死にがいを求めて生きているの

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 578
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051715

作品紹介・あらすじ

誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――

「お前は、価値のある人間なの?」

朝井リョウが放つ、〝平成〟を生きる若者たちが背負った自滅と祈りの物語


植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。
二人の間に横たわる〝歪な真実〟とは?
毎日の繰り返しに倦んだ看護士、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。
交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた〝平成〟という時代の闇が露わになる。

今を生きる人すべてが向き合わざるを得ない、自滅と祈りの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいる間は、共感したいようなしたくないような、そんな瀬戸際の部分を鋭く突かれている感覚でした。

    自分らしさって何なんだろう。
    自分らしさを求めすぎて、逆に自分を見失ってしまうのではないか、とか
    生まれ持ったものでは片付けられたくないと、それに囚われずに生きていくのが自分らしさなのか、それとも折り合いを付けて生きていくのも自分らしさなのかとか、、色々と考えさせられました。

    多様性の時代の影の部分がよく描かれていたと思います。

  • このヒリつく感じ。冷静な観察力で現代に生きる人間の内面を淡々と描きながら深く抉ってくる感じ。やっぱり、朝井リョウ上手いな~。

    「白井友里子」から始まり、「南水智也」で終わる6人の目線で描かれる物語は、智也と雄介の関係という軸を共通に据えて大きく繋がり、最後まで読むと、最初の章で感じた雄介への見方が一変し、思わず読み返してしまう。

    「生きがい」がないと悩む看護師、夢中になれるものを求め、ボランティアや署名活動に夢中になる大学生、後輩に先を越され功を焦るディレクター、どの章の主人公も「生きがい」を求め、足搔き、苦しむ。
    その姿は滑稽でイタいけど、そこに思わず自分自身を重ねてしまい心がヒリつく。上手いな~、イタイな~、そして辛いな~。

    ただ、出版社の仕掛けている「螺旋プロジェクト」なるものに無理やり連動させたような「海山伝説」とかは余分だったかな~。そこだけファンタジーっぽくなって、胡散臭くて、この作品の本質がブレたような・・・残念です。

  • 必死に考えてもがいていた、あの頃。
    そして、少しオブラートに包まれてしまった今。

    同じ熱量ではないけれど、
    根っこのところは変わらないことを思いながら、また進むんだろうなぁ。

  • 久しぶりの朝井リョウ新刊!発売を知ってからずっと待ちわびていた。タイトル見ただけで胸がザワザワ。

    面白かったけど、朝井作品の感想を言葉に表すのが難しい時があって今回もそう。「海族・山族」の話は多分『螺旋プロジェクト』の中の一環で必要な要素だったんだろうけど、それを抜きにしても…平成に入ってから主に学校教育の場から「競争」する機会がどんどん失われ「ナンバーワンよりオンリーワン」が大事とされる時代に生きる日本人の描写。正反対の性格同士でも親友にも見える堀北雄介と南水智也の奇妙な関係性から、オンリーワンの定義が定められない・生きがいや人生の目標が見つけられない人の苦悩まで。

    読み進めている間にどんどんザワザワするこの感じは朝井作品でしか味わえない。言葉にできないんだけどこれが好きなんだよな。
    私自身もふと「大切に思う対象、趣味や生きがいもない人ってどんな感じなんだろう」と思う事があったが、そうかこうなるのか。

  • うーん。
    前知識なしでジャケ買いだったので、
    途中から変わってきた雰囲気にあれ?と思った。
    調べたら、複数の作家がひとつのテーマに基づいて
    それぞれ小説をかく螺旋プロジェクトというものの
    一冊だそうで、道理でファンタジーっぽさが
    出てきたわけだ。

    筆力は言わずもがなだし、
    最後まで読みきれたし人物の心理描写はさすがだなあと
    思うけれど、ちょっとしんどかった。
    うーん。

  • 同世代の作家のため、妙に既視感のある物語を体験させてもらった。

    中学生、大学生の辺りはとにかく心が抉られた。

    その後はまだ体験していないからか、既視感がないからかどこか遠くに感じられた。

    この作品単体でも非常に面白いのだが、それよりも螺旋プロジェクトが気になって仕方がない。

  • なんていうのか、朝井りょうの小説はやっとできたかさぶたを、カリカリとはがす時の気持ちに似ている。また血が出てくるのに、痛くなるのはわかっているのに、それでもはがさずにいられない時の気持ちに似ている。
    自虐というのか、自罰というのか、自分を痛めつけずにはいられない気持ちを刺激してくる。
    そして、読み始めたときに感じていた風景と、読んでいる途中と、読み終わった後と、自分の見ているものの変質を意識させられる。
    「がらりと一転」ではなく「一気に世界が反転」でもなく、だけど世界は変わっているのである。いや、世界は変わっていない、それを見ている自分の目が変わっているのである。
    若者が「いきがい」を渇望する。よくあることだ。何かのために、誰かのために、一生懸命になる。すばらしいじゃないか。
    すばらしい?本当に?
    あたりまえのようにある若者の特権だと思っていた「生きがい」が、若者の首をしめ、生きることへの苦痛となり、あるいみ狂気じみてくる、その「生きがい」の正体に、私たち大人はそろそろ気付くべきなのかも。あぁ、これは若者だけの特権じゃない。大人も同じ道を強迫的に歩かされているのかも。誰に?そう、自分に。

  • 2019年03月12日読了。

  • 星いくつ、と評価してしまうのも勿体ない小説だと思います。物語としてただただ面白くて、メッセージ性も強いものがありました。朝井さんの小説の特徴と思っている後半を畳み掛けるような展開に、今回もゾクゾク致しました。

  • タイトルとテーマに興味が湧いて、初めて朝井リョウ氏の小説を読んだ。
    これは読んだ直後の感想なのではあるけれど、結局僕には刺さらなかったなぁ、という感想。うまく言葉に落としているセリフがいくつかあるし、その年代が感じているだろう焦りだったり欲求っていうのは理解できる。しかし、だ。人物描写なのだろうか、イマイチ深みに欠け、全て言葉にして表現してしまうきらいがある。一方、登場人物の設定年齢的に、むしろ年相応、とも考えられるか。根っこのところにある、ある種の必死さの共感があるかないかで、この本の評価が分かれそうだ。
    何者かになりたくて分かりやすい対立構造に己を当てはめる者、その対立構造を否定したい者、誰もが抱える、あるいは通る、自己実現の欲求に対する、著者の意見が書かれている。

    螺旋プロジェクト、面白い企画だ。ウォッチしてこ。

    追記:
    そういえば、そもそも生きがい探しの箱から出られた話もあったんだった。そういう意味では、箱から出る道を発見できたエピソードと、箱の中で意味を考え続けるエピソード、に分けられるかもしれない。前者は他者との関係の中で幸せな瞬間というものを発見し、後者はそれができず孤独に戦い続ける姿だ。これは本文中にも、分類分けの中で語られている。
    そして本書の本筋は、著者による後者へのメッセージなのだ。そう理解したとき、ちょっとすっきりした。星を一つ上げる。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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