発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 106
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051159

作品紹介・あらすじ

人の気持ちがわからない。人間に関心がない。コミュニケーションがとれない。勇太くんは、会話によって他人と信頼関係を築くことができない。それは母親に対しても同じだ。でも母にとっては、明るく跳びはねている勇太くんこそが生きる希望だ。
幼児教育のプロとして活躍する母が世間一般の「理想の子育て」から自由になっていく軌跡を描いた渾身のルポルタージュ。子育てにおける「普通」という呪縛を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年112冊目。満足度★★★★☆

  • 優れた話し手と聞き手が生み出した、奇跡のインタビュー本。
    発達障害のわが子を受け容れるまでの葛藤を率直に語る母と、
    一定の距離を保ちながら、小児科医としての経験を織り交ぜながら
    解釈して、多くの人に届く物語として語り直す著者の力。

    発達障害について知る好著であり、
    “普通”圧力に常に曝されている多くの親へのyell。
    たくさんの人に読んで欲しい本。

  • 発達障害を抱える親がどのように我が子の障害を受容し、前向きに生きるか。
    発達障害児の育児に向き合う親には「心の拠り所」を、
    発達障害児の育児がイメージできない人には「多様性の理解」を、
    与えてくれる一冊だと思います。

    多くの人に読んでほしい、心からそう思える良書でした。

  • こだわりと強迫性障害の対応の違いを詳細に記している。
    勉強になりました。

  • 早期診断と早い段階で養育を受けるといいと聞くことが多い。登場する勇くんのお母さんの決断の早さに驚いた。こんなに早い段階からの養育を受けているのに知能検査でIQが変わっていないというのが本当に衝撃的だった。お母さんも、勇くんもこんなにがんばってあれこれと習い事もしているし水泳もしているというのに…。うちの子の主治医も知能検査はそうそう何回も受けるものではない、受けたとしてもそんなに変化はないから…と言っていたのを眉唾だと思っていたけど、本当のことなんだと…と思った。

    以前、講演で『障害のある子の「親なきあと」』の話を聞いて勉強会に参加したことがある。グループホームのこと、お金のこと、就労のこと、悩みが多すぎてどこも手つかずでうろうろすることしか出来ないけど、勇くんママは違う。障害年金や特児で支給されるお金を貯めて、親も貯蓄をしさらに人を集めてグループホームの経営を考えていたり、具体的で何かすごい人だな…と思った。

    あとがきで松永さんが私たちの文化とその多様性について述べている部分があったけど、全くその通りだと私も思う。健常者も障害者も分け隔てなく過ごしやすい社会になってほしいと願う。

    かなり読みにくい感じがあるけど、こういう本がある今は情報の時代だなぁ…と思った。有効な情報もなく手探りでどうしたらいいのか全然分からない…という少し前とは変わってきているように思える。『障害のある子の「親なきあと」』と併せて読むといいと思う。最近は二次障害について触れられている本が多くなってきていると感じた。

    メモ:25歳独立説。重ね着症候群。二次障害。強迫スペクトラム障害。巻き込み。認知行動療法。インクルーシブ教育。ノーマライゼーション。グレーゾーン。
    多様性について…←あとがきが素晴らしい。

  • 人の気持ちがわならない、人とコミュニケーションがとれない自閉症の勇太君と母が信頼関係を築く軌跡を描いた渾身のルポルタージュ

  • この本の主人公は、知的障害を伴う自閉症の男の子を育てるお母さん。
    自閉症という障害に向き合う中で感じる母としての葛藤、障害を受け入れていく過程と、決してぶれることのない我が子への溢れる愛情が描かれています。

    自閉症についても、わかりやすく説明されていました。
    自閉症は先天的な脳の疾患であり今のところ原因不明、治療法なし、自然治癒もない。
    自閉症には、知的障害を伴うものと伴わないものがあり、自閉傾向の強さや知能の高さには大きな幅がある。共通するのは、社会性の欠如や共感能力の欠如。つまり「相手の気持ちが分からない」(相手の気持ちを知りたいとも思っていない)。

