛かっているとのこと。この本は、親子のサクセスストーリーではなく、まだまだ試行錯誤中の途中経過といったところ。だからこそ、社会が持つ課題を読者に突きつけているように感じます。

    この本を読んで思ったことは、なにかの病気があり、それが原因で健常者と同じような社会生活を行うことが難しい人が、あまり障壁を感じずに生きていくためには、やはり、社会全体での相互理解が不可欠だなぁということ。
    この本の中のお母さんを必死で走り回らせた要因の一つは、障害がある子どもが、どう育ち、大人になった時にどのような生活を送っていくのか、(病気故に自らは入り込めないであろう)社会にどうやって安心できる居場所?生活基盤?を見つけるのか、そうした展望が見えない不安感でもあったのではないか。そう考えると、これは必ずしも障害がある子どもに限らず、子どもの将来に幸あれと願う親が子どもの行く末にな関して持っている不安とあまり変わらないかもしれない。こうした不安を持って子育てしているお父さん、お母さんが、今の日本には沢山いるのかもしれません。
    社会全体で、病気や障害についての知識が共有でき理解が進めばなおよし、それに加えて、特にこうした障害ある子どもと生きているお父さんお母さんが、子どもの将来に対して、社会に対して、不安を抱きながら過ごしていることに、みんなが理解し合えたら(自閉症のような病気でない限り、相手の気持ちを分かろうと努力することができるはずなのだから)、何か変わらないかなぁと、思いました。

    医師である著者は、お母さんの話を聞きながら、お母さんの奮闘と男の子の成長をレポートしており、お母さんの目線で記しながらも客観的な視点も残されているようで、素直に共感できた気がします。

    読んでよかったと思える本でした。

  • 息子さんの障害に葛藤し、受け止めるまでの姿は、正直で赤裸々だ。「安全基地を作る」(p155)はどのような子でも必要だと思った。(子どもだけでない、人間誰もそのような場所があることが生きる力になる)。こだわりとわがままは別。こだわりにはとことん付き合い、わがままにはキッパリとNOと言えるようになりたい。

  • 立石美津子さん親子のノンフィクション。

    特に子どもが幼いころの母親の不安な気持ち、心配なところがよく伝わってきた。保育園前、保育園、小学校と具体的な場面がリアルに描かれていた。

    補章 の発達障害を理解するために
    が簡潔に分かりやすくまとめられていてよかった。

  • 自閉症の子どもと関わることもあるが、親視点目線を初めて感じとれた。教員としてどのようなことがその子にできるのかを考えないといけないなあ。

  • ふむ

  • 妊娠中は誰しもが「普通」の子供が生まれてきて普通の人生を送ると思っている。生まれてみないと、または育ってみないと障害や病気の有無はわからない。自閉症の発覚で「普通」ではなくなってしまった息子との未来を受け入れたりやっぱりできなかったり…でも四苦八苦しながら息子を育てることで自分も親に育つ。自分も自閉症の子を持つ親として、筆者の保育園時代が1番辛く、17歳になった息子との今の生活が1番楽しいというところに希望を持った。

  • 自閉症児と母の17年。
    読むことができてよかった。知らないことがたくさんあって、考えさせられた。
    「障害児を見ないで育つ子どもは、大人になっても障害者と共生できないだろうなと母は思った」強く心に残る。
    あとがきの松永さんの「多様性が大事だと指摘されるが、私たちの社会は多様さの重要性が本当の意味でまだ根づいていないような気がする」も響いた。

  • 我が子の発達が遅く、もしかしたら何かあるのかも知れないとネットで調べる日々を送っていた時にこの本のことが載っているサイトを見つけて読んでみることにした。自閉症と診断された時の母親の気持ちから、保育園に行き始め、小学校、中学校と進むにつれてその時々の苦悩と葛藤とやっぱり息子は可愛いという色んな気持ちがすごく伝わってきた。この本を読むまではどん底の気持ちで正直今も暗い気持ちは変わらないし我が子と自分にどんな人生が待ち受けているのかも全然わからないけど読む前と読む後では少し心持ちが変わった気がする。

  • 「発達障害に生まれて」は、
    知的障害のある自閉症の子どもを育てている母親17年をまとめた一冊。

    言葉をなかなか発しない。
    他人に関心を示さない。
    子には強いこだわりがあり、
    場合によってパニックを起こす。
    家のなかを飛び跳ねる
    気になる人にしつこくする

    そんな特性のある障害を持つ息子。
    子育ての過程で起きる様々な出来事は、
    障害のない子の子育てと比べると、「大変」と思われがちかもしれない。

    しかし、「大変」だから「不幸」なわけではない。
    母親には、そんな子と向き合うなかで「喜び」があり、「幸せ」がある。

    発達障害(自閉症)の子と母親の一つのケースを通して、子どもを育てること、人を育てることは、どういうことなのかを改めて考えさせられた。

    子どもに向き合うこと、
    家族に向き合うことは
    自分自身に向き合うことかもしれない。
    そして、自分を取り巻く社会について考えたり、
    自分が身に着けている価値観を問うことなのかもしれない。

  • 2019年112冊目。満足度★★★★☆

  • 発達障害を抱える親がどのように我が子の障害を受容し、前向きに生きるか。
    発達障害児の育児に向き合う親には「心の拠り所」を、
    発達障害児の育児がイメージできない人には「多様性の理解」を、
    与えてくれる一冊だと思います。

    多くの人に読んでほしい、心からそう思える良書でした。

  • こだわりと強迫性障害の対応の違いを詳細に記している。
    勉強になりました。

  • 人の気持ちがわならない、人とコミュニケーションがとれない自閉症の勇太君と母が信頼関係を築く軌跡を描いた渾身のルポルタージュ

  • ものすごく具体的なので、いろいろな場面が目に浮かぶよう。
    ただし、1つの事例であって、汎用的な話ではないことは留意する必要がある。


    出生前検査で異常の可能性があることがわかって泣いている母親を叱責する医師のこの一言、かなりきます。
    『何をそんなに泣いているんですか!障害児だったら要らないから、この検査を受けるんでしょ?どんな子どもでも生む覚悟ならこの検査は受けないでしょ?泣いたって仕方がないことだ。』
    もちろん、正解は何もないのですが、いずれにしろ覚悟は問われるのには違いないですね。

  •  発達生涯の子どもを育てた母親の話を小児科医が本に。

     発達障害そのものの理解、そして発達障害を持つ人が成長していくことや発達障害の親がどんなことを思っているのかがよく伝わってくる。特に大人になってからどうするかの部分についても書かれているのが参考になった。
     最近は比較的軽度の人本人が語る発達障害についての文章が多いが、ある程度重いケースを軸に医師が監修して発達障害を語るということはやはり大事だと思う。

  • 発達障害についてよく知らない人にぜひ読んでほしいです。私にも自閉症の子供がいますが、読みながらあるあると思うことが多かったです。発達障害のことを理解してくれる人が増えてくれば、少しはそのような人たちに優しい社会になるように思います。

全21件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。
2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。13年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』(小学館)で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。19年、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』で第8回日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞。
著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『呼吸器の子』(現代書館)、『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』(中央公論新社)、『小児科医が伝える オンリーワンの花を咲かせる子育て』(文藝春秋)、『発達障害 最初の一歩』(中央公論新社)などがある。 

「2020年 『どんじり医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松永正訓の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×