死にがいを求めて生きているの

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 141
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051715

感想・レビュー・書評

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  • 平成後半の時代感、空気感。
    承認欲求と生きがい(=死にがい)。

    構成と表現力に引き込まれました。

    『平成くんさようなら』は、本も書く人が書いたもので、こっちは本を書く人が書いたものという感じでした!

  • 再読したい。
    それぞれの苦しみ、価値観の違い。作者がどうしてこの作品を書いたのか知りたいです。言葉にできないけど、わかる、心が動かされる、本当に感心します。

    雄介が、本当はどんな人間なのか?という疑問を持ち続けながら読むことになります。絶望にも希望にも思える展開は、やはり再読して考えたいなと、、、。

    他人からも、自分の中でも、人は自身を見つめ続けるものなんだと思いました。自分自身でもわからない自分に出会うし、他人から見える自分に真実のようなものがある時もある。この世界にわからないまま、放り出されて生きることは、誰もが同じという事は変えられない事実。

    当たり前の事って、人によって全然違う。苦しみも違う。違いを認めて、個々を大事にしようという、美しい言葉の奥にある闇を描いていると思います。

  • 余談から入りますが、なるほどなと思ったもので。タイトルの一部分である「死にがい」。近くの図書館で話を聞くと、「死にがいを求めて」という言葉に反応して読みたいという高齢者がわりといるそうで。内容的には若者主体だが、若者は「生きがい」を追い求め、高齢者は「死にがい」を求める。どんな年齢になっても「生きる意味」とは答えのない永遠のテーマなのだなと思った。
    生きている上でどこかで悩む自分の存在意義、生きる意味とは。皆が注目する肩書きがほしい生き方をする雄介とそれを見ている智也。そして周囲の人たち。色々な視点から生きがいを模索している。それを騒ぐことなく冷静に淡々と作者らしい表現で訴えかけている感じがした。今の時代の若者ってたくさんの情報にさらされて、自分を見失いそうになったり、見つけたり、踊らされたり、共感したりと選択肢の多さに余計に悩んで迷子になりそうで大変だよなぁと思う。螺旋企画である海山伝説はあまりピンとこなかったけど、対立する軸としては必要だったのかな。

  • 誰もが自分の人生に価値があると思いたかったり、生きがいをもちたいと思っている。
    生きがいを感じられることが正義であり、それがなによりも尊いことのように感じられる。生きがいに振り回されてみんな生きている。
    生きがいを失い、不都合なことから遠ざかっても、それを生んだ背景はそこに存在し続けている。
    だから苦しくても繋がりの中で生きるしかない。生きて向き合い続けること。それが生きがいと言えなくたっていいじゃないか。

  • 相対評価が禁止された現代を、平成生まれの筆者からの観点で描いた作品。No.1ではなく、オンリー1が求められる時代がゆえに、「生きがい」を求めて模索する少年とその友人の歪んだ関係性が垣間見える。

    以下、感想。〜

    目に見える数字や順位づけや制限があるからこそ生きやすいこともあるかもしれない。

    本当に自由に、何でもやっていい、0から何かを作り出せって言う方が却ってやりづらくなったり。
    本当の自由は自由じゃない。

    無理してキラキラしないといけない、リア充でないといけない、人と繋がってないといけない、って意外と息苦しいのかも。

  • 読んでいる間は、共感したいようなしたくないような、そんな瀬戸際の部分を鋭く突かれている感覚でした。

    自分らしさって何なんだろう。
    自分らしさを求めすぎて、逆に自分を見失ってしまうのではないか、とか
    生まれ持ったものでは片付けられたくないと、それに囚われずに生きていくのが自分らしさなのか、それとも折り合いを付けて生きていくのも自分らしさなのかとか、、色々と考えさせられました。

    多様性の時代の影の部分がよく描かれていたと思います。

  • 「生きがい」じゃなくて「死にがい」。その奇妙な表現に読む前はゾッとした。でも今はどこかしっくりきている。学歴だけで人生の成功者になれた昔と今は違う。就職活動をしていても、「あなたが誰にも負けないと思うことはなんですか」や「あなたはがこれまでしてきた成功体験について教えてください」みたいな、自分自身について奥深く問われる質問が多い。が、若者からしてみれば、そんなの知ったこっちゃねえ!という感じだ。社会が求めてるものと、自分自身がもってるもののギャップ。そもそも人間が生まれるというのは自分の意思ではないのに、生きる意味を見つけてくださいなんて言われてもなかなか見つからないだろう。そんなのなくたって、かっこよくなくたって、仲間外れにされないような世界になってほしいと思う。この作者は、平成を生きる若者の生きづらさを描くのが怖いくらいに上手い。当事者にしか分からないような細かな心理描写。もしかしたら朝井さん自身も、この世界に生きづらさを感じたりしているのかもしれない。

  • 何者かになりたいが、なれないもどかしさ。著者はそういう人物を描くのに長けているが、今回もその「イタさ」を存分に味わった。コンプレックスを誤魔化し生きる意味を見つけようとする人たちの様が、自分とも重なり痛みを覚える。

    今回は、敵を作りそれに対抗している自分、というポジションを確保することで「自分は生きていていい」=生きがいにしている者が主軸にいたが、結局のところ、人は自分を物語に落とし込まないと生きていけないのではないか、と感じる。程度の差こそあれ、常に生に意味を付けたがるのが人間なのかも。

  • 2019.7.20
    朝井リョウの作品を読むと、毎回「ぐはーっ!お見事!!」と思う。
    様々な人々が絶妙に交錯しあい、最後にはまさかの展開…
    そして現代社会の色々な問題もスパスパ入れてくる…
    今回の本は、ぜひ続編を出してほしい。最後の終わり方で何となく想像がつく部分はあるけど、でも私は続きを読みたい。その時は弓削周辺の話も混ぜてほしい。

  • 雄介というキャラクターが、様々な時期の何人もの視点から、丹念に描かれる。彼の主観の章はない。
    こういう人いるよなと思いながらも、自分が100%無縁だと言える自信はない。
    相変わらず描写が巧みで、引き込まれる。読後感は気持ちよくはないけど、唸らされる本。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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