    主人公であるお母さんは、我が子の自閉症と向き合いながら、まずは、障害がある事実を受け入れ、我が子の自閉傾向との付き合い方を少しずつ体得していきます。その過程は、奮闘としか表現しようのない、大変な道のり。障害を受容するにも、一度に全てを受け入れるということではなく、壁にぶつかりながら、何段階もかけて、受け入れていきます。

    少しでも我が子に良いものをと、医療機関に療育施設、スイミングスクールと、距離や時間、手間を厭わず試行錯誤を繰り返して最適な施設を探し回るお母さんの粘り強さと実行力は、誰でも真似できるということではなさそう。でも気持ちはよくわかります。精力的な活動を通して、お母さんは、それぞれの分野での専門家や、障害ある子どもを育てる親たちと出会い、助言も得ていきます。お母さんも男の子も、まだ若い。でもそろそろ「親離れ」を考える年齢に差し掛かっているとのこと。この本は、親子のサクセスストーリーではなく、まだまだ試行錯誤中の途中経過といったところ。だからこそ、社会が持つ課題を読者に突きつけているように感じます。

    この本を読んで思ったことは、なにかの病気があり、それが原因で健常者と同じような社会生活を行うことが難しい人が、あまり障壁を感じずに生きていくためには、やはり、社会全体での相互理解が不可欠だなぁということ。
    この本の中のお母さんを必死で走り回らせた要因の一つは、障害がある子どもが、どう育ち、大人になった時にどのような生活を送っていくのか、(病気故に自らは入り込めないであろう)社会にどうやって安心できる居場所?生活基盤?を見つけるのか、そうした展望が見えない不安感でもあったのではないか。そう考えると、これは必ずしも障害がある子どもに限らず、子どもの将来に幸あれと願う親が子どもの行く末にな関して持っている不安とあまり変わらないかもしれない。こうした不安を持って子育てしているお父さん、お母さんが、今の日本には沢山いるのかもしれません。
    社会全体で、病気や障害についての知識が共有でき理解が進めばなおよし、それに加えて、特にこうした障害ある子どもと生きているお父さんお母さんが、子どもの将来に対して、社会に対して、不安を抱きながら過ごしていることに、みんなが理解し合えたら(自閉症のような病気でない限り、相手の気持ちを分かろうと努力することができるはずなのだから)、何か変わらないかなぁと、思いました。

    医師である著者は、お母さんの話を聞きながら、お母さんの奮闘と男の子の成長をレポートしており、お母さんの目線で記しながらも客観的な視点も残されているようで、素直に共感できた気がします。

    読んでよかったと思える本でした。

  • ものすごく具体的なので、いろいろな場面が目に浮かぶよう。
    ただし、1つの事例であって、汎用的な話ではないことは留意する必要がある。


    出生前検査で異常の可能性があることがわかって泣いている母親を叱責する医師のこの一言、かなりきます。
    『何をそんなに泣いているんですか!障害児だったら要らないから、この検査を受けるんでしょ?どんな子どもでも生む覚悟ならこの検査は受けないでしょ?泣いたって仕方がないことだ。』
    もちろん、正解は何もないのですが、いずれにしろ覚悟は問われるのには違いないですね。

  •  発達生涯の子どもを育てた母親の話を小児科医が本に。

     発達障害そのものの理解、そして発達障害を持つ人が成長していくことや発達障害の親がどんなことを思っているのかがよく伝わってくる。特に大人になってからどうするかの部分についても書かれているのが参考になった。
     最近は比較的軽度の人本人が語る発達障害についての文章が多いが、ある程度重いケースを軸に医師が監修して発達障害を語るということはやはり大事だと思う。

  • 発達障害についてよく知らない人にぜひ読んでほしいです。私にも自閉症の子供がいますが、読みながらあるあると思うことが多かったです。発達障害のことを理解してくれる人が増えてくれば、少しはそのような人たちに優しい社会になるように思います。

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著者プロフィール

松永正訓

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。 日本小児外科学会・会長特別表彰など受賞歴多数。 2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。13年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『子どもの危険な病気のサインがわかる本』(講談社)、『小児がん外科医   君たちが教えてくれたこと 』(中公文庫)、『呼吸器の子』(現代書館)、『子どもの病気 常識のウソ』(中公新書ラクレ)などがある。

「2019年 『いのちは輝く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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